フリーランスとして、収入が増えてくると、「法人化(会社設立)したほうが、得ではないか」と、考える方が、増えてきます。確かに、法人化には、メリットが、ありますが、一方で、デメリットや、注意点も、あります。法人化したあとに、「こんなはずでは、なかった」と、後悔しないために、デメリットを、事前に、理解しておくことが、大切です。
この記事では、フリーランスが、法人化(会社設立)するときの、デメリットを、国税庁や、日本年金機構などの、公表資料をもとに、整理します。費用の負担、社会保険料の負担、手続きの手間、お金の自由度の低下など、主なデメリットを、具体的に、解説します。メリットについては、別の記事「フリーランスが法人化するメリットとは?」で、解説しています。
なお、税制や制度は、改正されることがあります。この記事は、2026年10月時点の公表情報をもとにしています。実際の判断では、最新の情報を確認し、税理士にご相談ください。
Contents
- デメリット1:設立の費用が、かかる
- デメリット2:社会保険の負担が、増える
- デメリット3:赤字でも、税金がかかる
- デメリット4:税理士報酬などの、維持費がかかる
- デメリット5:手続きの手間が、増える
- デメリット6:会社のお金を、自由に使えない
- デメリット7:消費税や、インボイスの扱いが、変わる場合がある
- デメリット8:事業をやめるときも、手続きが、必要
- デメリットの比較表:個人事業主と法人
- デメリットが、小さいケース、大きいケース
- 法人化の前に、確認しておきたい、チェックリスト
- 法人化のデメリットを、先に知っておく、意義
- デメリットを、小さくするための考え方
- 法人化に関する、よくある質問
- 法人化のご相談はストラーダグループへ
デメリット1:設立の費用が、かかる

会社を設立するには、法定の費用が、かかります。株式会社を設立する場合の、主な費用は、次のとおりです。
| 費用 | 金額の目安 |
|---|---|
| 定款認証手数料 | 資本金の額に応じて、3万円から5万円(一定の条件を満たす場合は、1万5,000円) |
| 収入印紙(紙の定款の場合) | 4万円(電子定款の場合は不要) |
| 謄本の発行手数料 | 1枚250円 |
| 登録免許税 | 資本金の額の1,000分の7(最低15万円) |
日本公証人連合会や、国税庁の資料によると、株式会社の設立には、最低でも、20万円前後の、実費が、かかります。合同会社の場合は、定款の認証が不要で、登録免許税は、資本金の額の1,000分の7(最低6万円)です。専門家に、設立の手続きを、依頼する場合は、別に、報酬が、かかります。個人事業主なら、開業届を、出すだけで、始められることと、比べると、大きな違いです。
デメリット2:社会保険の負担が、増える

日本年金機構の案内によると、法人の事業所は、従業員が、事業主のみの場合を含めて、健康保険、厚生年金保険の、強制適用の対象です。個人事業主のときは、国民健康保険と、国民年金に、加入していた人は、法人化すると、健康保険と、厚生年金保険に、切り替わります。
健康保険料と、厚生年金保険料は、事業主と被保険者が、折半で、負担します。社長一人の会社では、会社が、事業主負担分を、負担し、役員報酬から、被保険者負担分を、控除します。つまり、会社と、本人の、両方の負担が、生じます。個人事業主の時の、国民健康保険料や、国民年金保険料と、比べて、総額の負担が、増える場合が、あります。
一方で、厚生年金保険に加入すると、将来の年金額が、増えるなどの、メリットも、あります。負担の増加と、将来の給付の、両方を、理解したうえで、判断することが、大切です。詳しくは、別の記事「会社設立と社会保険の加入!社長一人でも必要?手続きと期限」で、解説しています。
デメリット3:赤字でも、税金がかかる

法人住民税の均等割は、会社に、利益が出ていない(赤字の)場合でも、納める必要があります。均等割の額は、資本金等の額や、従業者の数に応じて、決まり、事務所のある自治体によって異なります。
個人事業主の場合は、赤字であれば、原則として、所得税は、かかりません。法人化すると、赤字の年度でも、一定の税金の負担が、生じる点は、デメリットです。
デメリット4:税理士報酬などの、維持費がかかる

法人は、複式簿記による、正確な帳簿の作成が、必要で、決算書や、法人税の申告書の作成も、複雑です。多くの会社が、税理士に、決算や申告を、依頼しており、毎年の報酬が、かかります。税理士報酬は、事務所や、会社の規模、依頼する範囲によって、異なります。
また、法人の維持には、次のような費用も、かかる場合があります。
- 役員の任期が、来たときの、登記(重任の登記)の費用
- 本店の移転や、事業目的の変更などの、登記の費用
- 会計ソフトや、給与計算ソフトの費用
個人事業主のときは、自分で、会計ソフトを使って、確定申告をすれば、費用を、抑えられました。法人化すると、専門家への、費用が、増える傾向が、あります。
デメリット5:手続きの手間が、増える

法人になると、会社設立の手続きだけでなく、設立後も、さまざまな手続きが、必要になります。
- 設立後の届出:法人設立届出書(設立の日以後2か月以内)、青色申告の承認申請書(設立の日以後3か月を経過した日と、第1期の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日まで)、給与支払事務所等の開設届出書(開設の日から1か月以内)など(国税庁の案内による)
- 社会保険の手続き:新規適用届(事実発生から5日以内。日本年金機構の案内による)
- 毎年の決算と申告:事業年度の終了の日の翌日から2か月以内に、法人税などを申告し、納付する
- 株主総会の議事録の作成や、役員の変更の登記など、会社法上の手続き
個人事業主のときよりも、手続きの種類や、期限の管理が、増えます。
デメリット6:会社のお金を、自由に使えない

法人の資金は、会社のものであり、経営者個人の、財布とは、別です。個人事業主のときは、事業の売上を、そのまま、生活費に使えましたが、法人では、そうはいきません。
- 会社から、お金を、受け取る方法は、役員報酬(定期同額給与などの、ルールがある)、配当などに、限られる
- 会社のお金を、個人的な目的で使うと、役員への貸付金や、役員報酬として、処理され、税務上の問題が、生じるおそれがある
- 役員報酬は、事業年度の途中で、自由に、変更できない(国税庁によると、定期同額給与に該当しない役員給与は、原則として、損金にならない)
会社と個人の、お金を、はっきり、分けて管理する必要があり、自由度は、下がります。
デメリット7:消費税や、インボイスの扱いが、変わる場合がある

法人を設立すると、消費税の納税義務の判定は、個人事業主のときとは、別に、法人ごとに、行われます。国税庁のタックスアンサーによると、設立したばかりの法人で、資本金が1,000万円以上の場合は、設立1期目から、課税事業者になります。また、インボイス制度の、登録も、個人事業主のときの登録が、法人に、引き継がれるわけではなく、法人として、あらためて、登録申請が、必要です。取引先に影響が出ないよう、時期を、確認しておく必要があります。
デメリット8:事業をやめるときも、手続きが、必要

個人事業主は、廃業届を、出すだけで、事業を、やめられます。法人は、解散と清算の手続きが、必要で、登記や、専門家への報酬など、費用と時間が、かかります。休眠状態でも、法人住民税の均等割などの、負担が、続く場合があります。簡単に、やめられない点も、デメリットです。
デメリットの比較表:個人事業主と法人

個人事業主と、法人の、負担の違いを、デメリットの面から、整理します。
| 項目 | 個人事業主 | 法人 |
|---|---|---|
| 開始の費用 | 開業届の提出のみ(費用はほぼかからない) | 設立の費用(株式会社は、20万円前後の実費) |
| 社会保険 | 国民健康保険、国民年金(全額、本人が負担) | 健康保険、厚生年金保険(会社と本人で折半。社長一人でも加入) |
| 赤字のときの税金 | 原則として、所得税はかからない | 法人住民税の均等割は、赤字でも納める |
| 経理と申告 | 自分で、確定申告できる | 決算書、法人税の申告書の作成が必要。税理士に依頼することが多い |
| お金の使い方 | 事業の売上を、比較的、自由に使える | 会社と個人のお金を分ける。役員報酬などのルールがある |
| やめるとき | 廃業届の提出 | 解散と清算の手続きが必要 |
こうした違いを、理解したうえで、メリットと、比べて、判断することが、大切です。
デメリットが、小さいケース、大きいケース

法人化のデメリットが、小さい人と、大きい人が、います。目安を、整理します。
デメリットが、小さくなりやすいケース
- 利益が、安定して、大きい(税金の軽減の効果が、費用の負担を、上回る)
- 取引先から、法人であることを、求められている
- 従業員を雇う予定がある、事業を、拡大したい
- 社会保険に加入することの、メリット(将来の年金、傷病手当金など)を、重視する
デメリットが、大きくなりやすいケース
- 利益が、小さい、または、不安定(均等割や、社会保険料、税理士報酬が、重くなる)
- 事業の売上を、生活費として、自由に使いたい
- 経理や、手続きの手間を、できるだけ、減らしたい
- 短期間で、事業をやめる可能性がある
自分が、どちらのケースに、近いかを、考えて、法人化の時期を、判断してください。
法人化の前に、確認しておきたい、チェックリスト

法人化を、決める前に、次の点を、確認してください。
- 直近の利益と、今後の見込みは、どのくらいか
- 法人化した場合の、税金(法人税、住民税、事業税など)の見込みを、試算したか
- 社会保険料(会社の負担分と、本人の負担分)の増加を、試算したか
- 設立の費用と、毎年の維持の費用(税理士報酬など)を、見込んでいるか
- 取引先や、金融機関から、法人であることを、求められているか
- 許認可が必要な事業の場合、法人として、取得できるか
- 会社と個人の、お金を、分けて管理する準備が、できているか
- インボイスの登録や、消費税の扱いを、確認したか
特に、税金と、社会保険料の、試算は、法人化の判断の中心になります。個人事業主のままの場合と、法人化した場合の、手取りの額を、比べることをおすすめします。
法人化のデメリットを、先に知っておく、意義

法人化は、一度、行うと、簡単には、元に戻せない、大きな決断です。メリットだけを、見て、決めてしまうと、あとから、負担の大きさに、驚くことがあります。デメリットを、先に、理解しておくことで、準備や、対策を、考えられ、納得したうえで、判断できます。専門家に、相談して、数字で、比べることが、後悔しないための、一番の方法です。迷ったときは、すぐに、決めずに、個人事業主のまま、もう1年、様子を見る、という選択も、あります。法人化は、必要になったときに、行えば、よいのです。
デメリットを、小さくするための考え方

デメリットを、理解したうえで、負担を、小さくするための、考え方を、整理します。
- 法人化の時期を、利益の水準で、判断する:利益が、小さいうちは、個人事業主のほうが、負担が、軽いことも、ある
- 設立の費用を、抑える:電子定款を利用する、手数料の減額の条件を、確認する
- 合同会社を、検討する:株式会社より、設立の費用が、低い(登録免許税の最低額が、6万円)
- クラウド会計ソフトを、活用する:経理の手間と、費用を、抑える
- 役員報酬を、適切に、設計する:会社と、個人の、税金と、社会保険料の、全体を、見て、決める
法人化に関する、よくある質問

Q1. 法人化したら、必ず、税金が、増えますか?
必ずしも、増えるわけでは、ありません。利益が、大きい場合は、法人化によって、税金の負担が、軽くなる場合が、あります。一方、利益が小さい場合は、社会保険料や、均等割、税理士報酬などの負担で、全体の負担が、増えることも、あります。個別に、試算してください。
Q2. 一度、法人化したら、個人事業に、戻せますか?
法人を、解散して、個人事業に戻すことは、できますが、清算の手続きなどに、費用と時間が、かかります。法人化の判断は、慎重に、行ってください。
Q3. 法人化の判断は、どのように、すればよいですか?
利益の水準、取引先の要望、社会保険料の負担、家族への給与、将来の計画などを、総合的に、判断します。税理士に、法人化した場合と、しない場合の、税金や、社会保険料の試算を、依頼して、比べることをおすすめします。詳しくは、別の記事「法人成りは得をする?個人事業主が会社設立する費用と判断基準」を、ご覧ください。
法人化のご相談はストラーダグループへ

ストラーダグループでは、フリーランスや、個人事業主の方の、法人化のご相談から、会社設立の手続き、設立後の経理や税務、決算と申告まで、税理士などの専門家が連携して、サポートしています。会社設立では、お客様の希望をお聞きしたうえで、お客様に合った形の会社を、オーダーメイドで設立します。初回のご相談は無料です。お気軽にご相談ください。
※本記事は、2026年10月時点の情報をもとに作成しています。税制や制度は変更されることがあるため、手続きの前に、国税庁、日本年金機構などの公式情報をご確認ください。




