会社を設立すると、設立の手続きのときに、かかる税金と、設立後に、継続して納める税金があります。「設立のときに、いくらかかるのか」「設立後は、どの税金を、いつ納めるのか」を、あらかじめ知っておくと、資金計画を、立てやすくなります。
この記事では、国税庁や、日本公証人連合会、東京都主税局などの、公表情報をもとに、会社設立時にかかる税金と、設立後にかかる主な税金(法人税、法人住民税、法人事業税、消費税、源泉所得税、償却資産税など)を、整理します。納付の時期や、設立後の注意点も、あわせて解説します。
なお、税制は、改正されることがあります。この記事は、2026年10月時点の公表情報をもとにしています。実際の税額は、会社の状況や、所在地によって異なるため、税理士にご相談ください。
Contents
会社設立時にかかる税金

会社を設立するときに、かかる税金は、主に、次の2つです。
| 税金 | 金額 | 内容 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 株式会社:15万円、または資本金の額の1000分の7のいずれか高い額 合同会社:6万円、または資本金の額の1000分の7のいずれか高い額 |
設立登記を申請するときに納める |
| 印紙税 | 4万円(電子定款の場合は不要) | 紙の定款に、収入印紙を貼って納める |
日本公証人連合会の案内によると、株式会社を設立するために、最低限必要な費用として、設立登記に必要な登録免許税は、15万円か、出資額の1000分の7のいずれか高い額とされています。また、印紙代4万円は、電子定款の場合は、不要です。
定款の認証手数料や、謄本手数料は、税金ではなく、公証役場に支払う手数料です。設立費用の全体は、別の記事「会社設立にかかる費用は?株式会社と合同会社の違いを解説」で、解説しています。
設立後にかかる主な税金

会社を設立したあと、事業を始めると、さまざまな税金を納める義務が、生じます。主な税金は、次のとおりです。
| 税金 | 課税の対象 | 納める先 |
|---|---|---|
| 法人税 | 会社の所得(利益) | 国(税務署) |
| 地方法人税 | 法人税の額を基準に課税 | 国(税務署) |
| 法人住民税 | 法人税額を基準とする法人税割と、資本金等の額と従業者数に応じた均等割 | 都道府県・市区町村 |
| 法人事業税 | 会社の所得などに応じて課税 | 都道府県 |
| 消費税 | 売上で預かった消費税から、仕入などで支払った消費税を差し引いた額 | 国(税務署) |
| 源泉所得税 | 従業員や役員に支払う給与から、天引きした所得税 | 国(税務署) |
| 住民税(特別徴収) | 従業員の住民税を、給与から天引き | 市区町村 |
| 固定資産税・償却資産税 | 土地、建物、機械、器具備品などの資産 | 市区町村(東京23区は、都) |
法人税

法人税は、会社の、事業年度ごとの所得(利益)に、課される税金です。法人税率は、資本金の額などによって異なります。国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)によると、資本金1億円以下の、普通法人(一定の法人を除く)の場合の税率は、次のとおりです。
| 所得金額 | 税率 |
|---|---|
| 年800万円以下の部分 | 15% |
| 年800万円を超える部分 | 23.2% |
所得は、売上などの収益から、経費などの損金を差し引いて、計算します。会計上の利益と、税務上の所得は、完全には一致しません。
赤字の場合は?
赤字の場合は、法人税は、かかりません。ただし、青色申告の承認を受けている会社は、赤字(欠損金)を、翌期以降に繰り越して、将来の黒字と、相殺できる場合があります。青色申告の承認申請の期限は、設立の日以後3か月を経過した日と、最初の事業年度の終了の日のうち、早い日の前日までです。設立後は、忘れずに、申請してください。
法人住民税

法人住民税は、都道府県と市町村(東京23区は、都)に納める税金で、次の2つの部分から、構成されています。
- 法人税割:法人税額を基準に、計算する部分(赤字で、法人税額がなければ、かからない)
- 均等割:資本金等の額と、従業者の数に応じて、課税される部分
赤字でも、均等割はかかる
東京都主税局の案内によると、均等割は、決算の状況にかかわらず、資本金等の額、および従業者の数に応じて、課税されます。つまり、会社が赤字でも、均等割は納める必要があります。
東京都主税局の計算例では、特別区内にある事務所で、資本金等の額が1,000万円、従業者40人の法人について、年額70,000円の区分が、適用されています。均等割の額は、資本金等の額や従業者数の区分、自治体によって異なります。事務所を置く自治体の、税率を、確認してください。
設立初年度の均等割
事業年度の途中で、事務所を有していた期間が、1年に満たない場合は、「年額×事務所を有していた月数÷12」の算式で、計算します。設立1期目は、設立の日から決算日までの、月数に応じた金額になります。
法人事業税

法人事業税は、都道府県に納める税金で、会社の事業活動に、課税されます。資本金1億円以下の、中小企業の場合は、原則として、所得に応じて課税される「所得割」が、中心となります。赤字の場合は、所得割は、かかりません。
資本金が1億円を超える法人には、外形標準課税が、適用されます。外形標準課税は、所得に加えて、付加価値や、資本金の額に応じても、課税される仕組みです。設立時の資本金の額は、事業税の課税方式にも影響します。
消費税

消費税は、売上で預かった消費税から、仕入などで支払った消費税を、差し引いて、納めます。国税庁のタックスアンサーNo.6531によると、新たに設立された法人のように、基準期間がない場合は、原則として、納税義務が免除されます。ただし、次のような場合は、免除されません。
- 設立事業年度の開始の日における資本金の額が、1,000万円以上である場合
- 特定新規設立法人に該当する場合
- 適格請求書発行事業者(インボイス制度の登録事業者)となる場合
資本金を、1,000万円以上にするかどうかは、消費税の納税義務に影響します。資本金の額を決める際は、税理士に、相談しましょう。
源泉所得税と住民税の特別徴収

従業員や、役員に給与を支払うときは、会社が、所得税を天引きして、国に納めます。国税庁のタックスアンサーNo.2505(令和8年4月1日現在法令等)によると、源泉徴収した所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の、翌月10日までに納付します。
給与の支給人員が、常時10人未満の源泉徴収義務者は、納期の特例の承認を受けると、年2回(7月10日、翌年1月20日)に、まとめて納付できます。従業員の住民税も、会社が、給与から天引きして、市区町村に納めます。
償却資産税(固定資産税)

会社が、事業のために、所有している、機械、器具備品などの、償却資産には、固定資産税(償却資産税)が、かかります。毎年1月1日現在で、所有している償却資産について、1月31日までに、市区町村に申告します。設立して間もない会社でも、設立の日以後に、購入した資産があれば、申告が必要になる場合があります。
法人税の、計算例

法人税の仕組みを、イメージするために、簡単な計算例を、示します。この数字は、説明のための、仮の例です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 1年間の所得(利益) | 1,000万円 |
| 年800万円以下の部分の法人税 | 800万円×15%=120万円 |
| 年800万円を超える部分の法人税 | 200万円×23.2%=46.4万円 |
| 法人税の合計 | 166.4万円 |
このほかに、地方法人税、法人住民税、法人事業税なども、かかります。税額の全体像は、会社の所在地や、事業の内容によって異なるため、税理士に試算してもらうと、安心です。
税金を、適切に抑えるための、基本的な考え方

会社の税金は、所得に対して課されます。所得を適切に計算し、制度を、正しく活用することが、税金を抑える基本です。
- 事業に必要な経費を、漏れなく、証拠とともに、計上する
- 青色申告の承認を受けて、欠損金の繰越控除などの、特典を使えるようにしておく
- 役員報酬は、決め方や、支払い方によって、税務上の扱いが、変わるため、事前に決める
- 資本金の額を、均等割や、消費税の、納税義務との関係で、検討する
- 利用できる税制の特例(中小企業向けの優遇措置など)を、確認する
税制の特例は、毎年のように、改正されます。最新の内容を、確認するために、顧問税理士に、定期的に、相談することをおすすめします。
設立後の税金の、納付の時期

3月決算の会社を例に、主な税金の、納付の時期を、まとめます。
| 税金 | 納付の時期 |
|---|---|
| 法人税・法人住民税・法人事業税 | 決算日の翌日から2か月以内(5月末)。法人税法第74条による |
| 消費税 | 課税期間の終了の日の翌日から2か月以内(5月末) |
| 源泉所得税 | 原則:支払った月の翌月10日/納期の特例:7月10日と、翌年1月20日 |
| 住民税(特別徴収) | 原則:翌月10日/納期の特例:6月10日と12月10日 |
| 償却資産税 | 申告は、1月31日。納付は、市区町村の納税通知書による |
税務スケジュールの詳細は、別の記事「会社の税務の年間スケジュール!納付時期と資金繰りの注意点」で、解説しています。
税金の支払いに備える、資金の準備

会社の税金は、売上や、利益が出たあとに、まとめて納めるものが、多くあります。特に、決算後の、法人税や、消費税は、金額が大きくなる場合があります。毎月の利益の一部を、納税用の資金として、別の口座に、積み立てておくと、納付の時期に、慌てずに済みます。
また、従業員の給与から、預かった源泉所得税や、住民税、売上で預かった消費税は、会社のお金ではなく、国や、自治体に、納めるお金です。事業の運転資金と、混ぜないように、管理しましょう。納付が難しい場合は、期限前に、税務署に相談することも、大切です。
設立後に、必ずやっておきたい届出

税金を、正しく納めるためには、設立後の届出が、欠かせません。主な届出は、次のとおりです。
- 法人設立届出書(設立の日以後2か月以内)
- 給与支払事務所等の開設届出書(開設の日から1か月以内)
- 青色申告の承認申請書(設立の日以後3か月を経過した日と、最初の事業年度の終了の日のうち、早い日の前日まで)
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
- 都道府県税事務所や、市区町村への、設立の届出
届出の詳細は、別の記事「会社設立後に税務署へ提出する書類とは?期限と届出一覧」で、解説しています。
会社設立と税金の、よくある誤解

「会社設立で、特別な控除がある」という誤解
会社設立にかかる費用を、設立時の税金から、控除する制度は、ありません。設立にかかった費用は、一定の方法で、会社の費用として、計上できる場合があります。取り扱いは、費用の内容によるため、決算のときに、税理士に確認してください。
「青色申告特別控除が、法人にもある」という誤解
青色申告特別控除は、個人事業主の制度です。法人には、この控除はありません。法人が青色申告を選ぶ主なメリットは、欠損金の繰越控除など、法人向けの特典を、受けられる点です。
よくある質問

Q1. 会社を設立した年は、税金は、かかりますか?
設立した事業年度に、利益が出れば、法人税などがかかります。赤字の場合でも、均等割などは、かかります。設立1期目の消費税は、資本金の額などによって、免除される場合があります。
Q2. 税金は、いつ、いくら、納めればよいですか?
法人税などは、決算日の翌日から、2か月以内に、申告と納付をします。金額は、決算の内容によって決まるため、決算前に、見込みの税額を、試算しておくと、安心です。
Q3. 資本金を少なくしたほうが、税金は安くなりますか?
資本金の額は、均等割や、消費税の納税義務、事業税の課税方式などに、影響します。ただし、資本金を少なくしすぎると、信用面や、運転資金の面で、不利になる場合があります。総合的に、判断してください。
Q4. 税金の管理は、どうすればよいですか?
納付の時期と、金額を、あらかじめ把握し、資金を、別に積み立てておく方法が、一般的です。顧問税理士に、決算前の税額の試算や、納付スケジュールの管理を、依頼することもできます。
会社設立と税金のご相談はストラーダグループへ

ストラーダグループでは、会社設立のご相談から、設立後の税務、決算、申告まで、税理士などの専門家が、サポートしています。資本金の決め方、設立後の届出、納税のスケジュールの管理まで、状況に合わせて、ご提案します。初回のご相談は無料です。お気軽にご相談ください。
※本記事は、2026年10月時点の情報をもとに作成しています。税制は変更されることがあるため、手続きの前に、国税庁などの公式情報をご確認ください。




