事業再構築補助金は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の景気から回復するために、新分野展開や事業転換等の「企業再構築」へ挑戦する企業を支援するために作られた補助金制度です。
コロナウイルス感染症の影響による経済状況回復のためということもあり、いつまで続くかは未定ですが、2023年8月時点で第11回公募が行われています。
そこで、今回は事業再構築補助金制度の最新情報をまとめました。
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事業再構築補助金の令和5年改正ポイント
事業再構築補助金は、開始から回を重ねるごとに改正されています。
令和5年度も改正が行われ、いくつかの変更点があります。
- 予算額がやや減少
- 申請状況がやや緩和された
- 支援対象が拡大
- 新たに産業構造転換枠が設けられる
令和5年度の改正では、今までの制度条件と比べて、新型コロナウイルス感染症による経営の悪化、価格高騰などによる影響で申請状況がやや緩和されました。
支援対象も拡大され、より申請しやすくなった傾向にあります。
一方で、予算額が減少しています。令和4年度は、予算6,123億円だったことに対し、令和5年度は5,800億円と減少傾向にあります。
しかし、第11回公募から新設された枠などがあることから、採択要件が厳しくなったことはないようです。
事業再構築補助金の募集枠の解説
事業再構築補助金制度では、全枠共通の必要要件として、2つの要件を満たす必要があります。
- 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
- 付加価値額を向上させること
この2つの条件を前提に、解説していきます。
募集枠 | 概要 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|---|
成長枠 | 成長分野への大胆な事業再構築に取り組む中小企業を支援 | 100万円~7000万円 | 中小企業者等:1/2中堅企業等:1/3 |
グリーン成長枠 | 研究・技術開発、または人材育成を行いながらグリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題解決に資する取り組み行う企業への支援 | 100万円~1.5億円 | 中小企業者等:1/2中堅企業等:1/3 |
卒業促進枠 | 成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通じて、中小企業から中堅企業等に成長する事業者に対する上乗せ支援 | 成長枠・グリーン成長枠の補助金額上限に準じる | 中小企業者等:1/2中堅企業等:1/3 |
大規模賃金引上促進枠 | 成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通じて、大規模な賃上げに取り組む事業者に対する上乗せ支援 | 100万円~3,000万円 | 中小企業者等:1/2中堅企業等:1/3 |
産業構造転換枠(新設) | 国内市場縮小の構造的な課題に直面している業種や業態の中小企業等が取り組む事業再構築への支援 | 100万円~7,000万円 | 中小企業者等:2/3中堅企業等:1/2 |
最低賃金枠 | 最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築への支援。 | 100万円~1,500万円 | 中小企業者等:3/4中堅企業等:2/3 |
物価高騰対策・回復再生応援枠 | 業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等、原油価格・物価高騰等の影響を受ける中小企業等の事業再構築を支援 | 100万円~3,000万円 | 中小企業者等:2/3中堅企業等:1/2 |
成長枠
成長枠では、補助額や補助率の縮小がありました。しかし、売上高減少の要件がなくなり、業績が好調な企業でも申請できるようになりました。
グリーン成長枠
グリーン成長枠では、補助金がエントリー枠とスタンダード枠に分けられ、中小企業でも申請できるようになり、従業員が少ない企業でも申請が可能となりました。
卒業促進枠
卒業促進枠はグリーン成長枠に上乗せする形で申請できる枠になります。対象となる事業者は以下の2つを満たすことが条件となります。
成長枠又はグリーン成長枠に、同一の公募回で申請すること。成長枠又はグリーン成長枠の補助事業の終了後3~5年で中小企業・特定事業者・中堅企業の規模から卒業すること |
大規模賃金引上促進枠
大規模賃金引上推進枠では、数多くの従業員を雇用しながら継続的な賃上げに取り組むと共に、従業員を増やして生産性を上げていこうと取り組んでいる企業を支援するための補助金枠です。
対象となる事業者は3つの条件を満たすことが必要です。
成長枠又はグリーン成長枠に、同一の公募回で申請すること。成長枠又はグリーン成長枠の補助事業の終了後3~5年の間に、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引上げること。成長枠又はグリーン成長枠の補助事業の終了後3~5年の間に、従業員数を年率平均1.5%以上(最低事業計画期間×1人の増員が必要)増員させること |
産業構造転換枠
産業構造転換枠は令和5年度から新設された支援枠です。対象となる事業者は以下の条件を満たす必要があります。
過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属していること地域における基幹大企業が撤退することにより、市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域に属しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めること |
物価高騰対策・回復再生応援枠(新設)
物価高騰対策・回復再生応援枠は第10回公募より新設された枠です。この枠では、新型コロナウイルス感染症による事業へのダメージを支援するために作られました。
対象となる事業者は以下の条件を満たす必要があります。
2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019~2021年と比較しての同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること中小企業活性化協議会等から支援を受け、再生計画等を策定していること |
最低賃金枠
最低賃金枠は、最低賃金引き上げの影響を受け、賃金の原資確保が困難な時に業況を改善するために設けられた枠となります。
対象となる事業者は基本条件と以下の条件を満たす必要があります。
2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019~2021年と比較しての同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること2022年10月から2023年8月までの間で、3か月以上最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること |
事業再構築補助金の申込方法
2023年8月10日に第11回の公募が発表されましたが、8月末現在では、申請受付の開始日は公表されていません。しかし、公募が発表されたことにより、近々申請受付が開始されることが予想されます。
事業再構築補助金制度の申請はまだですが、事前に準備しておくことがあります。それは、GビズIDプライムの登録です。
事前にGビズIDプライムを登録しておくことで、申請開始になるとすぐに申し込むことができます。IDプライムでは、登録完了までに時間がかかるので、先に登録しておくことをおすすめします。
事業再構築補助金を通過するために気をつけるべきポイント
事業再構築補助金は申請しても、採択が通らないと補助金は出ません。ここでは、採択を通過するためのポイントをいくつかご紹介します。
自社の現状から変遷を詳しく書く事業計画を詳しく書く費用対効果や回収の計画を細かく書く |
事業再構築補助金に採択するためには、現状と正確な情報を詳しく書く必要があります。
また、補助金をもらえたら、どのようなビジョンが待っているかなどの事業計画を細かく書くことで、採択の道へと近づきます。
分からない場合は、専門家などと相談しながら書類を作成するようにしましょう。
まとめ
事業再構築補助金は新型コロナウイルスの影響で経済成長が低下している傾向を上昇させるために取り組まれた補助金制度です。
現在、公募されているのは第11次になりますが、申請期間は今のところ未定です。しかし、近いうちに申請受付が開始となる予定です。
申請方法は、インターネットでの受付のみとなりますが、GビズIDプライムの登録が必要になります。登録完了までには日にちがかかりますので、事前に登録して万全の態勢で臨むようにしましょう。
また、こちらの記事「ものづくり補助金とは?2023年版の最新情報と申請方法などを徹底解説」で、ものづくり補助金について解説しているので、ぜひチェックしてみてください。