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M&A
2024.06.18 M&A

M&Aスキームの基本とポイントを公認会計士が解説!

この記事では、中小企業向けのM&A(合併・買収)スキームについて詳しくご紹介します。M&Aとは、企業の合併や買収を行うことで、事業拡大や競争力強化を図る戦略的な手段です。特に中小企業においては、適切なM&Aスキームを選択することが成功の鍵を握ります。

M&Aスキームの基本

M&Aスキームには大きく分けて4つのタイプがあります。それぞれのスキームは特定の状況に適しており、企業の目的や税務効率、責任の範囲などによって最適な選択が異なります。

スキームの種類説明メリットデメリット
単純な株式売買スキーム企業の株式を直接売買します。シンプルで直接的な取引が可能です。売り手は対価を直接受け取ることができ、すぐに資金を得ることが可能です。企業が複数の事業を有している場合、不要な資産や責任も含めて全てが移転します。
事業譲渡スキーム特定の事業部門だけを切り出して売買します。事業部門の売買に特化した方法です。選択した事業のみを売買するため、不要な資産や過去の責任から解放されます。売り手にとっては、会社全体ではなく、部分的な利益しか得られないことがあります。
会社分割スキーム(横の会社分割)企業を機能や事業部門に基づいて分割し、新たに独立した会社を作成します。新会社と旧会社が兄弟会社となり、それぞれ独立して運営できるようになります。分割には複雑な手続きとコストが伴い、経営資源を分散させるリスクがあります。
会社分割スキーム(縦の会社分割)会社の一部を分割して新会社を設立し、その新会社を売却します。新旧会社が親子関係となり、責任の清算がしやすくなります。新会社の設立と管理が必要となり、管理の複雑化を招く可能性があります。

税金の考慮

M&Aを行う際には、税金の発生が大きな要因となります。特に合併は税負担が大きいため、税効率を考慮したスキーム選択が重要です。例えば、事前に株式を売買することで、合併による重税を避ける戦略が考えられます。株式を先に売買してM&Aを完結させることにより、税金の発生を抑えることが可能です。このような戦略は、特に税負担を軽減したい場合に有効です。

M&Aの戦略的利用

中小企業がM&Aを行う際には、単に事業の拡大だけでなく、戦略的な目的を持って行うことが重要です。たとえば、新しい市場への進出、技術や人材の確保、競合他社との差別化など、様々な目的が考えられます。適切なM&Aスキームを選択することで、これらの戦略的目的を効果的に達成することが可能になります。

最適なM&Aスキームの選択

各スキームにはメリットとデメリットが存在し、企業の現状や目的によって最適な選択が異なります。選択を行う際には、事前の詳細な分析と計画が必要です。会計士やM&Aの専門家と連携し、綿密なデューデリジェンスを行うことで、失敗のリスクを最小限に抑えつつ、最大の成果を得ることができます。

まとめ

この動画では、M&Aスキームの基本から具体的な各スキームの解説、税務の考慮までを詳しく解説しました。中小企業がM&Aを成功させるためには、これらの情報を活用し、自社に最適なスキームを選択することが重要です。更に深く理解したい方は、記事や書籍でさらに詳細な情報を得ることをお勧めします。

M&Aは単なる買収や合併ではなく、企業成長のための強力なツールです。これを戦略的に活用することで、中小企業も大きな飛躍を遂げることが可能です。

この記事の監修者
山田 直輝
税理士公認会計士行政書士
2009年公認会計士試験に合格、その後、Deloite Touche Tohmatsu(有限責任監査法人トーマツ)に入所し、メーカー、サービス業、学校、商社等の上場一部企業の会計監査や内部統制監査を行う。監査班では、監査の主任業務を経験した。その後、アドバイザリー部門に部署異動をして、ベンチャー企業支援、賠償業務算定の構築や上場支援業務、企業リスクにおけるリスクマネジメント業務を行う。上場は、リクルートの上場経験を有する。2015年に独立して、ストラーダ税理士法人を設立。「敷居が高くて堅苦しい」税理士のイメージを払拭し、「初めての方でも馴染みやすい」税理士でいることをモットーにしている。趣味は、愛娘と遊ぶこと。
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