事業を始めるときに、見落としがちなのが、「許認可」です。業種によっては、事業を始める前に、国や、都道府県、警察、保健所などから、許可や、免許、登録などを受けなければ、営業できない場合があります。許認可が必要な事業を、無許可で始めてしまうと、法律違反となり、罰則や、行政処分を受けるおそれがあります。
この記事では、「どのような事業に、許認可が、必要なのか」「どこに、何を、申請するのか」「いつから、準備を始めるのか」を、整理します。日本政策金融公庫のQ&Aなどの、公表資料も参考にしながら、主な業種と、窓口の例、準備の流れを、解説します。事業計画を立てる段階で、許認可が必要かどうかを、確認しておくことが、大切です。
なお、許認可の要件や、窓口は、法令の改正や、自治体によって、異なります。この記事は、2026年10月時点の公表情報をもとにしています。実際の手続きでは、所管の窓口で、最新の要件を確認し、行政書士などの専門家にもご相談ください。
Contents
許認可とは?

許認可とは、一定の事業を、行うために、国や自治体などの、行政機関から、受ける必要がある、許可、認可、免許、登録、届出、指定などの、総称です。法律で、事業の内容が、公共の安全や、衛生、消費者の保護などに、関わるため、行政が、あらかじめ、確認する仕組みです。
許認可の種類
許認可には、手続きの種類によって、名称が異なります。一般的な意味合いを、整理します。
| 名称 | 一般的な意味 |
|---|---|
| 許可 | 法令で、一般に禁止されている行為を、行政が、特定の人に認める |
| 免許 | 特定の資格や、能力を、認め、事業を行うことを認める |
| 登録 | 一定の要件を満たす事業者を、行政の名簿に登録し、事業を認める |
| 認可 | 当事者の行為(契約や定款の変更など)の効力を、行政が補充する |
| 届出 | 一定の事項を、行政に、知らせる。要件を満たせば、受理される |
| 指定 | 行政が、特定の事業者を、一定のサービスの提供者として、指定する |
名称が異なると、手続きの重さや、審査の内容も、変わります。事業に必要な手続きが、どの種類かを、確認してください。
許認可が必要な事業の例

許認可が必要になる、主な事業と、窓口の例を、紹介します。日本政策金融公庫のQ&Aに、掲載されている例を、含めて、整理しています。
| 主な窓口 | 事業の例 |
|---|---|
| 保健所 | 飲食店営業、菓子製造業、食肉販売業、魚介類販売業、旅館業、理容業、美容業、クリーニング業、医薬品等の販売業 など |
| 警察署(公安委員会) | 風俗営業(麻雀店など)、古物商、警備業、指定自動車教習所 など |
| 税務署 | 酒類販売業(免許) |
| 国土交通省、都道府県 | 建設業、宅地建物取引業、旅行業、運送業、自動車整備業 など |
| 厚生労働省(労働局) | 人材派遣業、有料職業紹介事業 など |
| 都道府県、市町村 | 介護サービス事業(指定)、産業廃棄物処理業(許可)、各種学校 など |
| 財務局、都道府県 | 貸金業(登録)など |
この表は、代表的な例です。同じ事業でも、事業の内容や、規模、場所によって、必要な手続きや、窓口が、変わることがあります。自分の事業が、どの法律の対象になるかを、確認することが大切です。
無許可で営業すると、どうなる?

許認可が必要な事業を、許認可を、受けずに、営業すると、法律違反になります。法律によって、罰則(懲役や、罰金など)が、定められている場合や、営業の停止などの、行政処分を受ける場合があります。また、事業の信用が、大きく、損なわれ、金融機関からの融資や、取引先との契約にも、影響が出ます。
公庫のQ&Aでも、法令により、許可、認可、登録、指定、届出、認証を必要とする事業が多くあり、創業しようとする業種について、許認可が必要かどうかを、調べておく必要がある、と説明されています。許認可が必要かどうかが、分からないときは、関係窓口や、公庫の支店窓口に、照会するよう、案内されています。
許認可の取得までの流れ

1. 事業の内容を、整理する
どのような事業を、どこで、どのように行うのかを、整理します。扱う商品やサービス、営業の形態、必要な設備、従業員の数などを、明確にします。
2. 必要な許認可を、調べる
事業に関係する法律を、調べ、必要な許認可の種類と、窓口を確認します。自治体の窓口や、保健所、警察署などに、事前に、相談できる場合があります。行政書士などの専門家に、相談することもできます。
3. 要件を確認する
許認可には、次のような要件が、定められていることが、多くあります。
- 人的な要件:経営者や、責任者の、経験、資格、欠格事由(過去の法令違反など)に該当しないこと
- 物的な要件:店舗や、事務所、設備の、広さ、構造、衛生面などの基準を満たすこと
- 財産的な要件:一定の資金や、純資産、資本金があること
- その他:必要な届出や、講習の受講など
4. 申請の書類を、準備して、提出する
申請書、事業の計画、図面、役員の履歴書、登記事項証明書、各種の証明書などを、準備し、窓口に、提出します。書類の種類や、数は、許認可によって、大きく異なります。
5. 審査と、現地の確認
書類の審査や、店舗などの現地確認が、行われる場合があります。審査には、一定の期間がかかります。
6. 許認可の取得と、営業の開始
許認可が、おりたら、営業を始められます。営業の開始後も、更新の手続きや、変更の届出などが、必要になる場合があります。
準備のスケジュールの考え方

許認可の取得には、時間が、かかる場合があります。審査の期間は、許認可の種類によって、数週間から、数か月まで、さまざまです。店舗の工事や、物件の契約の、時期とも、関わるため、次のような点に、注意して、スケジュールを組みます。
- 物件を、契約する前に、許認可の要件を、満たせるかを、確認する(用途地域や、構造の制限など)
- 設備の工事の前に、図面を、窓口に確認してもらう
- 開業の予定日から、逆算して、申請の時期を、決める
- 許認可が、おりる前に、営業を始めない
特に、店舗の工事や、設備の購入を、許認可の確認の前に、行ってしまうと、要件を満たさず、やり直しになることがあります。事前の相談が、重要です。
許認可と、会社設立・資金調達との関係

許認可は、会社の設立や、資金調達の計画とも、関わります。
- 会社の目的:定款や、登記の「目的」に、許認可を受ける事業の内容を、適切に記載しておく必要がある場合がある
- 資本金や、純資産:許認可によっては、一定の財産的な基礎(資本金や、純資産、基準資産額など)が、求められる
- 融資や補助金:公庫などの融資や、補助金の申請でも、許認可の取得の見通しが、確認される
- 法人か、個人か:許認可の種類によっては、法人でないと、取得できない場合や、個人と法人で、要件が異なる場合がある
会社の設立の前に、許認可の要件を確認し、会社の目的や、資本金の額を、決めることをおすすめします。資本金の決め方は、別の記事「会社設立の資本金はいくらが最適?税金・許認可・融資から解説」で、解説しています。
業種別:許認可の確認ポイントの例

代表的な業種について、確認したい、主なポイントを、紹介します。要件は、法令や自治体によって異なるため、必ず、所管の窓口で、確認してください。
飲食店
保健所の営業許可が、必要です(公庫のQ&Aでも、飲食店の場合は、保健所の営業許可が、必要と案内されています)。店舗の構造や、設備(手洗い設備、調理場の仕様など)が、基準を満たしているかを、工事の前に、確認します。食品衛生責任者の配置など、人的な要件もあります。深夜に、酒類を、提供する場合は、別の届出が、必要になることがあります。
酒類の販売
酒類を、販売する事業は、税務署から、免許を受ける必要があります(公庫のQ&Aでも、酒類販売業では、税務署の免許が必要と案内されています)。販売の方法(店舗販売、通信販売など)や、扱う酒類の種類によって、免許の区分が、異なります。
古物(中古品)の販売
中古品の、売買を行う事業は、公安委員会(警察署)の許可が、必要です。営業所ごとの申請や、管理者の選任が、求められます。
建設業
工事の規模や、内容によって、建設業の許可が、必要になる場合があります。国土交通大臣、または、都道府県知事の許可で、人的な要件(経営業務の管理を、適正に行える体制、専任技術者の配置など)や、財産的な要件があります。
不動産業(宅地建物取引業)
宅地建物取引業を、営むには、国土交通大臣、または、都道府県知事の免許が、必要です。宅地建物取引士の設置や、営業保証金の供託(または、保証協会への加入)などの、要件があります。
人材派遣業・有料職業紹介事業
人材派遣や、有料の職業紹介を行う場合は、厚生労働大臣の許可などが、必要です。財産的な基礎、事務所の要件、責任者の選任などの要件があります。
介護事業
介護サービスを、提供する事業は、サービスの種類に応じて、都道府県や市町村から、事業者の指定を受ける必要があります。人員の配置や、設備、運営の基準を、満たす必要があります。
許認可の準備で、よくある失敗

- 物件を、契約したあとで、許認可の要件を満たさないことが分かる
- 設備の工事を、完了したあとで、基準に合わないことが、判明して、やり直しになる
- 許認可がおりる前に、営業を始めてしまう
- 会社の目的に、許認可を受ける事業の内容が、記載されておらず、登記の変更が、必要になる
- 人的な要件(経験や、資格)を、満たす人が、いないことに、あとから、気付く
- 更新の期限を、忘れて、許認可が、失効する
こうした失敗は、事前の確認と、専門家への相談で、防ぐことができます。
許認可の確認に使える、主な相談先

どの許認可が必要かを、調べるときは、次のような相談先を、活用できます。
- 保健所、警察署、都道府県や市区町村の担当課:飲食、衛生、風俗、古物などの、許認可の窓口
- 税務署:酒類販売の免許などの窓口
- 商工会議所、商工会:創業の相談の窓口。許認可の概要も、案内してもらえる場合がある
- 日本政策金融公庫の支店窓口:創業融資の相談のときに、許認可の確認も、案内される
- 行政書士:許認可の調査と、申請の代行を、依頼できる
複数の窓口に、問い合わせると、情報が、食い違うこともあります。最終的な判断は、実際の申請の窓口で、確認してください。
許認可の取得後に、注意したいこと

許認可は、取得したら、終わりではありません。
- 更新:有効期限がある許認可は、期限までに、更新の手続きが、必要
- 変更の届出:事業の内容、所在地、役員、責任者などが、変わった場合は、変更の届出が、必要になることが多い
- 定期の報告:事業の状況の報告が、求められる許認可もある
- 法令の遵守:衛生基準、営業時間、表示のルールなど、許認可に伴う、法令を、守り続ける必要がある
要件を満たさなくなった場合や、法令に違反した場合は、許認可が、取り消される可能性があります。
許認可に関する、よくある質問

Q1. 個人事業主でも、許認可は必要ですか?
必要です。事業の内容によって、許認可の要否が、決まるため、個人事業主でも、法人でも、同じように、許認可が必要な事業は、あります。
Q2. 許認可の手続きは、自分でできますか?
自分でも、できます。ただし、書類の種類が、多く、要件の確認も、複雑な場合が多いため、行政書士に、依頼する人も、多くいます。
Q3. 許認可が、必要かどうか、分かりません。
まず、関係する窓口(保健所、警察署、都道府県の担当課など)に、問い合わせます。公庫の支店窓口でも、創業の相談の際に、確認できる場合があります。判断が、難しい場合は、行政書士に、相談してください。
Q4. 許認可を、取得してから、会社を設立するのですか?
許認可の種類によって、異なります。会社として、許認可を受ける場合は、会社の設立後に、申請するのが、一般的です。会社の設立の前に、要件の確認や、事前相談を、進めておくと、スムーズです。
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※本記事は、2026年10月時点の情報をもとに作成しています。許認可の要件や窓口は変更されることがあるため、手続きの前に、所管の窓口で、最新の情報をご確認ください。




