外国人材を採用するとき、よく検討される在留資格が、「特定技能」と「技術・人文知識・国際業務(技人国)」です。どちらも就労できる在留資格ですが、対象となる仕事や、要件、在留期間、申請の手続きが、大きく異なります。「どちらを選べばよいのか」「何が変わったのか」と、判断に迷う企業の担当者も、多くいます。
この記事では、出入国在留管理庁(入管庁)の公式ページなどをもとに、特定技能と技人国の違い、対象となる分野、在留期間、令和8年4月15日からの提出書類の変更点、令和9年4月1日に始まる育成就労制度との関係を、整理します。
なお、制度や手続きは、変更されることがあります。この記事は、2026年10月時点の公表情報をもとにしています。申請の前に、入管庁の最新の案内を、ご確認ください。
Contents
特定技能と技人国の、違い

| 項目 | 特定技能 | 技術・人文知識・国際業務(技人国) |
|---|---|---|
| 主な内容 | 人手を確保することが困難な産業分野で、一定の知識・経験・熟練した技能を要する業務に従事する | 理学・工学などの自然科学、法律学・経済学などの人文科学の分野に属する技術・知識を要する業務、または、外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務に従事する |
| 該当例 | 特定産業分野の業務(介護、外食業、建設、農業など) | 機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者など |
| 在留期間 | 1号:法務大臣が個々に指定する期間(3年を超えない範囲)。通算で原則5年以内 2号:3年、2年、1年または6月 |
5年、3年、1年または3月 |
| 家族の帯同 | 1号:認められない 2号:認められる(家族滞在) |
要件を満たせば、家族滞在の対象となる |
特定技能は、「特定産業分野」に限った、人手不足分野の在留資格です。一方、技人国は、専門的な知識や技術を、生かす業務が対象で、単純な現場作業は、対象外とされています。どちらを選ぶかは、採用したい人材の、業務内容によって、決まります。
特定技能の、概要

1号と2号の違い
入管庁の「在留資格『特定技能』」のページによると、特定技能には、1号と2号があります。
- 特定技能1号:法務大臣が指定する、公私の機関との雇用契約に基づき、特定産業分野で、相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動。在留期間は、法務大臣が個々に指定する期間(3年を超えない範囲)で、1号で在留できる期間は、通算で、原則5年以内
- 特定技能2号:特定産業分野で、熟練した技能を要する業務に従事する活動。在留期間は、3年、2年、1年または6月で、更新が可能
対象となる分野
入管庁のページには、特定技能1号の特定産業分野として、次の分野が掲載されています。
| 区分 | 分野 |
|---|---|
| 特定技能1号 | 介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、物流倉庫、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業 など |
| 特定技能2号 | ビルクリーニング、工業製品製造業(機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理の業務区分のみ)、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業(11分野) |
分野は、追加されることがあります。古い記事などでは、「14分野」「2号は建設・造船のみ」といった情報が、掲載されていることがありますが、現在の対象分野とは、異なります。最新の対象分野や、従事できる業務は、入管庁の各分野の「特定の分野に係る要領別冊」で、確認してください。
受け入れの流れ(概要)
特定技能外国人を、受け入れる企業(特定技能所属機関)は、外国人と雇用契約を結び、在留諸申請を行います。入管庁のページには、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請の別に、提出書類の一覧表が、掲載されています。提出書類は、特定技能1号か2号か、分野、所属機関の区分などによって、異なります。受け入れの要件(報酬の水準、支援の体制など)は、入管庁の「特定技能制度に関するQ&A」で、案内されています。
また、受け入れた後も、所属機関には、各種の届出が、必要になります。届出を怠ると、不利益な処分を受けるおそれがあります。
技人国の、概要

該当する活動
入管庁によると、技人国は、本邦の公私の機関との契約に基づいて行う、理学、工学その他の自然科学の分野、もしくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術もしくは知識を要する業務、または、外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務に従事する活動です。在留期間は、5年、3年、1年または3月です。
所属機関のカテゴリー
技人国の申請では、所属機関が、カテゴリー1から4に区分され、カテゴリーによって、提出する書類が異なります。入管庁のページには、次のような区分が、示されています。
| カテゴリー | 所属機関の例 |
|---|---|
| カテゴリー1・2 | 日本の証券取引所に上場している企業、保険業を営む相互会社、国・地方公共団体、独立行政法人など。前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人(カテゴリー2) |
| カテゴリー3 | 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が、提出された団体・個人(カテゴリー2を除く) |
| カテゴリー4 | 上記のいずれにも該当しない団体・個人(設立間もない会社など) |
令和8年4月15日以降の、技人国の提出書類の変更

入管庁の技人国のページには、令和8年4月15日(水)以降の申請から、カテゴリー3または4に該当する場合は、次の添付書類を追加で提出する必要があると、案内されています。
- 所属機関の代表者に関する申告書(参考様式)
- (主に言語能力を用いて、対人業務等に従事する場合)業務上使用する言語について、CEFR・B2相当の言語能力を有することを証する資料
CEFR・B2相当とみなされる場合の例
入管庁によると、次のいずれかに該当する場合は、B2相当の日本語能力を有するものとみなされます。
- 日本語能力試験(JLPT)N2以上を取得していること
- BJTビジネス日本語能力テストで、400点以上を取得していること
- 日本留学試験(日本語)で、200点以上取得していること
- J.TEST実用日本語検定で、525点以上取得していること
- 中長期在留者として、20年以上、本邦に在留していること
- 本邦の大学を卒業し、または本邦の高等専門学校もしくは専修学校の専門課程もしくは専攻科を修了していること
- 我が国の義務教育を修了し、高等学校を卒業していること
提出が必要になる場合
在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留資格取得許可申請で、申請職種が「翻訳・通訳」や、ホテルフロント業務等の「接客」の場合など、日本語能力などの言語能力を用いた業務に、主に従事する場合は、言語能力の資料の提出が必要です。すでに在留中の方でも、業務内容の変更や、転職などで、言語能力を用いた業務に、主に従事することになった場合は、在留期間更新許可申請の際に、提出が必要です。
派遣形態で就労する場合
入管庁のページには、令和8年7月13日更新として、「申請人が派遣形態で就労する場合の取扱いについて」が、掲載されています。派遣先で就労する場合は、取扱いを、確認したうえで、申請してください。
育成就労制度(令和9年4月1日施行)との関係

入管庁の案内によると、育成就労制度の運用開始と、特定技能制度の適正化等は、令和9年4月1日に施行されます。育成就労制度は、育成就労産業分野において、日本での3年間の就労を通じて、特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保することを目的とした制度です。
在留期間の上限は、育成就労は、原則3年、特定技能1号は、原則5年で、特定技能2号は、在留可能な期間の上限がありません。また、施行日前に、すでに来日している技能実習生などについては、引き続き技能実習を続けられる経過措置が設けられています。技能実習から特定技能への移行や、育成就労から特定技能への移行を、考えている企業は、最新の運用要領を、確認してください。
入管庁のQ&Aによると、令和10年度末までの受入れ見込数は、約123万人(特定技能外国人80万5,700人、育成就労外国人42万6,200人)とされています。
申請の準備で、気をつけたいこと

- どの在留資格が、業務内容に合うかを、先に確認する(現場の単純な作業が、中心なら特定技能、専門的な知識・技術を使う業務なら技人国、が基本)
- 所属機関のカテゴリーや、受け入れる分野に応じて、必要書類が異なるため、入管庁の提出書類一覧表を、確認する
- 日本で発行される証明書は、発行日から3か月以内のものを提出する
- 提出書類が、そろっていない申請は、審査が大幅に遅れる、または不利益な処分となる可能性がある
- 書類が、外国語で作成されている場合は、日本語の訳文を添付する
- 登記事項証明書は、法務局のホームページから、オンラインで交付請求できる
在留資格を選ぶときの、確認の順番

外国人材の採用で、在留資格を選ぶときは、次の順番で確認すると、整理しやすくなります。
| 順番 | 確認すること |
|---|---|
| 1 | 採用したい人材に任せる業務の内容(現場作業が中心か、専門的な知識・技術を使う業務か) |
| 2 | その業務が、特定産業分野に含まれるか(特定技能)、または、自然科学・人文科学の知識を要するか、国際的な業務か(技人国) |
| 3 | 本人が、要件を満たしているか(試験の合格、学歴、実務経験、日本語能力など) |
| 4 | 自社の体制が、受け入れの条件を満たしているか(報酬の水準、支援の体制、労働関係法令の遵守など) |
| 5 | 提出書類と、審査の期間を見込み、採用のスケジュールを決める |
業務の内容と、在留資格が合っていないと、在留期間の更新が認められない、または、在留資格の取り消しの対象となるおそれがあります。採用の前に、業務の内容を、具体的に整理しておくことが、大切です。
受け入れ企業が、守るべきこと

外国人材を、雇用する企業は、入管法だけでなく、労働関係の法令も、守る必要があります。たとえば、労働基準法、最低賃金法、社会保険や、労働保険への加入などです。外国人材の、在留期間の更新の際には、納税や、社会保険料の納付などの状況が、確認される場合があります。日本人と同等以上の報酬を支払うことも、基本的な条件です。
雇用の開始前に、在留カードで、在留資格や、在留期間、就労の可否を、確認し、契約の内容と、在留資格の範囲が一致していることを、確かめましょう。
よくある質問

Q1. 特定技能と技人国は、どちらが、取得しやすいですか?
どちらが取得しやすいかは、一概には、いえません。対象となる業務や、本人の学歴・経験・試験の合格状況などによって、要件が異なります。採用したい人材の業務内容に合う、在留資格を選んでください。
Q2. 特定技能1号から、2号に、自動的に移行できますか?
入管庁のQ&Aでも、1号から2号への移行について、説明されています。2号は、対象の分野が限られており、試験の合格などの要件があります。自動的に移行できるものではないため、要件を確認してください。
Q3. 技人国の申請で、日本語の資料が必要になるのは、どのような場合ですか?
令和8年4月15日以降、カテゴリー3・4の所属機関で、主に言語能力を用いて、対人業務等に従事する場合(翻訳・通訳、接客など)は、CEFR・B2相当の言語能力を証する資料が必要です。
Q4. 申請の手数料や、審査の期間は、どこで確認できますか?
入管庁の「特定技能制度に関するQ&A」などで、案内されています。審査の期間は、申請の内容や、時期によって、異なります。
外国人材の受け入れのご相談はストラーダグループへ

ストラーダグループでは、外国人材の受け入れに伴う、在留資格の申請や、会社設立、労務、税務のご相談を、専門家が、お受けしています。どの在留資格が、事業に合うかの整理から、必要書類の準備、受け入れ後の手続きまで、状況に合わせて、サポートします。初回のご相談は無料です。お気軽にご相談ください。
※本記事は、2026年10月時点の情報をもとに作成しています。制度や手続きは変更されることがあるため、申請の前に、出入国在留管理庁の公式情報をご確認ください。




