株式会社を設立するときは、公証役場で、「定款」の認証を、受ける必要があります。「公証役場には、何を、持っていけばよいのか」「費用は、いくらかかるのか」「いつまでに、どのように、準備すればよいのか」と、疑問に思う方は、多くいます。
この記事では、日本公証人連合会などの公表資料をもとに、会社設立で、公証役場に提出する、書類と、準備、定款認証の手数料、電子定款との関係、認証を受けるまでの流れを、解説します。公証役場では、定款の認証を受け、その後、法務局で、設立の登記を申請するという、順序になります。
なお、手数料や手続きは、改正されることがあります。この記事は、2026年10月時点の公表情報をもとにしています。実際の手続きでは、利用する公証役場の案内で、最新の内容を確認してください。
Contents
公証役場での、定款認証とは?

定款とは、会社の組織や、運営のルールを、定めた、基本的な書類です。株式会社を設立する場合は、定款を作成して、公証人の認証を受けることが、必要です。認証とは、公証人が、定款が、正当な手続きで、作成されたことを、証明する手続きです。
会社設立の、一般的な、順序は、次のとおりです。
- 定款を、作成する
- 公証役場で、定款の認証を受ける
- 資本金を、払い込む
- 法務局に、設立の登記を、申請する
認証は、会社の本店所在地を、管轄する法務局または、地方法務局に所属する、公証人が、行います。公証役場は、全国に、設置されています。なお、合同会社の設立では、定款の認証は、不要です。
公証役場に提出する、主な書類

定款の認証を、受けるときに、公証役場に、提出する、主な書類は、次のとおりです。必要な書類は、会社の形態や、公証役場の運用によって、異なる場合があります。事前に、利用する公証役場に、確認してください。
| 書類 | 内容・ポイント |
|---|---|
| 定款(3通など) | 認証を受ける、定款。紙で提出する場合は、公証人保存用、会社保存用、登記申請用の、複数の通を、準備することが、一般的。電子定款の場合は、電子データで、提出する |
| 発起人全員の印鑑証明書 | 発行から、一定の期間内のもの(公証役場の案内で、確認する) |
| 発起人の実印 | 定款や、委任状などに、押印する |
| 委任状(代理人が、手続きする場合) | 発起人が、代理人に、認証の手続きを、任せる場合に必要 |
| 実質的支配者となるべき者の申告書 | 会社の、実質的な、支配者を、申告する書類。公証役場の、様式で作成する |
| 手数料の現金 | 定款認証の手数料などを、公証役場の指定の方法で、支払う |
このほか、公証役場から、追加の書類を、求められる場合があります。事前に、定款の案を、公証役場に、送り、内容の確認(事前チェック)を、受けておくと、認証の当日が、スムーズです。
実質的支配者の申告
定款の認証の際には、「実質的支配者となるべき者」の、申告が、必要です。これは、会社の設立が、犯罪収益の移転などに、悪用されることを、防ぐための、制度です。公証役場の、様式に従って、実質的支配者の、氏名、住所、生年月日などを、記載します。
定款認証の手数料

日本公証人連合会の案内によると、株式会社の定款認証の手数料は、資本金の額によって、次のように、決まっています。
| 資本金の額 | 定款認証の手数料 |
|---|---|
| 100万円未満 | 3万円(一定の条件を満たす場合は、1万5,000円) |
| 100万円以上300万円未満 | 4万円 |
| 上記以外(300万円以上など) | 5万円 |
定款に、資本金の額が、書かれていない場合は、「設立に際して出資される財産の価額」が、基準になります。定款に、設立時の出資財産の最低額を、記載している場合は、5万円になります。
手数料が、1万5,000円に、減額される条件
令和6年11月30日の、公証人手数料令の改正により、資本金が100万円未満の株式会社について、次の3つすべてに、当てはまる場合は、定款認証の手数料が、1万5,000円になります。
- 発起人全員が、自然人(個人)で、その数が、3人以下であること
- 定款に、発起人が、設立時発行株式の、全部を引き受ける旨の記載が、あること
- 定款に、取締役会を、置く旨の記載が、ないこと
定款の認証の嘱託の時が、令和6年11月30日以前の場合は、従前の例(3万円)によります。
その他の費用
- 謄本の手数料:登記の申請用の、定款の謄本は、1枚につき250円(目安として、おおむね8枚で2,000円程度)
- 収入印紙:紙の定款の場合は、4万円の収入印紙を、公証人の保存原本に、貼付する。電子定款の場合は、不要
電子定款とは?

電子定款とは、定款を、電子データ(PDFなど)で作成し、電子署名を付して、電子的に、認証を受ける方法です。紙の定款では、収入印紙4万円が、必要ですが、電子定款では、不要になるため、費用を、抑えられます。
電子定款を作成するには、電子署名(マイナンバーカードなどの、電子証明書)や、専用のソフトなど、環境の準備が、必要です。専門家(司法書士、行政書士など)に、依頼すると、電子定款で、手続きしてもらえる場合が、多くあります。
認証を受けるまでの流れ

定款の案を、作成する
商号、本店所在地、事業目的、資本金、発起人、役員などを、決めて、定款の案を、作成します。法務局の、様式や、公証役場の、ひな形を、参考にできます。
公証役場に、事前に確認する
作成した、定款の案を、公証役場に、送り、内容を、確認してもらいます。修正が必要な点が、あれば、事前に、指摘を受けられます。
認証の日程を、予約する
公証役場に、認証の日時を、予約します。発起人が、出向く場合と、代理人が、出向く場合があります。
必要書類を、持参して、認証を受ける
予約の日時に、必要書類と、手数料を、持参して、公証人の認証を受けます。認証が、済むと、認証済みの定款が、交付されます。
資本金を、払い込み、法務局に申請する
認証のあと、発起人の口座に、資本金を払い込み、払込みの証明書を、作成します。そのうえで、法務局に、設立の登記を、申請します。法務局に提出する書類については、別の記事「会社設立で法務局に提出する書類は?株式会社の必要書類を解説」で、解説しています。
準備のポイントと、注意点

定款に、必ず、記載する事項
会社法第27条は、株式会社の定款に、次の事項を、記載し、または記録しなければならないと、定めています。
- 目的(事業の内容)
- 商号
- 本店の所在地
- 設立に際して出資される財産の価額、またはその最低額
- 発起人の氏名または名称、および住所
これらの事項が、記載されていない定款は、認証を受けられません。このほか、発行可能株式総数、株式の譲渡制限、取締役会の設置、事業年度、公告の方法などを、定めることが、一般的です。
認証後の変更に、注意する
認証を受けた、定款の内容を、あとから、変更する場合は、設立の登記の前でも、再び、認証が、必要になる場合があります。商号や、事業目的、本店所在地などは、認証の前に、慎重に、決めてください。
印鑑証明書の期限
印鑑証明書には、発行から、一定の期間内のものを、求められる場合が、あります。認証の日程に、合わせて、取得するようにします。
定款の記載事項:絶対的記載事項と、その他

定款の記載事項は、重要度によって、次のように、分けられます。
| 区分 | 内容 | 主な例 |
|---|---|---|
| 絶対的記載事項 | 必ず、記載しなければ、定款が、無効になる事項(会社法第27条) | 目的、商号、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額、発起人の氏名または名称、住所。発行可能株式総数も、設立の登記の時までに、必要 |
| 相対的記載事項 | 定款に、記載しなければ、効力が生じない事項 | 現物出資、財産の引受け、発起人の報酬、設立費用など(会社法第28条)。株式の譲渡制限なども |
| 任意的記載事項 | 定款に、記載してもしなくても、よい事項 | 事業年度、取締役の人数、役員報酬の定め、株主総会の招集の時期など |
どの事項を、どのように、定めるかは、会社の運営に、大きく影響します。特に、株式の譲渡制限や、取締役会の設置の有無、役員の任期などは、事業承継や、資金調達とも、関わるため、設立の前に、専門家に、相談しておくことをおすすめします。
定款認証の、費用のまとめ(例)

資本金が、100万円以上300万円未満の株式会社を、紙の定款で、設立する場合の、公証役場での、費用の例を、整理します。この例は、理解のための想定です。
- 定款認証の手数料:4万円
- 収入印紙(紙の定款の場合):4万円
- 謄本の手数料:約2,000円(目安)
- 合計:約8万2,000円
電子定款の場合は、収入印紙の4万円が、不要になるため、合計は、約4万2,000円です。また、資本金が100万円未満で、手数料減額の条件を、満たす場合は、定款認証の手数料が、1万5,000円になります。法務局に納める、登録免許税(資本金の額の1,000分の7、最低15万円)は、別にかかります。
公証役場を、探す方法

公証役場は、全国に、設置されています。会社の本店所在地を、管轄する法務局または、地方法務局に所属する、公証人が、認証を行います。日本公証人連合会の、ホームページで、公証役場の、所在地や、連絡先を、確認できます。予約の方法や、必要書類の、運用は、公証役場によって、異なる場合があるため、事前に、問い合わせてください。
定款認証の準備を、専門家に、依頼するメリット

定款の作成や、認証の手続きは、自分でも、行えますが、専門家に、依頼すると、次のようなメリットが、あります。
- 定款の内容を、事業の実態や、将来の計画に、合わせて、作成してもらえる
- 電子定款で、手続きしてもらえる場合が多く、収入印紙の費用を、抑えられる
- 公証役場との、やり取りを、任せられる
- 設立の登記まで、一貫して、任せられる(司法書士に依頼する場合)
設立後の、税務の届出や、経理についても、あわせて、相談できる専門家を、選ぶと、安心です。
認証の当日の持ち物チェックリスト

定款の認証の当日に、忘れ物をしないよう、次のリストで、確認してください。
- 定款(紙の場合は、必要な通数。電子定款の場合は、電子データの準備)
- 発起人全員の印鑑証明書(発行から、公証役場が求める期間内のもの)
- 発起人の実印(定款などに、押印する場合)
- 委任状(代理人が、手続きする場合)と、代理人の身分証明書
- 実質的支配者となるべき者の申告書
- 定款認証の手数料、謄本の手数料などの、現金
- 収入印紙(紙の定款の場合。4万円)
- 公証役場と、事前に、打ち合わせた、その他の書類
前日までに、公証役場に、電話などで、持ち物を、最終確認しておくと、安心です。認証のあとは、認証済みの定款の謄本を、受け取り、資本金の払い込み、法務局への登記の申請へ、進みます。
認証が終わったあとの、次のステップ

定款の認証が終わったら、次のような手続きを、進めます。
- 資本金を、発起人の口座に、払い込む(定款の作成の日以後に、払い込む)
- 払込みの証明書を、作成する(預金通帳の写しなどを、合わせて、綴じる)
- 設立時の役員の就任承諾書、決議書などの、法務局に提出する書類を、そろえる
- 登録免許税の額を、確認して、設立の登記を、申請する
- 登記が、完了したら、税務署、年金事務所、ハローワークなどに、届出を行う
定款の認証を、受けた日が、会社の設立日ではなく、設立の登記を、申請した日が、会社の成立の日とされるのが、実務上の取扱いです。認証から、登記の申請までの、スケジュールを、あらかじめ、立てておくと、設立が、スムーズに進みます。
公証役場での手続きに関する、よくある質問

Q1. 公証役場には、発起人全員が、行く必要がありますか?
発起人全員が、行く必要は、ない場合が、あります。代理人が、手続きする場合は、委任状などが、必要です。公証役場の案内で、確認してください。
Q2. 認証には、どのくらいの時間が、かかりますか?
事前に、定款の案を、確認してもらっておけば、当日の、認証は、短時間で、完了することが、多いです。日程の予約が、必要な場合が、あるため、余裕を持って、準備してください。
Q3. 合同会社も、公証役場に、行きますか?
合同会社の設立では、定款の認証は、不要です。法務局への、登記の申請で、設立できます。
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※本記事は、2026年10月時点の情報をもとに作成しています。手数料や手続きは変更されることがあるため、手続きの前に、日本公証人連合会、公証役場の公式情報をご確認ください。




