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不動産相続
2025.12.22 不動産相続

不動産相続の税金・名義変更・売却の流れ

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不動産相続では、相続税の申告に加え、義務化されている名義変更(相続登記)や、将来的に売却する場合の譲渡所得に関する確定申告までを見据えて各種手続きを進める必要があります。

土地や建物は現金と異なり、評価額が自動的に確定するものではありません。そのため、評価方法の深い理解が欠かせず、遺産分割の内容によっては、税負担や手続きの複雑さが大きく変わるケースもあります。

本記事では、不動産相続で生じやすい税金の種類や計算方法をはじめ、名義変更の手続き、さらに売却を検討する場合の流れと注意点をわかりやすく解説します。

不動産相続でかかる税金とは?

不動産相続でかかる税金とは?
不動産を相続したからといって、必ず相続税がかかるわけではありません。相続税は、相続財産を評価した合計額から、債務や葬式費用などを差し引いた「正味の遺産額」が、基礎控除額を超える場合にのみ、申告・納税が必要になります。

一方で、相続税が発生しないケースであっても、不動産の名義を相続人へ移す「相続登記」を行う際には、原則として登録免許税がかかります。不動産相続に伴う税負担は、大きく分けると”相続の手続きの過程で生じるもの”と、”不動産を売却した場合に生じるもの”の2つに整理できます。

ここではまず、不動産相続を行う上で把握しておきたい代表的な税金の種類についてご紹介します。

相続税

相続税は、現金や預貯金に限らず、土地・建物を含むすべての相続財産を対象として計算されます。不動産相続における最大の特徴は、その評価額が「相続税評価額(相続税法に基づき国が定めた評価基準)」によって算出され、時価とは必ずしも一致しない点にあります。

評価に誤りがあると、相続税が課税されるかどうかの判断を誤るだけでなく、申告内容そのものに影響を及ぼすおそれがあるため、不動産相続では、相続財産の洗い出しと、適正な評価額の算定が重要です。

また、相続税の申告期限は、原則として「相続開始を知った日の翌日から10か月以内」と定められています。遺産分割協議が申告期限までにまとまらない場合でも、期限の延長は認められません。

そのため、協議の長期化が見込まれるケースほど、申告までの全工程を逆算し、計画的に手続きを進める必要があります。

登録免許税

登録免許税は、相続登記を行う際に納める税金です。一般的には、固定資産税評価額(課税標準)に、相続による移転登記の税率0.4%を乗じて算定されます。

固定資産税評価額は、毎年名義人宛に送付される固定資産税の課税明細書や、役所で取得する評価証明書で確認することができ、これらの書類は登記申請時にも必須となります。

不動産相続税の計算方法

不動産相続税の計算方法

【STEP1.】遺産総額を算出

相続税額の計算は、相続財産を漏れなく把握し、一定の基準で金額を確定させるところから始まります。預金と異なり、不動産は評価手続きが複雑になりやすいため、評価資料をそろえながら正味の遺産額を固めていきます。

まず、土地・建物、預貯金、有価証券、保険金などのプラスの財産を洗い出し、借入金や未払金、葬式費用といった「マイナスの財産(控除対象)」も整理します。さらに、生前贈与の有無や申告状況、関連資料の保管状況も併せて確認しておくと安心です。

土地の評価方法

土地の相続税評価は、主に路線価方式または倍率方式で行われます。
土地の相続税評価額を、一定の要件を満たす場合は最大80%減額できる小規模宅地の特例という制度があります。

【路線価方式】路線価(その土地が面している路線に付された1平方メートルあたりの価格)が設定されている地域で用いる方法です。路線価に、土地の形状や利用状況に応じた各種補正率を反映させた後、地積を乗じて評価額を算出します。

【倍率方式】主に郊外や山間部など、路線価がない地域で用いる方法です。その土地の固定資産税評価額に、地域ごとに定められた評価倍率を乗じて評価額を算出します。

建物の評価方法

建物の相続税評価は、固定資産税評価額を用いるのが一般的です。そのため、土地評価のような複雑な計算工程は不要で、固定資産税の課税明細書や評価証明書に記載されている金額を、そのまま評価額として使用します。

なお、建物が賃貸に供されている場合や、マンション(区分所有財産)では相続税評価額の計算方法が異なるため注意が必要です。

【STEP2.】基礎控除額と課税遺産総額の計算

相続税がかかるかどうかは、相続財産の評価額から基礎控除額を差し引いた「課税遺産総額」がプラスになるかで判断します。基礎控除額は、3,000万円に法定相続人1人あたり600万円を加算して算出されます。

法定相続人の数え方には注意が必要です。相続放棄をした人がいる場合でも、基礎控除額の計算上は人数に含めるほか、養子がいる場合には算入できる人数に制限が設けられています。こうした前提の整理を誤ると、基礎控除額が変わり、相続税額にも直接影響します。

そのため、具体的な税額計算に進む前に、相続人の範囲を正しく整理しておく必要があります。

【STEP3.】相続税の総額の計算

相続税の総額は、課税遺産総額を基に算定されます。この段階では、実際の遺産分割内容にかかわらず、民法で定められた法定相続分に従って遺産を分割したものと仮定して計算を行います。具体的な手順は以下の通りです。

①課税遺産総額を法定相続分で按分し、仮の取得金額を算出します。
②①の金額に相続税率を適用して各法定相続人ごとの「仮の税額」を計算します。
③②で算出した「仮の税額」を合計したものが、相続税全体の総額となります。

この工程は、個々の税額を確定する前段階として、相続税全体がどの程度の規模になるかを把握するために行います。相続税の総額が明らかになることで、不動産を誰が引き継ぐのか、売却して現金化するのか、あるいは代償分割で調整するのかといった分割方針を、現実的な数値に基づいて検討しやすくなります。

【STEP4.】相続人ごとの相続税額を求める

相続税の総額を算出した後は、実際に決定した遺産分割の内容に基づいて、その総額を各相続人に按分し、最終的な納税額を確定します。この際、配偶者の税額軽減をはじめ、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除など、適用可能な各種控除を反映します。

また、生前贈与がある場合には、贈与財産の加算や贈与税額控除など、申告上の調整が必要となります。控除や特例の多くは、適用を受けるために申告が必須であるため、税額が軽減される見込みであっても、申告手続きを省略しないよう注意が必要です。

不動産相続時におすすめの税金対策

不動産相続時におすすめの税金対策

小規模住宅地等の特例

小規模住宅地等の特例は、被相続人が居住していた自宅の土地などについて、一定の要件を満たすことで、土地の評価額を最大80%減額できる制度です。

対象となる土地の面積や、相続人の居住状況・所有状況など、細かな要件が定められており、適用の可否によって相続税額が大きく変わるため、不動産相続において最も高い節税効果が期待できます。

贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)

相続開始前、加算対象期間に贈与により取得した財産がある場合には、相続税の課税価格にその財産の価額を加算します。その際に贈与税を納付している場合には、相続税の計算時にすでに支払った贈与税額を差し引きます。

生前贈与がある場合には、贈与の時期や申告状況に加え、関連書類の有無も含めて事前にしっかりと確認しておきましょう。

配偶者控除

配偶者控除は、配偶者が取得する財産について、1億6,000万円または法定相続分までの範囲で相続税がかからない制度です。配偶者の生活保障を目的とした制度で、適用されるケースが多く、相続税対策の中心的な控除といえます。

未成年者控除

相続人が未成年である場合には、未成年者控除が適用されます。相続時の年齢に応じて一定額を相続税額から差し引くことができ、若年の相続人ほど控除額が大きくなります。家族構成によっては、税負担の軽減に大きく寄与する制度です。

障害者控除

相続人に一定の障害がある場合には、障害者控除を受けることができます。障害の程度や年齢に応じて控除額が異なり、相続税額から直接差し引かれます。該当する可能性がある場合は、障害者手帳などで要件を確認したうえで、適用可否を正しく判断する必要があります。

相次相続控除

相次相続控除は、一定期間内(原則として10年以内)に相続が続いた場合に、前回の相続で負担した相続税額の一部を差し引くことができる制度です。短期間に相続が重なると税負担が過大になりやすいため、その調整を目的としています。

適用には、相続が発生した時期や前回の相続税額など、いくつかの要件が定められているため、現在から過去にかけての相続状況をくまなく確認しましょう。

相続不動産の名義変更のやり方

相続不動産の名義変更のやり方
相続によって不動産を取得した場合、「相続登記(名義変更)」が必要です。相続登記は2024年4月から義務化されており、期限内に手続きを行わないと過料の対象となる可能性があります。以下では、相続不動産の名義変更を行う際の基本的な流れを解説します。

遺言書の有無を確認

まず最初に行うのが、遺言書の有無の確認です。遺言書がある場合は、原則としてその内容に従って相続登記を進めます。公正証書遺言であればそのまま手続きに使用できますが、自筆証書遺言の場合は家庭裁判所での検認が必要となるため、発見後の取り扱いは慎重に行ってください。

ただし、法務局で保管されている自筆証書遺言、公正証書遺言については検認不要です。

現在の名義と権利状況を確認

登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、現在の登記名義人や共有持分の状況、抵当権などの担保の有無をはじめ、土地と建物の関係や私道持分の有無を正確に確認します。

特に、土地と建物が別々の名義になっている場合や、敷地の一部が別筆の私道として登記されている場合などは、対象不動産の範囲や権利関係の把握に時間を要することがあります。

将来的に売却を検討している場合には、早い段階で対象不動産と権利関係を整理しておくことが欠かせません。

相続人の調査と確定

戸籍を収集し、相続人を正しく調査ならびに確定します。この工程では、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍が必要になるのが一般的です。

相続人の確定が不十分なまま遺産分割協議を進めると、後から想定していなかった相続人が判明するなど、協議をやり直さなければならない可能性があるため、注意が必要です。

必要書類の準備

相続不動産の名義変更(相続登記)を行う際には、状況に応じて以下の書類が必要となります。

書類名 補足情報
被相続人の戸籍謄本 出生から死亡まで連続したもの
被相続人の住民票除票または戸籍の附票 最終住所の確認用
相続人全員の戸籍謄本 相続関係の確認
相続人全員の住民票 登記名義人情報の確認
法定相続情報一覧図または相続関係説明図 相続関係の確定
固定資産税評価証明書 登録免許税の算定に使用(課税明細書で代替可)
遺言書 遺言がある場合に提出
遺産分割協議書 遺言がない場合に作成・提出
相続人全員の印鑑証明書 遺産分割協議書を作成する場合に必要
登記事項証明書 対象不動産・権利関係の確認用

なお、登記簿上の住所と戸籍上の住所がつながらない場合や、建物が未登記となっているケースなどは、追加の資料提出を求められることがあります。手続きの途中で修正や差し戻しが生じるのを防ぐためにも、事前に登記簿の内容と公的書類の整合性を確認しておきましょう。

登記申請書の作成

必要書類がそろったら、相続登記の申請書を作成します。申請書には、登記の目的や原因・相続人と被相続人の氏名・対象となる不動産の表示・課税価格・登録免許税の金額などを記載します。

また、令和7年4月21日の法改正により、検索用情報と呼ばれる追加情報の申出が必要になりました。

検索用情報とは、登記官が「登記簿上の所有者」と「住民基本台帳ネットワークに記録された人物」を照合し、登記名義人を正確に特定するために用いられる情報です。

具体的な内容は、以下のとおりです。(新規則第158条の39第1項第1号から第5号まで)

・氏名
・フリガナ(外国籍の場合はローマ字表記)
・住所(住民票上の住所)
・生年月日
・メールアドレス(任意)

これらの情報に記載漏れや誤りがあると、法務局から補正を求められるため、不安がある場合には司法書士などの専門家に相談・依頼することで、相続登記の手続きをよりスムーズに進めることができます。

法務局へ申請

登記申請書と必要書類をそろえたうえで、管轄の法務局へ申請します。窓口や郵送のほか、自宅からオンラインでも申請可能です。オンライン申請の場合、法務省の「登記・供託オンライン申請システム」を利用します。

オンラインの場合でも、戸籍謄本などの添付書類を書留郵便等で法務局へ「別送」する必要があります。

相続不動産を売却する際の基本的な流れ

相続不動産を売却する際の基本的な流れ
相続不動産を売却する際は、売却益が出た場合の確定申告までの工程を視野に入れる必要があります。なかでも、売却に関する特例には期限があるため、相続税の申告と売却活動を切り離さず、一体のプロジェクトとして進めるようにしましょう。

遺言書の有無を確認

遺言書の有無の確認は、名義変更時だけでなく、相続不動産の売却を検討している場合においても最優先で行うべき事項です。遺言書がある場合は、原則としてその内容に従い、売却の意思決定を行う者や売却代金の帰属を明確にしておく必要があります。

相続登記(名義変更)

売却に先立ち、相続登記を行い名義を相続人へ移します。名義が被相続人のままで売却することは出来ません。

不動産査定・業者依頼

相続登記が完了したら、不動産会社へ査定を依頼し、売却価格の目安を把握します。複数の会社に査定を依頼することで相場感がつかみやすくなり、売出価格・売却時期・条件といった売却戦略も検討しやすくなります。

また、査定額の高さだけでなく、相続物件の取り扱い実績があるかどうかや、権利関係の整理・手続きに精通しているかといった点も、業者選びにおける大切な判断材料となります。

売買契約・引渡し

買主が決まったら売買契約を締結し、契約条件に沿って決済・引渡しを行います。引渡し時には残代金の受領と同時に所有権移転登記を進めるのが一般的です。

確定申告

相続不動産を売却して譲渡益が生じた場合には、譲渡所得に関する確定申告が必要となります。取得費や譲渡費用の整理、各種特例の適用可否によって税額が大きく変わるため、売却後は領収書や契約書などの各資料をまとめて、早めに申告準備を進めましょう。

不動産の相続~売却までに気をつけるべき4つの注意点

不動産の相続~売却までに気をつけるべき4つの注意点

遺産分割協議

相続人全員の合意があいまいなまま手続きを進めると、途中で異議が出るなどして、売却が滞るおそれがあります。そのため、遺産分割協議によって売却に関する方向性をあらかじめ一致させておきましょう。

特に、不動産を売却して現金を分ける「換価分割」を行う場合は、売却代金の分配方法や諸経費の負担割合についても、遺産分割協議書に具体的に明記しておくことで、後のトラブル防止につながります。

売却益に対する税金を把握する

不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得税が課税される可能性があります。取得費や譲渡費用、適用できる特例によって税額が大きく変わるため、売却前から税金の概算を把握しておくことが大切です。

特例を使う場合は3年以内を目安に売却

相続不動産の売却に関する特例には、それぞれ適用期限が設けられています。たとえば、相続税を取得費に加算できる「取得費加算の特例」は、相続税の申告期限から3年以内(相続開始から3年10か月以内)に売却することが要件となっています。

また、「空き家の3,000万円特別控除」についても、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までといった期限が定められています。

”とりあえず相続登記だけ済ませてから考えよう”としていると、こうした期限が過ぎてしまう可能性があるため、将来的に売却を視野に入れている場合は、特例の適用期限も踏まえたうえで、早い段階から売却スケジュールを検討しておきましょう。

リフォームなども検討

物件の状態によっては、簡単な修繕やリフォームを行うことで、早く買い手が決まりやすくなるほか、売却価格が向上するケースもあります。ただし、費用をかけすぎると手取り額が減ってしまうため、事前に不動産会社と相談しながら、費用対効果を意識して判断することが重要なポイントです。

不動産相続に迷ったら、まずは専門家にご相談を

不動産相続に迷ったら、まずは専門家にご相談を
不動産相続は、相続税の計算・申告、遺産分割、相続登記、売却時の確定申告まで、幅広い専門分野が関わる複雑な手続きです。評価方法や特例の判断を誤ると、税金面で不利になるだけでなく、親族間のトラブルや法的ペナルティにつながるおそれもあります。

ストラーダグループには、税理士・司法書士・行政書士など、相続に必要な専門家がすべて在籍しています。相続税申告から不動産登記、売却時の税務までをワンストップでサポートしているため、複数の事務所に個別に依頼する必要はありません。

不動産を含む相続は、先送りするほど整理が難しくなります。「何から手をつければよいかわからない」という段階でも問題ありません。まずは一度ご相談いただき、安心して進められる解決の道筋を、わたしたちと共に見つけていきましょう。

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