東京都中央区で創業を考えている方にとって、資金調達の選択肢のひとつが、中央区の「商工業融資(あっせん融資)」です。区が、指定金融機関や、東京信用保証協会と連携して、低い利率で、融資を受けられるように、支援する制度で、創業者向けの資金も、用意されています。
この記事では、中央区の公式サイトや、「令和8年度 中央区商工業融資のご案内」をもとに、中央区の創業融資(創造支援資金)の対象者、申し込みの流れ、特定創業支援等事業による優遇措置を、整理します。あわせて、日本政策金融公庫の創業融資との使い分けも、解説します。
なお、融資の条件(限度額、利率、返済期間など)は、年度ごとに、見直されます。この記事は、2026年10月時点の公表情報をもとにしています。申し込みの前に、必ず、中央区の最新の案内や、窓口で、ご確認ください。
Contents
中央区の商工業融資とは

中央区の商工業融資は、区内の中小企業者の、資金調達を支援するために、区が、指定金融機関と信用保証協会と連携して行う、融資あっせん制度です。区は、融資の利子の一部を、補給(利子補給)することで、本人の負担利率を、抑えています。
令和8年度の利率の改定
「令和8年度 中央区商工業融資のご案内」によると、融資利率は、1.8%から2.0%に改定されました(令和8年4月1日融資実行分から)。改定による引上げ分は、全額が、利子補給の利率に上乗せされるため、本人負担利率は、変わらないとされています。
創業者向けの資金
創業を考える方が、主に、利用するのは、「創造支援資金」です。ご案内では、創造支援資金として、次の2つの区分が、示されています。
| 区分 | 対象者 |
|---|---|
| 創造支援資金(創業に係るもの) | 創業時点で、国内外を問わず、事業を営んでおらず、中央区内で初めて創業する方(中央区内に、事務所または事業所を有すること)。法人の場合は、原則として、中央区内で初めて登記する方 |
| 創造支援資金(分社化に係るもの) | 中央区内の中小企業者で、事業を継続しつつ、その法人が筆頭株主となり、中央区内に新たな法人を設立するもの |
創業の場合の、基本的な要件
ご案内によると、創業の場合は、次の要件が、示されています。
- 事業を営んでいない個人で、中央区内で創業する者、または、中央区内で創業して1年未満の事業者であること
- 創業予定の場合は、融資と同額以上の自己資金があり、融資実行日から、1か月以内に個人で、または2か月以内に法人で、創業すること
- 創業前は、自己資金の範囲内で、既に支払い済みの資金なども、対象になる場合がある(ご案内の記載を確認)
あっせんできない場合
ご案内によると、次のような場合は、創造支援資金の、あっせんができないとされています。
- 中央区外で創業して、中央区内に移転した方
- 中央区外で法人登記をし、中央区内に移転登記した方
- 事業収入があり、確定申告が必要な方
- 創業時点での事務所が、バーチャルオフィスの場合(創造支援資金は対象外)
申し込みから、融資実行までの流れ

「令和8年度 中央区商工業融資のご案内」に示されている、流れの概要は、次のとおりです。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 事前相談 | 金融機関と、事前に相談したうえで、面談の予約をする |
| 面談の予約 | オンライン予約サイト、電話、または来庁で予約する(創造支援資金の申し込みは、電話・来庁による予約のみ) |
| 経営相談員との面談 | 中央区役所7階の商工観光課(相談融資担当)で、専門の経営相談員と面談する。経営状況や、借入れの必要性などを聞かれ、融資あっせんに必要な書類の説明を受ける |
| 申し込み・あっせん | 必要書類を提出し、区が、金融機関へあっせんする |
| 審査 | 金融機関と、信用保証協会が審査する |
| 融資の実行 | 審査が通れば、融資が実行される |
| 保証料の補助・利子補給 | 区から、保証料の補助金が交付される(制度により異なる)。利子補給も行われる |
面談で、気をつけること
- 面談は、予約制で、法人代表者(個人の場合は事業主)の来庁が必要。金融機関や、税理士などによる代理申請は、できない
- 初回面談から、融資実行までの期間は、金融機関や信用保証協会の審査、事業内容などによって、異なる。創業の場合は、さらに時間がかかるため、余裕をもって、予約・申し込みをする
- 審査の結果、融資額が、減額されたり、融資を受けられなかったりする場合がある
問い合わせ先は、中央区役所 区民部 商工観光課相談融資担当(電話03-3546-5330、中央区築地1-1-1 中央区役所7階)です。
主な必要書類(創業の場合)
ご案内によると、創業の場合は、次の書類などが、必要とされています。
- 創業計画書
- 自己資金を証明する資料(創業前の場合)
- 事業所の賃貸借契約書(原本)、または自己所有確認書類
- 登記簿謄本(法人で創業済みの場合。コピー可)
個人事業の場合は、確定申告書(直近2期分)なども、必要になるため、創業の状況に応じて、窓口で確認してください。
利用するときの、注意点

優遇利率の対象になる事業所
中央区のご案内には、優遇利率が適用される事業所が、示されています。たとえば、町会・自治会、防災区民組織、中央区観光協会に加入している事業所や、中央区商店街連合会の加盟団体に加入している事業所などです。申込事業所での加入が必要です。該当するかどうかは、ご案内で確認してください。
区外へ移転した場合
融資実行後に、登記または事業所を、区外へ移転した場合は、移転後の利子補給は、できません。また、繰上償還によって、保証協会から保証料が返戻された場合は、返戻金のうち、区の補助金相当額を、返す必要があります。
保証料の扱い
信用保証協会の保証は、資金の使いみち、財務内容、経営者、返済能力などの審査を経て、可否が決定されます。小口資金融資や、創業に関する保険が適用される融資は、責任共有の対象外で、保証協会の100%保証となります。補助の割合は、制度によって異なるため、制度一覧を確認してください。
特定創業支援等事業と、優遇措置

中央区では、「特定創業支援等事業」を、実施しています。区の案内によると、1か月以上、4回以上にわたって、経営、財務、人材育成、販路開拓の知識を習得する事業で、次の2事業が、実施されています。
- 出張経営相談(創業相談):中小企業診断士が、希望の場所に出向いて、相談を受ける。年度内5回まで利用できる
- 起業家塾:区内で創業予定の方や、創業後5年未満の方を対象にした、セミナー。令和8年度は、夏期・冬期は創業前の方、秋期は創業後5年未満の方を対象に、年に計3回開催する予定
特定創業支援等事業による支援を受けると、区から、証明書の交付を受けられます。受講は、代表者本人が行う必要があり、代理出席はできません。証明書の申請期限は、支援を受けた最終日の翌日から、1年です。
証明書による、主な優遇措置
| 優遇措置 | 内容 |
|---|---|
| 会社設立時の登録免許税の軽減 | 中央区内で、株式会社または合同会社を設立する場合、資本金の0.7%の登録免許税が、0.35%に軽減される(株式会社の最低税額15万円は7.5万円、合同会社の最低税額6万円は3万円)。設立登記の際に、証明書の原本を、法務局に提出する必要がある |
| 創業関連保証の特例 | 無担保・第三者保証人なしの創業関連保証が、事業開始の6か月前から利用できる(通常は2か月前から) |
| 日本政策金融公庫の貸付利率の引き下げ | 新規開業・スタートアップ支援資金の、貸付利率の引き下げの対象になる |
| 小規模事業者持続化補助金(創業型) | 申請対象になる。補助上限200万円、補助率3分の2(要件あり) |
これらの優遇措置は、証明書が交付されれば、必ず、受けられるわけではありません。各制度の利用には、別途、審査があります。
日本政策金融公庫との、使い分け

創業時の資金調達には、区の制度融資のほかに、日本政策金融公庫の創業融資も、あります。公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、融資限度額が7,200万円で、創業期の方は、原則として、無担保・無保証人で利用できます。また、創業塾の証明書を取得した方は、特別利率Aの対象となります(公庫の案内)。
| 項目 | 中央区の制度融資 | 日本政策金融公庫 |
|---|---|---|
| 対象 | 中央区内で創業する方(区内要件あり) | 全国の、創業期の方 |
| 申し込み | 区の面談を経て、金融機関へあっせん | 公庫へ直接申し込み |
| 保証 | 東京信用保証協会の保証 | 公庫が直接融資 |
| 利子・保証料の補助 | 区が、利子補給や保証料補助を行う場合がある | 創業支援貸付利率特例制度などによる、利率の引き下げ |
どちらが有利かは、事業の内容、必要な資金、スケジュールによって異なります。両方の制度を、比較したうえで、組み合わせる方法も、検討できます。公庫の創業融資の詳細は、別の記事「創業融資は自己資金なしでも受けられる?現在の制度を解説」や、「日本政策金融公庫の創業融資の必要書類は?個人・法人別に解説」で、解説しています。
申し込みの前に、準備しておくこと

- 創業計画書を作成し、売上、費用、資金計画を、数字で整理する
- 自己資金が分かる資料(通帳の写しなど)を、準備する
- 事業所の候補が決まっている場合は、賃貸借契約書の準備を進める(バーチャルオフィスは、創造支援資金の対象外)
- 面談の予約が必要なため、開業の予定日から逆算して、早めに予約する
- 特定創業支援等事業を利用する場合は、受講から、証明書の交付までの期間も、見込んでおく
特に、登録免許税の軽減を受けたい場合は、会社の設立登記の前に、証明書を取得しておく必要があります。会社設立後に、軽減措置を受けることは、できません。
創業計画書で、伝えたいこと

区の面談でも、日本政策金融公庫の面談でも、創業計画書の内容を、自分の言葉で、説明できることが、大切です。次の点を、整理しておきましょう。
- 創業の動機と、これまでの経歴・経験が、事業にどう生きるか
- 商品やサービスの内容と、お客様、販売の方法
- 売上の見込みの根拠(客数、単価、取引先の見込みなど)
- 必要な資金(設備、運転資金など)と、その使い道、調達の方法
- 毎月の返済額と、返済の見通し
区の制度融資では、区の経営相談員と、面談を重ねながら、書類を整えていきます。面談で、指摘を受けた点は、計画書に反映して、精度を高めましょう。不明な点は、その場で、質問してください。
融資を受けたあとの、資金繰り

融資が実行されても、返済は、続きます。融資を受けた後は、次の点に、気をつけましょう。
- 毎月の返済額を、資金繰り表に反映し、売上の入金時期とのズレを、確認する
- 融資金は、申告した資金の使いみちに沿って、使う(生活費などへの流用は避ける)
- 区の制度を利用した場合は、区外への移転や、繰上償還に関する決まりに、注意する
- 帳簿を整え、決算や、確定申告の準備を、早めに進める
よくある質問

Q1. 中央区の創業融資は、誰でも、利用できますか?
中央区内で、初めて創業する方などが対象で、要件があります。区外で創業して、移転した方や、事業収入があり確定申告が必要な方は、創造支援資金をあっせんできないとされています。
Q2. 税理士に、代理で、申し込んでもらえますか?
面談は、経営者本人(法人代表者、または事業主)の来庁が、必要で、金融機関や税理士などによる代理申請は、できないとされています。事業計画書の作成などは、税理士に相談できます。
Q3. 起業家塾を受けると、必ず、融資を受けられますか?
特定創業支援等事業の証明書は、優遇措置を受けるための、手続きですが、融資の可否を保証するものでは、ありません。各制度の利用には、別途、審査があります。
Q4. 令和8年度の、融資の条件は、どこで確認できますか?
中央区のホームページの「中央区商工業融資の概要」や、「令和8年度 中央区商工業融資のご案内」(PDF)で、確認できます。最新の条件は、商工観光課の窓口でも、確認してください。
創業融資のご相談はストラーダグループへ

ストラーダグループでは、東京都内での、会社設立や、創業融資のご相談を、税理士などの専門家が、お受けしています。創業計画書の作成、資金計画の整理、区の制度融資や、日本政策金融公庫の融資の比較まで、状況に合わせて、サポートします。初回のご相談は無料です。お気軽にご相談ください。
※本記事は、2026年10月時点の情報をもとに作成しています。融資の条件は年度ごとに変更されることがあるため、申し込みの前に、中央区の公式情報をご確認ください。




