中小企業や小規模事業者が新たな製品開発やサービスの改善を行う際、資金面でのサポートを受けられる制度の一つが「ものづくり補助金」(※正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)です。
2025年度の最新制度では、従来よりも補助上限額が引き上げられるなど、より幅広い事業者にとって利用しやすい条件が整っています。本記事では、ものづくり補助金の概要から申請の流れ、採択率を上げるポイントまで詳しく解説いたします。
Contents
ものづくり補助金とは?最新制度の概要
ものづくり補助金は、経済産業省が主導する事業者支援制度で、革新的な製品開発や生産プロセスの改善、サービス開発に必要な経費の一部を補助するものです。中小企業をはじめ、スタートアップや個人事業主も対象となり、新しい挑戦に伴うリスクを軽減し、産業全体の競争力を高めることを目的としています。
さらに、補助金を通じて新しいビジネスモデルを試すことが可能となり、長期的な事業の安定化にもつながります。補助金の活用は、企業の社会的信頼性向上や取引先からの評価にも好影響を与えることがあります。
補助上限額が最大4,000万円に引き上げ
2025年度の制度改正では、補助上限額が最大4,000万円まで引き上げられました。その結果、従来ならハードルが高かった大規模な設備投資・研究開発にも取り組みやすくなっています。また、複数年度にわたる長期プロジェクトや海外市場への展開といったチャレンジにも柔軟に対応できるため、成長のスピードを加速させたい企業にとって大きな後押しとなります。
最低賃金引上げ特例
働き方改革を推進するため、一定の条件下で最低賃金を引き上げた場合に特例措置が適用されます。この特例により、従業員の待遇改善を行いながら補助金を活用できるため、事業の持続可能性も高まります。
収益納付の撤廃
従来、一部の補助金では収益が発生した場合、国に対して納付義務が生じることがありましたが、2025年度からは原則として撤廃されました。その結果、事業者は補助金の活用後に得られた収益を再投資に回すことができ、さらなる事業拡大に活用できます。
補助金返還義務
事業計画の目標が達成できなかった場合には、補助金の返還が必要となるケースがあります。補助金は支援であると同時に、事業目標の達成を前提とした制度であることを理解しておく必要があります。
返還リスクを避けるためにも、計画段階から具体的かつ現実的な目標を設定することが重要です。また、返還義務の有無や条件を事前に確認することで、安心して申請準備を進めることができます。
補助対象となる経費・事業について
主な補助対象経費
対象経費には、設備費・試作費・外注費・機械導入費などが含まれます。特に注目したいのが「グローバル枠」です。海外市場への展開や広告活動にも補助金を活用できる珍しい制度であり、マーケティング費用や展示会出展費なども含めることが可能です。
この仕組みを活用すれば、製品の販路拡大に直結する施策に資金を振り分けることができます。さらに、海外向けプロモーション費用が認められることで、新規顧客の獲得や海外市場での競争力向上にもつながります。
対象事業の具体例
対象事業の具体例として、以下のような活動が挙げられます。
具体例 | 活動内容 |
---|---|
新製品・新サービスの開発 | 市場ニーズに応じた新しい製品やサービスの創出。 |
生産プロセスの改善・自動化 | 製造や業務の効率化、品質向上を目的とした設備導入や工程改善。 |
ICT導入による業務効率化 | システムやソフトウェアの導入による業務効率化やコスト削減。 |
海外市場を視野に入れたプロモーション | 海外展示会出展や広告など、海外市場での販路拡大。 |
対象外の事業
補助対象外となる事業も明確に定められています。例えば、日常的な消耗品の購入や、既存製品の単なる販売促進、金融商品や不動産投資などの事業は補助対象外です。申請前に確認しておくことが重要で、誤った記載があると審査で不利になる可能性があります。
ものづくり補助金の申請の流れ
GビズIDの取得
電子申請を行うために必要なIDで、事前に取得しておく必要があります。取得には数日かかる場合もあるため、申請準備の早期段階で対応することをおすすめします。
事業計画書の作成
補助金申請の要となる書類で、新製品やサービスの開発内容、導入予定の設備やシステム、想定される売上や効果、スケジュールなどを具体的に記載します。審査では、計画の実現可能性が重視されるため、数字やデータを交えて明確に示すことが重要です。
公募期間中に電子申請をする
公募期間は年度ごとに異なります。締切日を事前に確認し、必要書類や事業計画書をまとめたうえで、余裕を持って電子申請を行いましょう。
採択発表
提出した申請書をもとに審査が行われ、採択結果が発表されます。最新の採択結果は経済産業省の公式サイトで確認可能で、過去の採択事例も同様に参考にすることができます。
交付申請
採択後、補助金を受け取るための正式な手続きを行います。必要書類の提出や事業計画の確認があり、ここで内容に不備がないよう注意が必要です。
交付決定
交付申請が承認されると、補助金交付が正式に決定となります。これにより、事業の実施も公的に認められる形になります。
実施と報告
計画に沿って事業を実施し、成果や経費の報告を行います。補助金返還義務が発生する場合もあるため、進捗管理は慎重に行うことが求められます。
ものづくり補助金の採択率を挙げるためのポイント
事業計画書の内容を専門家に確認してもらう
自社だけで作成する場合、説得力に欠けることがあります。専門家に事業計画書を確認してもらうことで、論理の整合性や数字の根拠を明確化でき、採択率の向上につながります。
加点項目を取る
ものづくり補助金では、加点項目の取得が将来に有利に働きます。具体的には、以下の取り組みがあります。
・経営革新計画の承認:新しい技術やサービスの導入、事業モデルの革新などを計画的に進めるための承認制度です。
・パートナーシップ構築宣言:他社や大学・研究機関などと連携して事業を推進する意思を宣言することで、協力体制が評価されます。
これらを事前に取得しておくことで、他の申請者に比べ優位に選考されます。ストラーダグループでは、取得に関するサポートも一括してお任せいただけます。
申請前に過去の採択事例を参考にする
過去の採択事例を分析することで、審査員が重視するポイントや、計画書の書き方の傾向を把握できます。自社の事業計画をどのように具体的に表現するかの参考になるでしょう。
審査項目に沿った具体的な記述を心がける
抽象的な表現ではなく、数値や実施ステップを具体的に示すことが大切です。例えば、開発する製品の売上見込みや市場規模、外部環境分析、導入する設備の性能など、客観的なデータを盛り込むことで、事業計画の信頼性が向上します。
ものづくり補助金で夢を叶える一歩を踏み出そう
ものづくり補助金は、新しいビジネスの立ち上げを検討している中小企業や個人事業主にとって、心強い制度となります。挑戦を後押ししてくれる一方で、申請には専門的な知識が求められるため、初めて申請する場合には負担に感じられるかもしれません。
中小企業診断士・税理士・行政書士が在籍しているストラーダグループでは、申請書作成から加点項目取得、採択後のサポートまで、トータルで手厚く支援しています。
ご相談はお電話や公式サイトのコンタクトフォームから受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。ものづくり補助金を活用し、事業の成長と革新に向けた一歩を踏み出しましょう。