フリーランスとして、また、個人事業主として事業が軌道に乗ってくると会社を設立しようかと考える方もいらっしゃいます。
個人事業主から会社を設立するにあたって、どんなメリットがあるのでしょうか?
また、デメリットなどはあるのでしょうか?
今回は、個人事業主から会社を設立する時のメリットとデメリットをご紹介します。
Contents
個人事業主とは?
個人事業主とは、法人を設立せず、個人として事業を営むことです。税務署に「開業届」を提出することで個人事業主となることができます。最近よく耳にする「フリーランス」も個人事業主の一種です。
法人化とは?
一方、法人化とは、法律に基づいて法人登記をし、会社を設立することを言います。個人が行っていた事業を法人化することで、節税できる幅も広がるのです。その他、金融機関からの信用度も増すといった利点があります。
個人事業主と法人の違いを比較
ここで、分かりやすいように個人事業主と法人の違いを表でまとめました。
個人事業主 | 法人 | |
---|---|---|
事業開始 | 開業届の提出青色申告承認申請書 | 法人登記手続きに書類や印が必要 |
税金 | 所得税個人住民税個人事業税消費税 | 法人税法人住民税・県民税法人事業税消費税 |
赤字の繰り越し | 3年(青色申告の場合) | 10年 |
社会的信頼度 | 低い | 高い融資等有利 |
会計 | 確定申告 | 法人決算書・法人申告書 |
社会保険 | 事業主の負担はできない | 会社の負担あり |
個人事業主から会社を設立して法人化する3つのメリット
個人事業主から会社を設立して法人化すると、3つのメリットがあります。
メリット1:節税対策できる
個人事業主は所得が増えれば増えるほど税率が高くなる累進課税制度が適用されます。これに対し、法人は累進課税制度ではなく、一定率の税金で計算される為、所得金額によって税金が抑えられます。
会社設立による節税については「プロが語る!会社設立における節税のメリット・デメリット」の記事内で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてみてください。
メリット2:金融機関や社会への信頼度が上がる
法人化すると、社会への信頼度も上がります。金融機関からの信頼度も上がり、融資なども受けやすくなるのです。法人として、銀行の口座開設することもできます。
また、登記簿謄本や定款など法人についての情報を開示しているので、社会的信用もあがるのです。
メリット3:赤字の場合10年間の繰り越しができる
経営をしていると課税所得が赤字になることがあり、赤字は繰越欠損金として、次の事業年度に繰越すことができます。法人の場合、この繰越欠損金を10年間繰り越すことが可能です。一方、個人事業主の場合は、3年間しか繰越すことができません。
個人事業主から会社を設立して法人化するデメリットは?
では、法人化することでのデメリットはあるのでしょうか?
次は、法人化する場合のデメリットについて紹介します。
デメリット1:赤字でも最低限の税金を払う必要がある
法人化すると赤字となる事業年度でも最低限の税金を払う必要が出てきます。
法人には法人税を始め、法人県民税・法人市民税や事業税などの様々な税金がかかります。多くの場合、所得に対して税率がかかる仕組みになっていますが、そのうちの法人県民税と法人市民税は「均等割り」というものがあり、資本金や従業員の数によって必ず発生する税金があります。
このことから、赤字でも最低限の税金がかかってくるのです。
会社設立をした場合の税金については、こちらの記事「会社設立後にかかる税金まとめ!いつから納税義務は発生する?」をご覧になってください。
デメリット2:社会保険に加入しなくてはならない
法人として会社を設立した場合、社会保険の加入が必要となります。これは、法律として決まっているので、一人社長の場合でも一定以上の報酬が発生するのであれば、加入しなければなりません。
会社設立後の社会保険は「会社設立後、社会保険はいつから加入手続きすべき?」の記事で分かりやすく解説しているので、参考にしてみてくださいね。
デメリット3:会計・事務的な作業が増える
会社を設立すると、会計や事務作業が増えます。法人は1年に一度決算を迎え、税務署に決算書や申告書の提出をしなければなりません。
個人事業主の時の確定申告とは違い、複雑な書類の作成が必要です。決算処理に手間がかかるということもあり、税理士に決算書や申告書の作成を頼む会社も多いです。税理士に頼む場合、顧問契約といったコストも考える必要が出てきます。
まとめ
個人事業主から事業が大きくなっていったときに、法人化を検討する必要も出てくるでしょう。
個人事業主から会社を設立して法人化する得られるメリットは、大きくまとめて3つあります。
- 個人事業主の時より節税対策ができる
- 法人化することで、社会的信用度が上がる
- 赤字の場合、10年間欠損金を繰越すことができる
逆にデメリットが出てくることもあります。
- 赤字でも最低限の税金を払う必要がある
- 会社を設立すると社会保険の加入が必要
- 決算書など複雑な会計処理が必要
法人化することで得られるものも多くありますが、デメリットの点もしっかりと把握しておく必要があります。
個人事業主から会社を設立したいタイミングで法人化することができますが、費用や実際に会社法人としての手続きが必要な場合は、税理士や会計士に相談してみましょう。自分で調べるより時短にもなり、専門家の視点から最適な提案をしてくれます。
また会社設立の流れは、こちらの記事「会社設立の流れを分かりやすく解説!設立後に必要な手続きとは?」で解説していますので、ご覧になってください。