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2024.07.2 M&A

M&Aにかかる税金と節税の考え方!株式譲渡・事業譲渡を解説

M&Aにかかる税金と節税の考え方!株式譲渡・事業譲渡を解説

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M&Aは、会社や事業を売る側と、買う側の、両方にとって、大きな取引です。取引の金額が大きいため、税金の負担も、大きくなります。「M&Aでは、どのような税金がかかるのか」「どの方法を選べば、税金を抑えられるのか」と、疑問に思う経営者は、多くいます。

この記事では、中小企業のM&Aで、かかる主な税金を、売り手と買い手に分けて整理します。あわせて、税金の負担を、合法的に軽くするための、主な方法と、使える税制優遇、注意点も解説します。M&Aの税金は、手法によって、大きく変わるため、契約の前に、手法ごとの、税負担を比べておくことが、大切です。

なお、税制は、改正されることがあります。この記事は、2026年10月時点で、国税庁、中小企業庁などの公表資料をもとにしています。実際の取引では、最新の情報を確認し、税理士などの専門家にご相談ください。

M&Aの手法と、税金の関係

M&Aの手法と、税金の関係

M&Aの税金は、どの手法を使うかによって、かかる税金の種類や、負担する人が、変わります。主な手法と、税金のポイントを、整理します。

手法 売り手側の主な税金 買い手側の主な税金・費用
株式譲渡 売却した株主に、株式の譲渡益の税金(個人は申告分離課税) 株式の取得費用。原則として、取得時の課税は少ない
事業譲渡 売却した会社に、譲渡益の法人税など。消費税の課税対象になる資産がある 消費税、不動産取得税、登録免許税など
合併・会社分割 一定の要件を満たす適格組織再編成であれば、移転資産の譲渡損益の課税が、繰り延べられる 登録免許税、不動産取得税など。適格かどうかで、税務上の扱いが変わる

手法の違いについては、別の記事「M&Aの手法とは?種類・選び方・税金の違いを解説」で、詳しく解説しています。

売り手にかかる税金

売り手にかかる税金

株式譲渡の場合:個人の株主にかかる税金

経営者個人が、自社の株式を売却した場合は、売却益に、税金がかかります。国税庁のタックスアンサーによると、非上場株式などの「一般株式等」の譲渡所得は、他の所得と分けて計算する申告分離課税で、税率は、20%(所得税15%、住民税5%)です。このほか、復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)も、あわせて申告し、納付します。つまり、所得税、住民税、復興特別所得税を合わせた税率は、約20.315%です。

なお、令和8年度の税制改正の大綱では、所得が極めて高い水準の人に、追加の税負担を求める措置が、見直されました。財務省の資料によると、追加の税負担を計算する基礎となる基準所得金額から、控除する特別控除額を、1億6,500万円(現行:3億3,000万円)に引き下げ、税率を30%(現行:22.5%)に引き上げるとされています。売却益が大きくなる場合は、この措置の対象になる可能性があるため、適用の開始の年分や、計算の方法を、国税庁の資料で、確認してください。

事業譲渡の場合:会社にかかる税金

事業譲渡では、売却した会社が、譲渡益について、法人税などを、納めます。売却代金は、いったん、会社に入るため、経営者個人が、その資金を受け取るには、役員報酬、配当、退職金などの形で、会社から、資金を移す必要があります。それぞれの方法で、税金がかかり、全体の税負担は、株式譲渡と、異なる場合があります。

また、事業譲渡では、譲渡する資産の種類によって、消費税が、課税される場合があります。たとえば、建物や、機械、商品などの、課税資産の譲渡は、消費税の課税の対象となり、土地や、有価証券などは、非課税となるのが一般的です。取引の内容に応じて、確認が必要です。

役員退職金を活用する

売り手の経営者が、会社を売却して、経営から退く場合は、役員退職金を、支払うことがあります。退職金は、会社にとっては、損金(経費)になり、経営者にとっては、退職所得として、課税されます。退職所得は、他の所得と分けて計算され、税負担が、比較的軽くなる仕組みがあります。ただし、金額が、不相当に高額な部分は、損金に算入されません。退職金の額や、支払いの方法は、税理士に、確認してください。

買い手にかかる税金と、費用

買い手にかかる税金と、費用

株式の取得の場合

株式を取得した場合は、取得に要した費用(購入の代価、仲介手数料など)が、株式の取得価額になります。株式を、取得した段階では、原則として、課税は生じません。ただし、取得価額は、将来、株式を売却するときの、譲渡益の計算に使われます。

事業譲渡の場合:消費税・不動産取得税・登録免許税

事業譲渡で、資産を、取得した場合は、課税資産の取得に係る消費税や、土地・建物の取得に係る、不動産取得税、不動産の名義変更に係る登録免許税などが、かかります。これらの負担は、買収後の資金繰りに、影響します。

のれん(営業権)の扱い

買い手が、時価純資産の額を、超える金額で、事業を譲り受けた場合は、その超える部分が、のれん(資産調整勘定)として、計上されます。のれんは、税務上、一定の期間にわたって、償却(経費にすること)できる場合があります。償却の期間や、条件は、法令で、定められているため、取引の内容に応じて、税理士に確認してください。

M&Aで使える税制優遇

M&Aで使える税制優遇

中小企業庁の「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き」(令和8年4月1日版)によると、経営力向上計画の認定を受けて、M&Aを行う場合に、使える税制優遇があります。

中小企業事業再編投資損失準備金

株式を取得する、買い手の中小企業が、取得価額の70%を限度とする、任意の金額を、準備金として、積み立て、その金額を損金に算入できる制度です。適用期間は、令和3年8月2日から、令和9年3月31日までです。積み立てた準備金は、5年を経過したあと、その後の5年間にわたって、均等に取り崩し、益金に算入します。課税を、先送りする制度で、税金が免除されるわけではありません。

中小企業経営強化税制(D類型)

M&Aを行ったあとに、取得する設備について、即時償却、または、取得価額の10%(資本金3,000万円超の法人は7%)の税額控除を選べます。D類型を使うには、経営力向上計画に、事業承継等事前調査に関する事項を記載し、設備を取得するときの、投資計画について、経済産業局の確認を受ける必要があります。適用期間は、令和9年3月31日までです。

事業譲渡に係る不動産取得税・登録免許税の軽減

事業譲渡によって、土地・建物を含む事業用資産などを、取得する場合の、不動産取得税の軽減措置があります。手引き(令和8年4月1日版)では、適用期間が令和8年3月31日までと記載されているため、最新の状況は、各都道府県の窓口で、確認してください。登録免許税の軽減措置も、要件を満たす場合に、使えます。

税金の負担を抑えるための、考え方

税金の負担を抑えるための、考え方

M&Aの税金の負担を、合法的に抑えるためには、次のような考え方があります。

  • 取引の手法を、比較して選ぶ:株式譲渡、事業譲渡、会社分割などで、売り手と、買い手の、税負担が変わる
  • 適格組織再編成を活用する:要件を満たせば、移転資産の譲渡損益の課税が、繰り延べられる
  • 税制優遇の要件を、事前に確認する:計画の認定は、取引の前に、受ける必要がある
  • 売却のタイミングを、考える:売却益の大きさや、他の所得との関係で、税負担が変わる
  • 役員退職金を、適切に活用する:売り手側の、会社と経営者の、税負担の全体を、考える

どの方法が、最も有利かは、会社の状況によって、異なります。複数の手法で、税負担を試算し、比べることをおすすめします。

M&Aの税金で、注意したい点

M&Aの税金で、注意したい点

  • 契約の前に、税務の影響を、確認する:契約を結んだあとでは、手法を、変えにくくなる
  • 税務デューデリジェンスを、行う:買い手は、売り手の会社の、税務の状況(未払いの税金、税務調査の指摘事項など)を、確認しておく
  • 無理な節税は、避ける:事実と異なる処理や、不自然な取引は、税務署に、否認されるおそれがある
  • 専門家に、早めに相談する:手法や、時期、金額によって、税負担が、大きく変わる

株式譲渡の税金の計算例(想定)

株式譲渡の税金の計算例(想定)

経営者個人が、自社の株式を売却した場合の、税金のイメージを、数字で示します。この例は、理解のための想定で、実際の税額を保証するものではありません。

  • 売却価格:1億円
  • 株式の取得費(設立のときの出資額など):1,000万円
  • 譲渡のためにかかった費用(仲介手数料など):100万円
  • 譲渡所得の金額:1億円-1,000万円-100万円=8,900万円
  • 税額(所得税・住民税・復興特別所得税の合計、約20.315%):8,900万円×約20.315%=約1,808万円

このように、売却価格から、取得費と、譲渡費用を差し引いた、譲渡所得に対して、税金がかかります。取得費が、小さい創業者ほど、譲渡所得が大きくなり、税負担も、大きくなります。なお、所得が極めて高い水準になる場合は、前に説明した、追加の税負担の措置が、関係する可能性があります。

申告と納付の時期

株式の譲渡所得は、譲渡した年の、翌年に、確定申告を行います。所得税の確定申告の期間は、原則として、翌年の2月16日から3月15日までです。住民税は、確定申告の内容に基づいて、翌年度に、課税されます。売却代金が入る時期と、税金を納める時期には、ずれがあるため、納税の資金を、あらかじめ、確保しておく必要があります。

M&Aの節税で、よくある誤解

M&Aの節税で、よくある誤解

誤解1:株式譲渡は、必ず、事業譲渡より、税金が少ない

売り手の経営者個人にとっては、株式譲渡のほうが、税負担が、見通しやすい場合が、多くあります。ただし、会社の状況(含み益のある資産、繰越欠損金など)や、買い手の希望によっては、事業譲渡のほうが、全体として、有利になることもあります。一律には、決められません。

誤解2:税制優遇を使えば、税金がなくなる

中小企業事業再編投資損失準備金のような制度は、課税を先送りするもので、税金が免除されるわけではありません。取崩しのルールや、要件を、守れなくなった場合には、準備金を取り崩して、益金に算入する必要があります。

誤解3:契約のあとでも、税務の対策ができる

M&Aの契約を結んだあとは、手法や、条件を、変更しにくくなります。税制優遇の計画の認定は、取引の前に受ける必要があるなど、タイミングが重要です。契約の前に、税務の影響を、確認しておくことが大切です。

M&Aの税金に関する、よくある質問

M&Aの税金に関する、よくある質問

Q1. M&Aで、会社を売ると、贈与税や、相続税もかかりますか?

第三者への、売却で、適正な対価を受け取る場合は、売却益に、所得税などがかかります。親族への、売却や承継で、対価が低い場合は、贈与税や、相続税が、問題になることがあります。事業承継税制の活用なども、含めて、検討が必要です。

Q2. M&Aの仲介手数料は、経費になりますか?

売り手が、会社(法人)の場合の、事業譲渡などの、仲介手数料は、取引の内容によって、費用の処理が異なります。買い手が、株式を取得するときの、仲介手数料は、株式の取得価額に含まれるのが、一般的です。個別の取引で、税理士に、確認してください。

Q3. 税金の負担を、軽くするために、M&Aの時期を、遅らせたほうがよいですか?

税制の改正の動きなどを、見ながら、時期を決めることも、あります。ただし、会社の業績が、良い時期に、売却したほうが、高く評価されやすく、また、税制の変更が、有利になるとは、限りません。税金だけでなく、会社の状況、買い手の状況なども、総合的に判断してください。

M&Aの前に、確認しておきたい税務の書類

M&Aの前に、確認しておきたい税務の書類

M&Aの検討が進むと、買い手から、税務に関する資料の提出を、求められます。売り手は、次のような書類を、整理しておくと、スムーズです。

  • 直近3期分程度の、決算書と、法人税の申告書の控え
  • 消費税、源泉所得税、法人住民税、事業税などの、申告と納付の状況が分かる書類
  • 税務調査の指摘事項や、修正申告の履歴が分かる書類
  • 固定資産の台帳、役員への貸付金や、借入金の明細
  • 株主名簿と、株式の取得の経緯が、分かる書類(取得費の確認に必要)

特に、株式の取得費は、売却益の計算の基礎になるため、設立のときの出資額や、増資の記録を、確認しておくことが重要です。記録が、不足している場合は、早めに、税理士に、相談してください。

M&Aの税金のご相談はストラーダグループへ

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ストラーダグループでは、税理士や公認会計士などの専門家が連携して、中小企業のM&Aや事業承継を、サポートしています。M&Aの検討段階での、手法ごとの税負担の試算、税制優遇の活用の相談、デューデリジェンス、買収後の経理や税務の支援まで、一貫してご相談いただけます。初回のご相談は無料です。お気軽にご相談ください。

※本記事は、2026年10月時点の情報をもとに作成しています。税制は変更されることがあるため、手続きの前に、国税庁、中小企業庁などの公式情報をご確認ください。

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この記事の監修者
山田 直輝
税理士公認会計士行政書士
2009年公認会計士試験に合格、その後、Deloite Touche Tohmatsu(有限責任監査法人トーマツ)に入所し、メーカー、サービス業、学校、商社等の上場一部企業の会計監査や内部統制監査を行う。監査班では、監査の主任業務を経験した。その後、アドバイザリー部門に部署異動をして、ベンチャー企業支援、賠償業務算定の構築や上場支援業務、企業リスクにおけるリスクマネジメント業務を行う。上場は、リクルートの上場経験を有する。2015年に独立して、ストラーダ税理士法人を設立。「敷居が高くて堅苦しい」税理士のイメージを払拭し、「初めての方でも馴染みやすい」税理士でいることをモットーにしている。趣味は、愛娘と遊ぶこと。
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