経営者の高齢化や後継者不足により、M&Aで経営資源を次の世代に引き継ぐケースが増えています。M&Aには、多くの資金が必要となりますが、補助金を活用して負担を減らすことができます。
今回は、M&Aで利用できる事業承継・引継ぎ補助金について解説しますので、ご覧になってください。
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M&Aに活用できる事業承継・引継ぎ補助金とは?
事業承継・引継ぎ補助金とは、M&Aによる経営革新の取り組みを進める中小事業者を支援するための補助金です。この補助金は「経営革新事業」「専門家活用事業」「廃業・再チャレンジ事業」の3つに分かれていて、M&Aであればどの事業にも応募できる可能性があります。
補助率は応募した時期や申請した事業により異なりますが、令和3年度補正予算分では、対象事業にかかる経費の2/3以内(補助額が400万円を超える部分は1/2以内)となっていて、補助上限額は600万円です。
M&Aでの事業承継・引継ぎ補助金の申請方法
事業承継・引継ぎ補助金は、年に4回程度、断続的に申請を受け付けています。申請には決算書やM&Aに着手したことを証明する書類など、さまざまな書類が必要となります。
事業承継・引継ぎ補助金の採択率は80%を超えることもあり、審査に合格する可能性が高い補助金です。しかし、他の応募者との競争であるため、提出資料で差をつけて採択される確率を上げましょう。
提出書類が揃ったら、電子申請システム「jGrants(ジェイグランツ)」を利用して申請します。jGrantsを利用するにはアカウントが必要になるため、事前に登録しておきましょう。
事業承継・引継ぎ補助金でのM&A事例
事業承継・引継ぎ補助金についてよりイメージしやすいように、採択事例をご紹介します。
事例1:リゾート施設運営会社
西日本を中心に旅館などを運営している企業が、東日本へ進出の足掛かりとして静岡県の旅館をM&Aにて取得しました。
補助金は旅館の改装費用に使われ、昔ながらの和室をモダンな雰囲気の和室に改装して、インバウンドの外国人にも受け入れられやすいようにしました。インバウンドの増加は国を挙げて力を入れているため、外国人客もターゲットに含めた戦略が評価されたとのことです。
事例2:耳鼻科メインの薬局
新型コロナの影響で売上減少している耳鼻科の患者をメインとする薬局が、新型コロナの影響が少ない整形外科の患者メインの薬局をM&Aで取得しました。
引き継いだ薬局は過疎地域にあり、後継者となる薬剤師も不在なので売却先を検討していました。過疎地域の薬局が存続することにより地域のインフラを維持して、さらに高齢者向けに在宅訪問サービスをおこなうという点が評価されたとのことです。
補助金は、M&A会社への仲介手数料の支払いに使用されました。
まとめ
事業承継・引継ぎ補助金は、M&Aなどにより経営革新に取り組む中小企業を支援する制度です。
採択率が80%を超えることもある補助金ですが、専門家などに相談しながら資料作成をして採択される確率を高めることが重要です。
また、こちらの記事「新・事業承継税制とは?利用する要件、メリット・デメリットまとめ」で、新・事業継承税制のメリット・デメリットについて解説していますので、あわせてご覧になってみてください。