東京都千代田区で、創業を考えている方にとって、資金調達の選択肢のひとつが、千代田区の「商工融資あっせん制度」です。区が、東京信用保証協会と、指定金融機関と協調して行う制度で、創業者向けの資金として、「起業資金」が、用意されています。
この記事では、千代田区の公式サイトと、「千代田区商工融資あっせん制度のご案内」をもとに、千代田区の起業資金の、対象者、申し込みの流れ、利用できない場合、特定創業支援事業による優遇措置を、整理します。日本政策金融公庫の創業融資との違いも、あわせて解説します。
なお、融資の条件(限度額、利率、返済期間など)は、年度ごとに、見直されます。この記事は、2026年10月時点の公表情報をもとにしています。申し込みの前に、必ず、千代田区の最新の案内や、窓口で、ご確認ください。
Contents
千代田区の商工融資あっせん制度とは

千代田区の商工融資あっせん制度は、区内の中小企業者の経営の安定を図るため、区、信用保証協会、指定金融機関の三者が協調して行う、融資制度です。区は、融資にかかる利子の一部を補給したり、信用保証料を補助したりすることで、利用者の負担を、軽くしています。補助や、補給の内容は、資金の種類によって異なります。
創業を考える方が、主に、利用するのは、「起業資金」です。区内で営業して1年以上になる方は、起業資金ではなく、通常の商工融資あっせん制度の対象になります。
起業資金の対象者

区の公式サイトと、制度のご案内によると、起業資金の対象は、保証協会の保証対象事業に、着手していることが明らかで、次のいずれかに該当する方です。起業前の場合は、原則として、1か月以内に、新たに個人で、または、2か月以内に、新たに会社を設立しようとする、具体的な計画を持つ方とされています。
| 区分 | 対象 |
|---|---|
| 起業前(個人) | 事業を営んでいない個人で、この融資と同額以上の自己資金、および、事業に必要な知識・技能を有し、千代田区内で、はじめて起業しようとする方 |
| 起業前(会社の分社など) | 中小企業者である会社が、自らの事業の全部または一部を継続して実施しつつ、新たに会社を設立して起業しようとするもの。新たに設立する会社の、筆頭株主となること |
| 起業後(個人) | 事業を営んでいなかった個人が、起業して1年未満のもの |
| 起業後(会社の分社など) | 会社が、自らの事業の全部または一部を継続しつつ、新たに設立した会社で起業し、起業後1年未満のもの。会社が、新たに設立する会社の、設立時から筆頭株主となっていること |
区内の要件
起業する場所は、千代田区内に限られます。起業後に、申し込む場合は、申し込みの時点で、会社は、区内に本店登記があり、個人事業は、主たる事業所が区内にあることが、必要です。
資金の使いみち
資金の使いみちは、起業するために必要な、運転資金と、設備資金です。設備資金の場合は、見積書が、必要です。
利用できない場合

区の公式サイトによると、次のような方は、起業資金を利用できません。
- 本店登記が、千代田区にあっても、営業の実態が、千代田区にない方、または、営業の実態が確認できない方(バーチャルオフィスの方は利用できません)
- 金融業、遊興娯楽業のうち風俗関連営業、宗教法人など、東京信用保証協会の保証対象外の業種を営んでいる方
- 資金の使いみちが、税金の支払い、債務の補填、生活資金、住宅資金、投機資金、出資金、株券その他の有価証券の取得金などの場合。使いみちが不明確、または、確認できない場合
- 暴力団、暴力団員など、暴力団が経営を支配していると認められる関係等を有している方
申し込みの流れ

起業資金は、区の窓口で、中小企業診断士と面談を重ねて、起業計画書を作成したうえで、申し込みが可能になります。区の公式サイトによると、流れの概要は、次のとおりです。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1. 予約 | 区の予約ページから、日時を選んで予約するか、中小企業診断士を指名して予約する |
| 2. 面談 | 千代田会館8階の商工観光課(九段南1-6-17)で、中小企業診断士と面談し、起業計画書を作成する。必要書類は、診断士から、別途案内される |
| 3. 申し込み・審査 | 必要書類を提出し、区のあっせん、金融機関と信用保証協会の審査を受ける |
| 4. 融資の実行 | 審査が通れば、融資が実行される |
| 5. フォローアップ診断 | 融資実行後、おおむね6か月が経過した時点で、担当の中小企業診断士による、経営診断を受ける |
必要書類
区の公式サイトでは、必要書類として、創業計画書(エクセルの様式)が、案内されています。他の必要書類は、中小企業診断士から、別途案内されます。ご案内には、起業資金の場合、起業計画書、課税証明書、納税証明書、見積書など、経営相談員との面談で準備、作成した書類を、提出することが示されています。
予約の注意点
「ワンストップ相談窓口(特定創業支援事業)」と、「起業資金の融資あっせん申込」は、別の手続きです。特定創業支援事業の証明書の発行も希望する場合は、起業資金ではなく、ワンストップ相談窓口の予約になります。目的に合わせて、予約の種類を、選んでください。
融資の条件(限度額・利率・期間)の確認方法

融資の限度額、利率、返済期間などの条件は、年度ごとに、見直されます。「千代田区商工融資あっせん制度のご案内」(令和8年4月1日現在)に、資金ごとの一覧表が掲載されています。たとえば、営業資金などの資金では、融資限度額、名目利率、区の利子補給率、本人負担率、融資期間が、表にまとめられています。
起業資金の具体的な数字は、必ず、区のご案内(PDF)で、最新のものを確認してください。区の窓口(地域振興部 商工観光課 経営相談・融資担当、電話03-5211-4344)でも、確認できます。
特定創業支援事業と、優遇措置

千代田区は、区内の創業支援事業者と連携して、創業予定の方や、創業後5年未満の方に、支援を行っています。この取り組みが、国の認定を受けているため、特定創業支援事業を受けた創業者は、証明書の発行を受けて、さまざまな優遇を受けられます。
利用できる方
- 事業を営んでいない個人で、6か月以内に創業する具体的な計画を有する方
- 事業を営んでいない状態で創業し、その事業を創業して5年未満の方
法人成りの場合は、個人事業主の開業届から5年未満の方が対象です。すでに創業後の方が、新たに別事業を開始する場合は、法人成りを除いて、対象外です。
区内の特定創業支援事業(3つ)
| 事業 | 内容 |
|---|---|
| ワンストップ相談窓口(千代田区役所) | 中小企業診断士が3名常駐し、事業計画書の作成や融資あっせん、諸手続きの案内などを行う。1か月以上かつ4回以上、支援を受けた場合に、特定創業支援事業を受けたことになる |
| ビジネス起業塾(公益財団法人まちみらい千代田) | 創業に必要な知識や考え方を学び、最終的に事業計画書を作成するまで支援する、全9回の講座。7回以上出席した場合に、受けたことになる |
| 創業窓口相談・専門家相談(東京商工会議所千代田支部) | 相談員が常駐し、事業計画や諸手続きの相談のほか、課題に応じて、中小企業診断士、税理士、公認会計士等の専門家が、継続してサポートする。1か月以上かつ4回以上、支援を受けた場合に、受けたことになる |
主な優遇措置
| 優遇措置 | 内容 |
|---|---|
| 会社設立時の登録免許税の軽減 | 株式会社または合同会社は、資本金の0.7%の登録免許税が、0.35%に軽減される(株式会社の最低税額15万円は7.5万円、合同会社の最低税額6万円は3万円)。創業する区域は、千代田区に限る |
| 創業関連保証の特例 | 無担保、第三者保証人なしの創業関連保証を、事業開始の6か月前から利用できる。千代田区以外で創業する場合も、受けられる |
| 東京都創業融資の特例 | 東京都の創業融資を利用する際の融資利率が、0.4%優遇される。千代田区以外でも、受けられる |
| 日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金 | 貸付利率の引き下げの対象となる。千代田区以外でも、受けられる |
優遇措置は、証明書が発行されれば、必ず受けられるわけではなく、別途、審査があります。登録免許税の軽減を受けるには、会社の設立登記の前に、証明書を取得しておく必要があります。
区と連携する、創業支援の窓口

区の公式サイトによると、千代田区と連携する創業支援事業者と、主な支援は、次のとおりです。
- 公益財団法人まちみらい千代田:ビジネス起業塾、中小企業の総合相談窓口、区内のインキュベーション施設の紹介
- 日本政策金融公庫(東京支店、上野支店):創業サポートデスク、創業融資
- 東京商工会議所千代田支部:創業窓口相談・専門家相談、ワンストップ融資相談会、税務・記帳相談
- 興産信用金庫:女性・若者・シニア創業サポート、補助金申請支援
日本政策金融公庫との使い分け

創業時の資金調達には、区の制度融資のほかに、日本政策金融公庫の創業融資も、あります。日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、融資限度額が7,200万円で、創業期の方は、原則として、無担保・無保証人で利用できます(公庫の案内)。
| 項目 | 千代田区の起業資金 | 日本政策金融公庫 |
|---|---|---|
| 対象 | 千代田区内で創業する方 | 全国の、創業期の方 |
| 申し込み | 区の中小企業診断士との面談を経て、あっせん | 公庫へ直接申し込み |
| 保証 | 東京信用保証協会の保証 | 公庫が直接融資 |
| 主な特徴 | 区の利子補給や、保証料補助が受けられる場合がある。融資後のフォローアップ診断がある | 創業支援貸付利率特例制度などによる、利率の引き下げ |
どちらが有利かは、事業の内容、必要な資金、スケジュールによって異なります。両方を比較し、組み合わせることも、検討できます。公庫の詳細は、別の記事「創業融資は自己資金なしでも受けられる?現在の制度を解説」で、解説しています。
申し込みの前に、準備しておくこと

- 創業の動機、経歴、事業の内容、売上の見込み、資金計画を、整理する
- 融資と同額以上の自己資金が、あることを示す資料(通帳の写しなど)を準備する
- 事業所の候補が決まっている場合は、賃貸借契約の準備を進める(バーチャルオフィスは対象外)
- 設備資金の場合は、見積書を取得する
- 面談の予約が必要なため、開業の予定日から逆算して、早めに予約する
- 登録免許税の軽減を受けたい場合は、設立登記の前に、特定創業支援事業を受けて、証明書を取得する
起業計画書で、伝えたいこと

起業資金の面談では、中小企業診断士と一緒に、起業計画書を作り込みます。次の点を、整理しておくと、面談がスムーズに進みます。
- 起業の動機と、これまでの経歴・経験が、事業にどう生きるか
- 商品やサービスの内容、お客様、販売の方法
- 売上の見込みの根拠(客数、単価、取引先の見込みなど)
- 必要な資金(設備、運転資金)と、自己資金の額、その調達の方法
- 返済の見通し(毎月の返済額と、売上の関係)
面談で指摘を受けた点は、計画書に反映し、不明な点は、その場で質問して、解消しておきましょう。融資の実行後も、フォローアップ診断があるため、計画の進み具合を、日頃から、記録しておくと安心です。
よくある質問

Q1. 千代田区で創業すれば、誰でも、起業資金を利用できますか?
区内で起業する方が対象ですが、要件があります。営業の実態が確認できない方や、バーチャルオフィスの方、保証対象外の業種などは、利用できません。
Q2. 面談は、必ず必要ですか?
起業資金は、区の窓口で、中小企業診断士と面談を重ねて、起業計画書を作成したうえで、申し込みが可能になります。
Q3. 融資を受けたあとに、何か手続きはありますか?
融資の実行後、おおむね6か月が経過した時点で、担当の中小企業診断士による、経営のフォローアップ診断を受けます。
Q4. 令和8年度の融資の条件は、どこで確認できますか?
千代田区のホームページの「千代田区商工融資あっせん制度」のページや、ご案内(PDF)で確認できます。最新の条件は、商工観光課の窓口でも、確認してください。
創業融資のご相談はストラーダグループへ

ストラーダグループでは、東京都内での会社設立や、創業融資のご相談を、税理士などの専門家が、お受けしています。創業計画書の作成、資金計画の整理、区の制度融資や、日本政策金融公庫の融資の比較まで、状況に合わせて、サポートします。初回のご相談は無料です。お気軽にご相談ください。
※本記事は、2026年10月時点の情報をもとに作成しています。融資の条件は年度ごとに変更されることがあるため、申し込みの前に、千代田区の公式情報をご確認ください。




