税務対策は、企業の財務健全性を保ちつつ、利益を最大化するために欠かせない取り組みのひとつです。
特に中小企業の中でも規模の小さいマイクロ法人や、創業して間もないスタートアップ企業は大手企業に比べると資金繰りが難しく、売り上げの規模に対する税負担が大きくなりやすいため、適切な税務対策は資金繰りの改善や将来の投資余力を確保する上で重要な要素となります。
本記事では、税理士の視点から成功する税務対策のポイントと、信頼できる税理士の選び方について詳しく解説します。また、最新の税制改正に関する情報も交えながら、実践的なアドバイスについてもご紹介しておりますので是非参考にして下さい。
Contents
成功する税務対策のポイント
税務対策は、事業の規模や形態によって取り組み方が異なります。個人事業主の方にとっても参考になる部分は多くありますが、今回は特に 『法人化している企業』に焦点を当てて、実務的かつ効果的な税務対策のポイントをご紹介していきます。
法人ならではの制度や選択肢を活かすことで、税負担を抑えつつ、将来的な事業の安定や成長にも繋げることができます。税務対策を考える際のヒントとして、ぜひお役立てください。
会社に必要なものを購入する
事業に必要な設備や備品の購入は、適切なタイミングで行うことで節税効果を得られます。特に決算期前に業務用の支出を行うことで、当期の経費として計上でき、課税所得を抑えることが可能です。ただし、無駄な支出は避け、実際に業務に必要なものであるかしっかりと見極めるようにしましょう。
役員報酬を増やす
役員報酬の増額は、法人税の課税所得を減少させる手段の一つです。注意すべき点としては、報酬を変更するには定款や株主総会の決議が必要であり、税務上の要件を満たさなければなりません。
また、役員報酬を引き上げることで法人税は減少しますが、個人側の所得税や社会保険料の負担が増えるため、結果的に役員の手取りが減ってしまう可能性もあります。そのため、法人と個人それぞれの負担やメリットを比較しながら、全体のバランスを踏まえた上で慎重に判断することが大切です。
法人名義で車を所有する
業務で使用する車両を法人名義にすることで、車両関連の費用(ガソリン代、保険料、車検費用など)を経費として計上できます。なお、私的利用分は経費として認められないため、業務使用割合を明確にし、適切に管理する必要があります。
福利厚生を充実させる
福利厚生の充実は、従業員の満足度やモチベーションの向上に大きく貢献します。例えば、健康診断や社宅の提供、社員食堂の運営などが該当します。さらに、これらの費用は一定の要件を満たすことで全額損金として算入できるうえに、従業員にも所得税が課税されないケースが多いため、企業・従業員の双方にとって効果的な節税対策になります。
赤字を繰り越す
赤字が発生した場合、その損失を翌期以降に繰り越すことができます。これにより、将来の黒字と相殺し、課税所得を減少させることが可能です。ただし、繰越期間や要件については税制改正により変更されることがあるため、最新の情報を随時確認するようにして下さい。
不要な在庫を処分する
売れ残った在庫や陳腐化した商品を処分することで、『在庫評価損』として経費計上が可能です。適切な在庫管理と定期的な棚卸しにより、不要な在庫の早期発見と処分が節税に繋がります。
節税に強い税理士の見極め方
信頼できる税理士と連携することは、税務対策を成功させるカギとなります。特に東京のような大都市では、税理士事務所の数が多く、飲食業や不動産業など業種ごとの専門性に長けた事務所も多数存在します。
そのため、自社のニーズに合った税理士を見つけやすい反面、選択肢が豊富であるが故に、どの事務所を選ぶべきか迷ってしまうケースも少なくありません。
また、税理士とは、法人税や消費税、相続税など幅広い税目を扱う専門家であり、高度な知識と実務経験が求められます。加えて、年収やスキルの差も大きく、人によって対応力や得意分野が異なります。
税理士選びで失敗しないためにも、知識や実績だけでなく、依頼にかかる費用や対応の丁寧さなどを含めて、総合的に判断することが重要です。
豊富な実績がある
経験豊富な税理士であれば、節税だけでなく万が一の税務調査にも的確に対応してくれるため、安心して任せることができます。
どのような実績があるかは、税理士事務所の公式サイトやSNSのプロフィールなどから確認できることが多いため、事前にチェックしておくことをおすすめします。
自社の業界に詳しい
特定の業界に精通した税理士は、その分野ならではの税務知識や慣習を踏まえた、より的確なアドバイスを提供してくれます。自社の事業領域に詳しい税理士を選ぶことで、専門性の高い節税対策やリスク管理が可能になります。
最新情報への感度が高い
税制は頻繁に改正されるため、最新の情報を常に把握している税理士は信頼できます。定期的な研修や情報収集を行っている税理士は、最新の税制改正にも対応可能です。
そうした税理士と連携することで、企業は見落としやミスによる税務リスクを回避できるだけでなく、新たに導入された優遇措置や控除制度をいち早く活用することができ、節税効果の最大化にも繋がります。
価格と契約条件は適正か
依頼する際にかかる費用や契約内容が不透明だと、後々のトラブルの原因になります。報酬体系が明確で、自社のニーズに合った契約条件かどうかを必ず確認しましょう。予め見積書をもらい、料金やサービス内容を具体的に把握しておくと安心です。
2025年最新版!税制改正の概要と注意点
近年の税制改正では、資金繰りや税務戦略に深く関わる重要な変更がいくつも盛り込まれています。特に注目されているのが、インボイス制度の定着に伴う消費税対応の強化、電子帳簿保存法の完全実施、そして中小企業向けの各種優遇措置の見直しです。
たとえば、電子帳簿保存法では、要件を満たしていない場合には青色申告の特典(最大65万円または10万円の特別控除等)が受けられない恐れがあります。また、インボイス制度では、仕入税額控除の適用に関する要件が厳格になるため、請求書の発行方法や取引先とのやり取りについて万全の対応が求められます。
さらに、法人税率の軽減などの特例措置については、対象となる中小企業の範囲が縮小しています。その結果、たとえ資本金が1億円以下であっても、大企業の子会社など一部の企業は対象から外れる可能性があるため、制度の適用条件を事前にしっかり確認しておく必要があります。
改正項目 | 概要 | 対策や注意点 |
---|---|---|
インボイス制度の運用強化 | 適格請求書の記載要件・保存義務が明確化 | 登録状況の確認、請求書フォーマットの見直し |
電子帳簿保存法の完全適用 | 全法人に対しデジタル保存のルールが義務化 | システム整備と運用ルールの社内周知 |
中小企業優遇税制の見直し | 適用対象の基準が厳格化され一部制度が縮小 | 自社が対象かどうか早めにチェック |
最新の税制に即した対応を行うことで、不要なリスクを回避しつつ、有利な制度を最大限に活用することが可能です。早めの確認と実務対応を心がけましょう。
税理士を味方につけて税務対策を正しく実践しよう
税務対策を適切かつ納得のいく形で進めていくためには、幅広い知識と豊富な経験の両方が求められます。しかし、日々の業務に追われ、税制についてじっくり学ぶ時間が取れないと悩んでいる方も多いことでしょう。
そのような場合でも、信頼できる税理士と連携することで、合法的かつ効果的な節税が可能となります。
なお、弊社では税理士をはじめ、公認会計士、社会保険労務士、行政書士などの資格を所有する専門家が連携し、企業の全体最適を目指したサポートを提供しています。
ワンストップでのサービスにより、部分的な対応にとどまらず、企業戦略に基づいた効果的な節税が可能です。また、最新の税制改正にも精通しており、常にニーズや環境の変化に応じた最善のアドバイスを心がけています。
節税・税務に関するお悩みを抱えている方は、ぜひストラーダグループにお任せください。