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2026.10.30 法人税

赤字決算でも納税が必要な理由と繰越欠損金の使い方【税理士無料相談】

赤字決算でも納税が必要な理由と繰越欠損金の使い方【税理士無料相談】

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決算が赤字になると、「利益が出ていないのだから税金はかからない」と考える経営者の方は少なくありません。ただし、会計上の赤字と税務上の欠損は同じではありません。会計上の費用でも税務上は損金にならない金額などを調整した結果、赤字決算でも課税所得が生じ、法人税などの納税が必要になることがあります。また、赤字決算でも納める税金や、提出が必要な申告書があります。

特に設立1期目の会社や、売上が一時的に落ち込んだ会社では、「赤字だから申告は不要」と思い込まないことが大切です。無申告や期限後申告が続くと、青色申告の承認の取消しにつながるおそれがあります。赤字の年に正しく申告しておくことは、翌年以降に黒字になったときの税負担を軽くするための準備でもあります。

この記事では、赤字決算でも納税が必要になる税金の種類、赤字を翌年以降に引き継ぐ繰越欠損金の仕組みと要件、赤字の年に気をつけたい実務のポイントを、順を追って解説します。

赤字決算でも納税が必要になる税金

赤字決算でも納税が必要になる税金

法人が納める主な税金には、税務上の所得にかかるものと、所得の有無にかかわらずかかるものがあります。会計上の赤字でも税務調整後の所得が生じる場合があるため、納税の要否はそれぞれの税金の計算に従って判断します。

税金の種類 赤字のときの扱い
法人税・地方法人税 税務上の所得がなければ、所得に対する税額は原則として生じません。会計上の赤字だけでは判断できません
法人事業税 所得割は税務上の所得がなければ基本的に生じません。ただし、外形標準課税の付加価値割・資本割や、一定の事業にかかる収入割は、赤字でも生じることがあります
法人住民税(均等割) 通常の株式会社等では、赤字でも、資本金等の額や従業者数などに応じた額がかかります
消費税・地方消費税 課税事業者で、納税額が計算上生じる場合は、赤字でも納めます
固定資産税(償却資産を含みます) 原則として毎年1月1日現在の土地・家屋・課税対象の償却資産の所有者にかかります。ただし、免税点や非課税などの適用があります

このうち、特に見落とされやすいのが法人住民税の均等割と消費税です。

法人住民税の均等割は、事務所等のある都道府県や市区町村に納める税金で、利益の有無にかかわらず、税率区分の判定に用いる資本金等の額や従業者数などに応じて計算します。複数の自治体に事務所等がある場合や、事業年度の途中で設立した場合は、申告先や事務所等が存在した月数による計算も確認します。自治体や会社の状況によって金額が異なるため、事務所等のある自治体の案内で確認してください。

消費税は、会社の損益とは別に計算します。たとえば、課税売上げがある一方で、費用の多くが給与などの課税仕入れに当たらない支払いであれば、会計上は赤字でも納税が生じることがあります。一般課税では、受け取った税額と支払った税額の単純な差額ではなく、控除できる仕入税額などの要件も確認します。

1.均等割だけを納める赤字の会社も申告が必要

赤字で法人税の納税額がなくても、株式会社などの普通法人は決算を確定させたうえで、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内に法人税などの確定申告書を提出します。法人住民税の申告と均等割の納付も必要です。さらに、2026年4月1日以後に開始する事業年度からは、各事業年度の所得に対する法人税を課される法人について、防衛特別法人税の確定申告書も必要です。この税額がゼロでも申告は必要です。「赤字だから申告書は出さなくてよい」という取り扱いにはなりません。

申告しない状態を放置すると、青色申告の承認の取消しや、欠損金の繰越控除の要件を満たせないといった不利益につながるおそれがあります。ただし、期限後申告をしただけで、過去の欠損金が直ちにすべて失効するわけではありません。

2.赤字でも納める消費税の考え方

消費税の一般課税では、課税売上げにかかる消費税額から、要件を満たす仕入税額などを控除して納税額を計算します。仕入税額控除には、原則として帳簿と適格請求書等の保存が必要です。簡易課税や、一定の課税期間に適用できる2割特例などでは計算方法が異なりますが、いずれも会計上の赤字だけで納税がなくなるわけではありません。

設立1期目の会社でも、期首の資本金の額または出資の金額が1,000万円以上であるなど一定の要件に当てはまれば、納税義務は免除されません。この基準に満たなくても、大規模な事業者に支配される特定新規設立法人に該当する場合や、課税事業者を選択している場合などは、免税にならないことがあります。適格請求書発行事業者の登録を受けている会社も、納税義務は免除されません。ただし、課税売上げがなく、かつ納付税額もない課税期間は、確定申告が不要です。この場合でも、仕入税額や中間納付額について還付申告ができることがあります。登録の効力が生じる時期と対象の課税期間を確認し、2期目は特定期間の課税売上高等による判定にも注意しましょう。

繰越欠損金とは?赤字を翌年以降に引き継ぐ仕組み

繰越欠損金とは?赤字を翌年以降に引き継ぐ仕組み

繰越欠損金とは、税務上生じた欠損金のうち、翌事業年度以降に繰り越して所得から控除する対象となる金額です。その繰越控除により、将来の法人税の負担を軽くできる場合があります。会計上の赤字額がそのまま対象になるとは限らず、損金不算入などの税務調整後の金額で判断します。

項目 内容
繰り越せる期間 2018年4月1日以後に開始した事業年度に生じた欠損金は、最長10年間
控除できる金額 中小法人等は、繰越欠損金控除前の所得金額が限度です。それ以外の法人は原則50%が限度ですが、新設法人や更生・再生手続中の法人等の一定の事業年度には例外があります
主な要件 欠損金が生じた事業年度の青色申告書の提出、その後の連続した確定申告書の提出、対象となる帳簿書類の保存などが必要です

たとえば、中小法人等に該当する会社で、1期目の税務上の欠損金が2期目の繰越控除前の所得を上回る場合を考えます。適用要件を満たせば、その所得を限度に欠損金を控除でき、未使用の残額は法定の繰越期間内で後の事業年度の控除対象となります。中小法人等に当たるかは資本金だけで決まらず、一定の大法人の完全子法人等や大通算法人は除かれます。

1.青色申告であることが前提になる

繰越欠損金を引き継げるのは、原則として、欠損金が生じた事業年度に青色申告書を提出している場合です。設立1期目から青色申告にするには、会社の設立の日以後3か月を経過した日と、1期目の事業年度終了の日とのうち、いずれか早い日の前日までに「青色申告の承認申請書」を提出する必要があります。期限が休日等に当たる場合は、休日等明けの日が提出期限となります。その事業年度について青色申告の承認を受けられない場合は、通常の青色欠損金の繰越控除は受けられません。ただし、災害損失欠損金には、白色申告でも一定の要件で繰越控除を受けられる別の制度があります。

2.連続して申告書を出していることも要件

青色申告の欠損金の繰越控除は、その後の各事業年度についても、連続して確定申告書を提出することが要件です。後の申告書は白色申告書でも構いませんが、申告しない事業年度を残すと要件に影響します。また、国税庁の事務運営指針では、無申告や期限後申告を理由とする青色申告の承認取消しは、原則として2事業年度連続で期限内申告がなかった場合に行い、2事業年度目以後が対象です。申告漏れに気づいた場合は速やかに対応しましょう。

3.繰越控除と繰戻し還付は別の制度

税務上の欠損金を使う方法には、将来の所得から控除する繰越控除のほか、過去に納めた法人税について還付を請求する「欠損金の繰戻し還付」があります。中小企業者等では、原則として欠損事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度の法人税が対象です。対象期間の連続した青色申告、欠損事業年度の期限内の青色申告、確定申告書と同時の還付請求書の提出などが必要です。資本金が少額でも、一定の大法人の完全子法人等は対象外となる場合があります。中小企業者等以外の法人は、2028年3月31日までに終了する事業年度に生じた欠損金について原則として適用が停止されていますが、解散や事業の全部の譲渡等の法定の事実、災害損失などには例外があります。繰戻し還付に使った欠損金を重ねて繰越控除することはできません。どの方法が適切かは、会社の状況によって変わります。

赤字の年に気をつけたい実務のポイント

赤字の年に気をつけたい実務のポイント

赤字決算の年は、黒字の年とは違う視点での確認が必要です。主なポイントを整理します。

  • 赤字でも、決算書と法人税・地方法人税、法人事業税・法人住民税などの申告書を期限内に提出し、対象事業年度では防衛特別法人税の申告書も確認します
  • 設立1期目は、青色申告の承認申請書を、期限内に提出したかを確認します
  • 消費税の課税事業者に当たるかどうか、インボイスの登録の有無を確認します
  • 役員報酬の見直しは、定期同額給与など税務上のルールに沿って行います
  • 交際費や寄附金など、損金に算入できる額に制限がある費用を確認します
  • 金融機関への決算書の提出を見据えて、赤字の理由と改善の方針を整理しておきます

1.役員報酬を急に下げると税務上の問題が生じる

赤字が見えてきたとき、役員報酬を期の途中で下げる場合は、定期同額給与などの損金算入要件を確認します。通常の給与改定は、原則として事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月を経過する日までに行います。その後の減額でも、経営状況の著しい悪化などの業績悪化改定事由に該当し、改定前後の支給額がそれぞれ同額であるなどの要件を満たせば、定期同額給与として扱われる場合があります。単なる業績目標の未達や一時的な資金繰りの都合だけでは、この事由に当たりません。役員の地位や職務の重大な変更などによる臨時改定事由もあるため、変更の時期と理由を税理士に確認してから決めてください。

2.赤字が続くと資金繰りと融資に影響する

税金の面では赤字が有利に働く面があっても、赤字が続くと、金融機関からの評価や資金繰りに影響することがあります。納税額が少ないことと、会社の経営が健全であることは別の話です。赤字の原因が一時的なものか、構造的なものかを分けて把握し、売上の改善や経費の見直しの計画を立てておくことが大切です。

3.欠損金は帳簿と申告書で管理する

繰越欠損金の額は、法人税の確定申告書の別表七(一)などで管理します。毎年、発生年度ごとの残高、使用額と繰越期限を確認してください。申告書の控えだけでなく、帳簿や契約書、領収書などの対象書類も保存します。法人税法上の通常の保存期間は確定申告書の提出期限の翌日から7年間ですが、青色申告の欠損金が生じた事業年度の対象帳簿書類は10年間です。2018年4月1日前に開始した事業年度は9年間です。電子取引データの保存要件も確認し、税理士が交代しても引き継げるようにしておきましょう。

赤字決算の申告までの流れと準備する書類

赤字決算の申告までの流れと準備する書類

赤字決算であっても、申告までの基本的な流れは黒字の年と変わりません。原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内に申告するため、早めに段取りを組むことが大切です。次の時期は作業の目安であり、期限の延長を受けている場合や、消費税の課税期間を短縮している場合などは、別途確認します。

時期 主な作業
決算の1〜2か月前 試算表で着地の見込みを確認し、消費税の見込額や、役員報酬・在庫・未払費用などの確認を行います
決算日 棚卸や、預金残高・売掛金・買掛金の残高を確認します
決算日の翌日から1か月程度 帳簿を締めて決算書を作成し、法人税などの申告書を作成します
決算日の翌日から2か月以内 法人税・地方法人税、法人事業税・法人住民税などの申告書を提出し、必要な税額を納めます。対象事業年度では防衛特別法人税も申告します。通常の課税期間の消費税も原則として同じ期限です

法人の消費税の申告期限は、原則として課税期間終了の日の翌日から2か月以内です。法人税の申告期限の延長の特例を受けても、消費税の期限が自動的に延びるわけではありません。その特例の対象法人が別途「消費税申告期限延長届出書」を提出し、要件を満たせば、事業年度終了の日の属する課税期間の申告期限が1か月延長されます。通常は事業年度終了の日までの届出が必要で、この日は休日でも後ろに延びません。通算法人には提出時期の特例があります。延長期間の納付には利子税がかかるため、税目ごとの納付時期も確認しましょう。通常の申告・納付期限が土日・祝日等の場合は、休日等明けの日が期限となります。

1.赤字の例で全体の流れを確認する

例として、設立1期目に会計上の赤字となった会社を考えます。まず、交際費や役員給与などの税務調整後も欠損となるかを確認します。税務上も欠損であれば、所得に対する法人税や法人事業税の所得割は原則として生じませんが、法人住民税の均等割や消費税などは別に判定します。均等割は、会社の資本金等の額や従業者数、事務所等の存在月数などに応じて計算します。

2期目に税務上の所得が生じた場合は、1期目の青色欠損金の残高と適用要件、2期目の控除限度額を確認し、その範囲で控除します。中小法人等に該当し、繰越欠損金が所得より少なければ、原則としてその差額が控除後の所得になります。1期目の青色申告の承認や、連続した確定申告書の提出、帳簿書類の保存に問題がある場合は、控除を受けられるか個別に確認します。

2.赤字決算のときに準備しておきたい書類

赤字の年でも、貸借対照表・損益計算書などの決算書、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書など、必要な添付書類を準備して申告書とともに提出します。税務調整や繰越控除の計算に必要な明細も確認します。売上が落ちた理由や費用がかさんだ理由は、帳簿や証拠書類と対応させて整理しておきましょう。

とくに、役員への貸付金や仮払金、立替金などは、実態に合った処理かを確認します。代表者との資金のやり取りがある場合は、会社からの貸付けか、会社への借入れかを区別し、返済条件や利息などを整理します。会社から役員への無利息・低利の貸付けは、一定の例外を除き、利息相当の経済的利益が役員の給与として課税される場合があります。

3.赤字でも金融機関や取引先には決算書が見られる

決算書は、金融機関への融資の相談や、取引先の与信審査で提出を求められることがあります。審査基準は個別ですが、決算書の数値に加え、事業の見通しや返済能力なども確認されます。赤字の理由と改善の見通しを説明できる資料を用意しておきましょう。繰越欠損金も将来の税負担に関わるため、税理士とともに決算書と今後の計画を整理しておくことが役立ちます。

赤字決算の税務申告でよくある失敗と対策

赤字決算の税務申告でよくある失敗と対策

赤字の会社が陥りやすい失敗と、その対策を整理します。

  • 赤字だから申告書を提出せずにいた → 赤字でも必要な申告書を期限内に提出します。通常の株式会社等では、均等割の納付も必要です。
  • 設立1期目の青色申告の承認申請が間に合わなかった → 設立の日以後3か月を経過した日と1期目の事業年度終了の日のうち、早い日の前日を原則の期限として申請します。
  • 赤字なので消費税の納税はないと思い込んでいた → 課税事業者かどうかと、消費税の計算の結果を、決算前に確認します。
  • 役員報酬を期の途中で変更して、損金に算入できなくなった → 定期同額給与などのルールを確認してから変更します。
  • 繰越欠損金の額を把握しておらず、黒字の年に使い損ねた → 申告書の別表で、毎年の残高を確認します。
  • 赤字の理由を整理しないまま、融資の相談に臨んだ → 赤字の原因と改善の計画を、数字で説明できるようにします。

どの失敗も、決算前の確認と、申告書の控えの管理で防ぎやすくなります。

赤字決算の税務のお悩みはストラーダグループへ

赤字決算の税務のお悩みはストラーダグループへ

赤字決算でも、申告の期限や、青色申告の承認、消費税の判定、繰越欠損金の管理など、確認すべき点は少なくありません。決算の状況や、設立からの経過、今後の事業計画によっても、適切な対応は変わります。

ストラーダグループの税理士法人では、決算と税務申告、消費税の判定、繰越欠損金の管理などについてご相談を承ります。赤字の理由を整理し、翌期以降の資金繰りや税務上の対応方針を検討します。具体的な支援内容は、ご相談の際にご確認ください。

税金の納め忘れや申告の遅れが不安な方、設立1期目で何から手を付けてよいか分からない方は、お気軽にご相談ください。期限のある申請や届出を確認できるよう、決算前の相談をおすすめします。無料相談の時間や方法、対象となる相談内容は、予約時にご確認ください。

※本記事は、2026年10月29日時点で確認した公的情報をもとに作成しています。税制や手続きの内容は改正されることがあるため、実際の申告の前に、国税庁、各自治体の税務窓口、eLTAXなどの公式情報をご確認ください。

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この記事の監修者
山田 直輝
税理士公認会計士行政書士
2009年公認会計士試験に合格、その後、Deloite Touche Tohmatsu(有限責任監査法人トーマツ)に入所し、メーカー、サービス業、学校、商社等の上場一部企業の会計監査や内部統制監査を行う。監査班では、監査の主任業務を経験した。その後、アドバイザリー部門に部署異動をして、ベンチャー企業支援、賠償業務算定の構築や上場支援業務、企業リスクにおけるリスクマネジメント業務を行う。上場は、リクルートの上場経験を有する。2015年に独立して、ストラーダ税理士法人を設立。「敷居が高くて堅苦しい」税理士のイメージを払拭し、「初めての方でも馴染みやすい」税理士でいることをモットーにしている。趣味は、愛娘と遊ぶこと。
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