個人事業主として売上が増えてくると、会社を設立した方が特になる場合があります。しかし、会社の設立には費用がかかるため、安易に法人成りを決めるのは危険です。
そこで今回は個人事業主が会社を設立すると得をするかを、経費の範囲や税金面から解説します。
会社設立に必要な費用も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
個人事業主が会社設立すると得する?
個人事業主と法人では、経費の範囲や課税される税金などに違いがあります。ここでは、個人事業主が会社を設立すると得するのかを解説します。
経費の範囲
事業のために使用したお金は、すべて経費にできるのは個人でも法人でも同じです。ただし、法人の場合は、経営者本人と従業員として働く家族への給与や出張費など、経費の範囲が広がります。
個人事業主は、売上から経費を差し引いた金額が事業所得となり、給与の概念はありません。そのため、自身の収入は経費にはなりません。
法人であれば、役員報酬や役員賞与として経費に算入できます。
取引先からの信頼
法人は会社法などにより、組織としての体制を整えることが義務付けられています。法的な制約がある分、個人事業主よりも取引先などからの社会的信用が高まります。
取引先を増やして事業を拡大したい場合や、銀行からの融資をスムーズに受けたい場合は、法人の方が有利といえるでしょう。
税金
法人と個人では、課税される税金の種類が異なります。
個人事業主は所得の金額に応じて、5~45%の所得税が発生します。法人は、所得が800万円以下なら15%、800万円を超える場合は23.2%の法人税が課税されます。
所得が少ないと個人の方が有利ですが、一定の金額を超えると法人の方が節税効果が高くなります。法人が有利になる目安は、所得が500万円を超えるかどうかです。
個人事業主が会社を設立するのに必要な費用
会社設立をした方が得に感じるかもしれませんが、会社を設立するには費用が発生します。株式会社を設立するには20万円以上の費用がかかります。内訳は以下の通りです。
- 定款の認証手数料:3~5万円
- 収入印紙:4万円
- 謄本発行手数料:2千円
- 登録免許税:15万円
これらの費用は、行政への手続きで発生する費用のみです。司法書士や税理士に会社設立を依頼するのであれば、費用は追加されます。
また、会社を設立した後は、赤字の場合でも法人住民税として約7万円を納税する必要があります。
会社設立にメリットはありますが、必要な費用を把握したうえで、個人事業主と会社設立のどちらが得か判断しましょう。
まとめ
個人事業主が会社を設立すると、経費の範囲や取引先からの信用度・課税される税金などが異なります。
基本的には会社を設立した方が有利な条件になりますが、会社設立には最低でも20万円以上の費用が必要です。
個人事業主が会社を設立するかの判断は難しいため、税理士などと相談して慎重に判断してください。
こちらの記事「個人事業主から会社を設立するメリット・デメリットとは?」で、個人事業主から会社設立するメリット・デメリットを詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
また、2023年10月からインボイス制度が始まりました。インボイス制度については、「インボイス制度の登録が遅れたらどうなる?罰則や影響について解説」をご覧ください。