最大63万円これらの所得から必要経費や控除を差し引いた「課税所得」に税率がかけられ、最終的な所得税額が決まります。
給料明細に当たり前のように記載されている「所得税」ですが、その仕組みや計算方法、節税の工夫まで把握している人は少ないかもしれません。
この記事では、所得税の基本から計算方法、控除制度、副収入や確定申告のポイントまでをわかりやすく解説します。
「自分の税金、本当に合っているのかな?」と感じている方に、役立つ情報をお届けしますので是非参考にしてください。
Contents
所得税とは?その仕組みと目的
ここでは、まず所得税とは何か、誰がどのように納めるのかという基本を整理し、その税金がどのように使われているのかについても見ていきます。節税を考える前に、まずは正しい知識を持つことが大切です。
所得税の概要と納税対象
所得税は、個人が1年間に得た所得に対して課される国の税金です。会社員の給与や、個人事業主の事業収入などが対象になりますが、所得の内容や金額によって課税されるかどうかは異なります。
納税義務は、日本に1年以上住む「居住者」には国内外すべての所得に、1年未満の「非居住者」には日本国内の所得に対して課されます。
課税対象となる所得は10種類に分かれています。
主な課税対象となる所得は以下の通りです。
- ・給与所得(給料・賞与)
- ・事業所得(自営業の収入)
- ・不動産所得(家賃収入)
- ・配当所得(株式の配当)
これらの所得から必要経費や控除を差し引いた「課税所得」に税率がかけられ、最終的な所得税額が決まります。
所得税の使い道と重要性
所得税で集められたお金は、私たちの暮らしを支えるさまざまな分野に使われています。単にお金を取られるだけのものではなく、社会全体の安全や安心を支える大切な財源です。
主な使い道は以下の通りです。
主な課税対象となる所得は以下の通りです。
分野 | 内容 |
---|---|
社会保障 | 年金、医療、介護、子育て支援などの費用 |
教育・文化 | 小中学校の義務教育費、公立学校の運営、奨学金など |
公共事業 | 道路、橋、上下水道などインフラ整備 |
防衛・外交 | 自衛隊の活動費や国際貢献に関する支出 |
地方交付税交付金 | 地方自治体への財政支援の原資 |
つまり、所得税を納めることは、社会の一員としての責任を果たすことでもあります。節税を考えるうえでも、「納めるべきものを納めたうえで、無駄なく適正に対処する」姿勢が求められます。
所得税の計算方法をシンプルに解説
所得税は単純な割合で決まるのではなく、収入からさまざまな控除を差し引き、そこに税率をかけて求める方式を取っています。ここでは、計算の流れをできるだけシンプルに整理し、さらに年収ごとに異なる税率との関係もあわせて紹介します。
計算のステップと控除
所得税は、以下の3つのステップで計算されます。
- 1.総所得金額を求める
- 2.所得控除を差し引き「課税所得」を算出
- 3.課税所得に税率をかけて税額を計算
総所得金額とは、給与や事業、不動産収入など、1年間のすべての収入の合計です。給与収入には「給与所得控除」が自動的に適用されます。
次に、生活状況に応じた「所得控除」を差し引くことで課税所得が決まり、これに応じた税率がかけられます。所得税は、所得が多いほど税率が上がる「超過累進税率」によって計算されます。
所得税率と年収の関係
所得税は、課税所得が増えるほど税率が高くなる「超過累進税率」によって計算されます。
たとえば、課税所得が300万円の場合、税率は10%ですが、そこから控除額(97,500円)が差し引かれ、最終的な税額が決まります。
正確な金額を知りたい場合は、所得税の早見表や計算ツールの利用が便利です。年末調整や確定申告の際には、控除額などを入力することで、より正確に把握できます。
節税につながる控除と申告制度
所得税の理解には、「控除」と「申告制度」の仕組みを知ることが欠かせません。控除を活用すれば課税対象の金額を減らせるため、結果的に税金も軽減されます。
ここでは、主な控除の種類と、年末調整と確定申告の違いについて分かりやすく解説します。
活用すべき代表的な控除
所得税の節税に直接つながるのが「所得控除」と「税額控除」です。中でも所得控除は種類が多く、該当すれば誰でも利用可能なものもあります。以下は代表的な控除制度の一覧です。
控除名 | 概要 |
---|---|
基礎控除 | すべての納税者が対象(最大48万円) |
扶養控除 | 生計を一にする扶養親族がいる場合(最大63万円) |
配偶者控除 | 一定の条件を満たす配偶者がいる場合(最大38万円) |
医療費控除 | 年間の医療費が一定額を超えた場合(実費から10万円または所得の5%を差引いた額が対象) |
社会保険料控除 | 健康保険・厚生年金などの支払いが対象(支払った全額) |
これらの控除を正しく申告することで課税所得が減り、結果的に所得税も軽減されます。
年末調整と確定申告の違い
所得税の納税には「年末調整」と「確定申告」の2つの方法があります。自分に必要な手続きを把握することは、正しい納税と節税につながります。
年末調整 | 確定申告 |
---|---|
主に会社員 | 自営業、副収入や控除申請がある人 |
会社が代行 | 自分で申告 |
扶養控除申告書、保険料控除証明など | 源泉徴収票、領収書、控除証明書など |
年内に調整される | 還付される場合もある |
年末(11月〜12月) | 翌年2月16日〜3月15日 |
会社員の場合、多くは年末調整で納税手続きが完了しますが、医療費控除や副業収入がある人は確定申告が必要になるケースもあります。
副収入・アルバイトと所得税の関係
本業とは別に副業をしている方や、アルバイトをしている学生・主婦なども、場合によっては所得税の納税義務が生じます。ここからは副収入やアルバイト収入に関する課税の基本と、よく話題にのぼる「103万円の壁」について詳しく解説します。
副業・アルバイト収入の課税ポイント
副業やアルバイトの収入は、基本的に所得税の課税対象です。ただし、課税の方法は収入の種類や金額によって異なります。
特に注意が必要なのは、年間20万円を超える副収入がある場合、会社員でも確定申告が必要になる点です。一方、1か所からの給与のみであれば、年末調整で手続きが完結します。
また、副業収入には必要経費を差し引くことができるため、帳簿や領収書をきちんと管理することが節税につながります。
103万円の壁とは?
「103万円の壁」とは、パートやアルバイトの年間給与が103万円を超えると所得税が発生する基準です。これは基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)を合計した金額にあたり、これ以下なら課税所得がゼロとなり、所得税はかかりません。
ただし、少し超えた程度では急に大きな税負担になるわけではなく、税額は段階的に増える仕組みです。
また、103万円を超えると配偶者控除などの対象外になる可能性があるため、世帯全体の税負担も踏まえて働き方を考えることが重要です。
住民税との違い・今後の税制動向
所得にかかる税金は「所得税」だけでなく、「住民税」もあります。どちらも収入に基づく税金ですが、課税の仕組みや使い道に違いがあります。
また、最近では定額減税などの税制改正も進んでおり、今後の動向にも注意が必要です。この章では、所得税と住民税の違いと、今後の税制のポイントを整理していきます。
住民税との違いをわかりやすく解説
所得税と住民税は、どちらも所得に対して課される税金ですが、性質や役割が異なります。所得税は国税で、国の事業に使われるのに対し、住民税は地方税として地域の運営に充てられます。
また、住民税は前年の所得に基づいて翌年に課税されるため、転職や退職のあとに思わぬ請求が来ることもあります。こうした違いを理解しておくことで、予期せぬ負担を防ぐことができます。
定額減税など将来の税制改正にも注目
政府は近年、物価高や少子化対策として、税制の見直しを進めています。中でも注目されているのが「定額減税」です。
これは、所得に関係なく一定額を一律に減税する制度で、2024年からは納税者本人と扶養家族1人あたり3万円の減税が実施されました。
今後も以下のようなテーマで税制が変わる可能性があります。
- ・インボイス制度や電子申告の義務化
- ・副業・フリーランスへの課税強化
- ・高所得者への課税強化と低所得者への還付拡充
税制改正は年度ごとに変動することが多いため、ニュースや国税庁の発表などを定期的にチェックしておくことが大切です。
節税対策はプロと一緒に!
ここまで、所得税の仕組みや計算方法、控除、副収入への対応、税制の動向などを幅広く解説してきました。基礎知識を持つことで、自分の税金を把握し、無駄な出費を防ぐことができます。
とはいえ、「どの控除が使えるのか分からない」「副業の申告が不安」など、実務では悩みも多く、税制改正にも対応する必要があります。
そんなときは、税務の専門家に相談するのが安心です。ストラーダ税理士法人は、個人から法人まで幅広く対応し、実績と信頼のある税理士事務所です。
税金に関する不安や疑問は、ぜひ一度ストラーダ税理士法人へご相談ください。