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2018.11.13 会社設立起業

開業費とは?認められる費用・期間・経費にする方法を解説

開業費とは?認められる費用・期間・経費にする方法を解説

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会社を設立してから、実際に、営業を始めるまでの間には、事務所の準備、広告、打ち合わせなど、さまざまな支出が、発生します。これらの費用を、「開業費」として、経費にできる場合があります。しかし、「どのような費用が、開業費に、あたるのか」「開業日の、どのくらい前の支出まで、認められるのか」「いつ、経費にできるのか」と、迷う経営者は、少なくありません。

この記事では、法人税法施行令などの条文をもとに、開業費の定義、含まれる費用の例、創立費との違い、経費にするタイミング、経理処理の方法、注意点を、解説します。個人事業主の開業費についても、触れます。領収書や、事業との関連を、説明できる記録を、きちんと残しておくことが、開業費を、適切に処理するための、基本です。

なお、税制は、改正されることがあります。この記事は、2026年10月時点で、e-Gov法令検索、国税庁の公表情報などをもとにしています。実際の処理では、最新の情報を確認し、税理士にご相談ください。

開業費とは?

開業費とは?

法人税法施行令第14条第1項は、法人が支出する費用のうち、「繰延資産」にあたるものを、定めています。その中に、「開業費」があり、次のように、定義されています(e-Gov法令検索で確認)。

  • 開業費:法人の設立後、事業を開始するまでの間に、開業準備のために、特別に支出する費用

つまり、会社が設立されたあと、営業を始めるまでの間に、事業を開始するための準備として、特別に支出した費用が、開業費です。通常の営業を始めてからの、日常の経費とは、区別されます。

繰延資産とは

繰延資産とは、支出した費用の効果が、将来にわたって及ぶと考えられるため、支出した時に、全額を、費用にするのではなく、資産として計上し、のちに、費用に振り替える、費用のことです。開業費は、この繰延資産の一つとして、扱われます。

創立費との違い

創立費との違い

開業費と、よく似た費用に、「創立費」があります。同じ令第14条第1項に、次のように、定められています。

  • 創立費:発起人に支払う報酬、設立登記のために支出する登録免許税、その他、法人の設立のために支出する費用で、その法人の負担に帰すべきもの
  • 開業費:法人の設立後、事業を開始するまでの間に、開業準備のために、特別に支出する費用
項目 創立費 開業費
目的 会社を設立するための費用 事業を開始するための準備の費用
主な時期 設立の登記までの間(設立のための支出) 設立後、事業を開始するまでの間
主な例 定款の作成費用、定款認証の手数料、設立登記の登録免許税、発起人への報酬 開業前の広告宣伝費、打ち合わせの交通費、開業準備のための、セミナー参加費、名刺の作成費

両者は、どちらも、繰延資産として、扱われ、同じように、任意の時期に、償却できます。区分に、迷う場合は、税理士に確認してください。

開業費に含まれる費用の例

開業費に含まれる費用の例

どのような費用が、開業費に含まれるかは、個別に、判断される必要があります。一般的に、開業費として、扱われることが多い、費用の例を、紹介します。飲食店を開業する場合を、例にします。

費用の種類 具体例
開業準備のための、情報収集や、研修 開業セミナーの参加費、書籍の購入費
打ち合わせなどの、交通費・通信費 業者との打ち合わせの交通費、通信費
店舗や事務所の、契約関連の費用 契約の仲介手数料、契約の手続きにかかった費用(敷金・保証金は、返還される場合は、資産として処理)
広告宣伝の費用 開業前の、チラシの作成費、ウェブサイトの制作費
事務的な費用 名刺、印鑑、事務用品の購入費
人材の採用・研修の費用 開業前の、従業員の採用費、研修費、開業準備のための人件費
試運転・試作の費用 開業前の試作品の費用、試運転の費用

事業との関連性を、説明できる支出であれば、開業費に、含められると、考えるのが、一般的です。ただし、最終的な判断は、個別の事情によって、異なります。

開業費に、ならないもの

次のような支出は、開業費ではなく、別の処理になります。

  • 資産の取得に要した金額とされるべき費用:設備、機械、車両、パソコンなどの、取得費用は、減価償却資産として、処理する
  • 前払費用:継続的な契約に基づき、将来の役務の提供を受けるために、支出する費用で、まだ提供を受けていないもの
  • 返還される予定の、敷金や、保証金:資産(差入保証金)として処理する
  • 事業と、関係のない、個人的な支出

法人税法施行令第14条第1項は、繰延資産から、「資産の取得に要した金額とされるべき費用」と、「前払費用」を、除いています。

開業日の、どのくらい前の支出まで、認められる?

開業日の、どのくらい前の支出まで、認められる?

開業費として、認められる期間について、法人税法施行令には、「何か月前まで」という、具体的な期間の定めは、ありません。令第14条第1項の定義は、「法人の設立後、事業を開始するまでの間に、開業準備のために特別に支出する費用」です。

実務上の考え方

実務では、次のように、考えるのが、一般的です。

  • 会社の設立後から、事業の開始までの、期間の支出が、開業費の対象
  • 設立の前の支出は、会社の設立のための費用(創立費)や、発起人が立て替えた、設立準備の費用として、整理する場合がある
  • 設立の、ずっと前の支出は、事業との関連や、会社が負担すべきものかどうかを、説明するのが、難しくなる

「設立の半年前まで」といった、目安を、示す解説もありますが、これは、税法に、定められた、基準ではなく、事業との関連性を、説明できるかどうかが、実際の判断の、ポイントです。設立の前の支出を、開業費に含めたい場合は、領収書や、契約書、事業との関連を、示す資料を、そろえておくことが、大切です。

個人事業主から、法人成りした場合

個人事業主として、事業を営んでいた人が、法人を設立した場合は、扱いが、異なります。個人事業の期間中の、支出は、個人事業の経費として、処理され、法人の開業費には、ならないのが、一般的です。個人事業と、法人の、事業が、連続している場合は、どの支出を、どちらの経費とするかを、慎重に、整理する必要があります。

開業費を、経費にする方法(償却)

開業費を、経費にする方法(償却)

開業費は、繰延資産として、いったん、資産に計上し、その後、費用(償却費)として、損金に算入します。

償却の方法は、任意

法人税法施行令第64条第1項第1号は、開業費などの繰延資産について、償却限度額を、その繰延資産の額(既に償却した額を、除いた額)としています。つまり、開業費は、支出した額の範囲内で、任意の事業年度に、任意の金額を、償却して、損金に算入できます。

償却の方法 内容
一括で償却する 支出した事業年度に、全額を、費用にする。利益が出ている年度に、まとめて経費にする場合に、有効
分割して償却する 数年に分けて、少しずつ、費用にする。利益が、小さい年度に、残しておく方法
償却しない年度がある 任意のため、償却しない年度も、選べる

どのタイミングで、償却するのがよいか

開業費は、償却のタイミングを、選べるため、税金の負担を、考えながら、決められます。たとえば、次のように、考えます。

  • 開業の初年度に、利益が出る見込みがある場合:初年度に、全額を償却して、税金を抑える
  • 開業の初年度は、赤字の見込みで、2年目以降に、利益が出る場合:赤字の年度は、償却を控え、利益が出る年度に、償却する。ただし、青色申告の場合は、赤字を、10年間、繰り越せる(国税庁のタックスアンサーによる)ため、有利な方法は、状況によって異なる

どの方法が、有利かは、会社の状況によって、異なります。決算の前に、税理士と、利益の見込みを、確認して、決めることをおすすめします。

経理処理の例

経理処理の例

開業費の経理処理の例を、紹介します。この例は、理解のための想定です。

例:設立後、開業までに、50万円を支出した場合

  • 支出したとき:開業費(繰延資産)50万円を、資産に計上する
  • 決算のとき:償却する金額を決めて、開業費償却として、費用に計上する。全額を償却する場合は、50万円を、費用にする

会計上は、支出した時に、全額を費用(販売費及び一般管理費、または営業外費用)にする処理や、繰延資産として、計上して、一定の期間で、償却する処理など、複数の方法が、認められている場合があります。会計処理の方法は、税理士や、公認会計士に、確認してください。

個人事業主の開業費

個人事業主の開業費

個人事業主にも、開業費の考え方があります。個人事業主が、開業の準備のために、特別に支出した費用は、繰延資産として、扱われます。所得税の計算でも、繰延資産は、任意の償却が、認められているため、開業した年に、全額を、必要経費にするか、数年に分けて、必要経費にするかを、選べます。

ただし、個人事業主の、開業費の取扱いは、所得税法の、規定に基づくため、法人とは、条文が、異なります。詳しくは、国税庁の案内や、税理士に、確認してください。

開業費を処理するときの、注意点

開業費を処理するときの、注意点

  • 領収書や、請求書を、保管する:開業費として、処理する根拠になる。事業との関連を、メモに残しておくと、さらによい
  • 個人が立て替えた費用は、精算する:設立前後に、経営者個人が、立て替えた費用は、会社が、精算(立替金の返済)する。精算の記録を、残す
  • 設備や、備品は、別に処理する:パソコンや、機械などは、取得価額に応じて、減価償却や、少額減価償却資産の特例(令和8年4月1日以後に取得した場合は、取得価額40万円未満が対象。国税庁による)を、検討する
  • 敷金や、保証金は、資産:返還される予定の、敷金や、保証金は、費用ではなく、差入保証金として、資産に計上する
  • 個人的な支出を、混ぜない:事業と関係のない、支出を、開業費に含めると、税務調査で、否認されるおそれがある

設立から開業までの、費用の整理表(例)

設立から開業までの、費用の整理表(例)

設立の前後に発生する、費用を、種類ごとに、整理すると、処理の漏れを防げます。次の表は、想定の例です。

時期 費用の例 主な処理
設立の登記まで 定款の作成費用、定款認証の手数料、登録免許税 創立費(繰延資産)
設立後、開業まで 広告宣伝費、打ち合わせの費用、開業準備のセミナー費、名刺の作成費 開業費(繰延資産)
設立後、開業まで パソコン、什器、機械などの購入費 減価償却資産(少額の場合は、特例の検討)
設立後、開業まで 敷金、保証金(返還されるもの) 差入保証金(資産)
開業後 通常の事業活動に伴う費用 通常の経費

こうした整理表を、作成し、領収書を、費用の種類ごとに、ファイルしておくと、決算のときに、スムーズに処理できます。

開業費の処理を、間違えやすいケース

開業費の処理を、間違えやすいケース

次のようなケースは、処理を、間違えやすいため、注意してください。

  • 開業準備のための、パソコンの購入を、開業費にしてしまう(本来は、減価償却資産として処理)
  • 開業前の、家賃や、光熱費を、前払費用として、処理せずに、全額を、開業費にしてしまう
  • 設立前の個人の支出を、領収書がないまま、開業費に含めてしまう
  • 事業の開始の日が、あいまいで、開業費と、通常の経費の区分が、できなくなる
  • 償却の金額を、決算のたびに、変えてしまい、管理が、複雑になる

こうした誤りは、税務調査で、指摘されることがあります。迷った場合は、税理士に、確認してください。

開業費に関する、よくある質問

開業費に関する、よくある質問

Q1. 開業費は、必ず、経費にしなければなりませんか?

いいえ。開業費は、任意償却のため、経費にする金額や、時期を、選べます。償却しない年度があっても、問題ありません。

Q2. 開業費の上限は、ありますか?

法律で、上限額は、決められていません。ただし、事業との関連が、説明できない、過大な支出は、否認されるおそれがあります。

Q3. 開業後に、支出した費用も、開業費になりますか?

開業費は、事業を開始するまでの間の、支出です。事業を開始したあとの、支出は、通常の経費として、処理します。事業の開始の日が、いつかは、実際の状況で、判断されるため、営業を始めた日を、記録しておいてください。

会社設立・開業のお悩みはストラーダグループへ

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※本記事は、2026年10月時点の情報をもとに作成しています。税制は変更されることがあるため、手続きの前に、e-Gov法令検索や国税庁などの公式情報をご確認ください。

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この記事の監修者
山田 直輝
税理士公認会計士行政書士
2009年公認会計士試験に合格、その後、Deloite Touche Tohmatsu(有限責任監査法人トーマツ)に入所し、メーカー、サービス業、学校、商社等の上場一部企業の会計監査や内部統制監査を行う。監査班では、監査の主任業務を経験した。その後、アドバイザリー部門に部署異動をして、ベンチャー企業支援、賠償業務算定の構築や上場支援業務、企業リスクにおけるリスクマネジメント業務を行う。上場は、リクルートの上場経験を有する。2015年に独立して、ストラーダ税理士法人を設立。「敷居が高くて堅苦しい」税理士のイメージを払拭し、「初めての方でも馴染みやすい」税理士でいることをモットーにしている。趣味は、愛娘と遊ぶこと。
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