近年、本業とは別に収入を得る副業に関心を持つ人が増えています。在宅ワークやクラウドソーシングの普及により、データ入力やライティングなど、会社員でも始めやすい副業の選択肢が広がっています。
一方で、副業を始める際には税金や確定申告、会社の就業規則など、事前に確認しておくべきポイントがあります。副業収入の税務処理や会社に副業が知られる仕組みについて、不安を感じる人も少なくありません。
本記事では、副業の実態や種類を紹介するとともに、副業を始める前に知っておきたい注意点や税金・確定申告の基本、税理士に相談するメリットについて解説します。
Contents
近年の副業実施状況や意識調査

働き方の多様化や収入源を増やしたいという意識の高まりから、副業に関心を持つ人は増えています。政府による副業・兼業の推進やリモートワークの普及もあり、副業を始めやすい環境が整いつつあります。
一方で、副業に興味を持つ人は多いものの、実際に副業を行っている人の割合には差があります。ここでは、調査データをもとに副業の実施状況や副業内容、意識や課題について整理します。
副業実施率と企業の容認状況
パーソル総合研究所が2023年10月に実施した調査によると、正社員の副業実施率は2021年の9.1%から2023年には7.0%へ減少しています。一方で、企業の副業容認率は55.0%から60.9%へ上昇しており、副業を認める企業は増えている状況です。
企業が副業を容認する主な理由は次の通りです。
- ・従業員のスキル向上や成長につながる
- ・働き方の多様化に対応するため
- ・人材流出を防ぐため
このように、副業は個人だけでなく企業にとってもメリットがある取り組みとして注目されています。
副業の内容と収入
副業の内容を見ると、比較的始めやすい仕事が多い傾向があります。
主な副業の種類は次の通りです。
| 副業の種類 | 割合 |
|---|---|
| サービス業(接客・販売など) | 21.3% |
| 株・FXなどの投資 | 18.4% |
| ネットビジネス(通販・アフィリエイトなど) | 10.6% |
また、近年は次のような副業も増えています。
- ・データ入力
- ・Webライティング
- ・動画編集
- ・プログラミング
- ・ネットショップ運営
副業の平均月収は6万5,093円ですが、1万円未満の人が48.1%と、収入には大きな差があります。
副業に対する意識と課題
副業をしていない正社員のうち、「副業を行いたい」「やや行いたい」と回答した人は40.8%に上ります。しかし、実際の副業実施率は7.0%であり、関心の高さと実行には差があります。
副業を始めない理由としては、次のような点が挙げられます。
- ・副業に使える時間がない
- ・必要なスキルが不足している
- ・税金や確定申告がわからない
- ・プ会社に副業が知られることへの不安
特に税金や社会保険の知識不足は、副業を始める際の大きなハードルになっています。
副業とは?種類と働き方

副業は、本業とは別に収入を得る働き方として広がっています。近年はインターネットやクラウドサービスの普及により、在宅でできる仕事やオンラインで完結する副業も増えています。
ここでは、副業の基本的な考え方と、在宅やスマートフォンを活用した主な副業の種類についてご紹介します。
副業とは?
副業とは、本業以外で収入を得るために行う仕事や活動のことを指します。会社員の場合、勤務先から給与を得る本業とは別に、別の仕事で収入を得ることが副業にあたります。
副業の形態はさまざまで、アルバイトとして働く方法のほか、個人で仕事を受注する働き方なども含まれます。働き方や目的に合わせて、自分に合った副業を選ぶことが重要です。
在宅でできる副業
近年は、インターネット環境があれば自宅で取り組める副業が増えています。在宅副業は通勤が不要で、空いた時間を活用しやすい点が特徴です。
主な在宅副業は次の通りです。
- ・データ入力
- ・webライティング
- ・動画編集
- ・webデザイン
- ・プログラミング
- ・ハンドメイド販売
これらの副業は、自宅で作業できるため本業との両立がしやすく、スキルを身につけることで収入アップも期待できます。
スマホやクラウドサービスを活用した副業
スマートフォンやオンラインサービスの普及により、パソコンがなくても始められる副業も増えています。また、クラウドソーシングサービスを利用すれば、オンラインで仕事を受注することも可能です。
スマホを活用した副業の例は次の通りです。
- ・アンケートモニター
- ・フリマアプリ販売
- ・コンテンツ販売
- ・SNS運用
また、クラウドソーシングサービスでは、以下のような仕事が掲載されています。
- ・ライティング
- ・データ入力
- ・翻訳
- ・デザイン制作
- ・動画編集
代表的なサービスとしては、クラウドワークスやランサーズ、ココナラなどがあります。これらのサービスを利用することで、自分のスキルや経験に合わせた仕事を見つけることができます。
副業を始める前に確認すべきポイント

副業は収入を増やしたりスキルを身につけたりする手段として注目されています。しかし、始める前に勤務先のルールや仕事内容の安全性などを確認しておくことが大切です。事前に確認せずに副業を始めてしまうと、会社とのトラブルや思わぬリスクにつながる可能性があります。
ここでは、副業を始める前に確認しておきたい基本的なポイントをご紹介します。
就業規則の確認
会社員が副業を始める際は、まず勤務先の就業規則を確認することが重要です。企業によっては副業を禁止している場合や、事前申請が必要な場合があります。
就業規則で確認しておきたい主なポイントは次の通りです。
- ・副業が禁止されていないか
- ・副業を行う際に申請や許可が必要か
- ・副業の業種や勤務時間に制限があるか
- ・本業に支障が出ない範囲であるか
企業によっては、副業自体は認めていても競合企業での勤務などを制限しているケースもあります。トラブルを避けるためにも、事前にルールを確認しておきましょう。
公務員の副業
公務員は職務の公平性や公務への専念義務を守るために国家公務員法や地方公務員法により原則として副業が制限されていましたが、地方公務員は2025年6月から国家公務員は2026年4月から規制が大幅に緩和され、専門知識や技能を生かした活動や社会貢献活動が条件付きで認められるようになりました。
| 副業の例 | |
|---|---|
| 活動内容 | 概要 |
| 知識、技能を活かした事業 | 執筆、公演、スポーツ芸術関係の教室など |
| 社会貢献に資する事業 | NPO法人での活動、地域復興イベントの企画運営など |
| その他 | 不動産賃貸・太陽光電気販売など |
これらの活動を行う場合でも、所属機関の許可が必要となることが多いため、事前に所属機関の人事担当部門に相談し、承認申請を行うことが必要となります。
副業詐欺やトラブルへの注意
副業の広がりとともに、副業を装った詐欺やトラブルも増えています。特にSNSやインターネットで募集される副業の中には、実際には収入が得られないケースもあります。
副業を探す際は、次のような点に注意しましょう。
- ・「簡単に高収入」など過度な広告
- ・仕事開始前に高額な費用を求められる
- ・仕事内容が具体的に説明されていない
- ・SNSのみでやり取りが行われる
副業を始める際は、仕事内容や報酬が明確なサービスを利用しましょう。クラウドソーシングなど実績のあるサービスを活用することで、トラブルを避けやすくなります。
副業における税金の確定申告

副業で収入を得た場合、その収入には税金がかかる可能性があります。本業の給与とは別に収入が発生するため、一定の条件を満たすと自分で確定申告を行う必要があります。
ここでは、副業収入の所得区分や確定申告が必要になる条件、確定申告の基本的な流れについて解説します。
副業収入の所得区分
副業で得た収入は、税法上いくつかの所得区分に分類されます。所得区分によって計算方法や申告方法が異なるため、自分の副業がどの区分に該当するかを理解しておきましょう。
副業でよく見られる所得区分は次の通りです。
| 所得区分 | 内容 |
|---|---|
| 事業所得 | 継続的に行われ、記帳をつけているなど事業性があるもの |
| 雑所得 | 一時的に行う規模の小さな副業(ライティング、データ入力など) |
| 給与所得 | 副業先で雇用契約を結んで働くアルバイトなど |
たとえば、クラウドソーシングでライティングやデザインの仕事を受注している場合は雑所得として扱われることが多く、継続的に事業として行っている場合は事業所得に該当する可能性があります。
副業はいくらから所得税の確定申告が必要?
会社員が副業をしている場合、一定額以上の所得があると所得税の確定申告が必要になります。
会社員の副業における基本的なルールは次の通りです。
- 副業所得が年間20万円以下→原則確定申告は不要
- 副業所得が年間20万円超→確定申告が必要
ここで注意が必要なのは、収入ではなく「所得」で判断される点です。所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額を指します。
- 例
- ・副業収入:30万円
- ・経費:10万円
- ・所得:20万円
- →この場合、所得が20万円のため確定申告は原則不要となります。
ただし、医療費控除や住宅ローン控除などの理由で確定申告を行う場合には、所得税額に関係なく副業所得も合わせて申告する必要があります。
20万円以下でも住民税申告は必要
副業の所得が年間20万円以下の場合、所得税の確定申告は原則として不要です。しかし、住民税については別のルールが適用されるため注意が必要です。
多くの自治体では、副業所得が20万円以下であっても住民税の申告が必要とされています。
住民税は自治体が課税する税金であり、申告を行わないと正しい税額が計算されない可能性があります。また、申告をしないままにしていると、後から税務署や自治体から指摘を受ける場合もあります。
副業の確定申告のやり方
副業の確定申告は、1年間の収入と経費をまとめて所得を計算し、税務署へ申告することで行います。現在はインターネットを利用した電子申告(e-Tax)も普及しており、自宅から手続きを行うことも可能です。
確定申告の基本的な流れは次の通りです。
- 1.年間の副業収入を集計する
- 2.副業に関連する経費を整理する
- 3.収入から経費を差し引いて所得を計算する
- 4.確定申告書を作成する
- 5.税務署へ提出またはe-Taxで申告する
副業の収入や経費を日頃から記録しておくことで、確定申告の作業をスムーズに進めることができます。また、税金や申告方法に不安がある場合は、税理士などの専門家に相談することも有効な方法です。
副業が会社にバレる仕組みと対策

会社員が副業を行う場合、「会社に知られてしまうのではないか」と不安に感じる人も少なくありません。実際には、副業そのものが自動的に会社へ通知される仕組みはありませんが、税金や社会保険の手続きなどを通じて副業が知られるケースがあります。
副業が会社に知られる主な原因としては、住民税の変化や社会保険の加入状況、SNSなどでの情報発信が挙げられます。こうした仕組みを理解しておくことで、必要な対策を取ることができます。
ここでは、副業が会社に知られる主なケースとその対策について解説します。
住民税で副業がバレるケース
副業で収入を得ると、所得税だけでなく住民税も課税されます。多くの会社では、住民税を給与から天引きして自治体へ納付しています。
副業によって所得が増えると住民税額も増えるため、会社が「給与に対して住民税が高い」と気づくことで副業が知られる可能性があります。
この対策として、確定申告の際に住民税の納付方法を「普通徴収」にする方法があります。普通徴収にすると、副業分の住民税を自分で納付することになるため、会社の給与から天引きされる住民税額に影響しにくくなります。
社会保険でバレるケース
副業の働き方によっては、社会保険の加入が必要になる場合があります。副業先で一定の条件を満たすと、社会保険の加入対象となることがあります。
主な条件の例は次の通りです。
- ・週20時間以上働く
- ・年収が106万円以上
- ・一定規模以上の企業で働く
複数の勤務先で社会保険の加入対象になると、社会保険の手続きの過程で会社に副業が知られる可能性があります。
SNSなどからバレるケース
副業が会社に知られる原因は、税金や社会保険だけではありません。SNSやインターネット上の情報から副業が発覚するケースもあります。
特にSNSは多くの人に情報が広がる可能性があるため、投稿内容には注意が必要です。
副業を続ける場合は、個人情報の公開範囲や発信内容を意識し、不要なトラブルを避けることが重要です。
副業で個人事業主になるメリット

副業の内容によっては、個人事業主として活動することも可能です。個人事業主として副業を行うと、経費の計上や税制上の優遇制度を利用できるなど、税金面でのメリットが生まれる場合があります。
特に、副業の収入が増えてきた場合や継続的に事業として取り組む場合には、個人事業主としての形態を検討することで節税につながる可能性があります。ここでは、副業で個人事業主になる主なメリットをご紹介します。
経費計上が可能
個人事業主として副業を行う場合、仕事に関連する支出を必要経費として計上することができます。経費を計上することで課税対象となる所得を減らすことができ、結果として税負担を軽減できる可能性があります。
副業で経費として認められる可能性がある主な費用は次の通りです。
| 経費の例 | 内容 |
|---|---|
| 通信費 | インターネット料金やスマートフォン料金 |
| パソコン・機材 | 仕事で使用するパソコンや周辺機器 |
| ソフトウェア | 動画編集ソフトやデザインツールなど |
| 交通費 | 打ち合わせや取材などの移動費 |
| 家賃・光熱費 | 自宅の一部を仕事場として使用する場合 |
例えば、在宅で副業を行う場合には、通信費やパソコンなどの費用を経費として計上できることがあります。こうした経費を適切に管理することで、税金の負担を抑えることができます。
青色申告による節税
個人事業主として開業届を提出すると、青色申告を利用できるようになります。青色申告には、税負担を軽減できるいくつかのメリットがあります。
主なメリットは次の通りです。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 青色申告特別控除 | 最大65万円の所得控除が受けられる |
| 赤字の繰越 | 赤字を翌年以降の所得と相殺できる |
| 家族への給与 | 条件を満たせば家族への給与を経費にできる |
例えば、副業を始めた初年度に設備投資などで赤字が出た場合でも、その赤字を翌年以降の所得と相殺することができます。これにより、将来の税負担を抑えることが可能になります。
副業で税理士に相談するメリット

副業を行う場合、税金や確定申告、経費の扱いなど、専門的な知識が必要になる場面があります。特に副業収入が増えてくると税務処理が複雑になることもあり、申告ミスや手続きの漏れが起こる可能性もあります。
税理士は税務や会計の専門家であり、副業に関する税務手続きや節税方法についてアドバイスを受けることができます。専門家に相談することで、税務上のリスクを抑えながら副業を進めやすくなります。
税理士がサポートできる主な内容は次の通りです。
- ・税務相談,節税対策
- ・確定申告サポート
- ・経費計上のアドバイス
- ・税務リスクの管理
- ・副業の税務対策
また、副業では所得区分の判断や経費の扱いなど、自己判断が難しいケースもあります。税理士に相談することで、事業所得や雑所得の区分などについて適切なアドバイスを受けることができます。
まとめ

副業は収入を増やしたりスキルを身につけたりできる働き方として、多くの人に広がっています。一方で、副業を始める際には就業規則の確認や税金、確定申告などのルールを理解しておくことが重要です。
正しい知識を身につけて取り組むことで、トラブルを防ぎながら副業を続けることができます。不安がある場合は、税理士などの専門家に相談することも検討するとよいでしょう。




