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相続税はいくらからかを先に把握|基礎控除で課税対象になるか確認
相続税は、相続が起きた人すべてにかかる税金ではありません。まず確認すべきなのは、遺産の総額が基礎控除額を超えるかどうかです。相続税は、現金だけでなく預貯金、有価証券、不動産、死亡保険金の一部なども含めて判定するため、見た目より財産総額が大きくなることがあります。一方で、借入金や未払金、葬式費用など差し引けるものもあります。「相続税はいくらから?」という疑問に対する最初の答えは、基礎控除を超えたら課税の可能性がある、という点です。まずは法定相続人の人数を確認し、基礎控除額を計算することが出発点になります。
相続税が発生する金額の目安は基礎控除で決まる
相続税が発生するかどうかは、原則として相続財産の総額が基礎控除額を上回るかで決まります。たとえば法定相続人が1人なら基礎控除は3,600万円、2人なら4,200万円、3人なら4,800万円です。この金額以下であれば、基本的には相続税はかからず、申告も不要となるのが一般的です。ただし、財産の評価方法によって総額は変わるため、預金残高だけで判断するのは危険です。特に土地や自宅、生命保険金、名義預金などは見落としやすいポイントです。相続税の有無を判断するときは、相続開始時点の財産をできるだけ漏れなく洗い出すことが重要です。
- 基礎控除以下なら原則として相続税はかからない
- 財産には現金以外に不動産や有価証券も含まれる
- 借金や葬式費用は差し引ける場合がある
- 法定相続人の人数で基礎控除額が変わる
基礎控除額の計算方法|3,000万円+600万円×法定相続人
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。ここでいう法定相続人とは、民法上の相続権を持つ人を指し、配偶者は常に相続人になります。子どもがいれば子どもが相続人となり、子どもがいない場合は直系尊属、さらにいなければ兄弟姉妹へと順位が移ります。なお、相続放棄をした人がいても、基礎控除の計算上は放棄がなかったものとして法定相続人の数に含める点が重要です。養子の数え方には制限があるため、家族構成によっては単純に人数を数えるだけでは足りません。正確な基礎控除額を出すには、戸籍を確認して法定相続人を確定させる必要があります。
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
相続財産の総額が基礎控除以下でも申告が必要なケース
一般的には、相続財産の総額が基礎控除以下なら相続税申告は不要です。ただし、相続税以外の手続きが必要になることはありますし、特例の適用を受けるために申告が必要になるケースもあります。代表例として、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は、結果的に税額がゼロになる場合でも申告が必要です。また、財産評価が難しい不動産があると、当初は基礎控除以下と思っていても、評価後に超えることがあります。生命保険金や死亡退職金の非課税枠の扱い、名義預金の認定なども判断を誤りやすい点です。「税額がゼロになりそうだから何もしなくてよい」と考えず、特例利用の有無まで含めて確認することが大切です。
相続税の仕組みを解説|相続税計算の流れと課税価格の考え方
相続税は、単純に各人が受け取った金額にそのまま税率をかける仕組みではありません。まず遺産全体の課税価格を計算し、そこから基礎控除を差し引いて課税遺産総額を求めます。次に、その課税遺産総額を法定相続分で仮に分けたものとして各人の税額を計算し、それを合計して相続税の総額を出します。その後、実際に財産を取得した割合に応じて各相続人へ税額を按分し、最後に各種控除や加算を反映します。この流れを理解しておくと、早見表やシミュレーション結果の意味もつかみやすくなります。相続税は「遺産全体を基準に計算し、最後に各人へ割り振る税金」と考えるとわかりやすいです。
相続税計算の手順|遺産の総額から正味の相続財産を算出する方法
相続税計算の第一歩は、亡くなった人の財産をすべて洗い出し、相続開始時点の評価額に置き換えることです。預貯金は残高、不動産は相続税評価額、上場株式は一定の方法で評価します。そこに、みなし相続財産である死亡保険金や死亡退職金の一部、相続開始前一定期間の贈与財産の加算対象などを加えます。一方で、借入金、未払税金、入院費、葬式費用などは債務控除として差し引けます。こうして求めたものが正味の相続財産です。この段階で漏れや評価ミスがあると、その後の税額計算がすべてずれてしまうため、通帳、不動産資料、保険証券、借入明細などを丁寧に確認することが重要です。
- 財産を一覧化する
- 相続開始時点の評価額に直す
- 死亡保険金などのみなし相続財産を加える
- 借金や葬式費用を差し引く
- 正味の相続財産を確定する
課税価格の合計額を計算する際に含める財産・非課税財産・債務控除
課税価格の合計額を計算するときは、何を含めて何を除くかを正しく理解する必要があります。含める財産には、現金、預貯金、土地、建物、株式、投資信託、自動車、貸付金、事業用資産などがあります。また、死亡保険金や死亡退職金は一定の非課税枠を超える部分が課税対象になります。一方で、墓地や仏壇、仏具など日常礼拝に使う一定の財産は非課税です。債務控除として差し引けるのは、借入金、未払医療費、未払税金、葬式費用などですが、香典返しや法要費用など対象外のものもあります。課税価格の計算では、財産の種類ごとのルールを押さえることが、過大申告や過少申告を防ぐポイントです。
| 区分 | 主な内容 |
|---|---|
| 含める財産 | 預貯金、土地、建物、株式、現金、貸付金など |
| みなし相続財産 | 死亡保険金、死亡退職金など |
| 非課税財産 | 墓地、仏壇、一定額までの死亡保険金など |
| 債務控除 | 借入金、未払金、葬式費用など |
各人の取得金額に按分する流れと法定相続分の考え方
相続税の総額は、課税遺産総額をいったん法定相続分で分けたものとして計算します。たとえば配偶者と子2人が相続人なら、法定相続分は配偶者2分の1、子ども2人で残り2分の1を等分するため各4分の1です。この割合で仮計算した各人の税額を合計したものが相続税の総額になります。その後、実際の遺産分割で誰がどれだけ取得したかに応じて税額を按分します。つまり、税率適用の段階では法定相続分を使い、最終的な負担配分では実際の取得割合を使うという二段階構造です。この仕組みを知らないと「実際には多くもらっていないのに計算が複雑」と感じやすいため、法定相続分は計算上の基準と理解しておくと整理しやすくなります。
相続税の税率はいくら?速算表と相続税早見表で税額を概算
相続税の税率は一律ではなく、課税価格が大きくなるほど税率が上がる超過累進課税です。最低10%から最高55%まで段階的に設定されており、各人の法定相続分に応じた取得金額ごとに税率を当てはめます。そのため、遺産総額が大きいほど税負担は重くなりやすい一方、基礎控除や各種特例によって実際の納税額は大きく変わります。概算を知りたいときは速算表や早見表が便利ですが、あくまで目安です。不動産評価、配偶者控除、小規模宅地等の特例、生命保険金の非課税枠などを反映すると結果が変わるため、最終判断は個別計算が必要です。
相続税の税率と速算表|課税価格ごとの割合と控除額
相続税の税率は、法定相続分に応じた各人の取得金額に対して適用されます。税率は10%から55%までの7段階で、金額が大きくなるほど高くなります。ただし、単純に税率をかけるだけではなく、各階層ごとに控除額が設定されているため、速算表を使って計算します。たとえば1,000万円以下なら10%、3,000万円以下なら15%で控除額50万円、5,000万円以下なら20%で控除額200万円という形です。この速算表は、課税遺産総額そのものではなく、法定相続分で按分した各人の取得金額に使う点が重要です。早見表を見る前に、どの金額に税率をかけるのかを理解しておくと誤解を防げます。
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | 0円 |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
相続税早見表の見方|配偶者・子ども1人・子供2人などケース別の目安
相続税早見表は、遺産総額と家族構成からおおよその税額を把握するのに便利です。たとえば「配偶者と子1人」「配偶者と子2人」などのケース別に、基礎控除後の税額目安が一覧化されています。一般に法定相続人が多いほど基礎控除額が増え、法定相続分による按分で税率も分散されやすいため、税額は下がる傾向があります。また、配偶者がいる場合は配偶者の税額軽減が使える可能性が高く、実際の納税額は早見表より低くなることもあります。ただし、早見表は不動産評価や特例適用を細かく反映していない簡易版です。「課税の可能性があるか」「ざっくりいくらか」をつかむための入口として使うのが適切です。
相続税シミュレーション・シュミレーションで概算するときの注意点
相続税シミュレーションを使うと、遺産総額や相続人の人数を入力するだけで概算税額を確認できます。ただし、入力する財産額が不正確だと結果も大きくずれます。特に不動産は時価ではなく相続税評価額で計算するため、売買価格ベースで入れると過大または過少になることがあります。また、配偶者控除、小規模宅地等の特例、生命保険金の非課税枠、債務控除、相続開始前の贈与加算などを反映できるかも重要です。なお、「シュミレーション」と検索されることもありますが、一般的な表記は「シミュレーション」です。ツールは便利ですが、最終的な申告判断や納税額の確定には個別事情の確認が欠かせません。
相続税の計算方法をケース別に解説|配偶者あり・不動産ありでどう変わる?
相続税は同じ遺産総額でも、誰が相続するか、どの財産を取得するかによって実際の税額が変わります。特に配偶者がいるケースでは税額軽減の影響が大きく、不動産が多いケースでは評価方法や特例適用の有無で結果が大きく変動します。また、遺産分割の方法によって各人の取得割合が変われば、最終的な税負担も変わります。そのため、相続税を考える際は「総額だけ」でなく「財産の中身」と「分け方」をセットで見ることが重要です。ここでは、配偶者あり、不動産あり、分割割合の違いという代表的なケースごとに、税額が変わる理由を整理します。
配偶者が相続人になる場合の税額軽減と負担の考え方
配偶者が相続人になる場合、相続税には非常に大きな優遇制度があります。それが配偶者の税額軽減で、配偶者が取得した財産が「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」のいずれか多い金額までなら、配偶者に相続税がかからない仕組みです。このため、一次相続では配偶者に多く財産を寄せると税額を大きく抑えられることがあります。ただし、配偶者に集中させすぎると、将来の二次相続で子どもの負担が重くなる場合があります。目先の節税だけでなく、配偶者の生活資金、納税資金、将来の相続まで含めて分割を考えることが大切です。配偶者控除は強力ですが、長期的な視点で使うべき制度です。
土地・不動産の評価額で相続税額が変わる理由
土地や建物が相続財産に含まれる場合、相続税額は大きく変わりやすくなります。なぜなら、不動産は現金のように額面が明確ではなく、相続税独自の評価方法で金額を算定するからです。土地は路線価方式や倍率方式で評価し、形状、接道状況、利用区分、貸宅地か自用地かなどによって評価額が変動します。建物は固定資産税評価額を基準にするのが一般的です。さらに、自宅の土地については小規模宅地等の特例が使えると評価額を大幅に減らせる可能性があります。不動産の評価は専門性が高く、評価次第で税額が大きく上下するため、相続税計算で最も差が出やすいポイントの一つです。
遺産分割の方法や各人の取得割合で税額が変わるケース
相続税の総額自体は一定のルールで計算されますが、各人が実際に負担する税額は遺産分割の方法によって変わります。たとえば、配偶者が多く取得すれば配偶者の税額軽減を活用しやすくなりますし、同居親族が自宅を取得すれば小規模宅地等の特例が使える場合があります。逆に、特例の要件を満たさない人が不動産を取得すると、評価減が使えず税額が増えることもあります。また、換価分割や代償分割など分け方の方法によって、納税資金の準備しやすさも変わります。公平感だけでなく、税負担と資金繰りまで含めて分割方法を検討することが重要です。相続では「誰が何を取るか」が税額に直結します。
相続税を減額できる主な控除・特例|配偶者控除から小規模宅地まで
相続税には、一定の条件を満たすことで税額を大きく減らせる控除や特例があります。代表的なのが配偶者の税額控除と小規模宅地等の特例で、これらは適用できるかどうかで納税額が大きく変わります。そのほかにも、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除、外国税額控除など、個別事情に応じた制度があります。ただし、多くの制度は自動適用ではなく、要件確認と申告が必要です。「使えそうな制度があるのに申告しなかったため適用できなかった」という事態を避けるためにも、控除や特例の全体像を早めに把握しておくことが大切です。
配偶者の税額控除の適用条件と申告の必要性
配偶者の税額控除は、配偶者が取得した財産について、1億6,000万円または法定相続分相当額まで相続税がかからない制度です。非常に大きな節税効果がありますが、適用を受けるには相続税申告が必要です。たとえこの制度によって最終税額がゼロになる場合でも、申告しなければ原則として適用できません。また、申告期限までに遺産分割が確定していることが基本で、未分割の場合は別途手続きが必要になることがあります。配偶者控除は使いやすい制度ですが、二次相続への影響も考慮すべきです。一次相続で税額ゼロにできても、将来配偶者が亡くなった際に子どもへ大きな税負担が生じることがあるため、総合的な設計が重要です。
小規模宅地等の特例で宅地・土地の評価を軽減する要件
小規模宅地等の特例は、一定の宅地について相続税評価額を大幅に減額できる制度です。代表的なのは被相続人の自宅敷地や事業用宅地で、要件を満たせば評価額を最大80%減額できる場合があります。自宅の土地を相続するケースでは、配偶者や同居親族など取得者の要件が重要になります。また、相続後も一定期間その宅地を保有・居住・事業継続することなどが条件になることがあります。適用面積にも上限があり、宅地の種類によって限度面積や減額割合が異なります。非常に節税効果が高い一方で、要件判定が複雑なため、土地を含む相続では早い段階で適用可疑を確認することが欠かせません。
未成年者控除・障害者控除・各種税額控除の対象と控除額
相続税には、配偶者控除や小規模宅地等の特例以外にも、個人の事情に応じた税額控除があります。未成年者控除は、相続人が18歳未満である場合に、18歳に達するまでの年数に応じて一定額を控除できる制度です。障害者控除は、相続人が障害者である場合に年齢や区分に応じて控除額が決まります。そのほか、短期間に相続が続いた場合の相次相続控除、外国で課税された場合の外国税額控除などもあります。これらは対象者が限られるものの、該当すれば税額を直接減らせるため効果が大きいです。自分の家族構成や事情に当てはまる制度がないか、申告前に確認しておくことが重要です。
生前贈与は相続税対策になる?贈与税との違いと活用のポイント
生前贈与は、相続税対策としてよく検討される方法です。財産を生前に少しずつ移しておけば、将来の相続財産を減らせる可能性があります。ただし、贈与税は相続税より高い税率になることもあり、やみくもに贈与すれば得になるとは限りません。また、相続開始前の贈与が相続税計算に持ち戻されるケースや、制度改正による扱いの変化にも注意が必要です。相続税対策として生前贈与を使うなら、暦年贈与と相続時精算課税制度の違いを理解し、贈与税と相続税をトータルで比較することが大切です。
暦年贈与と相続時精算課税制度の違い
生前贈与の代表的な制度には、暦年贈与と相続時精算課税制度があります。暦年贈与は、毎年1月1日から12月31日までの贈与額について、基礎控除110万円を超えた部分に贈与税がかかる仕組みです。少額を長期間にわたって移転しやすいのが特徴です。一方、相続時精算課税制度は、一定の要件のもとで累計2,500万円までの贈与に対する贈与税を抑えつつ、最終的に相続時に精算する制度です。まとまった財産移転に向く反面、一度選択すると暦年課税へ戻れないなどの注意点があります。どちらが有利かは、財産額、年齢、将来の相続見込み、値上がりしそうな資産の有無などで変わります。
| 制度 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 暦年贈与 | 年110万円の基礎控除がある | 少額を長期で移したい場合 |
| 相続時精算課税 | 一定額まで贈与時の負担を抑えやすい | まとまった財産を早めに移したい場合 |
生前贈与を活用する際の加算や課税制度の注意点
生前贈与を相続税対策として使う場合、相続開始前の贈与が相続税計算に加算されるルールに注意が必要です。一定期間内に相続人などへ行った贈与は、相続財産に持ち戻して相続税を計算することがあります。そのため、直前にまとめて贈与しても、期待したほど節税にならない場合があります。また、名義だけ子や孫に変えた預金は、実質的に被相続人の財産と判断されると名義預金として相続財産に含まれる可能性があります。贈与契約書の作成、受贈者本人による管理、通帳や印鑑の分離など、実態を伴った贈与にすることが重要です。制度を使うだけでなく、証拠と運用実態を整えることが相続対策では欠かせません。
贈与税と相続税を比較して節税になるか見極める方法
生前贈与が本当に節税になるかを判断するには、贈与税だけでなく将来の相続税まで含めて比較する必要があります。たとえば、毎年110万円以内の暦年贈与を長期間続けられるなら、相続財産を着実に減らせる可能性があります。一方で、高額な贈与を一度に行うと贈与税負担が重くなり、かえって不利になることもあります。また、収益不動産や将来値上がりが見込まれる株式などは、早めに移転することで将来の評価増を相続財産から外せる場合があります。節税効果は、財産の種類、贈与の時期、受贈者、相続開始までの期間で変わります。単年の税額ではなく、家族全体の資産移転計画として判断することが大切です。
相続税申告が必要な人と手続きの流れ|申告期限は死亡から10ヵ月以内
相続税申告が必要になるのは、原則として相続財産の課税価格の合計額が基礎控除を超える場合です。また、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って税額がゼロになる場合でも、適用のために申告が必要となります。申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。この期間内に財産調査、戸籍収集、遺産分割協議、評価計算、申告書作成、納税資金の準備まで進める必要があります。思った以上に時間がかかるため、相続が始まったら早めに全体スケジュールを立てることが重要です。
相続税申告が必要な対象者と申告書作成の基本
相続税申告が必要なのは、相続や遺贈によって財産を取得した人のうち、課税価格の合計額が基礎控除を超えるケースです。申告書は相続人全員に関係する内容をまとめて作成しますが、実際には各人の取得財産や控除内容を反映して税額を計算します。申告書作成では、被相続人の戸籍、相続人の戸籍、住民票、遺産分割協議書、預金残高証明書、不動産資料、保険金支払通知書など多くの資料が必要です。財産の種類が多いほど作業量は増えます。特例適用の有無によって添付書類も変わるため、早めに必要資料を整理しておくと手続きがスムーズです。
申告から納税までの手順|必要書類・分割協議・資金準備
相続税申告は、まず相続人の確定と財産調査から始まります。次に、預貯金や不動産、有価証券、保険金、債務などを評価し、遺産の全体像を把握します。そのうえで遺産分割協議を行い、誰が何を取得するかを決め、必要に応じて遺産分割協議書を作成します。その後、申告書を作成して税務署へ提出し、原則として現金一括で納税します。不動産が多く現金が少ない場合は、納税資金の確保が大きな課題になります。預金の解約時期、保険金の受取、資産売却の要否なども含めて、申告期限から逆算して準備することが重要です。
- 戸籍収集で相続人を確定する
- 財産と債務を調査する
- 財産評価を行う
- 遺産分割協議を進める
- 申告書を作成して提出する
- 期限内に納税する
申告期限以内に対応できないときのリスクと専門家への相談
相続税の申告期限に間に合わないと、無申告加算税や延滞税などの負担が生じる可能性があります。遺産分割がまとまらない、不動産評価が難しい、相続人同士で連絡が取れない、海外財産があるなどの事情があると、10ヵ月は意外と短く感じます。少しでも複雑さを感じたら、税理士や司法書士、弁護士など必要な専門家へ早めに相談するのが安全です。特に相続税は期限後の修正ができても、当初申告で使えたはずの特例に影響することがあるため、初動が重要です。
相続税計算で迷いやすいポイント|国税庁情報と理士への相談目安
相続税は制度自体が複雑で、基礎控除や税率だけ理解していても、実際の申告では迷う場面が多くあります。特に不動産評価、名義預金、生命保険金の扱い、特例の適用要件、相続開始前の贈与加算などは誤りやすいポイントです。まずは国税庁の情報を活用して基本を確認し、それでも判断が難しい場合は税理士へ相談するのが現実的です。ここでは、間違えやすい論点、国税庁資料の使い方、専門家へ相談すべき目安を整理します。
相続税の評価や算出で間違えやすいポイントを把握する
相続税計算で特に間違えやすいのは、財産の範囲と評価方法です。たとえば、家族名義の預金でも実質的に被相続人が管理していた場合は名義預金として相続財産に含まれることがあります。土地は路線価だけ見ればよいわけではなく、形状補正や利用区分の判定が必要です。生命保険金も全額課税ではなく、非課税枠の計算が必要です。さらに、葬式費用として差し引けるものと差し引けないものの区別、相続開始前贈与の加算対象期間の確認なども重要です。相続税は細かなルールの積み重ねで税額が変わるため、「だいたい」で進めないことが大切です。
国税庁の早見表・申告書・計算ツールを活用する方法
相続税の基本情報を確認するなら、国税庁の公表資料が最も信頼しやすい情報源です。税率の速算表、申告要否の考え方、申告書様式、記載例、財産評価の基本ルールなどが整理されています。まずは税率表や基礎控除の説明で全体像をつかみ、次に申告書の記載例を見ると、どのような資料が必要かイメージしやすくなります。ただし、国税庁資料は正確な反面、初めての方には専門用語が多く感じられることがあります。そのため、概要把握には解説記事やシミュレーションを使い、最終確認は国税庁資料で行うという使い分けがおすすめです。一次情報で確認する習慣が、誤解を防ぐ近道になります。
税理士など専門家に相談すべき状況と費用の考え方
相続税について税理士へ相談したほうがよいのは、不動産が多い場合、非上場株式や事業資産がある場合、過去の贈与が多い場合などです。また、配偶者控除や小規模宅地等の特例を確実に使いたいときも、専門家の関与でミスを減らせます。税理士費用は遺産総額や財産内容、業務範囲によって異なりますが、単純な申告より不動産評価や分割調整が必要な案件ほど高くなる傾向があります。ただし、評価減や特例適用で税額が大きく下がるなら、結果的に費用以上のメリットが出ることもあります。費用だけでなく、期限対応の安心感や手間削減も含めて判断するとよいでしょう。
相続税でよくある質問|いくらから申告するか、いくら払うかを最終確認
相続税については「結局いくらから課税されるのか」「自分はいくら払うのか」「相続が始まったら何から手を付ければよいのか」という疑問が特に多く見られます。ここでは、よくある質問を整理しながら、基礎控除の考え方、ケース別の税額イメージ、相続開始後の流れを簡潔に確認します。細かな制度は複雑でも、まず押さえるべきポイントは共通しています。最後に全体像を再確認して、必要なら早める専門家や公的情報へアクセスできる状態にしておきましょう。
相続税はいくらから課税される?一般的な目安を再確認
相続税が課税される一般的な目安は、相続財産の正味総額が基礎控除額を超えたときです。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。たとえば法定相続人が配偶者と子2人の合計3人なら、基礎控除は4,800万円です。正味の相続財産がこの金額以下なら、原則として相続税はかかりません。ただし、配偶者控除や小規模宅地等の特例を使う場合は、税額がゼロでも申告が必要なことがあります。まずは法定相続人の人数を確定し、財産総額を概算することが最初の一歩です。
相続税はいくらになる?ケース別に合計額をシミュレーション
相続税額は、遺産総額、相続人の人数、配偶者の有無、不動産の割合、特例適用の有無で変わります。たとえば遺産総額5,000万円で法定相続人が1人なら、基礎控除3,600万円を超えるため課税の可能性があります。一方、法定相続人が3人なら基礎控除は4,800万円なので、課税対象はごくわずかです。また、同じ6,000万円の遺産でも、配偶者が多く取得して税額軽減を使える場合と、子だけで相続する場合では負担が変わります。不動産が多い場合は小規模宅地等の特例で大きく下がることもあります。概算は早見表で確認し、正確な金額は個別事情を反映して計算するのが基本です。
相続の開始後にまず何をすべきか、全体の流れを早見で確認
相続が始まったら、まず死亡届や葬儀関連の手続きと並行して、遺言書の有無を確認します。次に戸籍を集めて相続人を確定し、預貯金、不動産、保険、借入金など財産と債務を調査します。そのうえで相続放棄や限定承認の検討期限、準確定申告の要否、遺産分割協議、相続税申告の必要性を順に確認します。相続税申告が必要なら、死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内に申告と納税を行います。期限がある手続きが多いため、全体像を早めに把握することが重要です。迷ったら、税理士や司法書士などへ早めに相談し、抜け漏れを防ぎましょう。
- 遺言書の有無を確認する
- 戸籍を集めて相続人を確定する
- 財産と債務を調査する
- 相続放棄や準確定申告の要否を確認する
- 遺産分割協議を行う
- 必要なら10ヵ月以内に相続税申告と納税を行う




