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2026.11.1 法人税

新店舗を出すときの税務届出と法人住民税の注意点【税理士無料相談】

新店舗を出すときの税務届出と法人住民税の注意点【税理士無料相談】

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飲食店や小売店、サービス業などで事業が軌道に乗ると、2店舗目、3店舗目と、新しい店舗の出店を検討することがあります。店舗の物件探しや内装、人材の採用に目が行きがちですが、新しい店舗を出すときには、税務や社会保険の届出、自治体への届出も必要になる場合があります。

届出にはそれぞれ期限があるため、出店前から準備が必要です。法人住民税の均等割の新たな申告先を見落とす、給与の源泉徴収に関する手続きが漏れる、雇用保険の手続きが遅れるなどの場合は、後から確認や修正をする手間が増えることがあります。出店の計画の段階で、どの届出が必要になりそうかを整理しておくと安心です。

この記事では、法人が新しく店舗や支店を出すときに確認したい税務の届出、法人住民税や法人事業税への影響、消費税や源泉所得税の考え方、社会保険・労働保険の手続きの注意点を、順を追って解説します。

新店舗を出すときに確認したい届出の全体像

新店舗を出すときに確認したい届出の全体像

新しい店舗を出す場合、会社として手続きが必要になる主な届出先は、税務署、都道府県税事務所、市区町村、ハローワーク、年金事務所などです。出店の内容や、店舗で働く人の数、給与の支払い方によって、必要な届出は変わります。また、新店舗が会社法上の支店に当たる場合は、税務等の届出とは別に、支店設置の決定や登記も確認します。株式会社が支店を設置した場合は、本店所在地で2週間以内の登記が必要です。登記申請書の作成や申請代理を外部に依頼する場合は、司法書士等に相談してください。

届出先 主な確認事項
税務署 支店等の設置に伴う異動届出書、給与支払事務所等の開設届出書の要否、法人税・消費税の申告方法の確認
都道府県税事務所・市区町村 事業所を新しく設けた旨の届出、法人住民税・法人事業税の申告先の確認
ハローワーク 雇用保険の適用事業所の設置届、従業員を雇う場合の資格取得の届出
年金事務所 社会保険の適用事業所の扱い、新しく採用した従業員の資格取得の届出
労働基準監督署 労災保険の保険関係の扱い、就業規則や36協定の扱い

すべての店舗で、すべての届出が必要になるわけではありません。たとえば、新店舗の従業員の給与を本店でまとめて計算して支払う場合と、新店舗でそれぞれ計算して支払う場合とでは、税務署に提出する届出が異なることがあります。

1.出店の前に決めておきたい運営の方針

届出の要否を判断するため、出店の前に次の点を決めておくと整理しやすくなります。

  • 新店舗の所在地(本店と同じ都道府県・市区町村か、別の自治体か)
  • 新店舗の従業員の数と、雇用の形態(正社員、パート、アルバイト)
  • 給与の計算と支払いを、本店でまとめるか、店舗ごとに行うか
  • 新店舗の賃貸借契約や、水道・電気などの契約の名義
  • 店舗の開業の日と、従業員の勤務開始の日

2.個人事業主から法人になる場合は別の整理が必要

この記事は、法人が新しい店舗を出す場合を中心に説明しています。個人事業主が店舗を増設する場合や、個人事業を廃止して法人を設立する場合は、「個人事業の開業・廃業等届出書」などの手続きも確認します。2026年1月1日以後の開業・増設等に係る同届出書の提出期限は、その事実があった日の属する年分の所得税の確定申告期限までです。青色申告の承認申請や家族への給与に関する届出などは別の期限があるため、税務署や税理士に確認してください。

税務署に確認したい届出と申告の考え方

税務署に確認したい届出と申告の考え方

法人税の申告は、新しい店舗を出しても、原則として本店の所在地を所轄する税務署に対して、会社全体の所得をまとめて行います。店舗ごとに法人税の申告書を作成する必要はありません。

そのため、支店や店舗を新しく設けただけでは、法人税の申告先が変わるわけではありません。ただし、支店等の設置に伴う「異動届出書」の提出も確認が必要です。対象となる異動は、異動後速やかに納税地の所轄税務署に届け出ます。本店の所在地を移転する場合は、移転前の納税地の所轄税務署に提出します。

1.給与支払事務所等の開設届出書

新しい店舗で給与等の支払事務を取り扱う事務所等を開設した場合は、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を、開設した日から1か月以内に、その事務所等の所在地を所轄する税務署に提出します。

ここでいう給与支払事務所等とは、給与の支払いに関する事務を取り扱う事務所のことです。新店舗の従業員の給与を、本店でまとめて計算し、支払っている場合は、新店舗が給与支払事務所にあたらず、届出が不要になることがあります。判断に迷う場合は、所轄の税務署に確認しましょう。

2.消費税の考え方は、法人単位で変わらない

消費税は、法人単位で納税義務を判定し、申告します。新しい店舗を出しても、店舗ごとに別々に申告するのではなく、会社全体の課税売上高や課税仕入れをまとめて計算します。

新店舗の開業にともなう内装工事や設備の購入、保証金や敷金の支払いは、消費税の取り扱いがそれぞれ異なります。たとえば、建物の賃貸借で後に返還される敷金や保証金は、課税仕入れの対象になりません。事業用建物の賃借権設定の対価として返還されない部分は、原則として課税対象です。契約内容に沿って区分してください。実際の課税仕入れに基づいて仕入税額控除を受ける場合は、原則として法定事項を記載した帳簿と適格請求書等の保存が必要です。帳簿のみで認められる特例などもあるため、適用条件を確認します。電子メール等で授受した請求書・領収書などの電子取引データは、電子帳簿保存法に従ってデータ自体も保存します。

3.開業費や固定資産の処理も確認する

新店舗の出店にかかった費用は、内容によって、費用になるものと、資産として計上するものに分かれます。内装工事や設備の購入は、金額や内容に応じて固定資産として処理し、事業に使用し始めた時点から減価償却の対象となります。少額資産等の取扱いは適用要件を確認します。法人税法上の「開業費」は、法人の設立後、事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用です。すでに事業を営む法人の追加出店費用が、そのまま開業費になるわけではありません。開店前の広告宣伝費や採用費も、支出内容や対象期間、資産取得との関係に応じて処理します。

どの費用をどう処理するかは、会社の利益や税金に影響するため、出店の計画の段階で、税理士に相談しておくと安心です。設備や、賃借人が取り付けた内装等は、固定資産税の償却資産申告の対象になることもあります。毎年1月1日現在の申告対象資産について、原則として1月31日までに資産所在地の市町村等へ申告するため、台帳を整備して確認してください。

法人住民税と法人事業税への影響

法人住民税と法人事業税への影響

新しい店舗を出すと、会社の税負担のうち、特に影響を受けやすいのが法人住民税の均等割です。

均等割は、事務所等を有する都道府県や市町村ごとに課税される税金です。年税額は、都道府県分は原則として資本金等の額など、市町村分は資本金等の額やその市町村内の従業者数などによって区分されます。新店舗が、これまでに事務所等を置いていなかった自治体にある場合は、新たな納税先が生じることがあります。同じ課税区域内の店舗数に単純比例して増えるわけではありませんが、政令指定都市では区ごとに計算する扱いがあります。事業年度の途中で設けた場合は、事務所等が所在した月数による月割で計算します。月数は暦に従い、原則として1か月未満の端数を切り捨てますが、所在期間全体が1か月未満の場合は1か月とします。

税金 新店舗を出したときの影響
法人住民税(均等割) 事業所等を設けた自治体ごとに課税されることがあり、新しい自治体に出店すると、納税先と納める税額が増えることがあります
法人住民税(法人税割) 複数の自治体に事務所等がある場合は、課税標準となる法人税額を従業者数で分割し、それぞれの税率で計算して申告・納付します
法人事業税 複数の都道府県に事務所等がある場合は、所得などの課税標準を業種に応じた基準で分割し、関係都道府県に申告します

これまで事務所等のなかった都道府県・市町村へ出店する場合は、都道府県には法人住民税の都道府県分と法人事業税、市町村には法人住民税の市町村分について、申告・納付が必要になることがあります。特別区の区域では、市町村民税相当分も都が扱います。

1.自治体への届出は、期限と書式が異なる

自治体に事務所等を設けたときは、法人の設立・設置届や異動届などの提出を確認します。届出の期限や書式、添付書類、提出先は、都道府県や市町村によって異なります。新店舗の所在地を管轄する窓口に、出店が決まった時点で確認してください。電子提出では、国税はe-Tax、地方税はeLTAXで対応する手続きを確認します。一部の届出を同時に作成・送信できる機能もありますが、税務署への届出だけで自治体への届出が済むとは限りません。提出先ごとの送信・受付結果を確認してください。

2.複数の自治体に事業所がある場合の申告

複数の都道府県や市町村に事務所等がある場合、法人住民税の法人税割は、課税標準となる法人税額を従業者数で分割します。法人事業税は、業種に応じた基準で課税標準を分割します。たとえば、飲食・小売等の非製造業では通常、課税標準の半分を従業者数、残りの半分を事務所等の数で分割します。年度途中の新設等については、税目ごとに従業者数や月数の調整ルールもあります。新店舗の従業者数と事務所等の開設日を記録し、税理士に確認してください。

社会保険・労働保険の手続きの注意点

社会保険・労働保険の手続きの注意点

新しい店舗で従業員を雇う場合は、店舗の保険の適用単位と、従業員ごとの健康保険・厚生年金保険、雇用保険の加入要件を確認します。労災保険は、原則としてパート・アルバイトを含め、労働者を一人でも使用する事業に適用されます。新店舗の所在地や従業員の人数、本店との管理体制によって、必要な手続きが変わります。

  • 雇用保険:原則として事業所ごとに手続きします。加入対象者を雇用して適用事業所を設置した場合は、原則として設置日の翌日から10日以内に設置届を提出します。独立性のない店舗は、事業所非該当の承認により本店等で手続きする場合があります
  • 労災保険:原則として事業ごとに保険関係が成立します。独立性のない店舗の扱いや、同一事業主・事業の種類の同一性などの要件と認可が必要な継続事業の一括を、労働基準監督署等に確認します
  • 健康保険・厚生年金保険:原則として事業所単位で適用されます。新店舗の新規適用届の要否や、一定の要件と承認が必要な一括適用の扱いを、年金事務所等に確認します
  • 就業規則・36協定:就業規則は、原則として常時10人以上の労働者を使用する事業場ごとに作成し、届出が必要です。36協定は、労働者数にかかわらず、原則として法定時間外・法定休日労働をさせる前に事業場ごとの締結と届出が必要です

事業主や社内担当者が、自社の社会保険・労働保険の手続きを行うこともできます。他人の求めに応じて報酬を得て業として届出書を作成したり、提出を代行したりすることには、社会保険労務士法による制限があります。法律上の例外を除き、社会保険労務士または社会保険労務士法人が行う業務です。外部に依頼する場合は、法令上その業務を行える専門家に相談してください。

1.新店舗の従業員の採用日と届出の期限

加入対象者について、健康保険・厚生年金保険の資格取得届は原則として事実発生から5日以内、雇用保険の資格取得届は被保険者となった日の属する月の翌月10日までに提出します。新店舗で健康保険・厚生年金保険の新規適用届が必要な場合も、原則として事実発生から5日以内です。雇用契約の開始日や加入要件を満たした日を確認し、店舗の開業日とは分けて期限を管理してください。多くの従業員を一度に採用する場合は、必要書類の収集も含め、採用前から準備を進めます。

2.店長や管理者に任せる事務を決めておく

新店舗の運営を店長に任せる場合は、勤怠の管理や、給与の計算に必要な情報の集約など、事務の分担を決めておくことが大切です。採用時には、賃金、労働時間、就業場所・業務とそれぞれの変更範囲など、法定事項を労働条件通知書等で明示します。書面交付が原則ですが、労働者が希望する場合は、印刷して保存できる電子メール等による明示も認められます。本店の経理や労務の担当者との間で、締め日や提出の方法を決め、書面で共有しておくと、事務の漏れを防げます。従業員の勤怠・給与などの個人データは、利用目的の範囲内で取り扱い、閲覧できる担当者を限定するなどの安全管理措置と、従業者への必要かつ適切な監督を行います。マイナンバーは法令で認められた税・社会保険等の事務に利用を限り、取扱担当者や共有方法を明確にしてください。

出店前後のスケジュールの目安

出店前後のスケジュールの目安

届出は、出店の前後に分けて考えると、漏れを防ぎやすくなります。次の表は、一般的な流れの一例です。実際の期限は、届出の種類や自治体によって異なるため、各窓口で確認してください。

時期 主な作業
出店の計画の段階 資金計画の作成、費用の見積り、必要な届出の洗い出し、税理士や社会保険労務士への相談
賃貸借契約・工事の段階 契約書や請求書の名義と宛名の確認、工事の内容に応じた会計処理の確認
従業員の採用の段階 労働条件通知書等による法定事項の明示、社会保険や雇用保険の資格取得の準備
開業の直後 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書や自治体への届出の確認、保険関係の届出の提出状況の確認(勤務開始日等によって開業前に期限が来る手続きもあります)
開業から数か月後 新店舗の売上や経費の集計、月次の試算表での損益の確認

1.出店の後は、新店舗の損益を月ごとに確認する

新店舗は、開業からしばらくは、売上が安定せず、赤字になることもあります。会社全体の決算では黒字でも、新店舗だけを見ると、赤字になっている場合があります。新店舗の損益を月ごとに把握できるよう、会計ソフトで部門別に集計する設定を、早めに準備しておくと便利です。

2.追加の借入や補助金を検討する場合の注意

出店の資金として、金融機関からの借入や、補助金の活用を検討する場合は、事前の手続きや申請の時期に注意が必要です。補助金には、交付決定前に発注・契約した経費が対象外となる制度があります。採択と交付決定は異なるため、工事や設備の発注前に、公募要領で対象経費、対象期間、事前着手の可否を確認してください。出店の計画の段階から、利用できる制度の条件に合わせて準備を進めます。

また、借入の返済額や、家賃などの固定費が増えると、毎月の資金繰りにも影響します。新店舗が軌道に乗るまでの運転資金を、あらかじめ多めに見積もっておくと安心です。売上が計画どおりに伸びなかった場合の対応も、あわせて考えておきましょう。

新店舗の出店でよくある失敗と対策

新店舗の出店でよくある失敗と対策

新しい店舗を出すときには、次のような失敗が起こりがちです。事前に対策を考えておきましょう。

  • 新店舗で給与等の支払事務を始めたのに、給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書を出し忘れた → 開設から1か月以内に、その事務所等の所在地を所轄する税務署に提出します。
  • 別の自治体に出店したのに、均等割の申告先が増えることを知らなかった → 出店の前に、自治体の窓口に確認します。
  • 内装工事や設備の費用の処理を、誤って全額を費用にした → 金額や内容に応じて、固定資産として処理するかを、税理士に確認します。
  • 加入対象となる従業員の資格取得届の提出が遅れた → 資格取得日と保険ごとの提出期限を確認し、採用前から準備します。
  • 本店と新店舗の経理の締め日が違い、月次の処理が遅れた → 締め日と、提出の方法を、出店の前に決めます。
  • 新店舗の売上や経費を、本店と分けて把握していなかった → 部門別の管理ができるように、会計ソフトの設定を見直します。

どの失敗も、出店前の確認と、本店と新店舗の事務の分担の取り決めで防ぎやすくなります。

新店舗の出店のお悩みはストラーダグループへ

新店舗の出店のお悩みはストラーダグループへ

新店舗の出店では、税務署や自治体への届出、法人住民税や法人事業税への影響、会計処理の方法など、確認すべき点が多くあります。会社の状況や、出店の場所、従業員の数によって、必要な手続きは変わります。

ストラーダグループでは、税理士法人が、出店にともなう税務の届出、法人住民税や法人事業税の見込み、内装工事や設備の会計処理などをご相談いただけます。社会保険や労働保険の手続きが必要な場合は、グループの社会保険労務士法人と連携して対応します。

新店舗の出店を検討している方、出店後の経理や税務に不安がある方は、お気軽にご相談ください。必要な届出や資金計画を整理するため、出店の前からご相談ください。

※本記事は、2026年10月29日時点で確認した公的情報をもとに作成しています。税制や手続きの内容は改正されることがあるため、実際の手続きの前に、国税庁、各自治体、厚生労働省などの公式情報をご確認ください。

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この記事の監修者
山田 直輝
税理士公認会計士行政書士
2009年公認会計士試験に合格、その後、Deloite Touche Tohmatsu(有限責任監査法人トーマツ)に入所し、メーカー、サービス業、学校、商社等の上場一部企業の会計監査や内部統制監査を行う。監査班では、監査の主任業務を経験した。その後、アドバイザリー部門に部署異動をして、ベンチャー企業支援、賠償業務算定の構築や上場支援業務、企業リスクにおけるリスクマネジメント業務を行う。上場は、リクルートの上場経験を有する。2015年に独立して、ストラーダ税理士法人を設立。「敷居が高くて堅苦しい」税理士のイメージを払拭し、「初めての方でも馴染みやすい」税理士でいることをモットーにしている。趣味は、愛娘と遊ぶこと。
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