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2026.11.8 贈与税

暦年贈与の基礎控除110万円と7年加算の注意点【税理士無料相談】

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この記事の結論:暦年課税の贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与のうち、暦年課税の対象財産の価額を合計し、基礎控除110万円を引いた残りにかかります。ただし、贈与者から相続や遺贈、相続時精算課税に係る贈与で財産を取得した人は、その贈与者から受けた一定期間の暦年贈与が、原則として相続税の課税価格に加算されます。この期間は、相続開始日が令和8年12月31日までは3年、令和9年1月1日から令和12年12月31日までは「令和6年1月1日から死亡日まで」、令和13年1月1日以後は7年と、段階的に延びています。年内に贈与を考えるときは、基礎控除だけでなく、この加算の考え方も確認しましょう。

年末に「基礎控除の範囲で、今年のうちに子や孫に贈与しておきたい」と考える場合は、贈与税と相続税の両方を確認することが大切です。暦年課税の贈与は、毎年の基礎控除110万円を使って、少しずつ財産を移せる仕組みとして知られています。

ところが、令和5年度の税制改正で、相続の前に受けた贈与を相続税に加算する期間が、段階的に延びています。年内の贈与が、将来の相続税に影響する場合があるため、仕組みを理解してから進めることが大切です。この記事では、国税庁の資料をもとに、基礎控除、加算の期間、相続時精算課税との違い、年内にやることを順番に整理します。

暦年課税の贈与税と基礎控除110万円

暦年課税の贈与税と基礎控除110万円

暦年課税では、1月1日から12月31日までの1年間に、個人から贈与で受けた財産のうち、暦年課税の対象となる財産の価額を合計し、基礎控除110万円を引いた残りに贈与税がかかります。扶養義務者から必要な都度受け取り、通常必要な生活費などに直接充てる財産など、非課税の要件を満たす財産や、相続時精算課税を選択した贈与者からの贈与は、この合計とは区分します。贈与税は、贈与を受けた人(受贈者)が納める税金です。

暦年課税の対象となる贈与財産の年間合計が110万円以下であれば、贈与税はかかりません。たとえば、その年に受けた贈与が暦年課税の100万円だけであれば、基礎控除の範囲内なので、贈与税の申告・納税は不要です。

110万円は「あげる人」ではなく「もらう人」ごとの控除

暦年課税の基礎控除110万円は、贈与を受ける人1人あたりの金額です。親が子ども2人にそれぞれ100万円を贈与し、各人にほかの暦年課税の贈与がなければ、それぞれ基礎控除の範囲内になります。複数の人から暦年課税の贈与を受けた場合は、その年間合計で110万円を超えるかを判断します。祖父と祖母の両方から暦年課税で贈与を受けた場合は、2人分を合算します。

税率と申告の時期

基礎控除後の課税価格には、10%から55%までの累進税率を適用します。特例税率は、贈与を受けた年の1月1日に18歳以上の人が、父母や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合に用います。それ以外は一般税率を用い、同じ年に両方の贈与がある場合は、区分して計算します。

贈与税の申告が必要な場合は、原則として贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに申告し、納税します。申告期限・納期限が土曜日、日曜日、祝日等に当たる場合は、その翌日以降の休日等でない日が期限です。国税庁の公表では、令和8年分の申告期間は令和9年2月1日(月)から3月15日(月)までで、納期限も同年3月15日です。

項目 内容
基礎控除 受贈者1人につき、1年間で110万円
課税の対象 暦年課税の対象となる贈与財産の年間合計から、基礎控除を引いた残り
申告の時期 原則として贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日まで
納税する人 贈与を受けた人(受贈者)

相続の前の贈与は、相続税に加算される

相続の前の贈与は、相続税に加算される

暦年課税の贈与で注意したいのが、相続税への加算です。亡くなった人から相続、遺贈又は相続時精算課税に係る贈与で財産を取得した人が、亡くなった人から加算対象期間内に暦年課税の贈与も受けていた場合は、原則として、その財産の贈与時の価額を相続税の課税価格に加算します。贈与を受けた人全員が、一律に加算の対象になるわけではありません。

加算対象の財産は、贈与税がかかったかどうかにかかわらず加算します。基礎控除110万円以下で贈与税がかからなかった財産も対象になります。ただし、贈与税の配偶者控除額に相当する部分や、住宅取得等資金の非課税の適用を受けた金額などは除かれます。加算される財産に贈与税が課されている場合は、その財産に対応する一定の贈与税額を相続税額から控除します。

加算の期間は、相続開始日で変わる

この加算の期間は、令和5年度の税制改正で、相続開始前3年から7年へ、段階的に延びています。国税庁の資料では、次のように整理されています。

相続開始の日 加算される贈与の期間
令和6年1月1日から令和8年12月31日まで 相続開始前3年以内
令和9年1月1日から令和12年12月31日まで 令和6年1月1日から死亡の日まで
令和13年1月1日以後 相続開始前7年以内

令和8年12月31日までに開始する相続では、加算対象期間は従来どおり相続開始前3年以内です。令和9年1月1日から令和12年12月31日までに開始する相続では、令和6年1月1日から死亡日までが対象期間です。令和13年1月1日以後は、死亡日から遡って7年前の日から死亡日までとなります。令和6年以後の贈与が無期限に加算されるわけではなく、令和8年の贈与も、将来の相続開始日などによって加算の有無が変わります。

延長された4年間の贈与は、総額100万円まで加算されない

相続開始前3年以内を超える加算対象期間は、経過措置中は4年未満となることもあり、最長4年間です。この期間に受けた贈与については、受贈者ごとに贈与時の価額を合計し、総額100万円を控除した残りを加算します。毎年100万円を控除する制度ではありません。この控除は、相続開始の日が令和9年1月2日以後の場合に適用されます。相続開始前3年以内の贈与には、この100万円控除はありません。

相続時精算課税との違い

相続時精算課税との違い

贈与税には、暦年課税のほかに、相続時精算課税があります。原則として、贈与年の1月1日に60歳以上の父母・祖父母などから、同日に18歳以上で、贈与者の直系卑属である推定相続人又は孫への贈与が対象です。選択するかどうかは、対象者の要件に加え、贈与額や将来の相続の見込みも確認して判断します。

項目 暦年課税 相続時精算課税
年間の基礎控除 110万円 受贈者ごとに年110万円(令和6年1月1日以後の贈与から)
特別控除 なし 贈与者ごとに累計最高2,500万円(期限内申告が必要です)
控除後の課税価格に対する税率 累進(10%から55%) 一律20%
相続税への加算 一定期間の贈与を加算 原則として贈与時の価額を加算します。令和6年1月1日以後の贈与は、各年の基礎控除後の残額です

相続時精算課税は、贈与者ごとに選択します。一度選ぶと、その贈与者からの贈与は、選択した年分以降、暦年課税に戻せません。令和6年以後の年110万円の基礎控除は暦年課税とは別枠ですが、複数の特定贈与者から同じ年に贈与を受けた場合は、その110万円を各贈与者の課税価格に応じてあん分します。この基礎控除に相当する金額は、相続税の課税価格にも加算されません。一方、最高2,500万円の特別控除を使った部分は、相続税の計算に原則として加算されます。初めて選択する年は、贈与額が110万円以下でも、原則として翌年2月1日から3月15日までに、相続時精算課税選択届出書と所定の書類を提出します。選ぶ前に、将来の相続税への影響を税理士に確認しましょう。

年内に贈与するときの実務ポイント

年内に贈与するときの実務ポイント

贈与の事実を、記録に残す

贈与は、あげる人が無償で財産を与える意思を示し、もらう人が受け入れることで成立します。契約書や銀行振込は一般に成立の必須条件ではありませんが、合意や履行を示す記録として役立ちます。贈与契約書を作り、受贈者の口座へ振り込むなどして、記録を残しましょう。税務上の取得時期は、原則として、口頭の贈与では履行があった時、書面の贈与では契約の効力が発生した時です。停止条件付きの贈与などでは扱いが異なるため、年内の贈与となるかは、契約内容と実際の履行状況を確認します。

名義預金と見なされないように注意する

預金の名義だけで、財産の帰属は決まりません。資金の出所、贈与の合意、管理・運用の状況などを総合して判断します。贈与の合意がなく、実質的に親や祖父母の財産であれば、名義預金としてその人の相続財産に含まれる可能性があります。未成年者の財産を親権者などが適法に管理する場合もあるため、本人が通帳や印鑑を保管していないことだけで贈与が否定されるわけではありません。誰のために管理・利用しているかも確認しましょう。

毎年同じ額を渡す約束は、注意が必要

「毎年110万円ずつ、10年間あげる」と最初から契約している場合は、その契約をした年に、毎年の給付を受ける権利(定期金に関する権利)の贈与として課税されます。課税対象となる権利の価額は、契約の内容などに応じて評価します。一方、毎年同じ額を渡したという事実だけで、この扱いになるわけではありません。定期金給付契約に基づかず、その年ごとに贈与契約を結び、実際に贈与をしているかを確認します。契約書だけで判断せず、約束の内容も含めて税理士に相談しましょう。

申告が必要になる場合

暦年課税の対象となる贈与財産の年間合計が110万円を超える場合は、原則として贈与税の申告が必要です。相続時精算課税の対象財産は、暦年課税分と分けて申告の要否を判定します。暦年課税の基礎控除だけで税額が生じない場合と、配偶者控除や住宅取得等資金の非課税を適用する場合は区別が必要です。これらの特例の適用を受けるには、所定の申告手続を行います。適用要件や期限、必要書類も確認してください。

贈与の特例と、年内に確認したい制度

基礎控除のほかにも、贈与税には、一定の条件を満たすと使える特例があります。年内に贈与を考えるときは、使える特例がないかも、あわせて確認しましょう。特例の内容や適用の期限は、改正されることがあるため、国税庁の資料で最新の内容を確認してください。

配偶者への居住用不動産の贈与(贈与税の配偶者控除)

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、国内の居住用不動産又はその取得資金を贈与した場合、基礎控除110万円のほかに、最高2,000万円の配偶者控除を受けられる特例があります。贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その不動産に実際に住み、その後も住み続ける見込みであることなどが必要です。同じ配偶者からの贈与について、適用は一生に一度です。適用には所定の書類を添えた贈与税の申告等が必要で、控除の適用を記載した更正の請求による手続もあります。申告や居住の要件を分けて確認しましょう。

住宅取得等資金の贈与の非課税

現行制度では、令和6年1月1日から令和8年12月31日までに、父母や祖父母などの直系尊属から、自己が住む住宅の新築、取得又は増改築等の資金として金銭の贈与を受け、一定の要件を満たす場合に適用されます。非課税限度額は、受贈者ごとに、省エネ等住宅で最高1,000万円、それ以外で最高500万円です。過去の適用額や利用歴による制限もあります。受贈者の年齢・所得、家屋の床面積などのほか、原則として翌年3月15日までに資金全額を新築等に充てることや、居住に関する要件も確認します。非課税の適用を受けるには、税額がゼロでも、期限内に所定の書類を添えて贈与税の申告を行う必要があります。

特例を使うときは、申告が必要

配偶者控除や住宅取得等資金の非課税の適用を受けるには、所定の申告手続が必要です。暦年課税の基礎控除だけで税額が生じず、特例を使わない場合は、原則として贈与税の申告は不要です。特例ごとに申告期限や添付書類を確認し、年内の贈与と翌年の申告準備を一緒に進めましょう。

贈与を進めるときの流れ

贈与を進めるときの流れ

年内に暦年贈与を行うときの、一般的な流れは次のとおりです。

家族の状況と、財産の全体を確認する

贈与する人の財産の全体と、将来の相続税の見込みを、おおまかに確認します。贈与する人の生活に必要な資金が残るか、ほかの家族との公平を保てるかも、このときに考えます。

贈与の金額と、相手、方法を決める

誰に、いくら、どの方法で贈与するかを決めます。基礎控除の110万円を超えるかどうかや、相続税への加算を考えて、金額を決めましょう。現金の贈与だけでなく、不動産や株式の贈与は、評価や手続きが複雑になるため、事前に専門家に確認します。

贈与契約書を作り、口座に振り込む

贈与の内容と双方の意思を確認できるよう、契約書や振込記録を残しましょう。契約書を作る場合は贈与者と受贈者の意思を明確にし、金銭は受贈者の口座へ振り込むなどして履行の記録を残します。未成年者への贈与では、親権者などによる適法な代理や、受贈者のための財産管理も含めて確認します。

翌年に、申告の要否を確認する

暦年課税の対象財産の年間合計が110万円を超える場合は、原則として翌年2月1日から3月15日までに申告・納税します。特例を使う場合や、相続時精算課税を初めて選ぶ場合は、前述の申告・届出要件も確認します。申告が不要でも、贈与の記録は保管しておきましょう。

贈与を考える前に、全体を見る

贈与を考える前に、全体を見る

贈与は、相続の対策の一つですが、贈与だけを単独で考えると、うまくいかない場合があります。たとえば、贈与で財産を減らしすぎると、あげる人の生活資金や、将来の医療・介護の費用が足りなくなるおそれがあります。

また、家族の間で、誰にどれだけ贈与するかによって、相続のときの不公平感が生まれ、争いの原因になることもあります。相続税の見込みの額と、遺言書の内容、贈与の計画を、一緒に確認しておくと、判断しやすくなります。

受贈者が贈与された財産を自分のために使い切ったことだけで、贈与が否定されるわけではありません。一方、贈与の合意がなく、贈与者が実質的に自分の財産として管理・利用を続けている場合などは、贈与が認められない可能性があります。贈与の合意と履行、財産の帰属を、管理状況なども含めて説明できるようにしましょう。

よくあるご質問

よくあるご質問

Q1.贈与税の基礎控除はいくらですか?

暦年課税では、受贈者1人につき、1年間で110万円です。複数の人から受けた贈与も合計し、暦年課税の対象財産の年間合計が110万円以下であれば、贈与税はかかりません。

Q2.110万円以下の贈与は、相続税には関係しませんか?

関係する場合があります。贈与者から相続や遺贈、相続時精算課税に係る贈与で財産を取得した人は、その贈与者から受けた加算対象期間内の暦年贈与を、110万円以下でも原則として相続税の課税価格に加算します。加算対象期間は、相続開始日が令和8年末までは3年以内、令和9年から令和12年までは令和6年1月1日から死亡日まで、令和13年以後は7年以内です。配偶者控除額に相当する部分など、加算しない財産もあります。

Q3.令和8年に贈与をした場合、将来の相続税に加算されますか?

相続開始日などによって変わります。令和8年12月31日までに開始する相続の加算対象期間は、相続開始前3年以内です。令和9年1月1日から令和12年12月31日までは、令和6年1月1日から死亡日まで、令和13年1月1日以後は相続開始前7年以内です。令和8年の贈与も、贈与から相続までの期間や、受贈者が贈与者から相続等で財産を取得するかによって、加算の有無が変わります。

Q4.贈与税の申告は、いつまでにしますか?

申告が必要な場合は、原則として贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、受贈者の住所を所轄する税務署へ申告し、納税します。期限が土曜日、日曜日、祝日等に当たる場合は、その翌日以降の休日等でない日が期限です。令和8年分の申告期間は令和9年2月1日(月)から3月15日(月)までで、納期限も同年3月15日です。

贈与や相続のお悩みはストラーダグループへ

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暦年贈与は、基礎控除の範囲なら手続きが簡単に見えますが、相続税への加算や、名義預金の扱いなど、後から問題になりやすい点があります。令和5年度の税制改正で加算の期間も変わっているため、年内に贈与を考えるときは、全体を確認しておくことが大切です。

贈与税・相続税の税務相談や申告は税理士に、不動産の所有権移転登記の申請代理は司法書士などの対応できる専門家に確認しましょう。贈与の計画、家族信託や遺言について相談するときは、内容に応じた担当資格者、対応範囲、費用を事前にお問い合わせください。

※本記事は、2026年11月2日時点で公表されている国税庁などの情報を確認して作成しています。税制や制度は改正されることがあるため、最新の公式情報もご確認ください。

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この記事の監修者
山田 直輝
税理士公認会計士行政書士
2009年公認会計士試験に合格、その後、Deloite Touche Tohmatsu(有限責任監査法人トーマツ)に入所し、メーカー、サービス業、学校、商社等の上場一部企業の会計監査や内部統制監査を行う。監査班では、監査の主任業務を経験した。その後、アドバイザリー部門に部署異動をして、ベンチャー企業支援、賠償業務算定の構築や上場支援業務、企業リスクにおけるリスクマネジメント業務を行う。上場は、リクルートの上場経験を有する。2015年に独立して、ストラーダ税理士法人を設立。「敷居が高くて堅苦しい」税理士のイメージを払拭し、「初めての方でも馴染みやすい」税理士でいることをモットーにしている。趣味は、愛娘と遊ぶこと。
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