毎年、年末が近づくと、会社の経理担当者や、従業員が、準備に追われるのが、「年末調整」です。従業員に、給与を支払っている会社は、年末調整を、行う必要があります。「年末調整とは、何をするのか」「従業員から、どのような書類を、提出してもらうのか」「いつまでに、何をすればよいのか」と、疑問を持つ方は、多くいます。
この記事では、国税庁のタックスアンサーをもとに、年末調整の、基本と、提出してもらう書類、手続きの流れ、スケジュール、対象となる人、注意点を、解説します。年末調整とは、毎月の給与から、源泉徴収した所得税の合計額と、1年間に納めるべき所得税の額との、差額を精算する手続きです。
なお、制度や手続きは、改正されることがあります。この記事は、2026年10月時点の国税庁の公表情報をもとにしています。実際の手続きでは、最新の情報を確認してください。
Contents
年末調整とは?

国税庁のタックスアンサーによると、年末調整は、役員または使用人に対する、毎月の給与等から、源泉徴収をした、所得税および復興特別所得税(令和9年分以後は、所得税、防衛特別所得税および復興特別所得税)の合計額と、その人が、1年間に納めるべき、所得税および復興特別所得税の額との、差額を精算するものです。
なぜ、年末調整が、必要なのか
毎月の給与から、源泉徴収する所得税は、あらかじめ決まった、税額表に基づく、概算の金額です。1年が終わると、扶養家族の状況、生命保険料の支払い、住宅ローンの控除など、個人ごとの、事情が、確定します。それらを、反映して、正しい税額を、計算し、毎月、源泉徴収した額との差を、精算するのが、年末調整です。
- 源泉徴収した額が、本来の税額より、多かった場合:差額が、従業員に、還付される
- 源泉徴収した額が、本来の税額より、少なかった場合:差額を、給与から、徴収する
年末調整の、対象となる人

国税庁のタックスアンサーによると、年末調整の対象となる人は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を、年末調整を行う日までに、提出している、一定の人です。
12月に行う年末調整の対象
12月に行う、年末調整の対象となるのは、会社などに、1年を通じて、勤務している人や、年の中途で、就職し、年末まで、勤務している人(青色事業専従者も含む)です。ただし、次のいずれかに当てはまる人は、除かれます。
- 1年間に、支払うべきことが、確定した給与の総額が、2,000万円を超える人
- 災害減免法の規定により、その年の給与に対する所得税などの、源泉徴収について、徴収猶予や還付を受けた人
年の中途で行う年末調整の対象
次のいずれかに、当てはまる人は、年の中途で、年末調整を行います。
- 海外支店などに転勤したことなどの理由で、非居住者となった人
- 死亡によって、退職した人
- 著しい心身の障害のために、退職した人(退職した後に、再就職をして、給与を受ける見込みのある人は、除く)
- 12月に支給されるべき給与の支払を受けた後に、退職した人
- パートタイマーとして働いている人などが、退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が、136万円以下である人(退職後、その年に、他の勤務先から、給与を受ける見込みのある人は、除く)
年の中途で、退職した人で、上記以外の人は、年末調整の対象になりません。そのような人は、本人が、確定申告をして、精算します。
従業員に、提出してもらう書類

年末調整を行うためには、従業員から、次のような書類の、提出を受けます。提出が必要な書類は、従業員の状況によって、異なります。
| 書類 | 内容・提出の目的 |
|---|---|
| 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | 扶養親族の有無や、障害者控除などの、状況を、会社に、申告する書類。年末調整の対象になるために、必要 |
| 給与所得者の保険料控除申告書 | 生命保険料、地震保険料、社会保険料、小規模企業共済掛金などの、控除を受けるための書類 |
| 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書 | 基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、所得金額調整控除などの、控除を、受けるための書類 |
| 住宅借入金等特別控除申告書(2年目以降) | 住宅ローン控除を、受けている場合の書類。初年度は、確定申告が、必要 |
| 保険料などの控除証明書 | 生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、国民年金保険料の納付証明書など。電子データで、提出できる場合もある |
保険料控除などの、証明書は、従業員が、保険会社などから、受け取って、会社に、提出します。会社は、内容を、確認し、年末調整の計算に、反映します。
年末調整の流れ

1. 従業員に、書類の提出を、依頼する
10月から11月頃に、従業員に、各種の申告書の、様式を、配布し、提出の期限を、案内します。国税庁の「年末調整手続の電子化」を、活用すると、書類の配布や、回収を、電子的に、行えます。
2. 提出された書類を、確認する
書類の記載内容に、漏れや、誤りがないか、証明書が、そろっているかを、確認します。不備があれば、従業員に、確認して、修正してもらいます。
3. 年間の給与の総額と、各種控除を、計算する
年間の給与の総額から、給与所得控除、各種の所得控除を、差し引き、課税される所得金額を、求めます。それに、所得税率を、適用して、年間の所得税額を、計算します。住宅ローン控除などの、税額控除も、反映します。
4. 毎月の源泉徴収額との、差額を、精算する
年間の所得税額と、毎月、源泉徴収した所得税の合計額を、比べ、過不足を、精算します。国税庁によると、年末調整は、12月に支払う、給与(その年の、最後の給与)で、行うのが、一般的です。
5. 源泉徴収票を、作成し、交付する
年末調整が、終わったら、源泉徴収票を作成し、従業員に、交付します。源泉徴収票は、従業員が、確定申告や、住宅ローンの手続き、転職先への提出などに、使う、大切な書類です。税務署や、市区町村に提出する、法定調書の、作成も、必要です。
6. 納付と、還付の処理を、行う
年末調整で、還付となった額は、会社が、その月に、納付すべき源泉所得税から、差し引いて、調整します。不足した額は、従業員から、徴収して、納付します。
スケジュールの目安

年末調整の、一般的な、スケジュールの目安を、示します。会社の状況や、給与の締め日によって、異なります。
| 時期 | 主な作業 |
|---|---|
| 10月から11月 | 従業員への、申告書の配布、提出の案内 |
| 11月から12月上旬 | 書類の回収と、内容の確認、不備の修正 |
| 12月の給与の、支払いまで | 年末調整の計算、過不足の精算 |
| 12月の給与の、支払い後 | 源泉徴収票の作成と、交付の準備 |
| 翌年1月 | 源泉徴収票の交付、給与支払報告書の提出(市区町村)、法定調書の提出(税務署) |
書類の提出が、遅れる従業員が、いる場合に備えて、余裕を持った、提出期限を、設定しておくことが、大切です。
年末調整で、よくある、ミスと注意点

- 扶養控除等申告書を、提出していない従業員を、年末調整の対象に、してしまう(対象になるには、提出が、必要)
- 控除の証明書が、不足している、または、記載内容に、誤りがある
- 扶養親族の所得の要件を、確認せずに、控除を適用する
- パートやアルバイトの、年間の給与の総額が、一定の額を、超えているのに、扶養に、入れてしまう
- 年の中途で、退職した従業員に、年末調整を、行ってしまう(対象外の人もいる)
- 年末調整の、過不足の精算を、忘れる
- 源泉徴収票の、交付を、忘れる
年末調整のミスは、従業員の、所得税の、過不足や、翌年の、住民税にも、影響するため、慎重に、確認する必要があります。ミスに気付いた場合は、速やかに、修正してください。
年末調整の計算の流れ(イメージ)

年末調整の計算の、大まかな流れを、イメージで示します。この例は、理解のための概略で、実際の計算は、国税庁の「年末調整のしかた」などで、確認してください。
- 1年間に支払った、給与の総額(給与等の収入金額)を、集計する
- 給与所得控除後の、給与等の金額(給与所得の金額)を、求める
- 各種の所得控除(基礎控除、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除など)を、差し引き、課税される給与所得金額を、求める
- 課税される給与所得金額に、所得税率を適用して、算出所得税額を、求める
- 住宅借入金等特別控除(2年目以降)などの、税額控除を、差し引き、年調所得税額を、求める
- 復興特別所得税(令和9年分以後は、防衛特別所得税と、復興特別所得税)を、加えた額が、年間の、納めるべき所得税額になる
- 毎月の源泉徴収税額の、合計額と、比べて、過不足を、精算する
給与計算ソフトや、会計ソフトを、使うと、これらの計算を、自動で、行えます。年末調整の、電子化に対応した、ソフトを、活用すると、従業員からの、申告書の回収も、効率化できます。
年末調整の、電子化

国税庁は、年末調整の手続きの、電子化を、進めています。主な内容は、次のとおりです。
- 各種の申告書を、電子データで、作成し、会社に提出する(国税庁の「年末調整控除申告書作成用アプリケーション」など)
- 保険料の控除証明書などを、電子データで、取得し、申告書に、反映する(マイナポータルとの連携など)
- 会社は、電子データを、給与計算ソフトに、取り込んで、年末調整の計算を、行う
電子化によって、書類の、配布や回収、記入、確認の手間が、減ります。ただし、電子化を利用するには、会社と、従業員の、双方に、準備が、必要です。導入を検討する場合は、国税庁の案内を、確認してください。
年末調整の後に、必要な手続き

年末調整が、終わったあとも、会社には、次のような手続きが、あります。
- 源泉徴収票の交付:従業員に、交付する(通常は、翌年の1月31日までに、交付する)
- 給与支払報告書の提出:従業員が、住んでいる、市区町村に、提出する(翌年の1月31日まで)
- 法定調書合計表の提出:税務署に、源泉徴収票などの、法定調書を、提出する(翌年の1月31日まで)
- 源泉所得税の納付:年末調整で、過不足が生じた月の、源泉所得税を、期限までに、納付する
これらの期限は、国税庁や、市区町村の案内で、確認してください。納期の特例を、受けている会社は、納付の期限が、年2回(7月10日と、翌年1月20日)になりますが、年末調整の、過不足の精算も、その期間の源泉所得税に、含まれます。
パートやアルバイトの源泉徴収

パートや、アルバイトに、給与を支払う場合も、源泉徴収が、必要です。国税庁のタックスアンサーによると、通常の源泉徴収税額は、一般の社員と同様に、「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出の有無に応じて、税額表の甲欄または乙欄を使って求めます。ただし、日給や、時間給で計算していて、雇用契約の期間が、2か月以内の場合などは、「日額表」の丙欄を使います。年末調整の対象になるかは、勤務の状況によって、異なるため、上記の対象者の条件を、確認してください。
年末調整に関する、よくある質問

Q1. 従業員が、書類を、期限までに、提出しない場合は、どうなりますか?
書類が、提出されない場合は、その控除を、反映せずに、年末調整を行う場合があります。従業員は、控除を受けられなかった分を、自分で、確定申告をして、精算できます。提出の期限と、提出しない場合の扱いを、事前に、従業員に、案内しておくと、トラブルを、防げます。
Q2. 年末調整を、忘れていたら、どうしますか?
年末調整を、行わなかった場合は、従業員が、自分で、確定申告をする必要が、生じます。気付いた時点で、速やかに、従業員に、伝え、対応を、相談してください。会社は、源泉所得税の、納付や、法定調書の提出についても、確認が、必要です。
Q3. 副業をしている従業員は、どうなりますか?
副業の収入が、ある従業員は、年末調整を、受けたうえで、副業の所得について、確定申告が、必要な場合があります。副業の所得の金額によって、異なるため、従業員に、国税庁の案内を、確認するよう、伝えてください。
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※本記事は、2026年10月時点の情報をもとに作成しています。制度や手続きは変更されることがあるため、手続きの前に、国税庁の公式情報をご確認ください。




