会社を経営すると、「消費税」の、申告と納付が、必要になる場合があります。消費税は、普段の買い物で、支払っている税金ですが、事業者の立場から見ると、仕組みが、少し異なります。「いつから、納める必要があるのか」「どのように、計算するのか」「インボイス制度は、どう関係するのか」と、疑問を持つ方は、多くいます。
この記事では、国税庁のタックスアンサーなどをもとに、消費税の基本的な仕組みと、納税義務の判定、計算方法(原則と簡易課税)、申告の時期、インボイス制度との関係を、整理します。
なお、消費税の制度は、改正されることがあります。この記事は、2026年10月時点の公表情報をもとにしています。実際の判断では、最新の情報を確認し、税理士にご相談ください。
Contents
消費税の基本的な仕組み

消費税は、商品やサービスの、販売などに、かかる税金です。事業者は、お客様から、消費税を預かり、仕入れや経費で、支払った消費税を差し引いた、残りの金額を、国に納めます。
計算例(カフェの場合)
仕組みを、理解するために、簡単な例で、考えてみます。この数字は、説明のための、仮の例です。
| 項目 | 金額 | 消費税額(10%) |
|---|---|---|
| コーヒー豆の仕入れ(税抜き5万円) | 5万5,000円(税込み) | 5,000円(支払った消費税) |
| コーヒーの売上(税抜き50万円) | 55万円(税込み) | 5万円(預かった消費税) |
| 納める消費税 | - | 5万円-5,000円=4万5,000円 |
お客様から預かった消費税から、仕入れで支払った消費税を差し引いた、4万5,000円を、国に納めます。つまり、消費税を最終的に負担しているのは、商品を買った、お客様で、事業者は、預かった税金を、国に納める、役割を担っています。
ここで、注意が必要なのは、預かった消費税は、事業者の売上や、利益ではない、という点です。預かった消費税を、事業の運転資金などに、使ってしまうと、納税の時期に、資金が不足するおそれがあります。
消費税の納税義務は、いつから?

国税庁のタックスアンサーNo.6531によると、個人事業者または法人の、その課税期間の基準期間における課税売上高が、1,000万円以下である場合には、消費税の納税義務が免除されます。基準期間とは、個人事業者の場合は前々年、法人の場合は前々事業年度のことです。
設立したばかりの会社の場合
新たに設立された法人のように、基準期間がない場合は、原則として、納税義務が免除されます。ただし、次のような場合は、免除されません。
- その事業年度の開始の日における資本金の額が、1,000万円以上である場合
- 特定新規設立法人に該当する場合
- 適格請求書発行事業者(インボイス制度の登録事業者)となる場合
特定期間の判定
基準期間における課税売上高が、1,000万円以下であっても、特定期間における課税売上高が、1,000万円を超えた場合などは、その課税期間については、課税事業者となります。特定期間とは、法人の場合、原則として、その事業年度の、前事業年度開始の日以後6か月の期間です。特定期間の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により、行うこともできます。
消費税の計算方法

課税事業者となった場合の、消費税の計算方法は、主に、次の2つです。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 原則課税 | 売上で預かった消費税から、実際に支払った、仕入れや経費の消費税を差し引いて、計算する |
| 簡易課税 | 売上で預かった消費税に、事業区分ごとの「みなし仕入率」を、掛けて、仕入れの消費税を、計算する |
簡易課税制度
国税庁のタックスアンサーNo.6505によると、簡易課税制度は、中小事業者の、納税事務の負担に、配慮する観点から、事業者の選択により、売上げに係る消費税額を基礎として、仕入れに係る消費税額を、算出できる制度です。「消費税簡易課税制度選択届出書」を、提出した課税事業者で、基準期間における課税売上高が、5,000万円以下の課税期間が、対象です。
事業区分ごとの、みなし仕入率は、次のとおりです。
| 事業区分 | みなし仕入率 |
|---|---|
| 第1種事業(卸売業) | 90% |
| 第2種事業(小売業など) | 80% |
| 第3種事業(製造業、建設業など) | 70% |
| 第4種事業(上記以外の事業) | 60% |
| 第5種事業(運輸通信業、金融業、サービス業など) | 50% |
| 第6種事業(不動産業) | 40% |
簡易課税制度の適用を受けるためには、その課税期間の初日の前日までに、届出書を、提出する必要があります。実際の仕入れの消費税が、みなし仕入率による金額より、多い場合は、原則課税のほうが、有利になる場合があります。どちらが有利かは、事業の内容によって異なるため、税理士に、確認してください。
申告と納付の時期

消費税の確定申告と納付は、課税期間の終了の日の翌日から、2か月以内に行います。3月決算の法人であれば、5月末が期限です。
国税庁のタックスアンサーNo.6609によると、直前の課税期間の消費税の年税額が、48万円を超える事業者は、中間申告も、必要になります。中間申告の回数は、直前の課税期間の確定消費税額によって、次のように、決まります。
| 直前の課税期間の確定消費税額 | 中間申告の回数 |
|---|---|
| 48万円以下 | 原則、不要(任意の中間申告制度あり) |
| 48万円超から400万円以下 | 年1回 |
| 400万円超から4,800万円以下 | 年3回 |
| 4,800万円超 | 年11回 |
納付が遅れた場合は、延滞税が、かかるため、注意が必要です。
インボイス制度と消費税

令和5年10月1日から、「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」が、始まっています。国税庁のタックスアンサーNo.6498によると、インボイス制度の下では、一定の事項が記載された帳簿と、「適格請求書(インボイス)」などの、保存が、仕入税額控除の要件になります。
適格請求書発行事業者の登録
適格請求書は、税務署長の登録を受けた、適格請求書発行事業者でなければ、交付できません。登録を受けると、基準期間の課税売上高にかかわらず、消費税の納税義務は、免除されません。つまり、売上が1,000万円以下の、免税事業者であっても、登録を受けると、消費税を納める必要があります。
負担軽減の措置
国税庁によると、免税事業者が、インボイス制度を機に、登録を受けて、課税事業者となった場合の負担を、軽減する措置が、設けられています。
- 2割特例:令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間において、納付税額を、売上税額の2割とできる経過措置
- 3割特例:小規模な個人事業者について、令和9年と令和10年の課税期間に、納付税額を軽減する経過措置
適用の要件や、期間は、国税庁の特設ページで、確認してください。また、免税事業者などから、仕入れを行った場合の、仕入税額控除については、一定の割合を、控除できる経過措置も、設けられています。
飲食料品の消費税率の、引き下げについて

国税庁の案内によると、令和9年4月1日から、令和11年3月31日までの、2年間、飲食料品の譲渡について、消費税率が、引き下げられます。この引き下げに当たり、飲食料品の譲渡を行う事業者を対象に、簡易課税制度や、中間申告の計算方法の特例が、設けられます。詳しい内容は、国税庁の「消費税率引下げ特設サイト」で、確認してください。飲食料品を扱う事業者は、レジや、会計システムの、対応も含めて、早めに、準備を進めておくことが、大切です。
課税事業者を、選択する場合

免税事業者でも、自ら課税事業者になることを、選択できます。国税庁のタックスアンサーNo.6505などの案内にあるように、消費税には、事業者が、届出によって選択できる制度が、いくつかあります。
| 届出書 | 内容 |
|---|---|
| 消費税課税事業者選択届出書 | 免税事業者が、課税事業者になることを、選択する |
| 消費税簡易課税制度選択届出書 | 簡易課税制度を、選択する |
| 消費税課税期間特例選択届出書 | 課税期間の、短縮を選択する |
| 適格請求書発行事業者の登録申請書 | 適格請求書発行事業者の、登録を申請する |
たとえば、設備投資などで、多額の消費税を、支払う場合は、課税事業者を選択して、消費税の還付を受ける方法が、あります。ただし、課税事業者を選択すると、一定期間は、免税事業者に戻れないなどの、制約があります。判断は、慎重に、行ってください。
消費税の、帳簿と書類の管理

消費税の計算には、売上と、仕入れ・経費の、記録が、欠かせません。次の点に、注意して、管理しましょう。
- 請求書、領収書は、税率(10%、軽減税率の8%)が、分かるものを、保管する
- インボイスを、受け取った場合は、仕入税額控除のために、適格請求書などを、保存する
- 売上と、仕入れの、消費税額を、会計ソフトなどで、区分して、記録する
- 預かった消費税の、概算額を、毎月、把握しておく
特に、複数の税率(標準税率と軽減税率)を、扱う事業者は、税率ごとに、区分して、経理を行う必要があります。区分が正しくないと、申告の誤りにつながります。
消費税の納税資金の、準備

消費税は、決算後に、まとめて納める税金で、金額が大きくなる場合があります。次のような工夫で、納税資金を、準備しておきましょう。
- 預かった消費税の、概算額を、毎月、別の口座に、積み立てておく
- 決算の前に、見込みの消費税額を、試算しておく
- 中間申告の対象となる場合は、中間納付の時期も、資金計画に、入れておく
- 納付が難しい場合は、期限前に、税務署に、相談する
税務スケジュールの全体は、別の記事「会社の税務の年間スケジュール!納付時期と資金繰りの注意点」で、解説しています。
消費税で、よくある失敗

- 預かった消費税を、事業の資金として使い、納税の時期に、資金が不足した
- 設立1期目は、納税義務が、免除されると思い、資本金を1,000万円以上にして、課税事業者になった
- インボイスの登録を受けたことで、免税事業者でなくなったことを、見落とした
- 簡易課税制度の、届出を、期限までに提出しなかった
- 中間申告の、対象になっていることに、気づかなかった
消費税の、確認ポイント(チェックリスト)

- 基準期間の課税売上高が、1,000万円を超えているか
- 設立事業年度の資本金が、1,000万円以上になっていないか
- インボイスの登録の有無と、登録による納税義務の変化を、把握しているか
- 簡易課税制度を、選ぶか、原則課税のままにするかを、検討したか
- 申告の期限(課税期間の終了の日の翌日から2か月以内)を、把握しているか
毎年、決算の前に、これらの点を確認する習慣をつけると、納税の漏れや、有利な制度の、使い忘れを、防げます。不明な点は、早めに、税務署や税理士に、確認してください。
よくある質問

Q1. 売上が1,000万円を超えたら、すぐに、消費税を納めますか?
基準期間(前々年、または前々事業年度)の課税売上高が、1,000万円を超えた場合に、課税事業者となり、その課税期間から、納税義務が生じます。つまり、売上が1,000万円を超えた年の、2年後が、課税事業者になる、目安です。ただし、特定期間の判定などにより、早まる場合があります。
Q2. 免税事業者は、消費税を、お客様から、受け取ってもよいですか?
免税事業者でも、価格に、消費税相当額を、含めて、請求すること自体は、可能です。ただし、免税事業者が、受け取った消費税相当額は、国に納める義務は、ありません。取引先との関係で、インボイスの発行を、求められる場合があります。
Q3. 簡易課税と、原則課税は、どちらが有利ですか?
事業の内容や、仕入れ、経費の金額によって、異なります。仕入れが少ない事業では、簡易課税が、有利になる場合があります。税理士に、試算してもらうと、安心です。
Q4. インボイスの登録は、必ず必要ですか?
登録は、義務ではありません。ただし、取引先が、課税事業者で、仕入税額控除を受けるために、インボイスを求められる場合があります。取引の状況を、確認して、判断してください。
消費税のご相談はストラーダグループへ
ストラーダグループでは、消費税の納税義務の判定、簡易課税の選択、インボイスの登録、申告まで、税理士などの専門家が、サポートしています。状況に合わせて、有利な方法を、ご提案します。初回のご相談は無料です。お気軽にご相談ください。
※本記事は、2026年10月時点の情報をもとに作成しています。税制は変更されることがあるため、手続きの前に、国税庁などの公式情報をご確認ください。




