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2024.08.21 基礎知識上場

2023年TOB(株式公開買付け)した東芝の現状と未来を税理士が解説

2023年10月東芝は74年間にわたる上場企業としての歴史に幕を下ろし、株式公開買付け(TOB)を通じて、上場廃止への道を歩み始めました。 この動きは、東芝にとって新たなステージへの転換点を意味すると同時に、これまでの困難な道のりと今後の企業戦略にも焦点が当てられています。

東芝、TOB成立で上場廃止へ

2023年9月21日、東芝は日本産業パートナーズ(JIP)を中心とする国内連合による株式公開買付け(TOB)が78.65%の応募を得て成立したことを発表しました。この結果、東芝は74年間にわたる上場企業としての歴史に終止符を打つこととなりました。

参考:東芝株式公開買付けについて(公式HP)

TOBとは何か?その仕組みと目的

TOB(株式公開買付け)とは、市場外で特定の企業の株式を買い取る手法です。買収を希望する企業が、対象企業の株主に対して決められた価格で株式を買い取ることを提案し、経営権の取得や企業買収の円滑化を目的とします。TOBには友好的なものと敵対的なものがあり、状況によって買収のプロセスが異なります。

東芝の近年の財務状況と業績

東芝は2023年3月期に約3兆3000億円の売上高を計上しましたが、最終的には748億円の赤字を記録しました。この赤字の主な原因の一つは、東芝が保有する「キオクシア」の巨額損失です。また、2015年以降、不正会計問題やアメリカの原発事業の失敗など、東芝は財務面で多くの課題に直面してきました。

過去10年間の苦難:不正会計と事業売却の連鎖

2015年に発覚した不正会計問題は、東芝にとって大きな転換点でした。この問題を機に、東芝は債務超過に陥り、医療部門や白物家電、フラッシュメモリー事業などの主要な事業を売却せざるを得なくなりました。これにより、東芝はかつての企業価値を大きく損なうこととなりました。

東芝の未来:リストラと新興分野への挑戦

東芝は現在、DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)といった新興分野への投資を通じて再建を目指しています。かつての栄光を取り戻すことができるか、その成否が今後の注目点となります。

東芝のTOBについて専門家が考察

1. 企業価値評価と株価の適正性

TOBでは、買収者が提示する株価が市場価格よりも高いことが一般的です。税理士や会計士は、この株価が適正であるかを評価することが求められます。特に、東芝のような大規模企業のTOBでは、財務状況や業績、将来の見通しを考慮し、適正な企業価値を算出することが重要です。この評価は、株主がTOBに応じるかどうかの判断材料となります。

2. 税務上の取り扱い

TOBに応じた株主が得る売却益には、税務上の課題があります。個人株主の場合、株式の譲渡益はキャピタルゲイン課税の対象となり、税理士はこの計算や税務申告をサポートします。また、法人株主の場合、受け取った資金の再投資や、場合によっては法人税上の課税の繰延べ措置などを検討する必要があります。

3. 財務報告と監査の観点

会計士の観点からは、TOBが企業の財務報告や監査に与える影響も考慮しなければなりません。特に、東芝が上場廃止となった後の財務報告の透明性や、会計基準の変更、内部統制の維持が重要です。上場廃止後も、ステークホルダーに対する信頼性の高い情報提供が求められるため、適切な監査手続きが必要です。

4. 経営再建とリストラのサポート

東芝の再建プロセスでは、リストラや新たな事業戦略が検討されます。この際、税理士や会計士は、リストラに伴う退職金や再配置に関する税務上の処理、新規事業への投資の財務アドバイスなどを提供します。また、再建計画が実行可能であるかを検証し、経営陣に適切なフィードバックを行う役割も重要です。

5. 内部統制とリスク管理

TOBが成立した後、経営体制や所有者が変わることにより、内部統制やリスク管理の体制が見直される必要があります。特に、東芝のような多岐にわたる事業を展開する企業では、内部統制の強化が求められ、これに対して会計士が専門的な助言を行うことが期待されます。


東芝のTOBは、税理士や会計士にとって多くの専門知識を要求されるケーススタディと言えるでしょう。財務的な分析から税務上の影響まで、幅広い視点で対応することが求められます。

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