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2024.06.18 M&A

【伊藤忠がビッグモーター買収を発表】再建と成長の可能性を解析

伊藤忠商事によるビッグモーターの買収ニュースが業界内外で注目を集めています。この買収がどのようにビッグモーターの再建と成長につながるか、その可能性を専門家の視点から解析しました。

参考:ビッグモーター買収、伊藤忠などが600億円で250店承継(2024年4月17日 日経新聞)

伊藤忠商事が買収した中古車販売「ビッグモーター」の新社名は「WECARS」(2024年5月1日)

2024年5月1日、伊藤忠商事によって買収された中古車販売大手「ビッグモーター」が新たなスタートを切りました。新たな社名は「WECARS」と発表されました。この変更は、ビッグモーターが直面していた保険金請求問題などの売上減少を乗り越え、事業の再構築を目指す一環として行われました。

新しい経営体制として、伊藤忠商事の元執行役員である田中新次郎氏が新社長に就任しました。田中社長は、「再成長のためには、我々自身がお客様を第一に考える組織に生まれ変わる必要がある」との抱負を述べ、顧客中心のビジネスモデルへの転換を強調しました。

この新しいブランド名と経営戦略は、ビッグモーターが市場で直面している課題を乗り越え、持続可能な成長を達成するための重要なステップです。顧客の信頼を回復し、市場での競争力を高めるための具体的な方策が期待されています。

1. 伊藤忠商事による「ビッグモーター」買収の背景

ビッグモーターの買収に至った背景には、主に二つの問題があります。第一に、板金塗装部門における自動車保険の不正請求問題が発覚しました。第二に、売上の大幅な減少により、金融機関が90億円の借り換えに応じなかったことです。これらの問題がビッグモーターの経営状況を悪化させ、買収へと繋がりました。

2. 伊藤忠商事の戦略

伊藤忠商事は、ビッグモーター買収によって自動車アフターマーケットへの進出と事業の多角化を図っています。自動車アフターマーケットの市場規模は約20兆円とされており、これにより安定した収益源を確保するとともに、新たな成長機会を見出すことが期待されます。

3. 再建と拡大の機会

伊藤忠による買収後、ビッグモーターは再建を図りながらさらなるビジネス拡大を目指すことができます。伊藤忠の資本力と多角的な経営戦略を背景に、経営破綻を避け、企業価値を向上させることが可能になるでしょう。

4. ビッグモーターへのメリット

買収は、ビッグモーターにとっても多くのメリットをもたらします。従業員の雇用が継続されることはもちろん、伊藤忠との提携により、信頼回復とサービス品質の向上が期待されます。また、安定した資金基盤のもとでの運営が可能となり、長期的なビジネス戦略を描くことができるようになります。

5. 買収スキーム

この買収は、会社分割を活用するスキームで進められる予定です。ビッグモーターの主要事業を新設される新会社が引き継ぎ、旧来の会社は一部事業と負債を保持します。これにより、効果的に資源を再配分し、新旧両社のポテンシャルを最大限に活用する計画です。

この買収により、ビッグモーターは新たなスタートを切るとともに、伊藤忠商事は自動車産業での更なるビジネス拡張を図ることができるでしょう、産業の健全化と信頼性向上に寄与することが期待されます。以下、詳しく解説します。

6. 業界全体へのポジティブな影響

伊藤忠商事によるビッグモーターの買収は、中古車業界における信頼性の向上に寄与する可能性があります。不正行為が明るみに出たことで傷ついたビッグモーターのイメージを改善し、全業界の品質と信頼性を高めるための一歩となるでしょう。さらに、消費者保護の強化としても効果が期待されます。

7. サービス品質と持続可能な成長

伊藤忠商事の経営資源と専門知識を活用することで、ビッグモーターはサービス品質を向上させることが可能です。また、新たな成長戦略の実行により、持続可能な成長を達成し、業界内での競争力を強化することができると考えられます。

8. 経済全体への貢献

この買収により、新しい雇用機会の創出や、関連産業への波及効果も期待されます。中古車市場の活性化は、自動車産業だけでなく、経済全体にポジティブな影響を与える可能性があります。

9. 長期的な展望

伊藤忠商事とビッグモーターの戦略的パートナーシップは、将来的に両社にとって有益な関係を築き上げる基盤を提供します。長期的な視点で、両社の強みを活かした事業拡大と安定した運営を目指すことができるでしょう。

この買収案件には多くのチャレンジとチャンスが含まれており、伊藤忠商事とビッグモーターがどのようにしてこれらの機会を最大限に活用するかが、今後の業界の動向を左右する重要な要素となります。伊藤忠商事の戦略的な動きが、中古車市場に新たな風を吹き込むことに期待が寄せられています。

参考:ビッグモーター社の事業再建に向けた契約締結のお知らせ(伊藤忠商事プレスリリース)

新会社「WECARS」 (ウィーカーズ) 発足に関するお知らせ(伊藤忠商事プレスリリース)

この記事の監修者
山田 直輝
税理士公認会計士行政書士
2009年公認会計士試験に合格、その後、Deloite Touche Tohmatsu(有限責任監査法人トーマツ)に入所し、メーカー、サービス業、学校、商社等の上場一部企業の会計監査や内部統制監査を行う。監査班では、監査の主任業務を経験した。その後、アドバイザリー部門に部署異動をして、ベンチャー企業支援、賠償業務算定の構築や上場支援業務、企業リスクにおけるリスクマネジメント業務を行う。上場は、リクルートの上場経験を有する。2015年に独立して、ストラーダ税理士法人を設立。「敷居が高くて堅苦しい」税理士のイメージを払拭し、「初めての方でも馴染みやすい」税理士でいることをモットーにしている。趣味は、愛娘と遊ぶこと。
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