税務署から、「税務調査を行います」という連絡が、突然、来たら、誰でも、不安になります。「何を聞かれるのか」「どのように、答えればよいのか」「調査官に、不利なことを、言ってしまわないか」と、心配する経営者は、少なくありません。
そのような場面で、心強い味方になるのが、税理士です。税理士は、法律で、納税者に代わって、税務調査に立ち会い、調査官に対して、主張や陳述を、行うことが、認められています。税務調査に、税理士が立ち会うことで、準備から、当日の対応、調査後の手続きまで、安心して進められます。
この記事では、税務調査に、税理士が立ち会うメリットを、国税通則法や、税理士法などの条文をもとに、解説します。あわせて、税理士が立ち会うときの、流れ、費用の考え方、顧問の税理士がいない場合の対応、日頃からできる準備も紹介します。
なお、制度や取扱いは、改正されることがあります。この記事は、2026年10月時点の公表情報をもとにしています。実際の対応では、最新の情報を確認し、税理士にご相談ください。
Contents
税務調査とは?税理士が立ち会える根拠

税務調査の基本
税務調査は、申告した税金が、法律に従って、正しく計算されているかを、確認する手続きです。国税通則法第74条の2は、税務署などの職員が、所得税、法人税、地方法人税、消費税に関する調査について、必要があるときは、納税義務者などに質問し、事業に関する帳簿書類その他の物件を検査し、または、その提示や提出を求めることができると、定めています。
税理士の業務としての「税務代理」
税理士法第2条は、税理士の業務として、税務代理、税務書類の作成、税務相談の3つを定めています。このうち、税務代理には、税務官公署の調査に関し、税務官公署に対してする主張や陳述について、代理し、または代行することが、含まれています。つまり、税務調査に立ち会い、納税者に代わって、調査官に、説明や主張をすることは、税理士の、法律で認められた業務です。
また、税理士法第52条は、税理士または税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除き、税理士業務を行ってはならないと定めています(e-Gov法令検索で確認)。税務調査での、納税者に代わっての、主張や陳述は、税理士以外の者が、行うことはできません。
税務代理権限証書
税理士が、税務代理をするときは、税理士法第30条により、その権限を有することを証する書面(税務代理権限証書)を、税務官公署に提出する必要があります。この書面を提出することで、税理士は、納税者の代理人として、調査に関する連絡を受けたり、調査に立ち会ったりできます。
税理士が立ち会う、6つのメリット

メリット1:調査の事前通知が、税理士にも行われる
国税通則法第74条の9によると、税務署長などは、実地の調査を行う場合は、あらかじめ、納税義務者(税務代理人がある場合は、その税務代理人を含む)に対し、調査を開始する日時、調査を行う場所、調査の目的、対象となる税目と期間、対象となる帳簿書類などを、通知するものとされています。税務代理人である税理士にも、事前通知が行われるため、調査の内容を、すぐに把握し、日程や準備について、調整できます。
通知を受けた納税義務者から、合理的な理由を付して、日時や場所の変更を、求められた場合は、税務署長などは、協議するよう努めることとされています。税理士が、経営者の都合や、準備の状況を踏まえて、日程の調整を、行ってくれます。
メリット2:調査の準備を、専門的な視点で進められる
税務調査では、調査の対象の期間の、帳簿書類が、確認されます。税理士は、事前に、帳簿や、領収書、契約書などを、確認し、指摘されそうな点や、説明が必要な点を、整理します。調査の前に、課題を把握しておくことで、当日、慌てずに、対応できます。
メリット3:調査官の質問に、適切に答えられる
経営者が、1人で、調査官の質問に答える場合、税務の専門用語や、法律の解釈が絡む質問に、戸惑うことがあります。また、事実と異なる、あいまいな回答や、不用意な発言をすると、思わぬ指摘につながるおそれがあります。
税理士が、立ち会えば、質問の趣旨を、正しく理解し、事実に基づいて、的確に、答えられます。経営者が、答えにくい質問や、判断が必要な質問は、税理士が、対応します。
メリット4:不当な指摘に、対応できる
調査官の指摘が、法令や、通達に、沿っているかどうかを、専門的な視点で、確認できます。納得できない指摘については、根拠を示して、主張し、必要に応じて、資料を追加で提出するなどの、対応ができます。
メリット5:調査後の手続きの判断を、サポートしてもらえる
調査で、誤りが見つかった場合は、修正申告をするか、更正を受けるかを、判断する必要があります。修正申告をすると、あとから、その内容を、争うことが難しくなる場合があります。税理士は、指摘の内容や、法令の根拠を、確認し、修正申告に応じるべきか、不服を申し立てるべきかを、アドバイスします。
メリット6:経営者が、本業に集中できる
税務調査への対応は、準備や、当日の立ち会いなど、時間と労力が、かかります。税理士に任せることで、経営者は、本業の仕事を、続けながら、調査に対応できます。
書面添付制度:調査の前に、税理士が意見を述べられる

税理士法には、「書面添付制度」があります。税理士法第33条の2によると、税理士は、申告書を作成したときに、その申告書の作成に関し、計算し、整理し、または相談に応じた事項を記載した書面を、申告書に添付できます。
さらに、税理士法第35条は、この書面が添付されている申告書を提出した人に対して、税務署の職員が、あらかじめ日時や場所を通知して、帳簿書類を調査する場合は、その通知をする前に、税務代理権限証書を提出している税理士に対して、添付書面に記載された事項に関し、意見を述べる機会を与えなければならないと、定めています。この意見の聴取の結果、疑問が解消されれば、調査が行われない場合もあります。
書面添付制度は、税理士が、申告書の内容に、責任を持つ仕組みでもあります。税理士に、決算や申告を、依頼している場合は、この制度を、活用できるかを、相談してみてください。
税務調査に税理士が立ち会うときの流れ

調査の連絡を受ける
税務署から、調査の連絡があったら、すぐに、税理士に、連絡します。連絡を受けた内容(調査の日時、場所、対象の税目、期間など)を、税理士に、伝えます。
税務代理権限証書の提出と、日程の調整
税理士が、税務代理権限証書を、税務署に提出し、調査の日程などを、調整します。経営者の都合が合わない場合は、合理的な理由を付して、日時や場所の変更を、相談できます。
事前の準備
税理士と一緒に、調査の対象の期間の、帳簿書類を確認し、指摘されそうな点を、整理します。必要な資料を、そろえておきます。
調査の当日
税理士が立ち会い、調査官の質問に対応します。経営者は、事実に基づいて、簡潔に、答えます。判断が必要な質問や、法律の解釈にかかわる質問は、税理士が、答えます。
調査の結果の説明と、その後の対応
調査の結果が、説明されます。誤りがあれば、修正申告や、更正の手続きを、行います。税理士が、内容を確認し、対応を、アドバイスします。
費用の考え方と、顧問税理士がいない場合

顧問税理士がいる場合
顧問契約を結んでいる税理士は、日頃から、帳簿や、申告の内容を、把握しているため、調査の対応が、スムーズです。調査の立ち会いの費用は、顧問契約の内容によって、異なります。顧問料に含まれる場合もあれば、別途、費用が、かかる場合もあります。契約の内容を、事前に、確認しておきましょう。
顧問税理士がいない場合
顧問の税理士がいない場合でも、調査の通知を受けてから、税理士に依頼できます。この場合は、帳簿や、過去の申告の内容を、確認する時間が、必要になるため、早めの依頼が、大切です。費用は、税理士事務所によって、異なります。複数の事務所に、見積もりを、依頼することも、検討してください。
費用以外に、確認しておきたいこと
- 税務調査の立ち会いの経験が、あるか
- 調査の準備から、調査後の対応まで、どこまで対応してもらえるか
- 費用の算定の基準(日数、時間、調査の規模など)と、追加の費用の有無
- 連絡の取りやすさ
税理士が立ち会っても、守りたいこと

税理士が立ち会うからといって、経営者が、すべてを任せて、何もしなくてよいわけではありません。次の点は、経営者として、守る必要があります。
- 帳簿書類を、事実に基づいて、正確に、保存しておく
- 書類を、書き換えたり、隠したりしない
- 事実と異なる説明を、しない
- 税理士に、事実を、正直に、すべて伝える
事実を隠したり、仮装したりすると、重加算税などの、重い、ペナルティの対象になります。税理士には、事実を、包み隠さず、伝えることが、適切な対応の前提です。
日頃からできる、税務調査への備え

税務調査に備えて、日頃から、次のような準備を、しておくと、安心です。
- 領収書、請求書、契約書を、整理して、保存する
- 毎月、帳簿を、正確につけ、月次の試算表を、確認する
- 経費の支出の目的を、記録しておく
- 事業用と、個人用の口座を、分けて管理する
- 役員報酬や、交際費など、税務上のルールのあるものは、事前に、税理士に確認する
- 顧問の税理士を、決めておく
指摘されやすい経費については、別の記事「税務調査で指摘されやすい経費と対策!交際費・外注費の注意点」で、解説しています。
調査の対象になりやすい、会社の特徴

税務署が、どの会社を調査するかを、決める基準は、公表されていません。ただし、一般的には、次のような場合に、調査の対象になりやすいといわれています。
- 売上や利益の変動が、大きく、理由が、説明しにくい
- 同業他社と比べて、利益率や、経費の割合が、大きく異なる
- 長期間、調査を受けていない
- 申告の内容に、不自然な点や、計算の誤りがある
- 取引先の調査などの、情報から、疑問が生じた
調査の対象になること自体は、必ずしも、不正があるという意味では、ありません。日頃から、帳簿書類を整備し、数字の変動について、説明できる準備を、しておくことが、大切です。
税務調査の連絡を受けたときの、最初の対応

税務調査の連絡が来たときは、慌てずに、次の順序で、対応します。
- 連絡を受けた日時、調査官の氏名と所属、調査の対象、希望の日程などを、メモに残す
- その場で、日程を決めずに、「税理士と相談して、改めて連絡する」と、伝える
- すぐに、顧問の税理士、または、依頼できる税理士に、連絡する
- 調査の対象になる期間の、帳簿書類を、確認する
連絡を受けた直後は、不安から、準備を急いで、書類を、整理し直したくなるかもしれません。しかし、書類の書き換えや、追加の作成は、事実を仮装したと、見られるおそれがあり、避けなければなりません。あくまで、あるがままの書類を、整理して、提示できるよう、準備してください。
税務調査の立ち会いに関する、よくある質問

Q1. 税理士が立ち会うと、調査官に、不信感を持たれませんか?
そのようなことは、ありません。税理士が、納税者の代理人として、立ち会うことは、法律で認められた、通常の対応です。むしろ、事前の通知も、税理士に行われるなど、調査の手続きが、スムーズに進みます。
Q2. 税理士は、調査の当日、ずっと同席してくれますか?
調査の内容や、日数、契約の内容によって、異なります。調査の当日の立ち会いの範囲や、時間を、事前に、税理士と、確認しておいてください。
Q3. 経営者の私が、立ち会わなくても、よいですか?
調査官は、経営者本人に、事業の内容や、取引の実態について、質問することが、あります。事業の内容を、最もよく知っているのは、経営者です。税理士に任せきりにせず、できるだけ、経営者も、同席してください。
Q4. 家族や、従業員が、代わりに、対応してもよいですか?
納税者に代わって、主張や陳述を行う税務代理は、税理士でなければできません。家族や従業員が、事実関係の質問に、答えることは、できますが、納税者の代理として、法的な主張をすることは、できません。
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ストラーダグループでは、日々の経理の整備、書面添付制度の活用、税務調査の事前の準備から、調査の立ち会い、調査後の対応まで、税理士などの専門家が連携して、サポートしています。「税務調査の連絡が来た」「顧問の税理士がいない」といったご相談も、お受けしています。初回のご相談は無料です。お気軽にご相談ください。
※本記事は、2026年10月時点の情報をもとに作成しています。制度や取扱いは変更されることがあるため、手続きの前に、国税庁、e-Gov法令検索などの公式情報をご確認ください。




