国民年金はさまざまな理由により未納になっていた過去の分を、後から支払うことがあります。過去の分を支払った場合、確定申告で社会保険料控除をしても問題ないのでしょうか。
今回は、過去の分の国民年金を支払った場合や、2年分を前納した場合の確定申告について解説します。
国民年金の過去の分は確定申告で控除できる
基本的に国民年金の保険料は、毎月や2年前納など決められたタイミングで支払います。しかし、金銭的な余裕がなくて延納申請をしたり、学生納付特例制度を利用して支払いが数年後となることもあります。
この支払いが遅れてしまった国民年金については、支払った年に確定申告で社会保険料控除を受けられます。例えば、毎月の国民年金保険料12か月分と延納となっている過去の12か月分を支払ったら、合計24ヶ月分が社会保険料控除の対象です。
国民年金の社会保険料控除を受けるには、毎年11月頃に年金事務所から送られてくる「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」が必要です。過去の分を納めた記録が載っていない場合は、支払った際の領収書を証明書として保管しておきましょう。
自分以外の国民年金も確定申告で控除可能
生計を一にしている配偶者や親族の国民年金保険料を負担したら、確定申告で控除を受けられます。「生活を一にする」とは、一緒に住み生活費を負担している場合だけでなく、転勤や修学などにより離れて暮らしていても、生活費や学費を常に送金している場合は対象となります。
生活を一にする配偶者や親族の分も社会保険料控除を受ける際は、全員分の社会保険料(国民年金保険料)控除証明書が必要です。
国民年金を前納した場合の確定申告
国民年金は、2年分を前納することができます。その場合の社会保険料控除の額は以下の2パターンから選択可能です。
- 納付した年に全額を控除する
- 各年分に振り分けて控除する
通常、2年前納はその年の4月分から翌々年の3月分までを支払います。
令和5年4月に2年分を前納して、②のパターンで確定申告をする場合は、以下のように各年に振り分けます。
- 令和5年4月~12月分
- 令和6年1月~12月分
- 令和7年1月~3月分
①のパターンの方が確定申告は楽になりますが、期間の途中で就職して厚生年金に加入した場合は、修正申告が必要になります。
まとめ
延納申請をしていた国民年金の過去の分を支払ったら、その年の確定申告で社会保険料控除を受けられます。社会保険料控除を受けるには、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書や領収書が必要なので保管しておきましょう。
生活を一にする配偶者や親族の国民年金を支払った場合も、社会保険料控除を受けられるので、全員分の控除証明書を保管してください。
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