会社を設立し、法務局での登記が完了したら、次に行うのが、税務署などへの届出です。届出には、期限が決まっているものが多く、遅れると、税金の面で、不利になることがあります。
この記事では、会社設立後に、税務署へ提出する主な書類を、必ず出す書類と、出しておくと有利になる書類に分けて、提出期限とあわせて、国税庁の公表情報などをもとに、解説します。あわせて、税務署以外の、都道府県や市区町村、年金事務所などの手続きも、確認します。
なお、手続きや期限は、変更されることがあります。この記事は、2026年10月時点の公表情報をもとにしています。実際の手続きは、最新の情報を確認し、税理士などの専門家にご相談ください。
Contents
会社設立後の届出の全体像

会社設立後の、主な届出を、一覧にすると、次のとおりです。期限は、設立の日などから数える、ものが多いため、設立日を、必ず控えておきましょう。
| 書類 | 提出先 | 提出期限の目安 |
|---|---|---|
| 法人設立届出書 | 税務署 | 設立の日以後2か月以内 |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 税務署 | 開設の日から1か月以内 |
| 青色申告の承認申請書 | 税務署 | 設立の日以後3か月を経過した日と、最初の事業年度終了の日のうち、早い日の前日まで |
| 棚卸資産の評価方法の届出書 | 税務署 | 最初の確定申告書の提出期限まで |
| 減価償却資産の償却方法の届出書 | 税務署 | 最初の確定申告書の提出期限まで |
| 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 税務署 | いつでも提出可能(承認の時期は、提出した月による) |
上の表のうち、青色申告の承認申請書の期限は、「2か月以内」ではなく「3か月」を基準にする点に、注意が必要です。法人税法第122条では、普通法人の設立の日の属する事業年度については、設立の日以後3か月を経過した日と、その事業年度の終了の日とのうち、いずれか早い日の前日までに、申請書を提出するとされています。
税務署へ必ず提出する書類

法人設立届出書
法人を設立したことを、税務署に知らせる書類です。法人設立届出書の提出期限は、法人を設立した日以後2か月以内です。
提出先は、本店所在地を管轄する、税務署です。添付する書類は、次のとおりです。
- 定款などの写し
- 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
- 株主名簿などの、株主や出資者の氏名が分かる書類
- 設立時の貸借対照表
- 合併や分割などによって設立した場合は、その旨を示す書類
添付書類の範囲は、設立の形態によって、異なることがあります。提出前に、国税庁の案内や、管轄の税務署で、確認してください。
給与支払事務所等の開設届出書
給与を支払う、事務所や事業所を、新たに開いたときに、提出する書類です。会社の役員に、報酬(給与)を支払う場合も、対象になります。期限は、開設の日から1か月以内です。
給与から、源泉所得税を、差し引いて納める義務がある、会社が、源泉徴収義務者であることを、税務署に届け出るための書類です。従業員がいない場合でも、役員報酬を払う場合は、提出するのが、一般的です。
提出しておくと有利になる書類

青色申告の承認申請書
青色申告とは、一定の帳簿をつけて、正しい申告を行う会社に対して、税金の面で、特典を受けられる制度です。青色申告を、選ぶためには、事前に、税務署長の承認を受ける必要があります。承認申請書を提出しないと、白色申告となり、青色申告の特典を、受けられません。
法人税の青色申告の、主な特典として、国税庁などの案内では、次のようなものが、挙げられています。
- 欠損金(赤字)を、繰り越して、将来の黒字と、相殺できる(繰越控除)
- 中小企業者などが、一定の機械や設備を取得した場合の、特例を受けられる場合がある
- 一定の要件を満たす場合に、税額控除などの、特例の対象になる
特例の内容や、適用の要件は、毎年の、税制改正で、変更されます。実際に、利用できるかどうかは、決算のときに、確認してください。
提出期限は、先ほどの表のとおり、設立の日以後3か月を経過した日と、最初の事業年度終了の日とのうち、早い日の前日までです。たとえば、設立後、最初の決算まで、3か月に満たない場合は、決算日が、期限の目安になる点に、注意してください。期限は、法人税法第122条に、定められています。
迷ったら、法人設立届出書と、一緒に提出するのが、おすすめです。設立直後は、手続きが多く、期限を、うっかり過ぎてしまう例が、少なくないためです。
棚卸資産の評価方法の届出書
棚卸資産とは、販売するために、持っている商品や、製品、原材料などの、在庫のことです。在庫の価額を、どのように計算するかを、選択して、税務署に届け出ます。
この届出書を、期限までに提出しなかった場合は、法定の評価方法である、最終仕入原価法による、原価法が、適用されます。商品の在庫を、持たないサービス業などでは、通常、この届出を、検討する必要は、ほとんどありません。
提出期限は、最初の確定申告書の提出期限までです。
減価償却資産の償却方法の届出書
パソコンや、機械、車両などの、減価償却資産について、どの方法で、費用を計上するかを、選んで、届け出る書類です。国税庁のタックスアンサーNo.5409によると、減価償却資産の償却方法は、資産の種類ごとに選定し、確定申告書の提出期限までに、「減価償却資産の償却方法の届出書」を税務署長に届け出ることとされています。
届出をしない場合は、法定償却方法が適用されます。たとえば、機械及び装置の法定償却方法は、定率法です。定額法を選びたい場合は、届出書の提出が、必要です。
2つの方法の違いは、次のとおりです。
| 方法 | 特徴 |
|---|---|
| 定額法 | 毎年、同じ額を、費用にする。利益が、毎年、安定している会社に、向いている |
| 定率法 | はじめの年ほど、多く費用にし、年を追うごとに、減っていく。初期の負担を、早く費用にしたい場合に、向いている |
なお、建物の償却方法は、定額法のみです。実際の選択は、事業の内容や、資金計画に、応じて、税理士に相談して、決めると安心です。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
従業員などに、給与を支払ったときは、源泉徴収した所得税などを、原則として、支払った月の、翌月10日までに、納めます。納期の特例の承認を受けると、この納付を、年2回に、まとめることができます。
国税庁のタックスアンサーNo.2505(令和8年4月1日現在法令等)によると、この特例の対象は、給与の支給人員が、常時10人未満の源泉徴収義務者です。1月から6月までに源泉徴収した所得税は、7月10日、7月から12月までに源泉徴収した所得税は、翌年1月20日が、それぞれ納付期限となります。
申請書を提出した月の、翌月末日に、承認があったものとみなされ(却下の通知がない場合)、提出した月の翌月に、源泉徴収する税額から、特例が適用されます。たとえば、2月中に提出した場合は、2月支給分は、3月10日に、3月から6月までの支給分は、7月10日に、それぞれ納めます。
なお、給与の支給人員が、常時10人以上になった場合は、「要件に該当しなくなったことの届出書」を、提出する必要があります。
税務署以外にも必要な、主な手続き

都道府県税事務所・市区町村への届出
法人は、法人住民税や、法人事業税を納めます。会社を設立したときは、本店所在地の、都道府県税事務所や、市区町村に、設立の届出(法人設立・設置届出書など)を、提出するのが、一般的です。
提出先の窓口、提出期限、必要な添付書類は、自治体によって、異なります。設立後は、本店所在地の、自治体のホームページで、確認してください。
消費税に関する届出
消費税は、国税庁のタックスアンサーNo.6531によると、新たに設立された法人のように、基準期間がない場合でも、原則として、納税義務が免除されます。ただし、次のような場合は、免除されません。
- 設立事業年度の開始の日における資本金の額が、1,000万円以上の場合
- 特定新規設立法人に、該当する場合
- 適格請求書発行事業者(インボイス制度の登録を受けた事業者)となる場合
取引先が、インボイスを、求める場合は、登録の検討が、必要です。登録をすると、課税事業者となり、消費税の申告が、必要になります。登録の可否や、課税の影響は、取引の状況によって、異なるため、慎重に、判断してください。
社会保険(健康保険・厚生年金)の手続き
法人は、社長ひとりの会社でも、原則として、健康保険と厚生年金保険の、適用事業所になります。管轄の、年金事務所に、新規適用の手続きを、行います。税務署の手続きとは、別に、必要です。詳しい手続きは、日本年金機構の案内で、確認してください。
設立から申告までの、手続きの流れ

会社設立から、最初の申告までの、おおまかな流れは、次のとおりです。
- 登記の完了後、すぐに、登記事項証明書を取得する
- 設立から1か月以内に、給与支払事務所等の開設届出書を提出する
- 設立から2か月以内に、法人設立届出書を提出する(青色申告の承認申請書も、同時に出すのがおすすめ)
- 都道府県税事務所と、市区町村へ、設立の届出を提出する
- 年金事務所へ、社会保険の新規適用の手続きを行う
- 最初の事業年度の終了後、2か月以内に、法人税などの確定申告を行う(期限の延長を受けている場合を除く)
このように、設立直後の1〜3か月は、手続きが、集中します。設立日が決まった時点で、期限の一覧表を作っておくと、漏れを、防げます。
届出書を提出するときの持ち物

税務署の窓口に、持参する場合は、次のものを、用意しておくと、スムーズです。
- 提出する書類(正本と、控え用の、写し)
- 添付書類(定款の写し、登記事項証明書、株主名簿など)
- 法人の印鑑(会社の代表者印)
- 郵送の場合は、返信用の封筒と、切手
郵送で、提出する場合は、控えへの、受付印を、押して返送してもらうために、返信用封筒を、同封します。
提出時の注意点

期限は、設立日を基準に、逆算する
設立の日(登記の申請日)を、基準にして、各書類の期限を、カレンダーなどに、書き出しておきましょう。特に、青色申告の承認申請書は、期限に遅れると、設立事業年度の、青色申告が、できなくなる、おそれがあります。
書類の写しを、保管する
提出した書類は、税務署の受付印を、押してもらった控えを、保管します。電子申請(e-Tax)で、提出した場合は、受信通知などを、保存してください。後日、承認の有無などを、確認するときに、役立ちます。
届出が漏れやすいもの
実務では、次のような、届出の漏れが、よくあります。
- 青色申告の承認申請書を、出さずに、期限を過ぎてしまう
- 給与支払事務所等の開設届出書を、役員報酬の支払い前に、出し忘れる
- 減価償却資産の償却方法を、選びたかったのに、届出をせず、法定償却方法になる
- 都道府県や、市区町村への、届出を、忘れる
よくある質問

Q1. 税務署への届出は、自分で、できますか?
書類の様式は、国税庁のホームページから、入手できます。ご自身で、提出することも、可能です。ただし、青色申告の特典や、償却方法の選び方などは、会社の事業内容によって、有利不利が、変わるため、不安な場合は、税理士に、相談してください。
Q2. 青色申告の承認申請書を、出し忘れたら、どうなりますか?
その事業年度は、白色申告となり、青色申告の特典を、受けられません。欠損金の繰越控除などの、特典も、対象外になります。次の事業年度から、青色申告を、希望する場合は、その事業年度開始の日の前日までに、申請書を、提出する必要があります。
Q3. 届出は、電子申請でも、できますか?
国税の各種届出は、e-Taxで、電子申請することが、できます。添付書類の扱いなどは、手続きによって、異なるため、国税庁の案内を、確認してください。
Q4. 登記が済んでいない場合も、届出できますか?
法人設立届出書には、登記事項証明書を、添付するため、登記が完了してから、提出するのが、一般的です。登記が、遅れた場合でも、設立の日(登記の日)から、期限を、数える点に、注意してください。
会社設立後の届出のお悩みはストラーダグループへ

ストラーダグループでは、会社設立の手続きから、設立後の税務署への届出、経理や、決算、申告まで、税理士などの専門家が連携して、サポートしています。青色申告や、減価償却の選択など、設立直後に決めておくべきことも、事業の状況に合わせて、ご提案します。初回のご相談は無料です。お気軽にご相談ください。
※本記事は、2026年10月時点の情報をもとに作成しています。税制や制度は変更されることがあるため、手続きの前に、国税庁、日本年金機構などの公式情報をご確認ください。




