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会社設立
2023.08.28 節税

【絶対に知っておきたい】会社設立で使える税金対策のメリット7選

会社を設立する際、税金対策は重要なポイントのひとつです。会社設立時からの戦略的な税金対策は、経営の安定と成長に直結します。

本記事では、会社設立による税金対策のメリットを7つにわたって解説します。これから会社を設立される方、または設立後の経営をより効率的にしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

会社設立による税金対策のメリット7選

会社設立に伴う税金対策がもたらすメリットは大きいです。役員報酬の計上から消費税対策まで、賢い選択で税金の負担を軽減できます。

今回ご紹介する会社設立による税金対策のメリットは、下記の7つです。

  • 役員報酬の計上
  • 家族や親族と所得を分散する
  • 退職金の支給
  • 保険の活用
  • 法人税と所得税における差
  • 欠損金の繰越控除可能期間が長い
  • 消費税の負担を軽減できる

どの税金対策も効果的なので、ひとつずつ見ていきましょう。

役員報酬の計上

個人事業主の場合、売上から経費を差し引いた金額が全て事業所得として課税されます。

一方、会社を設立した場合、会社から役員(例えば、社長)への報酬として支払う金額は、会社の経費となり、その金額だけ会社の課税所得を減らすことができます。役員個人は、この報酬に対して所得税を納めますが、「給与所得控除」が適用され、一定の金額(例: 65~220万円)が税額から控除されます。

例えば、会社が社長に年間800万円の報酬を支払った場合、200万円の給与所得控除が適用され、これにより60万円の節税メリットが発生します。これにより、全体としての所得を減らし、節税効果を享受することが可能です。特に、個人事業主と比較して、会社設立による役員報酬の形式は税務上有利である場合が多いです。

家族や親族と所得を分散する

会社を設立すると、家族に役員報酬または給与を支払い、所得を分散することが可能です。所得税は累進課税制であり、所得が高いほど税率が上昇します。これにより、所得を分散することで節税が可能になります。

例えば、家族2人にそれぞれ年間100万円の役員報酬を支払った場合、節税メリットとして「年間役員報酬100万×2人×実効税率35%=70万円」の節税が享受できます。

また、給与所得控除(65~220万円)を家族にも適用することが可能なため、所得分散効果は一層拡大します。個人事業主の場合も家族を「事業専従者」として給与を支払うことは可能ですが、制限が多く、会社設立の方が自由度が高く、節税しやすいです。

加えて、役員報酬は法人税では経費となるため、法人の税負担も軽減します。特に、配偶者を常務役員にすることで、適切な額の報酬を支給し、より効果的な節税が期待できます

退職金の支給

会社設立を行うと、5年以上勤務した役員への退職金に対して、有利な税制の適用が可能になります。具体的には、支払う退職金から「退職所得控除」が差し引かれ、その結果得られた金額の半分のみが課税されます。

さらに、この退職金は他の所得と分離して課税され、累進税率の緩和効果があるため、大幅な節税が可能になる「トリプル節税」が実現します。個人事業主の場合、退職所得の適用は基本的にありませんが、「小規模企業共済」制度を活用することで、有利な税制の適用が可能です。

そして法人であれば、従業員への退職金は損金として認められ、これにより法人所得が減少し、法人税の負担も軽減されます。これに対し、個人事業では退職金を必要経費とすることはできません。また、死亡時の退職金には相続税の非課税枠も設けられているため、相続税法上も有利になります。

保険の活用

個人事業主が加入する保険は、個人を対象としたものであり、経費として認められる場合はほとんどなく、生命保険料控除の適用限度額は年12万円です。

一方、会社を設立すると、保険商品によっては全額または半額を損金(経費)として計上することが可能であり、これにより会社の利益を繰り延べ(節税)することができます。この損金は解約時や満期時に課税されますが、役員の退職金と組み合わせることでさらなる節税が可能です。

特に、法人の場合には、解約時に支払った保険料のほぼ100%を取り戻せる一方で、支払時に保険料の50%~100%を経費計上できる保険商品があり、これらは節税策として効果的に活用されています。将来の法人税率の低下傾向も考慮すると、これらの手段は有利な節税方法とされます。

法人税と所得税における差

個人事業主の所得税と住民税の最高税率は約55%になるのに対し、法人の場合の最高実効税率は約35%です。

個人事業主が会社設立によって節税の恩恵を受けられるのは、一般に課税所得が330万円を超えた場合です。これは、個人の所得税と住民税の合計税率が法人税率を上回るため、330万円を超えると税率が20%から30%に上がり、法人設立が有利になるからです。

さらに、年間の所得が1,800万円を超える場合、個人事業主の税率は40%に対し、法人は25.5%となるため、法人の方が明らかに節税効果が高まります。これにより、売上が伸びて利益が大きくなる場合、法人設立を視野に入れるのがおすすめとなります。

欠損金の繰越控除可能期間が長い

事業で収入が経費を下回り「赤字」(欠損金)になった場合、この赤字は翌期以降に繰り越して、その後の利益と相殺することができ、節税効果があります。

この制度は「青色申告」を利用する必要があります。個人事業主の場合、この赤字の繰り越しは3年間と定められています。一方、法人の場合は、繰越が9年間可能であり、特定の事業年度においては10年間繰越が認められています。このように、法人は個人事業に比べて赤字の繰り越し期間が長いため、将来的に大きな節税メリットを享受する可能性が高くなります。これは特に、事業開始時の赤字を長期間にわたって利益と相殺できる点で、法人設立が有利とされます。

消費税の負担を軽減できる

個人事業主で年間課税売上高が1,000万円を超えた場合、消費税の納税義務が生じます。しかし、課税売上が1,000万円を超える前に「法人成り」を行い、特定の条件(資本金1,000万円未満、特定期間の売上や支払総額が1,000万円を超えない等)を満たす場合、最大で4年間、消費税の課税から免れることができます

具体的には、会社設立後の初めての2期間(1期目と2期目)で、原則として消費税の課税が免除されます。これにより、事業規模が急激に拡大しない限り、消費税の納税義務を2年間遅らせることが可能となり、納税負担を軽減できるメリットがあります。

ただし、この免税メリットは、資本金1,000万円未満で法人を設立した場合に限られる点に注意が必要です。

まとめ

今回の記事では、会社設立による税金対策のメリットを7つ解説しました。再度、ポイントをまとめておきます。

  • 役員報酬の計上
  • 家族や親族と所得を分散する
  • 退職金の支給
  • 保険の活用
  • 法人税と所得税における差
  • 欠損金の繰越控除可能期間が長い
  • 消費税の負担を軽減できる

今、個人事業主をされている方も会社設立による税金対策を検討してみてください。また、個人事業主から法人成りする場合の費用については、こちらの記事「個人事業主が会社を設立すると得する?法人成りに必要な費用も紹介」で解説しているので、あわせてお読みください。

この記事の監修者
塚田 拓也
税理士公認会計士
2008年公認会計士試験に合格、その後、Deloite Touche Tohmatsu(有限責任監査法人トーマツ)に入所し、製造業、小売業、商社等の上場会社を中心とした法定監査に従事。有限責任監査法人トーマツのマネージャーまで経験した。また、監査業務を中心に、決算早期化やIFRS導入支援等のアドバイザリー業務を経験。2018年にストラーダグループに参画。「クライアントの期待を超える」「分かりにくいを分かりやすいに」をモットーに、税務支援に従事している。趣味は、月に1回行うフットサル。
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