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2026.11.3 年末調整

年末調整の流れと令和8年分の改正点【税理士無料相談】

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この記事の結論:年末調整は、会社が給与から源泉徴収した所得税及び復興特別所得税と、年間の給与に対する年税額との差額を精算する手続きです。令和8年12月1日以後に行う年末調整では、居住者の基礎控除は特例加算を含め、合計所得金額489万円以下で104万円、489万円超655万円以下で67万円、655万円超2,350万円以下で62万円となります。給与所得控除の最低保障額は、令和8年分・令和9年分の特例により74万円です。従業員は必要書類を会社の指定する期日までに提出します。令和8年12月に行う年末調整に係る源泉所得税等の納期限は、令和9年1月12日で、納期の特例の承認を受けている場合は1月20日です。

年末が近づくと、経理や総務の担当者の方は「今年の年末調整は、去年と何が違うのか」「従業員への案内はいつ出せばよいのか」と悩みやすい時期です。特に今年は、税制改正により、年末調整の計算に使う数字が変わります。

この記事では、年末調整の基本的な流れと、令和8年分で変わる点、従業員が準備する書類、間違いやすい点、年末調整後にやることを順番に整理します。事実関係は国税庁の資料(「令和8年分 年末調整のしかた」など)をもとに記載しています。

年末調整とは何か

年末調整とは何か

年末調整は、会社(給与の支払者)が、毎月の給与や賞与から源泉徴収した所得税及び復興特別所得税の合計と、1年間の給与に対する年税額とを比べて、その差額を精算する手続きです。所得税の年末調整の根拠は所得税法第190条にあります。

毎月の給与から源泉徴収する税額と、年間の給与に対する最終的な税額は、一致するとは限りません。扶養する家族の状況や、生命保険料・地震保険料などの支払いによって、適用される控除が変わるためです。原則として、その年の最後の給与を支払う際に年税額を計算し直し、源泉徴収した額が多ければ過納額を還付し、少なければ不足額を徴収します。

1.年末調整の対象になる人、ならない人

12月の年末調整は、原則として、扶養控除等申告書を年末調整を行う日までに提出した人のうち、1年を通じて勤務している人と、年の途中で入社して年末まで勤務している人が対象です。中途入社者に前職で扶養控除等申告書を提出して受けた給与がある場合は、その給与も合算します。前職の給与額や源泉徴収税額等を源泉徴収票などで確認できない場合は、年末調整を行えません。中途退職者は原則として対象外で、死亡退職や、12月に支給されるべき給与を受けた後の退職など、所定の場合に限り対象となります。

一方で、1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人や、災害減免法により給与の源泉所得税等の徴収猶予又は還付を受けた人は、年末調整の対象外です。扶養控除等申告書を年末調整を行う日までに提出していない人や、他社を主な勤務先とする人の従たる給与も、原則として対象外です。対象者の判定に迷う場合は、国税庁の「年末調整のしかた」や税理士に確認しましょう。

2.年末調整をしない場合に起こること

年末調整を受けていない場合は、従業員が確定申告で税額を精算することがあります。ただし、申告義務の有無は収入・所得や源泉徴収の状況などによって異なり、全員に申告が必要となるわけではありません。申告義務がなくても、還付申告によって税金が戻る場合があります。会社は、法律上年末調整の対象となる従業員について、所定の計算・精算を行い、源泉徴収票の交付等も進めましょう。

令和8年分の年末調整で変わる点

令和8年分の年末調整で変わる点

令和8年度の税制改正により、所得税の基礎控除、給与所得控除や扶養親族等の所得要件が見直されました。これらの改正は令和8年12月1日に施行され、原則として令和8年分以後の所得税に適用されます。令和8年12月1日以後に行う年末調整では、改正後の内容で計算します。

項目 改正前 改正後(令和8年12月1日以後の年末調整)
基礎控除の本則額(合計所得金額2,350万円以下の場合) 58万円 62万円
給与所得控除の最低保障額(改正後は令和8・9年分の特例適用後) 65万円 74万円
扶養親族等の合計所得金額の要件 58万円以下 62万円以下(給与のみの場合は収入136万円以下)
特定親族特別控除の対象となる特定親族の所得の範囲 58万円超123万円以下 62万円超123万円以下

表の基礎控除62万円は、特例加算前の本則額です。居住者の令和8年分の基礎控除は、加算後では、合計所得金額489万円以下で104万円、489万円超655万円以下で67万円、655万円超2,350万円以下で62万円です。2,350万円超の区分は改正されておらず、2,400万円以下で48万円、2,400万円超2,450万円以下で32万円、2,450万円超2,500万円以下で16万円、2,500万円超で0円です。給与所得控除の最低保障額74万円は、本則の69万円に令和8年分・令和9年分の特例5万円を加えた額です。特定親族特別控除は令和7年度改正で創設され、生計を一にする19歳以上23歳未満の配偶者以外の親族等について、所得要件や事業専従者の除外などの要件を満たす場合に、1人につき最高63万円を控除する制度です。

1.令和8年12月より前に最後の給与を払う場合

基礎控除や給与所得控除等の改正は、令和8年12月1日以後に行う年末調整に反映されます。死亡退職や国外転勤で非居住者となる場合など、所定の理由で令和8年分の最後の給与を11月30日以前に支払い、その際に年末調整を行った場合には、これらの改正後の控除等は適用されません。適用を受けるには、本人や相続人による確定申告等が必要です。単に11月に退職するだけでは中途年末調整の対象になるわけではないため、まず対象者の要件を確認しましょう。

2.改正に伴って変わる書類

基礎控除の引上げなどに合わせて、基礎控除申告書、配偶者控除等申告書、特定親族特別控除申告書などの様式や記載要領が見直されています。国税庁が公表する令和8年分の様式・記載例を確認し、電子化している場合も改正に対応したシステムを使いましょう。前年の入力内容を引き継ぐ場合は、所得要件や控除額を改めて確認します。

3.23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除

令和8年分・令和9年分は、23歳未満の扶養親族を有する居住者について、新生命保険料に係る一般生命保険料控除の上限を4万円から6万円に引き上げる特例があります。対象の新生命保険料と旧生命保険料の両方で控除を受ける場合も、一般生命保険料控除は最高6万円です。介護医療保険料控除・個人年金保険料控除を合わせた生命保険料控除全体の上限12万円は変わりません。扶養親族の年齢や所得の要件も確認し、該当する従業員には令和8年分の保険料控除申告書の記載例を案内しましょう。

年末調整の流れとスケジュール

年末調整の流れとスケジュール

年末調整は、書類の配布から納付まで、数か月にわたって進みます。会社の給与の締め日や支払日によって細かい日程は変わりますが、一般的な流れは次のとおりです。

1.10月から11月:書類の準備と配布

国税庁から公表された令和8年分の様式をもとに、従業員に配る書類を準備します。年末調整の電子化(国税庁の「年調ソフト」など)を使う会社は、システムの設定や従業員への操作案内も、この時期に済ませておきます。配布するときは、提出期限と、提出先(担当者名)を明記しておきましょう。

2.11月から12月初め:書類の回収と確認

従業員から書類を回収したら、記載漏れや、添付・提示が必要な証明書類の不足がないかを確認します。扶養控除等申告書などの年末調整の申告書には、押印は不要です。扶養親族の所得見込額や、保険料の控除証明書の内容など、申告内容に整合性があるかも確認します。不備があれば、計算に入る前に従業員に確認しましょう。

3.12月:計算と精算

回収した書類をもとに、1年分の所得税及び復興特別所得税を計算し、毎月の源泉徴収税額との差額を精算します。令和8年12月の年末調整では、改正後の控除額と、国税庁が公表する改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使います。過納額は、年末調整を行った月分の納付すべき源泉徴収税額等から差し引いて従業員に還付し、還付しきれない場合は、その後に納付する源泉徴収税額から順次還付するなど、所定の方法で精算します。

4.1月:源泉徴収票の交付と納付

年末調整が終わったら、従業員に交付する源泉徴収票を作成します。令和8年12月に行う年末調整に係る源泉所得税及び復興特別所得税の納期限は、令和9年1月12日(火)です。納期の特例の承認を受けている会社は、令和8年7月から12月までの対象となる源泉所得税等を、令和9年1月20日(水)までに納付します。給与支払報告書や、提出が必要な法定調書・合計表の準備も進めます。

従業員が準備する書類

従業員が準備する書類

年末調整で控除を受けるために、従業員が会社に提出する書類は、主に次のとおりです。

書類 主な内容
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 扶養親族の状況などを申告します。原則として、その年の最初の給与を受ける日の前日まで、中途入社の場合は入社後最初の給与を受ける日の前日までに提出します
給与所得者の基礎控除申告書 基礎控除の適用を受けるための申告書です
給与所得者の配偶者控除等申告書 配偶者控除・配偶者特別控除の適用を受けるための申告書です
特定親族特別控除申告書 特定親族特別控除の適用を受けるときに提出します
所得金額調整控除申告書 所得金額調整控除の適用を受けるための申告書です
給与所得者の保険料控除申告書 生命保険料・地震保険料や、給与天引き以外で本人が支払った社会保険料などの控除を申告します
住宅借入金等特別控除申告書 住宅ローン控除の適用を受ける2年目以降に、所定の証明書類等とともに提出します

特定親族特別控除の適用を受けるには、扶養控除等申告書に記載しているかどうかにかかわらず、特定親族特別控除申告書を会社に提出する必要があります。従業員への案内では、この点を特に分かりやすく伝えるとよいでしょう。

1.会社に提出しなくてよい控除もある

医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税など)、住宅ローン控除の1年目は、年末調整では受けられず、原則として従業員本人の確定申告で手続きします。ただし、ふるさと納税は、確定申告が不要な給与所得者で寄附先が5団体以内などの要件を満たし、ワンストップ特例を適切に申請した場合には、確定申告をせずに住民税の控除を受けられます。医療費控除などのために確定申告をするとワンストップ特例は無効になるため、その申請分を含む全てのふるさと納税を申告に含めましょう。

間違いやすい点と確認ポイント

間違いやすい点と確認ポイント

年末調整で、実務上のミスが起こりやすい点を、確認の観点でまとめます。

1.扶養親族の所得の見込みを間違える

税法上の扶養親族の判定は、原則としてその年の12月31日の現況で行います。年途中に死亡した場合などは、判定時点が異なります。令和8年12月の年末調整では、合計所得金額62万円以下などの要件を確認します。給与収入だけで、特定支出控除等の適用がなければ、給与収入136万円以下が目安です。他の所得がある場合はそれも確認します。健康保険などの被扶養者認定は別の制度ですので、税法の金額だけで判断しないようにしましょう。

2.控除証明書の金額と申告書の金額が合わない

生命保険料控除では、控除証明書に記載された保険の区分や新旧契約の別、証明済みの保険料と年末までの申告額などを確認します。申告する保険料額と所得から差し引く控除額は同じとは限らないため、令和8年分の申告書の計算式を用い、該当する場合は23歳未満の扶養親族に係る特例も反映します。電子データで取得した場合も、支払状況や申告内容に相違がないか確認しましょう。

3.年の途中で状況が変わった場合の異動申告

結婚や出産などで扶養控除等申告書の記載内容に異動があった場合は、原則として、その異動の日後、最初に給与を受ける日の前日までに、異動内容を記載した申告書を会社に提出してもらいます。今回の改正で新たに扶養控除等の対象となる親族が生じた場合も申告が必要です。その際は「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと記載し、年末調整の際に確認しましょう。

4.提出期限を過ぎた書類の扱い

会社の回収期限を過ぎた書類は、社内期限だけで一律に対象外とせず、各申告書の法令上の提出時期や計算・再調整の可否を確認して対応します。年末調整後の扶養親族の増加や控除漏れには、所定の時期までの年末調整のやり直しや、従業員本人の還付申告等で対応できる場合があります。扶養親族の減少などで徴収不足が生じた場合は、翌年1月末以降でも、会社が年末調整をやり直して不足税額を徴収する必要があります。

年末調整のあとにやること

年末調整のあとにやること

年末調整が終わったら、次のことを順番に進めます。

1.源泉徴収票の交付

源泉徴収票は、その年の給与額や源泉徴収税額等を記載する書類で、年末調整をしていない人にも交付します。令和8年分は、原則として令和9年2月1日までに全ての受給者へ交付し、年の途中で退職した人には退職の日以後1か月以内に交付します。本人が転職先での年末調整や確定申告に使うこともあるため、令和8年分の様式を確認して準備しましょう。

2.納付と法定調書の提出

令和8年12月の年末調整に係る源泉所得税及び復興特別所得税の納期限は、令和9年1月12日(火)で、納期の特例の承認を受けている場合は1月20日(水)です。給与支払報告書は、原則として令和9年2月1日までに受給者の令和9年1月1日現在の住所地(年途中の退職者は退職時の住所地)の市区町村へ提出します。年途中の退職者に支払った給与が年間30万円以下の場合など、提出範囲も確認します。令和9年1月1日以後は、給与支払報告書を提出すると税務署への給与所得の源泉徴収票は提出したものとみなされ、別途の作成・提出が不要になります。受給者への源泉徴収票の交付は引き続き必要です。報酬等の支払調書など、別途提出義務がある法定調書は、合計表とともに令和9年2月1日までに税務署へ提出します。令和9年1月以後は、法定調書の種類ごとに、前々年(令和9年提出分では令和7年)に提出すべきであった枚数が30枚以上であれば、e-Tax・光ディスク等・認定クラウド等による提出が必要です。給与支払報告書も、基準年(前々年)に税務署へ提出すべき給与所得の源泉徴収票が30枚以上の場合には、eLTAX又は光ディスク等による提出が必要です。

3.書類の保管

扶養控除等申告書や保険料控除申告書などは、原則として、その提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間保存します。書面に代えて電子データで受け取った場合も保存が必要です。添付された控除証明書等も適切に管理し、個人情報にアクセスできる人を必要な担当者に限定するなどの安全管理措置を講じます。マイナンバーを含む書類やデータは、関係事務に不要となり、法定保存期間も経過したら、できるだけ速やかに廃棄又は削除しましょう。

よくあるご質問

よくあるご質問

Q1.年末調整は、いつまでに終わらせる必要がありますか?

年末調整は、原則として、その年の最後の給与を支払う際に行います。その後に扶養親族の異動や控除漏れなどが判明した場合は、やり直しや確定申告等で対応します。令和8年12月に行う年末調整に係る源泉所得税及び復興特別所得税の納期限は、令和9年1月12日で、納期の特例の承認を受けている場合は1月20日です。

Q2.令和8年分の年末調整で、基礎控除はいくらになりますか?

令和8年12月1日以後に行う年末調整では、居住者の基礎控除は、特例加算を含め、合計所得金額489万円以下で104万円、489万円超655万円以下で67万円、655万円超2,350万円以下で62万円です。62万円は特例加算前の本則額です。合計所得金額が2,350万円を超える場合の控除額は変わりません。

Q3.11月に退職する従業員にも、改正後の控除は使えますか?

11月に退職するだけでは、中途年末調整の対象にはなりません。死亡退職や国外転勤で非居住者となる場合などの所定の要件に該当し、令和8年分の最後の給与を11月30日以前に支払ってその際に年末調整を行う場合には、基礎控除や給与所得控除等の改正後の控除等は適用されません。適用を受けるには、本人や相続人による確定申告等が必要です。中途年末調整の対象外の人も、確定申告の要否や還付申告の可否を確認してください。

Q4.医療費控除やふるさと納税は年末調整でできますか?

医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税など)は、年末調整では受けられず、原則として従業員本人の確定申告で手続きします。ただし、ふるさと納税は、確定申告が不要な給与所得者で寄附先が5団体以内などの要件を満たし、ワンストップ特例を適切に申請した場合には、確定申告をせずに住民税の控除を受けられます。医療費控除などのために確定申告をする場合は、ワンストップ特例の申請分を含む全てのふるさと納税を申告に含めてください。

年末調整のお悩みはストラーダグループへ

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年末調整は、書類の確認や改正への対応など、担当者の負担が大きくなりやすい手続きです。特に令和8年分は、基礎控除や給与所得控除の数字が変わるため、前年と同じやり方では計算を間違えるおそれがあります。

ストラーダグループには、税理士・社会保険労務士・司法書士・行政書士・公認会計士などの専門家が在籍しています。年末調整に関する個別の税務相談や税務書類の作成など、税理士業務に当たる部分は、グループ内の税理士法人が対応します。年末調整の進め方や、従業員への案内、令和8年分の改正への対応でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

※本記事は、2026年11月2日時点で公表されている情報をもとに作成しています。税制や制度は改正されることがあるため、最新の情報は国税庁などの公式情報をご確認ください。

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この記事の監修者
山田 直輝
税理士公認会計士行政書士
2009年公認会計士試験に合格、その後、Deloite Touche Tohmatsu(有限責任監査法人トーマツ)に入所し、メーカー、サービス業、学校、商社等の上場一部企業の会計監査や内部統制監査を行う。監査班では、監査の主任業務を経験した。その後、アドバイザリー部門に部署異動をして、ベンチャー企業支援、賠償業務算定の構築や上場支援業務、企業リスクにおけるリスクマネジメント業務を行う。上場は、リクルートの上場経験を有する。2015年に独立して、ストラーダ税理士法人を設立。「敷居が高くて堅苦しい」税理士のイメージを払拭し、「初めての方でも馴染みやすい」税理士でいることをモットーにしている。趣味は、愛娘と遊ぶこと。
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