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2021.06.29 確定申告

退職後の確定申告に必要な書類は?税金が戻るケースと手続きを解説

退職後の確定申告に必要な書類は?税金が戻るケースと手続きを解説

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会社を退職した年は、確定申告をすることで税金が戻ってくるケースが多くあります。会社員は通常、勤務先の年末調整で1年分の所得税が精算されますが、年の途中で退職してその年のうちに再就職しなかった場合は、年末調整を受けられないためです。

この記事では、退職後に確定申告が必要な人や、申告すると税金が戻りやすい人、必要な書類と入手方法、退職金や失業手当の扱い、申告の期限と方法までを分かりやすく解説します。2026年(令和8年)分の確定申告に関わる控除の改正にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

退職後に確定申告が必要な人・したほうがよい人

退職後に確定申告が必要な人・したほうがよい人

年の途中で退職して再就職していない人

毎月の給与から差し引かれる所得税(源泉徴収税額)は、1年間働き続けることを前提に計算されています。そのため、年の途中で退職すると、多くの場合、1年分の正しい税額よりも多くの所得税を納めた状態になっています。

在職中であれば年末調整で精算されますが、年の途中で退職して、その年のうちに再就職しなかった人は年末調整を受けられません。確定申告(還付申告)をすることで、納め過ぎた所得税を取り戻すことができます。

退職後に再就職した人

同じ年のうちに再就職した場合は、前の勤務先の源泉徴収票を新しい勤務先に提出すれば、新しい勤務先の年末調整で前の勤務先の分もまとめて精算してもらえます。この場合は、原則として自分で確定申告をする必要はありません。新しい勤務先から源泉徴収票の提出を求められたら、早めに渡せるよう、退職した会社から受け取った源泉徴収票は大切に保管しておきましょう。ただし、前の勤務先の源泉徴収票を提出しなかった場合や、医療費控除などを受けたい場合は確定申告が必要です。

退職後に個人事業主になった人

退職後に個人事業主やフリーランスとして独立した場合は、在職中の給与と、独立後の事業の所得をあわせて確定申告をする必要があります。開業したときは、開業から1か月以内を目安に税務署へ開業届を提出し、青色申告をしたい場合は開業から2か月以内に青色申告承認申請書も提出しておきましょう。事業の所得がある場合は、還付を受けるためだけでなく、納税のための申告になることもあります。

退職後の確定申告で税金が戻りやすいケース

退職後の確定申告で税金が戻りやすいケース

退職した年の確定申告では、次のような控除を受けることで、納め過ぎた税金が戻ってくることがあります。

  • 基礎控除や配偶者控除、扶養控除などの人的控除
  • 退職後に自分で納めた国民健康保険料や国民年金保険料の社会保険料控除
  • 生命保険料控除や地震保険料控除
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金の小規模企業共済等掛金控除
  • 一定額を超える医療費を支払った場合の医療費控除
  • ふるさと納税などの寄附金控除
  • 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)

退職した年は、在職中に年末調整で反映されるはずだった控除がまとめて申告の対象になります。特に、退職後に国民健康保険や国民年金に切り替えた人は、自分で納めた保険料を申告しないと控除が反映されません。納付書の領収証書や控除証明書を必ず保管しておきましょう。

また、2026年(令和8年)分の所得税からは、基礎控除(合計所得金額が489万円以下なら104万円)や給与所得控除の最低額(74万円)が引き上げられています。退職によってその年の給与収入が少なくなった人は、この改正の影響で、より多くの税金が戻ってくる可能性があります。

退職後の確定申告に必要な書類

退職後の確定申告に必要な書類

退職後の確定申告では、主に次の書類を準備します。

書類 入手先・ポイント
給与所得の源泉徴収票 退職した会社から交付される。退職後1か月以内に交付するルールになっている
国民健康保険料・国民年金保険料の支払いが分かる書類 国民年金は日本年金機構から届く控除証明書、国民健康保険は市区町村の納付通知書や領収証書など
生命保険料・地震保険料の控除証明書 保険会社から毎年秋ごろに届く
医療費控除の明細書 領収書をもとに自分で作成する(領収書は5年間保管)
マイナンバーの確認書類と本人確認書類 書面で提出する場合はマイナンバーカードの両面の写しなど
還付金の振込先口座の情報 本人名義の金融機関の口座

なお、2019年(平成31年)4月1日以後は、給与の源泉徴収票を確定申告書に添付する必要はなくなっています。ただし、申告書に給与の金額や源泉徴収税額を記入するために必要なので、手元に用意しておきましょう。

源泉徴収票が届かない場合

会社は、退職した人に対して、退職の日から1か月以内に源泉徴収票を交付することになっています。届かない場合は、まず退職した会社に発行を依頼しましょう。それでも交付されない場合は、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出することで、税務署から会社に交付するよう指導してもらうことができます。

退職した年の確定申告書の書き方のポイント

退職した年の確定申告書の書き方のポイント

退職した年の確定申告書は、退職した会社の源泉徴収票をもとに、次のような点に注意して記入します。

  • 給与の収入金額:源泉徴収票の「支払金額」を記入する
  • 源泉徴収税額:源泉徴収票の「源泉徴収税額」を記入する(還付額の計算のもとになる)
  • 社会保険料控除:源泉徴収票の「社会保険料等の金額」に、退職後に自分で納めた国民健康保険料や国民年金保険料を足した金額を記入する
  • 生命保険料控除などの所得控除:在職中に年末調整を受けていないため、控除証明書をもとに記入する
  • 還付金の受取口座:本人名義の口座を記入する

確定申告書等作成コーナーでは、源泉徴収票の内容を画面の案内に沿って入力すれば、還付される金額が自動で計算されます。マイナポータルと連携すれば、国民年金保険料の控除証明書などの情報を自動で取り込むこともできます。

退職後の健康保険・年金の切り替えと税金の関係

退職後の健康保険・年金の切り替えと税金の関係

退職すると、会社の健康保険と厚生年金から外れるため、次のいずれかの方法で切り替えが必要になります。

方法 手続きの期限の目安 ポイント
健康保険の任意継続 退職日の翌日から20日以内 退職前の健康保険に最長2年間加入できる。保険料は全額自己負担
国民健康保険への加入 退職日の翌日から14日以内 保険料は前年の所得などをもとに市区町村が計算する
家族の健康保険の被扶養者になる 家族の勤務先に確認 収入の見込みなど一定の要件がある

年金は、60歳未満で再就職しない場合、国民年金の第1号被保険者への切り替えが必要です。手続きは住んでいる市区町村の役所で行い、配偶者が会社員などで扶養に入る場合は、第3号被保険者として配偶者の勤務先を通じて手続きをします。退職後に自分で納めた健康保険料や国民年金保険料は、全額が社会保険料控除の対象になり、退職した年の確定申告で税金を減らすことができます。なお、失業などで国民年金保険料を納めることが難しい場合は、保険料の免除や納付猶予を申請できる特例もあります。

退職金と失業手当の扱い

退職金と失業手当の扱い

退職金は原則として確定申告不要

退職金を受け取るときに、会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、退職所得控除を反映した正しい税額が源泉徴収されるため、原則として確定申告は不要です。

一方、この申告書を提出していなかった場合は、退職金の額に対して一律20.42%の所得税(復興特別所得税を含む)が源泉徴収されます。この場合は、確定申告をすることで、納め過ぎた税金を取り戻せることがあります。

失業手当(雇用保険の基本手当)は非課税

ハローワークから受け取る失業手当(雇用保険の基本手当)は非課税の所得です。再就職手当なども同じく非課税です。確定申告書に記入する必要はなく、扶養の判定などに使う所得金額にも含まれません。

退職後の確定申告の期限と提出方法

退職後の確定申告の期限と提出方法

還付申告は5年以内ならいつでも提出できる

税金が戻ってくるだけの還付申告は、通常の確定申告の期間(2月16日から3月15日まで)に関係なく、対象となる年の翌年1月1日から5年間提出することができます。たとえば2026年に退職した場合の還付申告は、2027年1月1日から提出できます。過去に退職した年の還付申告をしていなかった人も、5年以内であれば申告することができます。

一方、退職後に個人事業の所得がある場合など、納める税金がある場合は、原則どおり2月16日から3月15日までに申告と納付をする必要があります。

提出方法

確定申告書は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作成し、e-Taxで提出するのが便利です。マイナンバーカードとスマートフォンがあれば自宅から提出でき、源泉徴収票などの添付も不要です。書面で提出する場合も、作成コーナーで作った申告書を印刷して提出できるため、手書きで計算する手間を省けます。退職後は平日に時間を取りやすいこともあるため、税務署の相談窓口を利用するのも一つの方法です。書面で提出する場合は、税務署の窓口に持参するか郵送します。

還付金はいつ振り込まれる?

還付申告をした場合、還付金が振り込まれるまでの期間は、e-Taxで提出した場合はおおむね3週間程度、書面で提出した場合はおおむね1か月から1か月半程度とされています。確定申告の期間中は税務署が混み合うため、1月中など早い時期に申告すると、比較的早く還付を受けられることがあります。

退職後の住民税にも注意

退職後の住民税にも注意

住民税は、前の年の所得をもとに計算され、翌年の6月から納めます。在職中は給与から天引きされていましたが、退職後は、自分で納付書を使って納める「普通徴収」に切り替わるのが一般的です。

退職した翌年も、前年の所得に対する住民税の支払いが続くため、収入が減った後の負担に驚く人も少なくありません。退職前に、翌年の住民税の目安を確認し、納税資金を準備しておきましょう。支払いが難しい場合は、市区町村の窓口で分割納付などについて相談できることもあります。なお、1月から4月の間に退職した場合は、5月までの住民税が最後の給与や退職金からまとめて差し引かれることがあります。

退職後の確定申告に関するよくある質問

退職後の確定申告に関するよくある質問

退職後にアルバイトをした場合は?

退職後にアルバイトやパートで働いた場合は、退職した会社とアルバイト先の両方の源泉徴収票の金額を合計して確定申告をします。アルバイト先で年末調整を受けていない場合は、確定申告で1年分の所得税を精算しましょう。

退職した年に配偶者の扶養に入れる?

所得税の配偶者控除や扶養控除は、その年の合計所得金額で判定します。2026年(令和8年)分は、合計所得金額が62万円以下(収入が給与だけなら136万円以下)であれば、配偶者控除の対象になります。退職した年の給与収入がこの範囲に収まる場合は、配偶者の年末調整や確定申告で控除を受けられることがあります。健康保険の扶養は別の基準で判定されるため、配偶者の勤務先に確認しましょう。

確定申告をしないとどうなる?

還付を受けるための申告は義務ではないため、申告しなくても罰則はありません。ただし、申告しなければ納め過ぎた税金は戻ってきません。また、確定申告をすると住民税の計算にも反映されるため、医療費控除などを申告すれば、翌年の住民税が少なくなることもあります。

退職後の確定申告は書類をそろえて早めに行おう

退職後の確定申告は書類をそろえて早めに行おう

年の途中で退職して再就職しなかった人は、確定申告をすることで納め過ぎた所得税が戻ってくる可能性があります。退職した会社から受け取る源泉徴収票と、退職後に自分で納めた国民健康保険料や国民年金保険料の書類などをそろえて、忘れずに申告しましょう。

還付申告は5年以内であればいつでも提出できますが、早く申告すればそれだけ早く還付金を受け取れます。退職の手続きのときに受け取った書類は、確定申告が終わるまでひとまとめにして保管しておくと安心です。退職金や住民税の扱いにも注意しながら、退職後のお金の手続きを計画的に進めましょう。

退職後の確定申告のお悩みはストラーダグループへ

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この記事の監修者
山田 直輝
税理士公認会計士行政書士
2009年公認会計士試験に合格、その後、Deloite Touche Tohmatsu(有限責任監査法人トーマツ)に入所し、メーカー、サービス業、学校、商社等の上場一部企業の会計監査や内部統制監査を行う。監査班では、監査の主任業務を経験した。その後、アドバイザリー部門に部署異動をして、ベンチャー企業支援、賠償業務算定の構築や上場支援業務、企業リスクにおけるリスクマネジメント業務を行う。上場は、リクルートの上場経験を有する。2015年に独立して、ストラーダ税理士法人を設立。「敷居が高くて堅苦しい」税理士のイメージを払拭し、「初めての方でも馴染みやすい」税理士でいることをモットーにしている。趣味は、愛娘と遊ぶこと。
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