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法人税
2026.08.28 法人税

法人税の分割基準申告と合同会社税務手続き【税理士無料相談】

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複数の都道府県に事務所や営業所を構えている法人が法人住民税、事業税の申告を行う場合、「分割基準」による申告が求められます。しかし、事業拠点の移転や廃止が発生した際に、分割基準の記載内容を適切に修正しないまま申告してしまうケースは少なくありません。特に合同会社のような中小規模の法人では、移転や廃止の手続きが実態に追いつかないまま決算期を迎えてしまうことがあります。

本稿では、法人住民税、事業税の分割基準申告の基本的な仕組みから、事業所の移転・廃止に伴う税務手続き上の留意点までを整理します。県税事務所とのやり取りが生じる前に、自社の申告内容を改めて確認しておくことが望ましい場面も多くあります。

Contents

法人住民税、事業税における分割基準申告とは何か

法人が複数の都道府県に事務所・事業所を有する場合、法人事業税や法人住民税(法人税割)の課税は、それぞれの都道府県へ分けて申告・納付する必要があります。これを「分割課税」または「分割申告」といい、各都道府県への税額配分の根拠となる指標を「分割基準」と呼びます。

分割基準の種類と適用方法

分割基準の主な種類としては、従業者数(職員数)を用いる方法が代表的です。法人事業税の分割基準は業種によって異なる基準が適用されますが、例えば製造業の場合は、各事業所の従業者数の比率によって算出されます。地方税法第72条の48以降に規定されており、申告書の別表に各都道府県・事業所ごとの従業者数を記載する形式となっています。

申告書上では、各都道府県ごとに「事務所等が存在した月数」を勘案した「従業者数」を記載します。この月数は、当該事業年度のうちその都道府県に事業所が存在した期間を指します。事業所がなければ月数はゼロとなり、記載自体が不要になります。

分割基準の誤記載が生じやすい背景

実務上問題となりやすいのは、過去の申告書の記載様式をそのまま引き継いで使用した場合です。前期に存在していた事業所が当期中に廃止された場合でも、テンプレートの修正漏れによって廃止後の都道府県が分割基準に残ったままになっていることがあります。

また、本店の移転に伴い旧所在地の都道府県が分割基準から除外されるべき状況にもかかわらず、移転前の記載が訂正されないケースも見られます。分割基準の誤記載は、税額の配分に直接影響するため、県税事務所から事実確認を求められることがあります。

合同会社の移転に伴う税務手続きの概要

合同会社が本店所在地を別の都道府県へ移転した場合、登記手続きだけでなく、税務上のさまざまな届出も並行して行う必要があります。移転の事実を関係する税務当局へ適切に届け出ることが、後の申告手続きを円滑に進めるうえで重要です。

税務署・都道府県・市区町村への届出

本店移転に際して必要となる主な税務関連の届出は以下のとおりです。

  • 旧所在地を管轄する税務署への「異動届出書」の提出
  • 旧所在地の都道府県税事務所への「事業所廃止届」または「異動届出書」の提出
  • 新所在地の都道府県税事務所への「事業開始届出書」の提出
  • 旧所在地の市区町村への法人住民税に関する届出
  • 新所在地の市区町村への法人設立・開設届出

これらの届出はそれぞれ提出先が異なり、提出期限も設けられています。税務署への届出は、通常、異動の日から1か月以内が目安とされています。都道府県・市区町村については条例によって定めが異なる場合があるため、各自治体の窓口や案内を確認することが望ましいです。

登記変更と税務届出のタイムラグに注意

合同会社の本店移転は、法務局への登記申請が完了した時点で法的に効力を生じます。しかし、税務上の各種届出は、登記とは独立して行う必要があります。登記が完了していても、税務届出が未了であれば旧住所のままで税務管理が継続されることになります。

登記変更と税務届出は連動していないため、移転後に税務署や都道府県税事務所への届出が漏れていないかを個別に確認することが求められます。特に、e-Taxや電子申告の設定についても、管轄税務署の変更に合わせた更新が必要となる場合があります。

事業所の廃止と分割基準申告への反映

事業所や営業所を廃止した場合、その事実を分割基準の申告書に正確に反映させることが実務上のポイントとなります。廃止の事実がありながら分割基準に記載が残り続けると、当該都道府県への税額配分が発生し続けることになります。

廃止月数の記載ルール

法人住民税・法人事業税の分割基準において、ある都道府県に事業所が存在した月数は、当該事業年度内の実際の存在期間に基づいて計算します。事業年度の途中で廃止された場合は、廃止月までの月数を使用します。事業年度を通じて事業所が存在しなかった場合は、当該都道府県の記載は不要となるのが原則です。

例えば、前年8月から翌年7月を事業年度とする法人が、事業年度開始前にある都道府県の事業所を廃止していた場合、その都道府県の月数は「0」とし、分割基準への記載を省略することが適切です。

廃止時期の確認と証跡の保管

分割基準の修正や廃止の届出を行う際には、事業所の廃止時期を正確に把握しておく必要があります。廃止時期を裏付ける資料としては、以下のようなものが考えられます。

  • 賃貸借契約の解約通知書・解約確認書
  • 退去時の精算書や鍵の返却記録
  • 廃止届の提出記録(都道府県・市区町村への届出控え)
  • 登記簿謄本(支店廃止の登記がある場合)
  • 従業員の異動・雇用保険被保険者転出に関する書類

県税事務所や税務署から廃止時期について問い合わせを受けた場合、これらの資料をもとに回答することが求められます。資料が手元にない場合は、管理会社や取引先などへの照会によって事実関係を確認する必要が生じることもあります。

移転・廃止後の申告書修正と過去申告の取扱い

事業所の廃止時期が遡る場合、過去の申告書において分割基準が誤って記載されていた可能性もあります。こうした場合の取扱いについては、修正申告や更正の請求という手続きが選択肢となります。

修正申告と更正の請求の違い

すでに提出した申告書の内容を変更する手続きには、「修正申告」と「更正の請求」の2種類があります。

手続きの種類 対象となる場合 概要
修正申告 申告した税額が過少だった場合 納税者が自ら申告内容を修正し、不足税額を納付する手続き
更正の請求 申告した税額が過大だった場合 法定申告期限から5年以内に税務署・都道府県等へ請求する手続き

分割基準の誤記載により、ある都道府県へ多く税額が配分されていた場合は更正の請求の対象となります。一方、別の都道府県への配分が不足していた場合は修正申告が必要となります。分割基準の誤記載は複数の都道府県をまたぐ問題であるため、修正の影響範囲を全体的に把握したうえで対応方針を検討することが望ましいです。

県税事務所との連絡・協議の進め方

県税事務所から分割基準に関して照会があった場合、まずは事実関係を正確に確認することが最初のステップとなります。即答が難しい場合は、その場で回答を保留し、税理士や担当者が事実を確認した後に改めて連絡するという対応が実務上求められます。

折り返しの連絡を行う際には、確認できた事実(廃止時期、廃止した事業所の状況など)を整理し、申告書の誤りが生じた経緯とともに説明することが、円滑な対応につながります。虚偽の事実を伝えることは論外ですが、不確かな情報を確定的な事実として伝えることも後のトラブルに発展する可能性があります。

事業所廃止届の提出と手続き上の注意点

事業所を廃止した際に必要となる届出は、税務署への届出のみにとどまりません。都道府県税に関する届出についても、廃止後速やかに行うことが求められます。

都道府県税事務所への廃止届の提出

法人事業税・法人住民税の申告・納付を行っていた都道府県の税事務所に対しては、事業所廃止の事実を届け出る手続きが必要です。届出書の名称や様式は都道府県によって異なりますが、一般的には「事務所等廃止届出書」や「異動届出書」といった書類を使用します。

廃止届を提出しないままでいると、都道府県税事務所側では当該法人が引き続き事業所を置いているものとして取り扱われるため、申告に関する通知が旧住所に送付され続けることになります。申告漏れや督促状の受け取り漏れといった問題につながる場合もあるため、廃止後の届出は早めに行うことが現実的な対応です。

社会保険・労働保険関係の届出との並行対応

事業所の廃止に際しては、税務上の手続きのみならず、社会保険・労働保険に関する届出も必要となる場合があります。具体的には以下の手続きが考えられます。

  • 健康保険・厚生年金保険の適用事業所全喪届(廃止する事業所に被保険者がいた場合)
  • 雇用保険の適用事業所廃止届(従業員が在籍していた場合)
  • 労働保険の保険料精算手続き(年度途中の廃止の場合)

これらの届出は、管轄する年金事務所や公共職業安定所(ハローワーク)、労働基準監督署に対して行います。届出期限が設けられているものもあるため、税務手続きと並行して確認・対応することが望ましいです。

分割基準申告に関するよくある誤解

法人が複数の都道府県にまたがって活動している場合、分割基準に関して実務上よく見られる誤解があります。以下に代表的なものを整理します。

誤解①:登記上の支店があれば分割基準に記載しなければならない

法人税の分割基準において問題となるのは、登記上の支店ではなく、実態として事業活動が行われていた事業所・営業所の有無です。登記が残っていても、実際に事業活動が行われておらず、従業員も常駐していないような場所については、分割基準への記載が必要かどうかを慎重に判断する必要があります。

逆に、登記はなくても事実上の事業所として機能している場所があれば、分割基準への記載が求められることがあります。登記の有無と実態の有無は一致しない場合があるため、申告書の記載にあたっては実態に即した判断が求められます。

誤解②:移転先の届出さえ出せば旧所在地の届出は不要

本店を別の都道府県へ移転した場合、新所在地の都道府県税事務所・市区町村役場への届出を行うことはもちろんですが、旧所在地の都道府県税事務所への廃止・異動届出も別途行う必要があります。移転先への届出と旧所在地への廃止届出は、それぞれ独立した手続きです。税務署の場合は異動前の所轄税務署に提出します。

旧所在地の届出を失念していると、旧都道府県の税事務所から継続して申告案内が届いたり、未申告として扱われたりする可能性があります。移転時は新旧双方の手続きをリスト化して管理することが実務上の効率的な対応です。異動先・廃止先の双方について、届出の提出日や担当者名を記録として残しておくことで、後日の確認にも役立てることができます。

分割基準の計算方法と申告書への記載手順

分割基準申告を正確に行うためには、基準となる指標の計算方法を理解しておくことが大切です。ここでは法人住民税における一般的な分割基準の計算手順を整理します。

従業者数による分割基準の計算

法人住民税法人税割の分割基準は、各事業所における従業者数の比率によって算出されます。「従業者数」は事業年度の末日現在における各事業所の従業員数を基本としますが、事業年度中に事業所の開設・廃止がある場合は、月数按分による調整が必要となります。

申告書の別表においては、各都道府県・各事業所ごとに次の情報を記載します。

  • 事業年度内における当該事業所の存在月数
  • 事業年度末日現在(または廃止時点)の従業者数

各都道府県の分割基準の合計に対して、当該都道府県の分割基準が占める割合(分割割合)を算出し、税額総額をこの割合で按分します。こうして各都道府県への納付税額が決まる仕組みです。

月数の数え方に関する実務上のポイント

事業所の存在月数の数え方は、一般的に「月を単位として、1日でも該当月に存在していれば1か月として計算する」という取扱いが基本とされています。法人住民税の均等割は、端数処理が逆になるため混同しないよう注意して下さい。事業年度の開始前に廃止が完了している場合は、当該事業年度の月数はゼロとなり、分割基準への記載対象から外れます。

分割基準の計算ミスを防ぐための確認事項

分割基準の計算においてミスが生じやすいポイントを事前に把握しておくことは、申告作業の精度向上につながります。以下の点は、申告書作成前に改めて確認しておきたい項目です。

  • 当期中に開設または廃止した事業所がないか
  • 前期申告書の記載内容が当期の実態と一致しているか
  • 各事業所の従業者数が正確に把握されているか
  • 移転・廃止に伴う登記変更が完了しているか
  • 都道府県への届出状況に漏れがないか

これらを年1回、決算準備の段階で棚卸しすることで、申告書の記載誤りを早期に発見することが期待できます。特に、前年から事業所の状況に変化があった場合は、変更内容を申告担当者と共有しておくことが重要です。

移転・廃止時の社会保険・労働保険手続きとの連動

法人の拠点移転や事業所廃止は、税務手続きにとどまらず、社会保険や労働保険に関する届出とも密接に関連しています。税務上の対応を整理するとともに、社会保険・労働保険の手続き状況についても並行して確認しておくことが実務上の効率的な対応です。

事業所廃止時に必要となる社会保険手続き

健康保険・厚生年金保険については、事業所が廃止される場合、「適用事業所全喪届」を管轄の年金事務所に提出する必要があります。廃止する事業所に在籍していた被保険者については、資格喪失届や他の事業所への被保険者転出の手続きも合わせて行います。

また、廃止する事業所が単独の適用事業所として届け出られていた場合と、本社等との一括適用事業所として管理されていた場合とでは、手続きの内容が異なります。移転元の事業所が一括適用の対象であった場合は、本社側の管轄事務所への報告が中心となります。

雇用保険・労働保険の手続き

雇用保険については、事業所が廃止される場合に「適用事業所廃止届」を管轄のハローワークへ提出します。廃止する事業所に雇用保険被保険者が在籍していた場合は、転勤届や被保険者資格取得手続き(新事業所での再取得)も必要となります。

労働保険(労災保険・雇用保険)については、廃止する事業所が独立した保険関係を持っていた場合、年度途中の廃止に際して保険料の精算手続きが生じます。一括有期事業の適用を受けていた場合は、管轄の労働基準監督署での手続きが必要です。

社会保険・労働保険の届出漏れは、後日の調査や再手続きの負担につながるため、事業所廃止時には税務届出と合わせて一括して対応状況を確認することが望ましいです。

税理士・専門家への相談が有効な場面

分割基準の申告や事業所の移転・廃止に関する手続きは、税務・法務・社会保険の各分野にまたがるため、自社内だけで全ての対応を完結させることが難しい場合もあります。専門家への相談が有効となる場面をいくつか挙げます。

過去の申告書に誤りが見つかった場合

分割基準の誤記載が判明した場合、修正申告・更正の請求・自発的な連絡など、状況に応じた対応を選択する必要があります。誤りの内容、対象となる事業年度数、関係する都道府県の数によって、対応の複雑さは大きく異なります。税理士に相談することで、修正の範囲や手続きの優先順位を整理したうえで対応することができます。また、過去の申告書の修正が複数の都道府県にまたがる場合、各都道府県の税務当局との調整が必要となるケースもあります。そうした場合にも、税理士が対応の窓口となることで、スムーズな解決が期待できます。

県税事務所や税務署から照会があった場合

税務当局から申告内容について問い合わせがあった場合、事実関係を正確に把握せずに回答することはリスクをともなうことがあります。担当税理士がいる場合は、問い合わせの内容を税理士へ伝え、回答内容を確認したうえで対応することが一般的です。税理士が窓口となって税務当局と直接やり取りすることも、適切な場面では有効な選択肢となります。

移転・廃止時の各種届出を網羅的に行いたい場合

事業所の移転や廃止に際して必要な届出は、税務・社会保険・労働保険など多岐にわたります。届出の漏れがないよう網羅的に確認するためには、顧問税理士や社会保険労務士などの専門家に対応状況のチェックを依頼することが実務上よく行われています。専門家と連携することで、手続きの抜け漏れを防ぎ、後日の問い合わせや修正対応を最小限に抑えることが期待できます。

法人移転・事業所廃止の税務対応を適切に進めるために

法人が拠点を移転・廃止する際には、登記手続きと並行して税務上の各種届出や申告書の記載変更を適切に行うことが求められます。分割基準の誤記載は申告後に税務当局から指摘を受けることもあり、その際には事実確認と修正対応が必要となります。

重要なのは、実態に即した記載を行うという基本原則です。廃止した事業所を引き続き分割基準に記載し続けることは、申告内容と実態の乖離につながります。移転や廃止が生じた事業年度においては、申告書作成の段階で事業所の状況を改めて棚卸しすることが有用です。

また、県税事務所などから問い合わせがあった際には、不確かな情報を軽率に回答するよりも、事実関係を確認したうえで改めて連絡するという対応が、双方にとって円滑な解決につながります。担当税理士と連携しながら、事実に基づいた丁寧な対応を心がけることが大切です。

申告書作成前に確認しておきたい主要チェックポイント

事業年度の終了後、確定申告書を作成する段階で分割基準に関して確認すべき主要なチェックポイントをまとめます。

  • 当期中に新たに開設した事業所がある場合、開設月から月数に算入されているか
  • 当期中に廃止した事業所がある場合、廃止月以降の月数がゼロになっているか
  • 事業年度を通じて存在しなかった事業所が分割基準に残っていないか
  • 従業者数が実態と一致しているか(派遣労働者・出向者の取扱いを含む)
  • 本社と支店で事業所コードや所在地情報が最新のものになっているか
  • 前期申告と当期申告で事業所の数や月数に整合性があるか

これらの確認を申告書作成前に行うことで、記載誤りを早期に発見し、修正の手間を減らすことができます。特に拠点の増減があった事業年度は、一つひとつの事業所の状況を丁寧に確認することが実務上の基本的な姿勢です。

ストラーダ税理士法人では、法人の移転・廃止にともなう税務手続きや、分割基準申告に関するご相談に対応しております。申告内容の確認から修正申告・更正の請求の要否判断まで、実務経験を持つ税理士が状況に応じてサポートいたします。お気軽にご相談ください。

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この記事の監修者
山田 直輝
税理士公認会計士行政書士
2009年公認会計士試験に合格、その後、Deloite Touche Tohmatsu(有限責任監査法人トーマツ)に入所し、メーカー、サービス業、学校、商社等の上場一部企業の会計監査や内部統制監査を行う。監査班では、監査の主任業務を経験した。その後、アドバイザリー部門に部署異動をして、ベンチャー企業支援、賠償業務算定の構築や上場支援業務、企業リスクにおけるリスクマネジメント業務を行う。上場は、リクルートの上場経験を有する。2015年に独立して、ストラーダ税理士法人を設立。「敷居が高くて堅苦しい」税理士のイメージを払拭し、「初めての方でも馴染みやすい」税理士でいることをモットーにしている。趣味は、愛娘と遊ぶこと。
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