国民年金に加入している個人事業主やフリーランスの方は、確定申告で国民年金保険料の「社会保険料控除」を受けられます。しかし、初めて確定申告をする方にとっては、申告書のどこに、いくらを書けばよいのかが分かりにくいものです。
この記事では、確定申告で国民年金の控除を受けるための申告書の書き方を、記入例を交えて初心者にも分かりやすく解説します。e-Taxで申告する場合の入力方法や、必要書類、よくある間違いもあわせて紹介します。2026年(令和8年)分の確定申告に対応した内容でまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。
Contents
確定申告で国民年金の控除を受けられる人

国民年金保険料は、1年間(1月1日から12月31日まで)に実際に納めた全額が「社会保険料控除」の対象になります。確定申告で国民年金の控除を受けるのは、主に次のような人です。
- 個人事業主やフリーランスとして、自分で国民年金保険料を納めている人
- 年の途中で会社を退職し、その後に国民年金保険料を納めた人
- 会社員で、年末調整のときに国民年金保険料の控除を申告し忘れた人
- 家族(配偶者や子など)の国民年金保険料を代わりに納めている人
会社員の場合は、年末調整で国民年金保険料の控除を受けるのが基本です。ただし、年末調整に間に合わなかった場合でも、確定申告をすれば控除を受けて、払い過ぎた所得税を取り戻すことができます。
国民年金保険料は1年分で20万円を超えるため、控除を受けるかどうかで税額が大きく変わります。申告を忘れると、本来より多くの税金を納めることになるため注意しましょう。
確定申告書の書き方|国民年金の控除の記入方法

確定申告書は、第一表と第二表の2枚が基本です。国民年金保険料の控除は、まず第二表に内訳を書き、その合計を第一表に書き写す流れで記入します。
第二表の「社会保険料控除」欄に記入する
確定申告書第二表の「社会保険料控除」の欄に、次のように記入します。
- 社会保険の種類:国民年金保険料
- 支払保険料:その年の1月1日から12月31日までに実際に納めた国民年金保険料の金額
社会保険料控除の対象は、国民年金保険料だけではありません。国民健康保険料(税)、国民年金基金の掛金、介護保険料なども対象になるため、支払いがあれば種類ごとに行を分けて記入します。
なお、第二表のこの欄の近くには「小規模企業共済等掛金控除」の欄もあり、小規模企業共済やiDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金はこちらに記入します。iDeCoの掛金は社会保険料控除ではないため、記入する欄を間違えないようにしましょう。
第一表の「社会保険料控除」欄に合計額を記入する
第二表への記入が終わったら、社会保険料控除の金額を合計し、第一表の「所得から差し引かれる金額」の中にある「社会保険料控除」の欄に記入します。
この金額が所得から差し引かれ、課税される所得が少なくなることで、所得税や翌年の住民税が軽くなります。
e-Taxや確定申告書等作成コーナーで入力する場合
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」やe-Taxで申告する場合は、画面の案内に沿って社会保険料控除の入力画面に進み、保険料の種類と支払った金額を入力すれば、申告書の第一表・第二表に自動で反映されます。
確定申告書等作成コーナーでの大まかな入力の流れは、次のとおりです。
- 「作成開始」を選び、提出方法(e-Taxまたは印刷して提出)を選択する
- 事業所得や給与所得など、収入と所得の金額を入力する
- 「所得控除の入力」画面で「社会保険料控除」を選ぶ
- 社会保険の種類で「国民年金」を選び、支払った金額を入力する
- ほかの控除も入力したら、計算結果を確認して提出する
家族の分の国民年金保険料を納めている場合は、同じ画面で行を追加して入力します。
さらに、マイナポータルと連携しておくと、日本年金機構から電子データで受け取った国民年金保険料の控除証明書の内容を、申告書に自動で入力することもできます。手入力による間違いを防げるため、スマートフォンやパソコンで申告する人は活用を検討してみましょう。
確定申告に書く国民年金保険料の金額の決め方

申告書に記入する金額は、日本年金機構から届く「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」で確認します。
控除証明書の「証明額」を確認する
1月から9月までに保険料を納めた人には、毎年10月下旬から11月上旬ごろに控除証明書が届きます。この控除証明書には、9月末までに納めた「納付済額」と、10月から12月までに納める予定の「納付見込額」が記載されており、その合計が「証明額」として示されています。
12月までに予定どおり保険料を納めた場合は、この証明額を確定申告書に記入します。
見込額どおりに納めなかった場合
社会保険料控除の対象になるのは、その年に実際に納めた保険料だけです。10月から12月の保険料を納め忘れた場合など、見込額どおりに納付しなかったときは、証明額ではなく、実際に納めた金額を記入する必要があります。
反対に、10月以降に過去の未納分をまとめて納めた場合などは、控除証明書の証明額より実際の納付額が多くなることがあります。その場合は、追加で届く控除証明書や領収書で納付額を確認し、実際に納めた合計額を記入しましょう。
年の途中で会社を退職した人の書き方
年の途中で会社を退職して国民年金に切り替えた人は、会社員だった期間に給与から天引きされた社会保険料と、退職後に自分で納めた国民年金保険料や国民健康保険料の両方を記入します。
会社員だった期間の健康保険料や厚生年金保険料は、勤務先から受け取った源泉徴収票の「社会保険料等の金額」に記載されています。第二表の社会保険料控除の欄には、「源泉徴収票のとおり」としてこの金額を記入し、その下の行に、退職後に納めた国民年金保険料と国民健康保険料をそれぞれ記入しましょう。
なお、保険料の免除や納付猶予を受けている期間は、保険料を納めていないため控除の対象になりません。一部免除を受けている場合は、実際に納めた分だけが控除の対象です。
国民年金の控除の記入例

具体的な記入例を見てみましょう。2026年(令和8年)分の確定申告で、個人事業主のAさんが次の保険料を1年間に納めたケースです。
| 社会保険の種類 | 支払保険料 | 備考 |
|---|---|---|
| 国民年金保険料 | 213,810円 | Aさん本人の1年分 |
| 国民年金保険料 | 213,810円 | Aさんが納めた妻の1年分 |
| 国民健康保険税 | 380,000円 | 世帯分 |
| 合計 | 807,620円 | 第一表の「社会保険料控除」に記入 |
国民健康保険税の金額は一例で、実際の金額は市区町村や所得によって異なります。国民年金保険料の213,810円は、2026年1月から3月分(月額17,510円)と4月から12月分(月額17,920円)を毎月納めた場合の金額です。
Aさんのように、生計を一にする配偶者の国民年金保険料を自分が納めている場合は、その分もAさん自身の社会保険料控除に含めることができます。妻の分の控除証明書は妻の名前で届くので、Aさんの控除証明書と一緒に保管し、申告に使いましょう。
国民年金の控除でどれくらい税金が軽くなる?
社会保険料控除によって軽くなる税額は、その人の所得税率によって変わります。たとえば、所得税率が10%の人であれば、国民年金保険料213,810円の控除によって、所得税(復興特別所得税を含む)と住民税(税率10%)を合わせて年間で約4万3,000円税負担が少なくなる計算です。
記入例のAさんのように、妻の分もあわせて427,620円の国民年金保険料を控除すれば、税負担の軽減額は約8万6,000円になります。控除を申告し忘れると、これだけの金額を余分に納めることになるため、家族の分も含めて漏れなく記入しましょう。
確定申告で国民年金の控除を受けるときの必要書類

国民年金の控除を受けるときに必要なのは、日本年金機構から届く「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」です。国民年金保険料は、国民健康保険料などと違い、確定申告の際に控除証明書を添付するか、提出時に提示することが必要とされています。
- 書面で申告する場合:控除証明書を申告書に添付するか、提出時に提示する
- e-Taxで申告する場合:控除証明書の内容を入力すれば添付を省略できる(申告期限から5年間は保管が必要)
- 電子データで受け取った場合:e-Taxの申告データに添付して送信できる
国民健康保険料(税)や介護保険料については、確定申告で控除証明書の添付は求められていません。市区町村から届く納付通知書や領収書などで、1年間に実際に支払った金額を確認して記入しましょう。ただし、国民年金保険料と国民年金基金の掛金は、控除証明書の添付または提示が必要になる点が異なります。
控除証明書をなくしてしまった場合は、「ねんきんネット」や電話、年金事務所の窓口で再発行できます。再発行には1週間程度かかることもあるため、確定申告の期限(3月15日)に間に合うよう、早めに手続きをしておきましょう。
確定申告の期限と提出方法

所得税の確定申告の期間は、原則として申告する年の翌年2月16日から3月15日までです(土日祝日にあたる場合は翌平日まで)。2026年(令和8年)分の確定申告であれば、2027年2月16日から3月15日までが申告期間になります。
申告書の提出方法は、次の3つです。
- e-Taxでオンライン提出する(マイナンバーカードやスマートフォンで申告できる)
- 税務署に郵送する
- 税務署の窓口や時間外収受箱に持参する
e-Taxで提出すると、控除証明書などの書類の添付を省略でき、還付金も早く受け取れる傾向があります。
なお、会社員が年末調整で国民年金保険料の控除を申告し忘れた場合など、税金が戻ってくる「還付申告」は、2月16日より前から提出でき、対象となる年の翌年1月1日から5年間さかのぼって申告することができます。過去の年分で控除を受け忘れていた場合も、控除証明書があれば手続きできるため、心当たりがある人は確認してみましょう。
国民年金の控除でよくある間違いと注意点

国民年金の控除の申告では、次のような間違いがよく見られます。
- 控除証明書の見込額を記入したが、実際には12月までに納めていなかった
- 家族の分を納めているのに、自分の申告に含め忘れた
- iDeCoの掛金を社会保険料控除の欄に記入してしまった
- 前納した保険料について、控除の受け方(一括か各年分か)を確認していなかった
特に、2年前納などで翌年以降の分もまとめて納めた場合は、納めた年に全額を控除するか、各年分に分けて控除するかを選ぶことができます。各年分に分けて控除する場合は、控除証明書をその年の分だけ切り離して使い、残りは翌年以降のために保管しておきましょう。
また、過去の未納分をさかのぼって納めた場合や、学生納付特例を受けていた期間の保険料を追納した場合も、実際に納めた年の社会保険料控除の対象になります。
確定申告で国民年金の控除を忘れずに受けよう

確定申告で国民年金の控除を受けるには、第二表の「社会保険料控除」欄に保険料の種類と実際に納めた金額を記入し、その合計を第一表の「社会保険料控除」欄に書き写します。記入する金額は控除証明書の証明額が目安ですが、見込額どおりに納めていない場合は実際の納付額に直す必要があります。
家族の分の保険料や前納、追納にも気を配りながら、控除証明書を大切に保管し、国民年金保険料の控除を漏れなく受けましょう。e-Taxで申告して添付を省略した場合も、申告期限から5年間は控除証明書を保管しておく必要があるため、申告後すぐに捨てないよう注意してください。
あわせて、「国民年金の控除証明書を再発行するには?届く時期と使い方」や「国民年金の過去の分は確定申告で申請できるってホント?」もご覧ください。
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