FX(外国為替証拠金取引)で、利益が出たら、確定申告が、必要になる場合があります。「FXの利益には、どのような税金が、かかるのか」「税率は、どのくらいか」「損失が出た場合は、どうなるのか」「会社員でも、申告が必要か」と、疑問を持つ方は、多くいます。
この記事では、国税庁のタックスアンサーをもとに、FXの課税の基本を、解説します。国内の金融商品取引業者を通じた、FXの利益は、他の所得と分けて、一律の税率で課税される「申告分離課税」で、損失は、一定の条件のもと、翌年以後3年間、繰り越せます。海外の業者を使った取引など、課税の扱いが、異なるケースにも、触れます。
なお、税制は、改正されることがあります。この記事は、2026年10月時点の国税庁の公表情報をもとにしています。実際の申告では、最新の情報を確認し、税務署や、税理士にご相談ください。
Contents
FXとは?

国税庁のタックスアンサーによると、外国為替証拠金取引(FX)とは、外国為替(外国通貨)の売買を、一定の証拠金(保証金)を担保にして、その証拠金の何十倍もの取引単位(金額)で行う取引をいいます。少ない資金で、大きな取引ができる反面、損失も、大きくなる可能性が、あります。
FXの利益にかかる税金

FXの課税の扱いは、取引の種類によって、異なります。
金融商品取引法上の「市場デリバティブ取引」または「店頭デリバティブ取引」に該当する場合
金融商品取引法上の「市場デリバティブ取引」、または「店頭デリバティブ取引」(第一種金融商品取引業者、または登録金融機関を相手方とする取引に限る)に該当する、FXの差金等決済(決済、行使、放棄、譲渡の総称)による差益は、他の所得と区分して、「先物取引に係る雑所得等」として、課税されます。税率は、次のとおりです。
- 所得税:15%
- 地方税(住民税):5%
- 合計:20%(申告分離課税)
このほか、平成25年から令和29年までの各年分の確定申告では、復興特別所得税(その年分の基準所得税額の2.1%)も、あわせて申告し、納付します。つまり、所得税、住民税、復興特別所得税を合わせた、税率は、約20.315%です。
令和9年分以後の変更
国税庁のタックスアンサーによると、令和9年1月1日以後に生ずる所得については、復興特別所得税の税率が、基準所得税額の1.1%に引き下げられ、あわせて、防衛特別所得税(基準所得税額の1%)が、課されます(国税庁の説明では、復興特別所得税と防衛特別所得税の合計の税率は、変わりません)。令和9年分以後の申告では、この点に、注意してください。
上記に該当しない取引の場合
「市場デリバティブ取引」にも、「店頭デリバティブ取引」にも、該当しない取引(たとえば、海外の、国内で登録のない業者を、相手方とする取引など)による差益は、一般的には、雑所得として、総合課税の対象になります。総合課税では、給与所得などの、他の所得と合計し、課税総所得金額に応じた税率(超過累進税率)で、課税されます。所得が大きくなると、税率が、上がるため、国内の取引と、税負担が大きく異なる場合があります。
| 取引の区分 | 課税の方法 | 税率 |
|---|---|---|
| 国内の第一種金融商品取引業者などを相手方とするFX | 申告分離課税(先物取引に係る雑所得等) | 約20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税) |
| 上記に該当しない取引 | 総合課税(雑所得) | 超過累進税率(所得に応じて、変わる) |
どの区分になるかは、取引する業者や、取引の形態によって、異なります。取引を始める前に、確認しておくことが大切です。
損失が出た場合

損益通算
国税庁によると、FXの差金等決済による差損が生じた場合は、他の「先物取引に係る雑所得等」の金額との損益通算は、可能ですが、「先物取引に係る雑所得等」以外の所得(給与所得など)との損益通算は、できません。
損失の繰越控除
他の「先物取引に係る雑所得等」と損益通算をしても、引ききれない損失の金額は、一定の要件のもとで、翌年以後3年間にわたり繰り越し、その繰り越された年の「先物取引に係る雑所得等」の金額を限度として、差し引くことができます。損失の繰越控除を受けるには、損失が出た年に、確定申告をして、その後も、3年間、連続して、確定申告をする必要があります。
総合課税の取引の場合
「市場デリバティブ取引」などに該当せず、雑所得として、総合課税の対象となる取引の場合は、雑所得の範囲内での損益の通算は、可能ですが、他の各種所得の金額との損益通算は、できません。また、申告分離課税の対象となる「先物取引に係る雑所得等」の金額との損益通算も、できません。
確定申告は、必要?不要?

FXの利益が、出た場合に、確定申告が、必要かどうかは、あなたの状況によって、異なります。
会社員(給与所得者)の場合
会社員など、給与を受け取っている方は、給与所得以外の所得の合計額が、年間20万円を超える場合に、確定申告が、必要になるのが、原則です。FXの所得が、20万円以下でも、住民税の申告が、必要な場合があります。詳しくは、国税庁の案内(給与所得者で、確定申告が必要な人)や、お住まいの市区町村で、確認してください。
個人事業主、無職の方の場合
個人事業主や、年金で生活する方など、給与以外の所得がある方は、所得の合計額が、各種の所得控除を引いたあとに、課税される所得があれば、確定申告が、必要です。
損失の場合
FXで、損失が出た場合でも、損失の繰越控除を、受けるためには、確定申告が、必要です。申告しないと、翌年以後の、利益と、相殺できません。
必要経費にできるもの

FXの所得の計算では、利益から、取引に必要な経費を、差し引けます。主な経費の例は、次のとおりです。
- 取引業者に支払った、手数料(取引手数料、口座管理料など)
- 取引のための、情報料(有料の情報サービス、書籍など)
- 取引のための、セミナーの参加費
- 取引に直接必要な、パソコンや、通信費の一部(事業として行う場合など、按分が必要)
経費として認められるかは、取引との関連性によって、判断されます。領収書や、明細を、保管しておいてください。
申告に、必要な書類

FXの利益を、確定申告するときは、次のような書類が、必要です。
- 取引業者から、交付される、年間の取引報告書(年間損益が、分かる書類)
- 確定申告書(申告書B)、第三表(分離課税用)
- 先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書(国税庁によると、確定申告書に、添付する必要がある)
- 本人確認書類、マイナンバーが分かる書類
- 経費の領収書や、明細
複数の業者で、取引している場合は、すべての業者の、年間の損益を、合算して、申告します。
税金の計算例(想定)

国内の業者を通じた、FXの、税金の計算の、イメージを、数字で、示します。この例は、理解のための想定です。
- 1年間の、FXの利益(差益):200万円
- 必要経費(手数料、情報料など):10万円
- 先物取引に係る雑所得等の金額:200万円-10万円=190万円
- 所得税と復興特別所得税(約15.315%):190万円×15.315%=約29万円
- 住民税(5%):190万円×5%=9万5,000円
- 税金の合計:約38万6,000円
このように、国内のFXの利益は、一律の税率で、課税されるため、所得が大きくなっても、税率は、変わりません。ただし、所得控除などの影響や、他の所得との関係は、個別に、確認してください。
確定申告の流れ(FXの場合)

FXの利益を、確定申告する、一般的な流れを、整理します。
1. 年間の損益を、確認する
取引業者から、年間の取引報告書が、交付されます。複数の業者で取引している場合は、すべての報告書を、集めて、年間の損益を、合算します。
2. 必要経費を、集計する
手数料、情報料、セミナー費などの、領収書や、明細を、整理して、経費の合計を、計算します。
3. 申告書を、作成する
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使うと、画面の案内に従って、金額を入力することで、申告書や、先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書が、作成できます。作成したデータは、e-Taxで、送信できます。
4. 申告と、納付を行う
翌年の2月16日から3月15日までの間に、申告書を、提出し、税金がある場合は、納付します(年によって、日付が、変わることがあります)。
5. 住民税の、扱いを確認する
所得税の確定申告で、FXの所得を申告すると、その内容が、住民税の計算にも、反映されます。会社員の場合は、住民税の納付の方法(給与からの天引きなど)によって、勤務先に、副収入が、知られる場合があるため、事前に、お住まいの市区町村の案内を、確認してください。
損失の繰越控除の、具体例(想定)

損失の繰越控除の、イメージを、想定の数字で、示します。この例は、理解のための想定です。
| 年 | FXの損益 | 繰越控除の状況 |
|---|---|---|
| 1年目 | 損失300万円(確定申告で、損失を申告) | 損失300万円を、翌年以後3年間に、繰り越せる |
| 2年目 | 利益200万円 | 繰越損失300万円のうち、200万円を控除。課税される所得は0円。繰越損失の残りは、100万円 |
| 3年目 | 利益150万円 | 繰越損失の残り100万円を、控除。課税される所得は、50万円 |
この例のように、損失を、繰り越して、将来の利益と、相殺できます。ただし、繰越控除を、受けるには、損失が出た年に、確定申告をし、その後も、連続して、確定申告をすることが、必要です。
FXの申告で、気を付けたいポイント

- 取引の区分(国内の業者か、海外の業者か)によって、課税の方法と、税率が、異なる
- 申告分離課税の取引と、総合課税の取引の間では、損益の通算ができない
- 損失が出た年も、確定申告を、しておく(繰越控除のため)
- 複数の口座の損益を、合算して、申告する
- 必要経費は、取引との関連性を、説明できる範囲で、計上する
- 令和9年分以後は、復興特別所得税と、防衛特別所得税の、取扱いが、変わる
FXと、他の投資の税金の違い

FXと、株式の取引などでは、税金の扱いが、異なります。主な違いを、整理します。
| 項目 | FX(国内の業者) | 株式(上場株式等) |
|---|---|---|
| 課税の方法 | 申告分離課税(先物取引に係る雑所得等) | 申告分離課税(株式等に係る譲渡所得等) |
| 税率 | 所得税15%、住民税5%(合計20%) | 所得税15%、住民税5%(合計20%) |
| 損失の繰越控除 | 翌年以後3年間(先物取引に係る雑所得等の範囲内) | 翌年以後3年間(株式等の譲渡所得等の範囲内) |
| 損益通算の範囲 | 先物取引に係る雑所得等の間のみ | 株式等の間(一定の範囲) |
税率は、同じでも、損益通算できる範囲が、異なるため、FXの損失と、株式の利益を、相殺することは、できません。取引の種類ごとの、課税の扱いを、確認してください。
申告の際に、確認したい、周辺の制度

FXの利益が、あると、次のような点にも、影響する場合が、あります。
- 国民健康保険料や、介護保険料:所得をもとに、計算されるため、金額が、上がる場合がある
- 扶養の判定:家族の扶養に、入っている場合は、所得が、一定額を超えると、扶養から外れることがある
- 各種の給付や、控除の判定:所得の金額によって、利用できる制度の、要件が、変わることがある
FXの利益が、大きくなる場合は、これらの影響も、含めて、確認しておくことをおすすめします。
FXの確定申告で、よくある質問

Q1. 申告しなかった場合は、どうなりますか?
申告が必要なのに、申告しなかった場合は、無申告加算税や、延滞税などが、課されるおそれがあります。また、税務署が、取引の情報を、把握している場合もあります。気付いたら、できるだけ早く、申告してください。
Q2. 家族名義の口座で、取引しても、よいですか?
税金は、実際に、取引を行い、利益を得た人に、課税されます。名義だけを、借りることは、税務上の問題が、生じるおそれがあります。
Q3. 暗号資産(仮想通貨)の取引も、同じ扱いですか?
暗号資産の取引は、FXとは、課税の扱いが、異なります。国税庁の案内で、確認してください。
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※本記事は、2026年10月時点の情報をもとに作成しています。税制は変更されることがあるため、手続きの前に、国税庁の公式情報をご確認ください。




