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2023.08.28 税務知識

【必見】経理DXはするべき!メリットと課題について徹底解説

近年、よく耳にする言葉として「経理DX」があります。現在は経理DXを進める企業も多くなってきており、注目が集まっています。

この記事では、経理DXが求められる理由を解説し、その大きなメリットもご紹介します。経営者や経理担当者には、必見の内容となっているので、ぜひご覧ください。

経理DXとは?

経理DXは、デジタル技術を活用して経理業務を効率化・変革する取り組みを指します。これにより、紙ベースの作業から電子化、自動化され、業務のスピードアップやミスの削減が期待できます。最近の技術革新を背景に、多くの企業が経理DXの導入を進めています。

経理業務にDXが求められる4つの理由

近年、経理業務におけるデジタル化の波が加速しています。その背景には、以下の4つの理由が挙げられます。

  • 経理人材の不足
  • 属人化の対策
  • 業務負担が大きい
  • 法改正の影響

どの要素も経理DXを進めていく中で、知っておきたい内容なので、しっかりと抑えていきましょう。

経理人材の不足

経理業務は専門的な知識を要するため、適切な人材を見つけるのが難しいです。この専門性から、経理担当者は会計基準や税法の変更に常に対応しなければならず、学び続ける必要があります。

しかし、このような人材を採用することは困難で、新しい人材を育成するにも時間とコストがかかります。

さらに、日本の労働人口の減少に伴い、経理の人手不足は深刻化しています。実際、2050年には労働人口が大幅に減少するとの予測もあり、経理の人手不足問題は今後も継続する大きな課題として認識すべきです。

属人化の対策

経理の業務は専門性が高く、少人数での運営が一般的であるため、特定の担当者に知識やスキルが集中しやすい「業務の属人化」が起こりがちです。

属人化が進むと、その担当者が退職・異動した場合、業務が停滞するリスクが高まり、新しい担当者への引き継ぎも困難になります。業務の内容や手順を特定の人だけが知っている状態は、企業にとって大きなリスクとなります。

したがって、属人化を未然に防ぐための対策が必要です。

業務負担が大きい

経理の専門性が高く、多くの企業では少人数、または1人体制での対応が一般的です。さらに、高い精度が求められるため、業務負担が大きくなります。

こうした背景から、DXを導入し、人の判断を必要としない部分をIT化することが必須です。請求書関連の業務などは、システム連携を活用し、自動化・効率化を進めることで、業務時間を大幅に削減できます。経理DXの進行により、担当者は分析や経営判断に役立つ指標の提供など、より付加価値の高い業務に時間を割くことが可能となります。

このような取り組みは、業務の効率向上はもちろん、残業削減や決算情報の早期確認にも繋がるのです。

法改正の影響

改正電子帳簿保存法とインボイス制度の導入により、経理業務の負担が増大することが予想されます。この改正では、電子取引の紙保存が禁じられ、紙とデータを適切に区別して管理する必要が生じます。

また、インボイス制度(正式には「適格請求書等保存方式」)の導入で、消費税の計算と納付が特定の請求書に基づく方式となります。これに伴い、適格請求書とその他の請求書を正確に区分管理する業務が増えるため、経理部門の負荷がさらに高まることが想定されます。

2023年10月のインボイス制度開始と2023年末の改正電子帳簿保存法の猶予期間終了に向け、デジタル化の取り組み、すなわち経理DXが求められています。これを通じて、効率的な業務遂行と従業員の負担軽減を図るべきです。

経理DXによるメリット4選

経理DXを導入することで得られるメリットは多岐にわたります。特に以下の4つのポイントは、多くの企業が経験している利点です。

  • 人的・費用コストの削減が可能
  • 属人化を防ぐことができる
  • 経理関連書類のペーパーレス化
  • 経営状況をタイムリーに確認可能
  • IT導入補助金が使える

上記のメリットは、経営にも良いことが多くあるので、一緒に見ていきましょう。

人的・費用コストの削減が可能

経理業務のDX化は人的コストと費用の大幅な削減を実現します。例えば、奉行クラウド 経理 DX Suiteのようなサービスを使用することで、9つのプロセスが2プロセスに減少し、年間約813.6時間の業務時間を節約できるとのことです。

ペーパーレス化により、印刷代、郵送費、保管スペースのコストを減少させることができます。DX化により、業務の標準化が進み、属人化の解消や業務の正確性の向上、担当者の業務負担の軽減が期待されます。

さらに、法改正への迅速かつ正確な対応も可能になり、ミスのリスクや対応にかかる時間の削減ができます。紙を使用する業務からの脱却は、インク代や郵送費などのコストを削減するだけでなく、企業のリソースを効果的に活用し、新しい商品やサービスの開発に注力する余裕も生まれます。

属人化を防ぐことができる

経理DXにより、AIを利用して仕訳を自動登録するなど、テクノロジーが経理業務を支援します。これによって、専門性が求められる経理業務でも誰でも同じ結果を得ることが可能となり、業務の属人化を解消できます。特定の担当者が休む場合や離職した場合でも業務が滞る心配が減少します。

しかし、DXを成功させるためには、業務に適したツールの選定が必須です。また、システムを導入する際には、ユーザビリティが高く、マニュアルが整備されており、業務フローが標準化されるようなシステムを選ぶことが大切です。

そうすることで、システム依存の属人化を防ぐことができ、真の業務効率化を実現します。

経理関連書類のペーパーレス化

経理DXの進展に伴い、ペーパーレス化が容易になります。以前の経理は紙書類が中心で、ペーパーレスの取り組みが難しかったのですが、DXにより紙の使用が大幅に減り、SDGsへの貢献や企業評価向上も期待できます。

ペーパーレス化の第一歩として、紙のハンコや書面を使わざるを得ない作業を減少させることが重要です。経費精算や証憑の提出、仕入れや販売の請求書のやり取りを電子化し、社内手続きもオンラインで行うことで、情報連携が即時に可能となり、業務効率が向上します。

また、ペーパーレス化により、書類の印刷や郵送のコストが削減され、人的リソースの節約も実現します。デジタル化を進めることで、経理業務における紙代や郵送費、保管費用などの経費を削減できるのです。

経営状況をタイムリーに確認可能

システムに蓄積された情報を一元的に収集して、迅速な経営判断を行うことが必要です。経営者や現場担当者といった関係者が求める指標は異なるため、最新の情報を即座に把握できる状態が望ましいです。

デジタル化された経理業務は、過去の手間取っていた業務を効率的にし、時間を節約することができます。その結果、重要な分析や経営レポートの作成に専念することができます。

経理DXの導入により、ITツールで情報を一元管理し、リアルタイムで経営状況を可視化できます。経営者と現場担当者間の認識のズレを解消し、適切な経営判断を促進するため、ITツールを使用しての情報の可視化は、経理DXの中心的な役割と言えます。

まとめ

今回の記事では、経理DXが求められる理由やメリットなどを解説してきました。経営において大切なのは、時代の変化に応じて環境に適応することです。

そして経理DXを進めることで、IT導入補助金などがもらえる可能性もあるので、この機会に検討されてみてはいかがでしょうか。

また経理とChatGPTとの関係性について「経理業務でChatGPTはどのように活用できるのか?今後の未来と現在の課題も解説」の記事で解説しているので、ぜひお読みください。

この記事の監修者
中田 卓哉
税理士公認会計士
2012年を中央大学商学部卒業し、同年公認会計士試験に合格。2013年に東証一部上場企業に入社し、単体決算、連結決算に従事。2017年にPwCあらた有限責任監査法人に入所し、メーカー、サービス業等の東証一部上場会社の法定監査、IFRS監査、米国基準監査に従事。その後、2021年よりストラーダグループに参画。クライアントを深く理解し、クライアントの立場に立ったサービス提供することをモットーとしている。趣味は、愛猫と遊ぶこと。
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