確定申告や年末調整で国民年金保険料の控除(社会保険料控除)を受けるときに、「控除証明書があれば領収書はいらないの?」「領収書しかないけれど控除を受けられる?」と迷う方は少なくありません。
国民年金保険料は、ほかの社会保険料と違って、納めた金額を証明する書類の添付または提示が必要な保険料です。この記事では、国民年金保険料の控除に必要な書類と、控除証明書と領収書の違い、領収書を保管しておきたいケース、2027年(令和9年)1月から始まる新しい添付方法まで、分かりやすく解説します。
Contents
国民年金保険料の控除に必要な書類は?

国民年金保険料は、その年に実際に納めた金額の全額が社会保険料控除の対象になります。ただし、控除を受けるには、確定申告書や年末調整の「保険料控除申告書」に、保険料の金額を証明する書類を添付するか、提出するときに提示する必要があります。
基本は日本年金機構から届く控除証明書
金額を証明する書類として一般的に使うのが、日本年金機構から送られてくる「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」です。その年の1月から9月までに保険料を納めた人には、10月下旬から11月上旬ごろにはがきで届きます。10月以降に初めて納めた人には、翌年2月上旬に届きます。
マイナポータルで電子送付を受ける手続きをしている場合は、はがきの代わりに電子データで届きます。電子データは、e-Taxで確定申告をするときにそのまま使えます。
ほかの社会保険料との違い
健康保険料や厚生年金保険料、国民健康保険料などは、確定申告のときに証明書の添付は求められていません。国民年金保険料と国民年金基金の掛金だけは、金額を証明する書類の添付または提示が必要とされている点が大きな違いです。
会社員の年末調整でも同様で、勤務先に提出する保険料控除申告書には、国民年金保険料の金額を証明する書類を1部提出する必要があります。
年末調整での書き方と提出方法
会社員が年末調整で国民年金保険料の控除を受ける場合は、勤務先から配られる「保険料控除申告書」の社会保険料控除の欄に、保険料の支払先(日本年金機構)、保険料を負担することになっている人の氏名、その年に支払う保険料の金額を記入し、控除証明書を添付して提出します。
勤務先が年末調整の電子化に対応している場合は、マイナポータルから受け取った控除証明書の電子データを使って提出できることもあります。提出方法は勤務先の案内を確認しましょう。
国民年金保険料の控除証明書と領収書の違い

国民年金保険料を納付書で納めると、金融機関やコンビニで「領収証書」を受け取ります。控除証明書と領収証書は、どちらも保険料を納めたことを示す書類ですが、次のような違いがあります。
| 書類 | 内容 | 発行・入手のタイミング |
|---|---|---|
| 控除証明書 | 1年間に納めた保険料の合計額(9月末までの納付済額と12月末までの見込額)を証明する | 日本年金機構から年1回(翌年2月に届く場合もある) |
| 領収証書 | 1回ごとの納付について、金額と納付日を証明する | 保険料を納めるたびに、金融機関やコンビニで受け取る |
控除の申告には、1年分の合計額が記載された控除証明書を使うのが基本です。領収証書は1回ごとの納付についての書類なので、1年分をすべてそろえて合計を確認するのは手間がかかり、1枚でも紛失すると正確な金額が分からなくなってしまいます。一方で、控除証明書に反映されていない納付があった場合などには、領収証書が納付の事実を確認する手がかりになります。
納付方法ごとに残る記録と確認のポイント

国民年金保険料は、納付書による支払いのほか、口座振替やクレジットカード、スマートフォンのアプリなど、さまざまな方法で納めることができます。どの方法で納めても、1年分の納付額は控除証明書に記載されますが、納付の記録として手元に残るものは方法によって異なります。
| 納付方法 | 手元に残る主な記録 |
|---|---|
| 金融機関・コンビニの窓口 | 納付書の領収証書 |
| 口座振替 | 預金通帳やネットバンキングの取引明細 |
| クレジットカード | カードの利用明細 |
| 電子納付・スマホアプリ | 支払い完了の画面や利用履歴 |
口座振替やクレジットカードで納めている場合は、紙の領収証書が発行されないため、控除証明書が特に大切になります。また、納付した保険料の記録は「ねんきんネット」でも確認できるため、控除証明書の金額と実際の納付状況が合っているかを確かめておくと安心です。
国民年金保険料の領収書を保管しておきたいケース

控除証明書があれば、多くの場合は領収証書を提出する必要はありません。ただし、次のようなケースでは、領収証書を保管しておくと安心です。
控除証明書の見込額どおりに納めていない場合
11月ごろに届く控除証明書には、10月から12月までに納める予定の「見込額」も含めた証明額が記載されています。見込額どおりに納めた場合はその証明額で申告できますが、納め忘れがあった場合は、実際に納めた金額に直して申告する必要があります。
反対に、10月以降に過去の未納分をまとめて納めた場合などは、証明額より実際の納付額が多くなることがあります。この場合、追加で納めた分については、後から届く控除証明書や領収証書で納付額を確認できるようにしておきましょう。
控除証明書が手元にない場合
控除証明書をなくしてしまったときは、「ねんきんネット」や電話、年金事務所で再交付を申請できます。再交付には1週間程度かかるため、年末調整や確定申告の期限に間に合わないこともあります。領収証書が手元にある場合でも、それで足りるかどうかは提出先によって判断が異なることがあるため、勤務先や税務署に確認し、あわせて控除証明書の再交付も申請しておくと確実です。
家族の国民年金保険料を納めた場合
生計を一にする配偶者や子の国民年金保険料を納めた場合は、その分も納めた人の社会保険料控除の対象になります。このとき、控除証明書は保険料を納めた人ではなく、被保険者である家族の名前で届きます。自分の申告には、家族の名前で届いた控除証明書を添付します。
家族が別の住所に住んでいる場合などは、控除証明書が家族のもとに届くため、早めに受け取っておきましょう。誰が納めたかを示すために、家族の分を自分の口座から振り替えている記録や、納付のときの領収証書を保管しておくとさらに安心です。
2027年1月からは明細書の添付でもOKに

国税庁の案内によると、2026年(令和8年)分以後の確定申告書を2027年(令和9年)1月1日以後に提出する場合は、国民年金保険料の控除証明書などの添付や提示に代えて、一定の事項を記載した明細書を添付することもできるようになります。
これまでは、書面で確定申告をする場合、控除証明書の原本を添付するか、提出のときに提示する必要がありました。明細書の添付が認められることで、書面で申告する人の手間も軽くなることが期待されます。ただし、明細書に記載する事項や、控除証明書の保存の扱いなどの詳しい内容は、国税庁の最新の手引きなどで確認しておきましょう。明細書を添付した場合でも、税務署から求められたときに説明できるよう、控除証明書そのものは捨てずに保管しておくのが安心です。
なお、e-Taxで申告する場合は、従来から控除証明書の内容を入力することで添付を省略できます。この場合も、税務署から求められたときに提示できるよう、控除証明書は申告期限から5年間保管しておく必要があります。
国民年金保険料控除の添付書類で注意したいこと

添付書類の原本とコピーの扱い
書面で確定申告をする場合、控除証明書は原本を添付書類台紙に貼って提出するのが基本です。提出した後に内容を確認できるよう、提出する前にコピーを取っておきましょう。コピーがあれば、税務署から申告内容について問い合わせがあった場合にも、どの書類をもとに金額を記入したのかをすぐに確認できます。スマートフォンで撮影して画像として残しておくのも一つの方法です。
なお、以前は給与の源泉徴収票の原本も確定申告書に添付する必要がありましたが、2019年(平成31年)4月1日以後に提出する確定申告書からは、源泉徴収票の添付は不要になっています。
前納した場合の控除証明書の使い方
国民年金保険料を2年前納などでまとめて納めた場合は、納めた年に全額を控除するか、それぞれの年の分に分けて控除するかを選べます。分けて控除する場合、控除証明書は年ごとに切り離せる形で届くため、その年の分だけを切り離して使い、残りは翌年以降のために大切に保管しておきましょう。
控除証明書と領収証書はセットで保管
控除証明書も領収証書も、確定申告が終わった後に捨ててしまうと、税務署から問い合わせがあったときに説明できなくなります。1年分の控除証明書と領収証書は、クリアファイルなどにまとめて、少なくとも5年間は保管しておくと安心です。
国民年金保険料の控除に関するよくある質問

年末調整で控除証明書を出し忘れたら?
年末調整で国民年金保険料の控除を申告し忘れた場合でも、確定申告をすれば控除を受けることができます。払い過ぎた所得税を取り戻す還付申告であれば、対象となる年の翌年1月1日から5年間さかのぼって申告できるため、過去の分も確認してみましょう。
国民年金基金やiDeCoの掛金はどうなる?
国民年金基金の掛金も社会保険料控除の対象で、国民年金保険料と同じく金額を証明する書類が必要です。証明書は国民年金基金から送られてきます。一方、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は「小規模企業共済等掛金控除」という別の控除の対象になるため、申告書の記入欄を間違えないように注意しましょう。
大学生の子の保険料を親が払ったら?
20歳以上の大学生の子の国民年金保険料を親が納めた場合、生計を一にしている子の分であれば、親の社会保険料控除の対象になります。控除を受けるのは実際に保険料を負担した人なので、子の名前で届いた控除証明書を親の年末調整や確定申告に使います。なお、学生納付特例を受けている期間は保険料を納めていないため、控除の対象にはなりません。
前の年の保険料を今年まとめて納めたら?
社会保険料控除は、保険料を実際に支払った年に受ける控除です。前の年の未納分を今年まとめて納めた場合は、今年の社会保険料控除の対象になります。納めた時期によっては、秋に届いた控除証明書の金額に含まれていないことがあるため、納付のときの領収証書などを保管しておき、必要に応じて「ねんきんネット」で納付記録を確認したり、控除証明書の再交付を申請したりして、実際に納めた金額で申告しましょう。
保険料の免除を受けていた期間はどうなる?
保険料の免除や納付猶予を受けていた期間は、保険料を納めていないため控除の対象にはなりません。ただし、その期間の保険料を後から納める「追納」をした場合は、追納した年の社会保険料控除の対象になります。追納した分についても、納めた金額を証明する書類を保管しておきましょう。
国民年金保険料の控除は書類をそろえて漏れなく受けよう

国民年金保険料の控除を受けるには、日本年金機構から届く控除証明書などで、納めた金額を証明する必要があります。多くの場合は控除証明書があれば十分ですが、見込額どおりに納めていない場合や、家族の分を納めている場合、控除証明書をなくした場合などは、領収証書もあわせて保管しておくと安心です。
2027年1月からは明細書の添付でも控除を受けられるようになるなど、手続きは少しずつ簡単になっています。最新の情報を確認しながら、国民年金保険料の控除を漏れなく受けましょう。
あわせて、「国民年金の控除証明書を再発行するには?届く時期と使い方」や「確定申告で国民年金の控除を受けるには?申告書の書き方と記入例」もご覧ください。
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